第1回 大阪府差別解消に関する有識者会議

更新日:令和元年11月26日

資料1 [その他のファイル/101KB]

《日時》平成26(2014)年8月4日(月曜日) 10時30分から12時
《場所》大阪府議会会館1階 談話室
《出席者》上田委員、中井委員、山本委員

《配布資料》

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委員名簿[PDFファイル/15KB] [Wordファイル/18KB]
(資料1)差別解消に関する考え方の整理と手法の検討について[PDFファイル/104KB] [その他のファイル/101KB]
(資料2)障がいを理由とする差別の解消に向けた取組みについて[PDFファイル/206KB] [Wordファイル/47KB]
(資料3)障がい以外の差別の解消に向けた検討の進め方について[PDFファイル/86KB] [Wordファイル/31KB]
(資料4−1)現行制度等による対応例(人権課題/分野)[PDFファイル/103KB] [その他のファイル/85KB]
(資料4−2)人権課題ごとの相談事例、判例、現行制度等による対応例 一覧[PDFファイル/241KB] [その他のファイル/134KB]
(資料5)今後のスケジュールについて[PDFファイル/55KB] [Wordファイル/33KB]
(中井委員提供資料)一般的差別禁止規定(参考資料) [PDFファイル/83KB] [Wordファイル/20KB]
《議事概要》以下のとおり


【委員からの情報提供】
≪私人間行為への公権力介入の可能性≫

憲法は、公権力と私人との関係を規律するものであり、私人間の問題について口を出すべきでないというのが基本的な考え方。

一方、今日の有力な考え方である基本権保護義務論においては、公権力は、私人間における一定程度以上の人権侵害を放置してはならず、その被害者を守る義務があるとされる。

伝統的な考え方と、今日的な考え方がぶつかり合う。行政としては、重大な差別が生じているのに放っておくとまずいし、かといって、でしゃばってやりすぎると、加害者側の人権を侵害することになる。どの範囲で何ができるのかというのが問題。

これに関する判例として三菱樹脂事件がある。「私人間の関係においては、各人の有する自由と平等の権利自体が具体的場合に相互に矛盾、対立する可能性があり、このような場合におけるその対立の調整は、近代自由社会においては、原則として私的自治に委ねられ」る、とする一方、「侵害の態様、程度が社会的に許容しうる一定の限界を超える場合にのみ、法がこれに介入しその間の調整をはかるという建前がとられている」としている。

≪団体と個人の違い≫

団体の人権についての有力な考え方は二つある。一つは、八幡製鉄所事件判例のように、国民の権利や義務は、性質上可能な限り団体にも適用されるとする考え方。もう一つは、人権とはそもそも人間が人間であるが故に持っているものであり、団体には個人と同じようには人権は保障されないとする考え方。

後者の考え方に立てば、団体が加害者である場合には、個人が加害者である場合に比べれば、公権力介入による人権侵害のおそれは小さいと考えられる(もちろん、団体であっても報道機関のように表現の自由の行使主体として重要なものもあるので、団体であればただちに公権力が介入してもよいことになるわけではないが)。裏返すと、表現の自由や思想良心の自由を持つ個人への介入は、団体への介入以上に難しくなるのは確かだろうと思う。

表現の自由との関係では、わいせつ表現や名誉毀損は従来から制約されているし、最近ではヘイトスピーチも民事判決が出ている。表現の自由の下に何を言ってもよいわけではない。学界では少数派になるかもしれないが、被害者の人格を傷つけるような表現については、公権力による制限が認められるべき。ただ、表現の自由は非常に大事な人権であり、介入には慎重さが必要。

思想良心の自由への抵触については、思想良心の自由とは、歴史観や世界観などその人のポリシーに関わる部分が保障されるものと考えるのが判例・通説であり、加害者の行為がこれに当たるのかどうか、というのが一つの問題。また、規制する場合には、主義主張と異なる行為の強制は思想良心を傷つけやすいが、一定の行為の禁止であれば、それ以外のことはやってもよいということであり、目に見えやすく、個人に対してもなされる余地がある。
≪差別禁止に関係する条約≫

自由権規約(国際人権B規約)は、単に国家が人権を侵害しないというだけでなく、国家は人権が侵害されていない状況を確保するために積極的な義務を果たすこと、必要ならば差別を禁止する法律を作ること、を求めている。

障害者権利条約の流れを受けて、障がい者については、私人間の差別を禁止していくということで動き出しているが、人種差別、女性差別については国内の法整備が遅れており、日本に対してきつい風当たりがある。

2週間ほど前、自由権規約の第6回日本政府報告書の審査があり、最終見解(案)が発表された。その中で、すべての事由に基づく差別を禁止する包括的な差別禁止法を導入しなさい、さらに差別の被害者に実効的で適切な救済を提供しなさい、特にヘイトスピーチについては禁止の方向で動き出さなければならないということを、また指摘されたところ。
≪諸外国の法制等≫

一般的な差別禁止規定を持っている諸外国の事例を調べてみた。各国に共通する特徴は以下のとおり。

・いきなり包括的な禁止法ができたわけではなく、女性差別禁止法や、人種民族融和法、労働市場における差別禁止など、個別の差別禁止法がたくさんできて、それをまとめる形で包括化し、一般的な差別禁止法を持つに至ったという流れを持つ。なお、個別の差別禁止法は、ヨーロッパの場合はEC指令、国連の人権条約実施機関の勧告への対応など、外圧によって背中を押されて立法化された経緯がある。

・議論の成熟を待ってトランスジェンダーを追加するなど、常に法改正を行って対応している。

・差別事由ごとに差別が禁止される分野、具体的に差別が禁止される場面を規定している。

・挙証責任の転換。加害者であると訴えられた側が正当な理由があったことを立証しなければならないこととされている。

・告発者の保護が法律でうたわれている。

・公的、私的な差別の区別をしているものはない。

今回の検討では、一般私人の行為については啓発で対応していくということだが、例えば、住宅、商品販売、雇用などに関して、一般私人とそうでない私人との線引きは難しいのではないかと思う。
≪障害者差別解消法のポイント≫

一つは、規制の対象。行政機関と事業者であり、個人(正確に言うと「事業者」以外)は対象外となっている。

もう一つは、積極的な行為によって差別をする「差別的取扱い」と、一定の配慮を提供する「合理的配慮」の区別。行政機関については、「差別的取扱い」が禁止され、「合理的配慮の提供」が義務付けられるが、事業者については、「合理的配慮の提供」は努力義務。この法律では、義務違反の場合の効果は何も規定しておらず、一般民事の法律に委ねられる。民法の損害賠償や、差止めなどが接続する予定だが、事業者による「合理的配慮」については、そうした効果は認めないと理解されている。事業者に対して一定の配慮がなされている。

≪障がい者以外への応用に際しての留意点

障害者差別解消法が成立した大きな要因は、現代において受け入れられやすいテーマであったということ。障がいの問題は、高齢化社会において、自分自身や身内など、誰にでも起こりうる事柄になってきている。差別の解消や禁止が求められたとき、受け入れやすく、また、社会的にも要請がある。

これに対して、他の差別(同和問題、外国人、セクシャルマイノリティ、宗教など)については、人々の思想信条の自由や、意見、態度に関わる問題と関わる。障がいの問題に比べると、意見の収斂が難しくなる。

障がい者以外の問題を包括的に考えるというのはなかなか難しい。個別的な問題の特色をよく見ながら、ガイドラインをうまく作っていく必要がある。

思わぬところで思わぬ不利益が及んでいく可能性があるので、調査が重要。

 

【意見交換】

◆ 事務局

私人間の行為の扱いについては、国の障害者政策委員会差別禁止部会ではあまり深くは議論されていない印象を受けているが、どのように整理されたのか。

◆ 委員

国の差別禁止部会のメンバーの多くは、障がい者団体の方々や、障がい者のための運動を推進してきた弁護士等の方々で、これらの方々がリアルに差別として意識されるのは、日常生活を生きて行く上でのさまざまな差別と言われるもの。したがって、むしろ私人間の問題を念頭に議論が行われていた。

差別禁止部会でも指摘したことだが、私人間、とりわけ個人の問題については非常に難しい問題が生じる。例えば障がい者と結婚しようとすると親族が大反対するというような問題は、もちろん深刻な問題だが、それを法律によって規制することになると、公権力の介入の根拠がどんどん増えていくことになり、非常に危ない問題になっていく可能性がある。

障がい者差別の問題で一番のポイントは、障がい者が、障がい者以外の人たちと同様に、社会に平等にアクセスする権利を確保することだと理解している。それゆえ、対象は、様々な社会的、公共的サービスを提供する事業者に限られている。個人間の付き合いなどは、社会へのアクセスの問題ではなく、人間関係の問題なので、啓発に委ねるべき。このような切り分けは、取組みを障がい者以外に広げていく際に参考になる考え方かと思う。

◆ 事務局

「団体」という言葉が出てきたが、どういうイメージか。事業者との関係ではどう捉えればよいか。

◆ 委員

事業者と重なる部分もかなり多い。

事業者でない団体も存在するが、そのような団体について敢えて議論する必要はないという判断であれば、障がい者差別と同様、行政と私人、さらに私人を事業者とそれ以外で切り分ける考え方で整理してもよいのではないか。

◆ 委員 

閉鎖的な親睦団体、例えば、判例にもあるゴルフクラブなどが考えられるか。
◆ 委員

ゴルフクラブのような閉鎖的な団体は、個人のプライベートな空間に近い。そのような団体にはあまり介入すべきでないということになる。一方で会社のような団体であれば、これはあまりプライベートなものではなく、社会的責務もあるので、規制をかけるということもあり得ると思う。

団体にも、プライベートなものから開かれたものまで色々ある。そういう意味では、団体という概念は、個人と事業者の中間的なものだと思う。

◆ 事務局

大阪府では、部落差別に対して、これまで、身元調査や土地調査などについては条例を作って事業者に対して規制するということで対応してきたが、今も、結婚差別が残っている。行政が何らかアプローチするときに、条例で規制するということがあり得るのかどうか、また条例のように規範性を持たせないとしても啓発のガイドラインとして、結婚差別のようなものを取り上げて規定するということができるのかどうかについて、どのように考えるか。
◆ 委員

すごく難しい。リベラリズム、つまり個人の生き方に直接関わってくる話であって、そこに公権力が関与していくこと自体、非常に危険である。

また、全く純粋な個人の問題に関わるのは実効性の面でも難しい。結婚できなかったという事例があったとして、それが差別に基づくものなのか、純粋に個人的な問題で別れることになったのかは外からは判断できず、実効的な対応が行えない。
◆ 委員

条例やガイドラインによって、行政がこうした個人間の問題に立ち入っていくのは非常に難しいと思う。
◆ 事務局

諸外国で、私人(個人)の行為規制に実効性を持たせている例はあるか。

◆ 委員

今回調べたケースでは、例えばスウェーデンでは、差別とは何かということを第1条で規定し、それが禁止される現場、土俵を限定しているが、プライベートな領域は対象としていない。ほかの国の法律でも、非常にプライベートな領域にまで土俵を広げているものは、今回は見つけられなかった。
◆ 委員

ドイツの一般平等取扱法は、人種・民族的背景、性別、宗教、世界観、障がい、年齢または性的指向を理由とする不利益な取扱いを禁止している。これは労働関係に限らず、包括的に禁止することを定めているが、家族法、相続法、親密関係や信頼関係を基礎とする関係については適用除外されている。先ほどの議論と同じ発想だろうと思う。
◆ 事務局

カナダで、人権法が一部廃止になったとか、オーストラリアで原住民族への言論規制の改正を検討しているという新聞記事を見た。世界では、差別に関する一般法を作るという流れに対して、ゆり戻しが起こっている状況にあるのか、それともこれらは個別的な話なのか、認識を聞かせてほしい。
◆ 委員

オーストラリアは個別法で対応している。一般法を作るという議論はあるようだが、これに対しては、民族や人種の保護が薄まってしまうということで、むしろ各団体が反対している。

一般法を作ることが差別禁止の強化につながっているのかどうかは、各国、状況が異なっており、一般化はできないと思う。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 擁護・調整グループ

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