揮発性有機化合物(VOC)排出削減に係る推奨ガイドライン

更新日:2022年4月1日

大阪府における揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制に係る推奨ガイドライン

1 作成の目的

 標記の推奨ガイドラインは、大阪府における揮発性有機化合物(VOC)排出施設の設置及び管理について、排出抑制に係る推奨基準(以下、「VOC推奨ガイドライン」という。)を示すことで、事業者の自主的な取組みにより、VOCの排出抑制を図ることを目的とする。

2 作成の経緯

 大阪府では、光化学オキシダント及び浮遊粒子状物質(SPM)の二次生成粒子の原因物質であること等から、大阪府生活環境の保全等に関する条例(以下「条例」という。)に基づき固定発生源からのVOC排出規制を実施してきましたが、設備構造基準を主とした条例のVOC排出規制は、近年の大気環境濃度改善との因果関係が明確とは言えない現状において、引き続き運用するには過大な管理コストを事業者に課すこととなり得られる費用対効果が薄いものと考えることから、令和4年3月をもって規制を廃止しました。
 今後は改正予定の条例の規定に基づき、新たに事業者の自主的取組みを促進することによりVOCの排出抑制を進めるために「大阪府における揮発性有機化合物の排出抑制に係る推奨ガイドライン」を作成し、令和4年4月1日から適用になります。

3 VOC推奨ガイドライン

 (1)対象施設
    大阪府域の工場・事業場に設置される施設のうち別表1に示すものとする。

 (2)対象項目
    大阪府生活環境の保全等に関する条例で定めるVOCとする。

 (3)VOC推奨ガイドライン
    VOC推奨ガイドラインは、別表2及び別表3に示すものとする。

別表1 対象施設 

用途

施設の種類

施設及び規模又は能力(目安)

備考

すべて

貯蔵施設

貯蔵容量が50kL以上のもの

出荷施設

燃料用ガソリンをタンクローリーに積み込むもの

 

給油所

地下タンク

燃料用ガソリンの貯蔵量の合計が30kL以上の給油所に設置される、燃料用ガソリンを貯蔵するすべてのもの

 

ドライクリーニング

クリーニング施設(洗濯、脱液及び乾燥を同一の機械で行うものに限る。)

石油系溶剤又はテトラクロロエチレン(パーク)を使用する洗濯機の1回の洗濯能力の合計が30kg以上のクリーニング所に設置されるすべてのもの

 

乾燥施設

物の製造

溶剤洗浄施設

洗浄槽の液面の面積が0.5m2以上のもの

反応施設

施設の容量が200L以上のもの

合成施設

重合施設

分解施設

精製施設

晶出施設

蒸留施設

蒸発施設

濃縮施設

乾燥施設(物の塗装、印刷又は接着の用に供するものを除く。)

抽出施設

混合施設

塗 装

吹付塗装施設

排風機の能力が100m3/分以上のもの

 

乾燥・焼付施設

排風機の能力が10m3/分以上のもの

グラビア印刷

乾燥施設

シリンダー幅1,000mm以上のグラビア印刷機を2台以上設置している工場に設置されるすべてのもの

 

金属板印刷(塗装工程に限る。)

乾燥・焼付施設

排風機の能力が10m3/分以上のもの

 

オフセット輪転印刷(ヒートセット型に限る。)

乾燥施設

排風機の能力が10m3/分以上のもの

 

接 着

乾燥施設

排風機の能力が10m3/分以上のもの

 

備考 メタン又は特定フロン等(オゾン層保護法第2条第1項に規定する特定物質)のみを排出する施設を除く。
※:高揮発性有機化合物(単一成分にあっては、1気圧における沸点150℃以下、混合物にあっては1気圧の状態で留出量が5%(容量比)の時の温度(以下「5%留出点」という。)が150℃以下)のみ対象

別表2 VOC推奨ガイドライン(推奨基準)

用途

施設の種類

推奨基準

すべて

貯蔵施設

次のいずれかに該当すること。
 ・吸着式処理装置若しくは薬液による吸収式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 
・浮屋根式構造又はこれと同等以上の効果を有する構造とし、適正に管理すること。 

出荷施設

薬液による吸収式処理装置又はこれと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。

給油所

地下タンク

次のいずれかに該当すること。
 ・通気管にタンクローリーと直結する蒸気返還設備を設置し、適正に使用すること。
 
・凝縮式処理装置若しくは薬液による吸収式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。

ドライクリーニング

クリーニング施設

次のいずれにも該当すること。
 ・
乾燥工程においては、凝縮式処理装置又はこれと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 
・脱臭工程(石油系溶剤を用いるものを除く。)においては、吸着式処理装置又はこれと同等以上の性能を有する処置装置を設け、適正に稼動させること。

乾燥施設

物の製造

溶剤洗浄施設

次のいずれかに該当すること。
 ・
吸着式処理装置若しくは薬液による吸収式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 ・密閉式構造とし、適正に管理すること。

反応施設

次のいずれかに該当すること。
 
吸着式処理装置、薬液による吸収式処理装置若しくは凝縮式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 
・密閉式構造とし、適正に管理すること。

合成施設

重合施設

分解施設

精製施設

晶出施設

蒸留施設

蒸発施設

濃縮施設

乾燥施設

抽出施設

混合施設

塗装

吹付塗装施設

次のいずれかに該当すること。
 ・燃焼式処理装置若しくは吸着式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 ・使用される塗料に含まれる揮発性有機化合物の含有率が、使用時において下表に定める値以下であること。

用  途

含 有 率

塗装専業者

(1) 木製及びプラスチック製を除く機械器具又は金属製品の塗装(部品の塗装を含む。)

60%(重量比)

(2) (1)以外

70%(重量比)

塗装専業者以外

30%(重量比)

 

乾燥・焼付施設

グラビア印刷

乾燥施設

次のいずれかに該当すること。
 ・
燃焼式処理装置若しくは吸着式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 
・使用されるインキ(金属板印刷の塗装工程で使用する塗料を含む。)に含まれる揮発性有機化合物の含有率が、使用時において30%(重量比)以下であること。

金属板印刷

乾燥・焼付施設

オフセット輪転印刷

乾燥施設

接 着

乾燥施設

次のいずれかに該当すること。
 ・
燃焼式処理装置若しくは吸着式処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する処理装置を設け、適正に稼動させること。
 
・使用される接着剤に含まれる揮発性有機化合物の含有率が、使用時において30%(重量比)以下であること。

別表3 VOC推奨ガイドライン(施設の使用・管理)

排出抑制措置の種類

確  認  事  項

確認頻度

確認時の状況

前回確認後の稼動状況

吸着式処理装置

・固定床-凝縮回収式の場合にあっては、冷却凝縮部の温度又は冷媒の流量
・流動床-凝縮回収式の場合にあっては、吸着部又は脱着部の温度

・吸着剤の交換年月日
・凝縮回収式の場合にあっては、揮発性有機化合物の回収年月日及び回収量

原則として毎週1回以上

薬液による吸収式処理装置

薬液の循環状況

薬液の使用量

原則として毎週1回以上

浮屋根式構造又はこれと同等以上の効果を有する構造

点検又は補修の結果

 

点検又は補修を行うごと

蒸気返還設備

ガソリン受入時における使用状況

 

ガソリンの受入れを行うごと

目視点検による亀裂及び漏洩箇所の有無等

 

毎月1回以上

凝縮式処理装置

冷却凝縮部の温度又は冷媒の流量

揮発性有機化合物の回収年月日及び回収量

原則として毎週1回以上

密閉式構造

目視点検による亀裂及び漏洩箇所の有無等

 

原則として毎週1回以上

燃焼式処理装置

燃焼室の温度

燃料の使用量

原則として毎週1回以上

使用時における揮発性有機化合物の含有率が重量比60%、70%又は30%以下である塗料の使用

届出施設において使用した塗料の使用時における揮発性有機化合物の含有率

 

原則として毎週1回以上

使用時における揮発性有機化合物の含有率が重量比30%以下であるインキの使用

届出施設において使用したインキ中の使用時における揮発性有機化合物の含有率

 

原則として毎週1回以上

使用時における揮発性有機化合物の含有率が重量比30%以下である接着剤の使用

届出施設において使用した接着剤中の使用時における揮発性有機化合物の含有率

 

原則として毎週1回以上

上記と同等以上の性能を有する処理装置又は同等以上の排出抑制のできる構造

当該処理装置の稼動状況又は当該排出抑制構造の管理状況を適切に把握できる事項

記録事項に応じた頻度

VOCガイドライン [Wordファイル/94KB]
VOCガイドライン [PDFファイル/272KB]

附則

このガイドラインは、令和4年4月1日から適用する。

このページの作成所属
環境農林水産部 環境管理室事業所指導課 大気指導グループ

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