大阪府のニホンジカ

更新日:2022年4月21日

○「シカ」ってどんな動物?

○シカによる様々な被害

○被害から守るためには

○大阪府シカ第二種鳥獣管理計画

○調査・研究

「シカ」ってどんな動物?

 大阪府に生息しているシカは、「ニホンジカ」という種類です。以下、「シカ」と書きます。

生態的特徴

繁殖力が高い

 基本的に初産齢は2歳以降で、毎年、春から夏にかけて1頭を出産します。栄養状態が良い場合は、1歳からでも妊娠することがあります。

ほとんどの植物を食べることができる

 様々な植物の葉や果実、樹皮などを食べます。シカの生息密度が高いところでは、シカが届く高さの範囲の葉が全てなくなってしまうことがあります。

ジャンプ力が高い

 高いジャンプ力を持っているので、田畑などを守るための防護柵などが低い場合には飛び越えることがあります。

群れで行動する

 基本的に群れを作って行動し、オスとメスは、通常、別々の群れを作ります。幼獣はメスの群れで過ごしますが、2歳を超えたオスはメスの群れを出て、他のオスとともに群れを形成します。繁殖期にはオスの群れは解散し、順位の高いオスは、自らのなわばりの中にメスを囲い込んで群れを作ります。
 年齢が成熟したメスの個体が、出生地である母親の群れの近くで行動するのに対し、オスは遠く離れた場所に移動することから、分布の先端ではオスだけが確認されやすい傾向にあります。今まで分布が確認されていなかった地域でメスが確認される場合がありますが、これはその地域への定着が進んでいる可能性を示唆しています。

分布

 「ニホンジカ」という名前が付いていますが、日本の固有種ではなく、ベトナムから東アジアにかけて広く分布しています。日本においては、北海道から九州まで分布しており、大阪府では、淀川以北の北摂山系が主な分布域となります。かつては、能勢町や箕面市、高槻市北部の山間部などを中心に生息していましたが、近年では分布が拡大しており、高槻市と茨木市の市境の市街地にも近い阿武山周辺の地域などでも生息数が増加しています。

「シカの推定生息密度(令和2年度)」の図
シカの推定生息密度(令和2年度)

大阪南部での分布拡大

 近年、大阪南部(南河内・泉州地域)において、隣接府県から進入したと思われる個体の目撃等が増加しています。
 平成27年(2015年)12月には泉南市において、大阪南部で初めてシカが捕獲されました。その後、岬町や河内長野市等においても捕獲が確認されています。隣接する奈良県や和歌山県の金剛・和泉葛城山系においても目撃等が増加しており、これらの地域から大阪府側へ進入していることが想定されます。大阪府では、自動撮影カメラ等を用いたモニタリング調査を行っており、調査結果や目撃情報等を関係者に情報提供することにより積極的な捕獲を推進しています。

 平成28年(2016年)7月には岬町で捕獲された個体から外来交雑シカ由来の遺伝子が確認されています。岬町に近接する和歌山県沖ノ島(友ヶ島)では、1955年に台湾から人為的に導入されたタイワンジカ等との交雑個体(外来交雑シカ)が生息しており、先述の岬町での捕獲個体は沖ノ島からの逸出個体であると推定されています。現在のところ、本土側ではこの捕獲個体以外には外来交雑シカの遺伝的特徴を有する個体は確認されていませんが、外来交雑シカの逸出に伴う遺伝子攪乱が広まってしまうことを予防するためにも、積極的な捕獲によりシカの定着を防ぐことが求められます。

「大阪南部におけるシカの分布拡大」のイメージ図

大阪南部におけるシカの分布拡大のイメージ

シカによる様々な被害

農業被害

 シカは野菜や水稲などの多くの農作物を食害します。
 府内の農業集落の代表者を対象に行った農業被害アンケートによると、『シカによる農業被害強度が「大きい」又は「深刻」である地域』が多数存在しており、令和2年度の被害金額は37,142千円となっています。

 

農作物(野菜)被害の写真
シカによる農作物被害の例 (野菜)

シカによる農業被害強度分布図

シカによる農業被害強度分布図(令和2年度)

農作物(水稲)被害の写真
シカによる農作物被害の例 (水稲)


林業被害

 戦後の拡大造林政策により、府内各地の山林ではスギやヒノキの造林が行われてきましたが、シカの増加に伴って、北摂地域の造林地においては苗木の食害や樹皮剥ぎなど大きな被害が発生するようになりました。近年では新たな造林地が減少したことやシカの生息地での植栽に際して防護柵の設置など一定の被害防止対策が講じられるようになったことから、現在では市町村からの大きな林業被害の報告はありませんが、樹皮剥ぎ等の被害は各地で確認されています。 

樹皮剥ぎ被害の状況の写真
樹皮剝ぎ被害の状況
(写真提供:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)
シカが樹皮を剥いでいる状況の写真
シカが樹皮を剝いでいる状況
(写真提供:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)

植生被害

 シカは多くの種類の植物を食べるため、増えすぎると自然植生が衰退につながります。自然植生が衰退した場所では、シカの好まない植物(不嗜好性植物)だけが繁茂したり、林床が裸地化したりします。これにより、他の生物が生息できなくなったり、降雨等によって土壌が流出するなど、森林の持つ公益的機能の低下をもたらします。

シカによる植生被害を受けた森林の写真
シカによる植生被害を受けた森林
(写真提供:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)
シカによる植生被害を受けていない森林の写真
シカによる植生被害を受けていない森林
(写真提供:(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所)

被害から守るためには

 被害を防止するためには、「被害防除対策」「環境管理」「個体数管理」の3つを総合的に取り組むことが重要です。
 なお、特に農地における被害対策に当たっては、個人単位ではなく地域が一体となって取り組むことにより、より高い効果が期待できます。

被害防除対策

 シカの被害対策では、農地や植林地を金網柵などの防護柵で囲むことが重要です。シカはジャンプ力が高いため、高さの低い防護柵では簡単に飛び越えられてしまうので、柵の高さは2m程度を確保にする必要があります。
 ただし、防護柵は老朽化による腐食や倒木等により一部が破損すると効果がありません。定期的に点検や補修をすることが重要です。
 また、植林地においては防護柵の他に、植栽木を直接保護するツリーシェルターを設置することも効果的です。

防護柵の設置状況の写真
防護柵の設置状況
ツリーシェルターの設置状況の写真
ツリーシェルターの設置状況

環境管理

 農地における被害対策では、シカを農地へ寄せ付けないための対策を行うことが重要です。例えば、稲刈り後の水田のひこばえを鋤き込んだり、農作物の収穫残渣を農地に放置せずに処分することが有効です。農作物の収穫残渣は人にとっては不要なものですが、シカにとっては栄養価の高いごちそう(エサ)となります。一度、エサの味を覚えたシカは、エサを食べようと何度も農地へ出没することとなります。もちろんシカは、農作物とその残渣の区別はつきませんので、収穫残渣のみならず農作物も食べられてしまうことになります。農作物等の栄養価の高いエサは繁殖の手助けにもなりますので、エサとなるようなものを農地に放置しないことが重要です。
 また、耕作放棄地や水路、集落周辺の森林等がヤブ化すると、シカの隠れ家となって、シカが集落に近づきやすい環境となります。このため、これらのヤブを刈り取って適切に管理することが必要です。

 森林においては、間伐等の森林整備を適切に行い、健全な森林更新を促すほか、伐採跡地や風倒木被害地は草地化するとシカのエサ場となって、シカの増加を助長するおそれがあるので、できるだけ早期に森林回復させるための適切な整備を行うことも重要です。また、特に植生の保護が必要である区域では、「植生保護柵」の設置を検討する必要があります。

個体数管理

 府内におけるシカの推定生息密度は11.3頭/km2から20.6頭/km2(中央値 14.9頭/km2)〔令和2年度〕となっており、農業被害や森林の植生被害を抑える目安となる10頭/km2を上回っています。このため、捕獲により適正な生息密度に誘導する必要があります。
 大阪府では、有害捕獲活動を支援するため、補助事業を行っております。詳しくはこちらをご覧ください(有害捕獲活動の支援制度について)。

大阪府シカ第二種鳥獣管理計画

 大阪府では、シカを計画的に管理するため、「大阪府シカ第二種鳥獣管理計画」を策定しています。
 詳しくは、こちらをご覧ください(大阪府シカ第二種鳥獣管理計画について )。

調査・研究

 大阪府では、(地独)大阪府立環境農林水産総合研究所に依頼し、シカの生息状況等のモニタリング調査を行っています。ここでは、その成果の一部をご紹介します。

 令和元年度 シカ生息状況調査報告書 [Wordファイル/292KB]  [PDFファイル/869KB]

 ・農林業被害や森林植生への影響の分布状況、被害程度と生息密度の関係性について
  シカとの共存のための科学的管理目標の探索(外部サイト)

 ・人工林剥皮害の状況について
  ニホンジカによるスギ・ヒノキ人工林剥皮害の広域分布状況(外部サイト)

 ・植生被害の状況について
  ニホンジカによる森林下層植生衰退度の広域分布状況(外部サイト)

このページの作成所属
環境農林水産部 動物愛護畜産課 野生動物グループ

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