和泉寺跡から出土した文字瓦

更新日:2011年1月11日

大阪府和泉市に所在する和泉寺跡(いずみでらあと)は和泉国府跡に隣接していることなどから重要な古代寺院と考えられています。大阪府教育委員会は平成20年度より和泉寺跡の発掘調査を実施しています。ここでは和泉寺跡の発掘調査で初めて発見された文字瓦5点のうち2点を紹介します。

文字瓦が発見されたのは平成21年度に実施した発掘調査で、文字瓦は土坑から出土しました(発掘調査情報をご覧ください)。2点とも8世紀前半の瓦で、文字が記されているのは平瓦の凹面です。

写真左の文字瓦1には「珎縣主廣足(ちぬのあがたぬしひろたり)作」と記されています。「珎縣主」は和泉国府周辺が本拠地と考えられている氏族で、「珎縣主廣足」という人名は初めて発見された名前です。

写真右の文字瓦2には「坂合部連前(さかいべのむらじまえ)」という人名が記されています。文字の下部が欠けているので、人名の字はまだ下に続くと思われます。「坂合部」は外交あるいは国・郡の境界確定を職掌としていたとする説もありますが、本拠地は不明です。「坂合部連前」という人名は初めて発見された名前です。

2点の文字瓦に記されていた古代氏族名は、和泉寺の建立に直接的に関わりをもった氏族と考えられます。これらの瓦がこれまで詳細がほとんど知られていなかった和泉寺で発見されたことは大きな意義があるといえましょう。

 文字瓦1

文字瓦2

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教育庁 文化財保護課 調査管理グループ

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