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大阪のいろんな生態系
- 大阪は、北は北摂山系、東は金剛生駒山系、南は和泉葛城山系と、三方が山に囲まれています。
平野部には、淀川や大和川など大小さまざまな川が流れていて、大阪湾に注いでいます。 - ここでは、大阪の自然を、(1)照葉樹林、(2)里地里山、(3)都市、(4)河口干潟、の4つに分けて、それぞれの生態系について紹介します。
- これら4つは別々の生態系としてのまとまりがありますが、これらの生態系が互いにつながりあうことで、さらに全体として“大阪の生態系”を作りあげています。
(1)「照葉樹林」の生態系
- 数千年前の大阪には、照葉樹林と呼ばれる「シイ類」や「カシ類」などからなる森林が広がっていました。
その後、私たちの祖先が、生活場所を広げるためにこの森林を切り開いたことで、現在の大阪には、いろんな自然が広がっています。 - 照葉樹林は、植生が草原から森林に移り変わっていく中で、最も遷移が進んだ林(極相林)です。
長い間、人による伐採や山火事などがなかった場所、例えば規模の大きい「鎮守の森」や社寺の境内、一部の山地などで見ることができます。
(2)「里地里山」の生態系
- 集落を取り巻く「雑木林」や、それらと混在する「農地」、「ため池」などで構成される地域を「里地里山(さとちさとやま)」と呼びます。
- 昭和30年代頃までは、雑木林の木を切って薪や炭などの燃料にしたり、落ち葉などを堆肥にして田畑の肥料にするなど、人との深い関わりの中で維持されてきました。
その後、ガスや石油、化学肥料などの普及によって、人との関わりが薄れるとともに、生きものの姿の少ない暗い林やヤブ、竹林の侵入などにより荒れた状態になっているところが増えています。
(3)「都市」の生態系
- 都市は、もともとあった自然を、人間がつくりかえることによってできた環境です。
ビルや道路などの建造物が目立ちますが、よく見ると、公園や社寺の林、人家の庭や空き地など、大小さまざまな緑が点在しています。
そして、意外にもいろんな生きものが、このような場所を上手に利用しながら暮らしています。 - 都市にすむ動物は、植物と同様に、ある程度の種類に限定されます。
ヒヨドリやムクドリ、キジバトなどの野鳥、アオスジアゲハやヤマトシジミ、クマゼミなどの昆虫がよく見られます。
ツバメやアブラコウモリなどは、繁殖や休息の場所として、人家などの建造物を利用します。
また、マガモやホシハジロなどのカモ類は、冬の間のすみかとして川や池などの水面を利用します。 - 外来種が多く見られることも特徴の一つで、セイタカアワダチソウなどの植物をはじめ、アオマツムシやアメリカザリガニ、ウシガエルなどは、既に都市の生態系に入り込んでいます。
(4)「河口干潟」の生態系
- 他の生態系との大きな違いは、生産者である植物があまり見られないことですが、干潟に堆積する泥の中には、川が上流から運んできた落ち葉や植物プランクトンが豊富に含まれています。
- 干潟は、潮が引いたときに水面から顔を出す、まとまった広さの砂浜や岩が集まった場所です。
川の流れの中にできる干潟を「河口干潟」と呼び、再び潮が満ちると水面下に沈んでしまう環境です。
大阪では神崎川(大阪市)、大津川(泉大津市)、近木川(貝塚市)、樫井川(泉南市)、男里川(泉南市・阪南市)、落合川(岬町)などの河口に見られます。
※イメージ画像の出典:「トンボや野鳥のいっぱいいる街をつくろう」
平成15年3月 大阪府環境農林水産部 発行
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