ここから本文です。
I LO111号条約について
ILOと第111号条約
ILO(国際労働機関)は1919年に発足し、約90年の歴史をもつ国際機関です。
加盟国(183カ国)の政府代表、労働者代表、使用者代表の三者によって構成され、世界の国々が、労働者の基本的権利を確保し、労働条件を向上させるため、国際的視野で活動を続けています。
そのILOの第111号条約は、雇用・職業上の差別待遇を受けない権利を保障したものであり、その第1条、第2条及び第5条には次のように定められています。
<雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(ILO第111号条約)>抜粋
第1条(定義)
1 この条約の適用上、「差別」とは、次のものをいう。
- (a)人種、皮膚の色、性、宗教、政治上の意見、民族的出身又は社会的出身に基づいて行われるすべての区別、除外又は優先で、雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する結果をもつもの。
- (b)雇用又は職業における機会又は待遇の均等を破り又は害する効果をもつその他の区別、除外又は優先で、当該加盟国が、使用者の代表的団体及び労働者の代表的団体がある場合には、それらの代表的団体及び他の適当な団体と協議の上、決定することのあるもの。
2 特定の業務についてその固有の要件に基づく区別、除外又は優先は、差別とみなしてはならない。
3 この条約の適用上、「雇用」及び「職業」とは、職業上の訓練を受けること、雇用されること及び個々の職業に従事すること並びに雇用の条件[terms and conditions]をいう。
第2条(国内政策)
この条約の適用を受ける加盟国は、雇用及び職業についてのいかなる差別を除去するために、国内の事情及び慣行に適した方法により、雇用又は職業についての機会及び待遇の均等を促進することを目的とする国内政策を明らかにし、かつ、これに従うことを約束する。
第5条(特別の保護・援助と差別)
2 すべての加盟国は、性、年齢、廃疾、世帯上の責任、又は社会的もしくは文化的地位を理由に、特別の保護又は援助が必要であると一般的に認められている特定の必要を満たすことを目的とする他の特別の措置を差別とみなしてはならないことを、使用者の代表的団体及び労働者の代表的団体がある場合にはそれらの団体と協議の上、定めることができる。
我が国は、残念ながら、国内法制との関係で、この条約はまだ批准していません。
したがって、現在のところILOには加盟しているが第111号条約は未批准の国ということになります。
雇用や職業に関する差別をなくすため一日も早い批准が待たれるところであり、批准を促進する取組みも必要となってくるわけです。
大阪府においても、国に対し、早期批准を要望するなどの取組みを進めていますが、皆様方も、個人として、団体として、批准促進の努力をしていただくとともに、それぞれの立場で差別撤廃の取組みを続けていただきますようお願いします。