令和4年8月委員会会議会議録

更新日:2022年9月27日

大阪府教育委員会会議会議録

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1 会議開催の日時

  令和4年8月29日(月曜日)  午後2時00分 開会
                        
午後3時54分 閉会

2 会議の場所

  委員会議室(府庁別館6階)

3 会議に出席した者

教育長橋 本 正 司
委員竹 若 洋 三
委員井 上 貴 弘
委員岡 部 美 香
委員中 井 孝 典
委員森 口 久 子
教育監柴   浩 司
理事兼教育次長松 阪 博 文
教育センター所長上 田 信 雄
教育総務企画課長佐々木 浩 之
高校教育改革課長建 元 真 治
教育振興室副理事
兼高等学校課長
白木原   亘
高校再編整備課長幡 中   力
支援教育課長平 田 誠 和
保健体育課長染 矢 美 抄
小中学校課参事秋 田 大 介
地域教育振興課長池 上 成 之
教職員企画課長大 井 孝 志
教職員人事課長金 森 充 宏
施設財務課長西 田   修
教育センター
教育企画部長
山 田 智 一

4 会議に付した案件等

     議題1       令和3年度教育行政に係る点検及び評価結果の報告について
     議題2     大阪府立学校条例及び大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づく令和4年度実施対象校(案)について
     議題3     府立高等学校における令和5年度使用教科用図書の採択について
     議題4     府立中学校における令和5年度使用教科用図書の採択について
     議題5     府立支援学校における令和5年度使用教科用図書の採択について
     報告事項1 大阪府学校教育審議会工業教育部会の中間報告について
     報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係る対応について

5 議事等の要旨

(1) 会議録署名委員の指定
岡部委員を指定した。

(2) 6月30日の会議録について
全員異議なく承認した。

(3) 議題の審議等

◎議題1 令和3年度教育行政に係る点検及び評価結果の報告について
【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】大阪府教育振興基本計画(教育委員会の権限に属する事項のみ)の進捗状況に関する点検及び評価の結果並びに教育に関する事務の管理及び執行の状況に関する点検及び評価の結果の報告内容について決定し、教育行政に係る点検及び評価報告書を令和4年9月定例府議会に提出することを決定する件である。 

【質疑応答】
(岡部委員)3点伺いたい。この報告で全体的に今大阪の教育がどこに向かっているのかがよくわかり、まとまっていると思ったが、これを実践していくためにどれくらいの背景や基盤があるのかを確認したい。
  
まず、1−5ページにある基本方針1の学力の問題。あと1−6にある高校の、特に英語教育の問題。高校の英語教育の前には小学校からの外国語教育や中学校でどんな教育を受けてきているかがとても大事で、高校から喋る英語教育を始めても遅いわけで、英語を始めたときから話し、使うことをしていかないといけないわけだが、そういった意味で高校だけではなくて小学校中学校の先生たちへの教員研修はどうなっているのか。
  
高校のキャリア教育に関しても、教員養成は進学を基本にして教科教育の授業指導しかしないわけだが、新任教員がたくさん来て、今までの先生たちも教員養成ではキャリア教育のことについてはあまりしてこなかったという中で、どれだけ高校生の就職活動をサポートするような先生たちへの支援がなされているか気になる。先生たちに高校生の就職活動のサポートをして欲しいと言っても、先生たち自身が経験していなかったり、先生たち自身が養成教育で受けていないことをするようにとだけ上から言ってもそれだけで実現するものではないので府が支援する必要があると思う。特に基本方針1、基本方針2の英語教育、特に小学校から高校までの英語教育、そして高校のキャリア支援に関して、先生たちにどのような支援が実際に行われているのかということを聞きたい。
 
もう1点、障がいのある方のことについて伺いたい。支援学校に関してはサポート体制が充実していっている、通級に関しても充実していっているのはとても喜ばしいことだが、一般高校に障がいのある方たちが増えてきている状況があるわけで、そういった一般高校の障がいのある子どもたちを担当する先生たちをどう支援するのかというのが喫緊の課題になっていると思うが、そのサポート体制についてお伺いしたい。
   
3点目が、地域機関への来訪地域のことだが、コロナ禍になって、保護者の地域機関への来訪が少なくなったのも当然の話であり、本当に地域機関の担当係の方々もご苦労されていると思うが、コロナ禍であろうとなかろうと、基本、一番深刻な人は来ていない可能性が高い。そのためにはアウトリーチという活動を促進していくしかない。その必要性がコロナ禍においてよりはっきり見えてきたというところがあると思うが、アウトリーチ活動を具体的にどのように実施し、充実していこうとされているのかを伺いたい。海外では、「申告してくれたら対応しますよ」というのでは深刻な人は助けられないことをわかっているので、申告がなくてもアウトリーチをするというのが行政の当たり前になっているところがある。この点日本は遅れているところがあるので、大阪ではどのようにアウトリーチ活動を促進していこうとされているのかを伺いたい。

(小中学校課参事)英語教育については、毎年フォーラムを実施しており、小・中学校の授業における英語のコミュニケーションを行う目的や場面、状況の設定や指導と評価の一体化について具体的な実践を発信しながら、好事例を周知して、それを広げるという取組みを小中学校課で行っている。

(教育センター教育企画部長)補足だが、小・中学校期の英語というのは、主にスピーキングを大事にしていると思うが、そういった今ある英語の課題について、教育センターでも小学校の外国語、英語授業作り研修を2講座、中学校の英語作り、授業作り研修を1講座、各研修について理論プラス実践についての検証を先生がたにしてもらいながら己の英語力の向上に努めているところである。

 (岡部委員)先ほど、高校の先生の英検取得率が出てきたと思う。それをアップしていくことも大事だが、高校の先生だけではなく、その前の教育を担う小学校中学校のご担当の先生がたも先生が英語を喋れるということが、子どもたちが喋れることの前提にあると思うが、小学校中学校の英検取得率、先生方が英語を喋れるようになっている率はどういう感じなのか。

(小中学校課参事)英検準1級程度の教員の割合は、令和3年度においては、府、政令市を除いて、約32.8%となっている。

(岡部委員)高校に比べたら少し低めだと思う。先生がたは本当にいろんなことで忙しいので、あれもこれもとお願いするのは心苦しい。だが、大学もグローバル化していけということで、学生に国際的な場に立ってもらう機会を増やしているが、アジアの韓国や中国に比べて日本の学生は英語を話せず、引っ込み思案になってしまっていて、欧米と比較してだけではなくアジアの中でも、日本のトップクラスの大学生でも遅れている。そういう意味では本当に小学校から変えていかないと、日本のグローバル化は進まなくなってしまうところがあるので、危機感を持って進めてほしいというのが英語教育に関してのお願いである。

(高等学校課長)キャリア教育、特に就職のサポートの部分だが、府立高校については従来から多くの就職者を出せる学校を中心にノウハウが蓄積されているので、そういう学校に異動でいった場合、校内での研修が実施されていると聞いている。一方で、直接的なこちらからの支援でいうと、昨年度からモデル事業を実施している。先生がたは就職活動をしたことがないことが多いので、そういう部分に関してノウハウを持っている民間の企業と連携して、例えば企業の社長に直接学校へ来てもらって、子どもたちに話をしてもらうが、同時に先生がたにも民間のノウハウを伝える事業である。去年は2年生を中心にキャリア教育に関してモデル事業を実施して、今年は2年生3年生と連続して実施し、成果検証を行い、どのように就職の成果に上がっていくかを含めて、今年度末で成果検証をするとともに府立学校全体にもそういうノウハウの発信をしていきたいと考えている。

(岡部委員)ぜひそのモデル事業を府立高校全体に広げていくよう積極的に推進していただきたい。その際にキャリア支援に関してはどうしてもその年の事情というのが大事になってくる。そういった部分は先生たちが掴むというよりも、地域のNPOの方やキャリアカウンセラーの方が掴んでいると思うので、そういったところで地域とうまく連携していくことも推進していただければありがたい。先生たちが抱え込んでしまうのが一番よくないと思うので、その辺のご指導を府の方からよろしくお願いしたい。
  
あと1点、小学校の学力の問題が出ている。先ほど申し上げたが、論理的に思考するとか、今の新しい学力といわれるものだが、先生たちが学校の教員養成課程に在学しているときは「新しい学力」というものは求められていなかった。その後、教えるようになって突然「新しい学力」といわれて戸惑うのは当然の話で、英語教育のところでもいったように、英語も喋れないと子どもたちに教えられないのと同じように、先生たちが論理的に思考するとか論理的な問題を解くことができる状態になっていないと子どもたちに論理的な問題を解きなさいと言っても、わからないというところがあると思う。先生たちがどれだけ論理的な問題に対応していくことができているのかという現状と、どういうふうに教えていけばいいのかをどうサポートしているのか教えていただきたい。すくすくウォッチで問題になっているのは、論理的に書く能力といわれていて、結局そこが伸びないのは何か原因があるはずだと思うが、その点先生たちがどれくらい力を持っているかを府は把握しているのか、それを伸ばしていこうとサポートするためにどれぐらいのことをしているのかという実情をお伺いしたい。

 (小中学校課参事)まず1点目、どれくらい先生がたが出来ているかだが、把握ということに関してはなかなか難しいと思っている。ただ、そもそも論理的に考えて表現するとはどういうことかを、このすくすくウォッチの問題に含めて示していると考えている。我々としては丁寧に、この問題の意図、子どもの回答の状況、府の課題を具体的にわかりやすく示して、先生たちにも授業改善を進めていただこうと思っている。併せて先生がたに具体的な資料を出す必要があると考えている。今回のすくすくウォッチの問題を使った発展的な指導案を提示したり、シンキングツールを用いて論理的に読み取って整理する方法の資料を実際に学校で使っていけるように提示しているところである。

(岡部委員)考え方の違いなので変えていくのは時間がかかると思うが、地道なご努力を続けていただければと思う。

(高校教育改革課長)高校における障がいのある生徒に対する対応について、先ほど点検評価の意見の中にもあったが、一つは発達障がいの子どもに対する通級指導がある。元々4校で実施していたが今年から10校になった。さらに拡充していくべきとの意見があるが、次の議題で出る多様な教育実践校でも障がいのある生徒も含めて、より幅広く支援できるような体制を考えていきたいと思っている。高校における障がいのある生徒に対する先生へのサポート体制については、自立支援コースを設置している高校が今は11校あるが、元々あった4学区に1つずつ、サポート校として、そのエリアの学校に障がいのある生徒がいれば相談や研修のフォローを行う体制になっている。

(地域教育振興課長)委員のご指摘のとおり、親学習を実施しても、それに参加されない保護者がいる。そこでもう一つの取り組みとして、アウトリーチによる支援である訪問型家庭教育支援を行っている。これは市町村教育委員会が子育て経験者や元教員、民生委員児童委員の方、SSW(スクールソーシャルワーカー)などからなる家庭教育支援チームを組織していて、課題を抱えて孤立している保護者の方々のお宅へ家庭訪問して支援している取り組みである。訪問型家庭教育支援を実施する市町村は令和3年度、17市町村だったが、今後とも市町村の参考となる資料作成や支援に関わる方々の研修、取り組みの成果などを周知して、訪問型家庭教育支援の拡充や充実に努めてまいりたい。

(岡部委員)ぜひ充実、拡充に努めていただきたい。最後に1−15に、いじめの解消のところで解消100%をめざすと書かれていて、目標としてはその通りである。これを否定するつもりはないが、解消するためにいじめの存在を言えなくなってしまう状況、実は問題があるのにそれを隠蔽してしまわないといけない状況ができることも怖い。今言ったようにいじめはない方がいいので、もちろん解消をできるだけめざしてほしいが、解消したという状況を作るために、実はとても不快な状況や問題があるのに言えないという状況ができてしまわないように、出てきたほうがいいという意識を、先生がた、そして子どもたちが持てる環境も一方で作っていただきたい。福祉の原点は、「問題がある」ことが「見える」ようになることである。今ヤングケアラーで高等学校課が頑張ってくれているが、支援が「ない」とか「いらない」という答えが出てきてもそこをもう一歩踏み込もうとされている。そういったご尽力を、ぜひ、いじめのことに関しても、地域のアウトリーチのことに関しても、続けていけば大阪の人権教育はますます深くなると思う。よろしくお願いしたい。

(中井委員)英語教育について、日本の英語教育は危機的状況とずっと思っている。まず、高等学校の教員の目標値が書いてあったが、小中学校の先生がたに対しても、何らかの目標を設定して、先生がたの向上心を支援してもらう取り組みを考えてほしい。それと、子どもたちの英語力は大切である。17年前にGLHS高校に、スーパーイングリッシュティーチャーという、特段の英語の指導員を配置してもらったことがある。TOEFLは120点満点で海外の英語圏の大学に留学するための英語力をつけるテストだがとても難しい。これにチャレンジする生徒が当時たくさんいた。最近その辺りの動きはどうなっているのか、もうあれっきりになのかと少し心配している。当時、英語教育ということで特にトップ校が一生懸命やっていた。もちろんトップ校だけではだめで、どんどん裾を広げていくことは大事で、全てはできないので、できるところからすることが大事だが、その辺の取り組みは今どうなっているのか聞きたい。

(高等学校課長)委員よりお話していただいたのは、英語の採用の段階から、英語を話す力が極めて高い先生を採用していたという部分だと思う。今現在、そういう先生は採用されていないが、そのまま一般の教員として学校に残っている方もいる。併せて、ネイティブの言葉を喋れる方については、全ての学校に当然NET等配置をしているが、その拡充についても現在検討している。話せるという部分が非常に大事だということで、今現在も英語の取り組みは事業を継続して続けているが、知事からも英語についての発信があったので、次の取り組みについて現在検討しているところである。

(中井委員)これからも取り組んでいくということで安心した。もう1つ、生徒たちの話す力だが、話す力というのは普段から話していないとつかないと思う。限られた時間内だけの英会話ではなかなか難しい。今コロナの時代だから難しいが、ちょっと前に生徒たちを募集して海外交流というか現地に連れて行き、いろんな刺激を受けさせる取り組みがされていたと思う。外国に行って、自分たちは全然喋れないが、周りは喋る子がたくさんいて、その刺激を受けて帰ってきて、これではだめだと思った子どもをたくさん知っている。予算も難しいと思うし、コロナで無理かもしれないが、そういった取り組みを復活していただきたいと思っている。

(高等学校課長)海外へ子どもたちを連れていく形の授業を実施していたが、ご存知のとおりコロナ禍でなかなか海外に行けないので、現在実施されているものとしては例えばオンラインで海外と繋がって、そういう交流をすることが行われている。教員も含めて海外へ連れていく事業を引き続き計画していきたい。

(森口委員)基本方針第5で、子どもたちの体力が、全国レベルで小学校は低いという話が出ていた。大阪府としてもスポーツ振興という形で地域を取り込んで様々な取り組みをしていることをいろんなところで紹介もしてもらった。ただ、これからGIGAスクール構想が積極的に進んでICTを使うようになると、確実に子どもたちが体を動かさなくなる。そういったことを前提に、日常の授業時間の合間に子どもたちが体を動かすことの必要性を、いろんな場面でしっかりと説明するような、子どもたちの気持ちの中に落とし込むような取り組みを加えていただきたい。
  基本方針7の学校の組織力の向上で、校長、准校長のマネジメントの力が出てきた。もちろん学校の経営計画は非常に重要だが、今問題になっている働き方改革プラスアルファ教師のメンタルという意味では、ことが起きてからでは精神疾患も含め非常に改善が難しく、やはり学校現場での貴重な人材を失うことにもなる。そういう意味では、一次予防というところで、校長先生の意識を高めるためのマネジメント研修等、校長、管理職研修ももう少し踏み込んだ形で教育委員会としては責任を持ってやっていくべきではないかと思う。
  
それと基本方針3で障がいのある子どもたちの話が出ていた。大阪府は様々なことに非常に取り組んでいただいている。通級指導を行う学校が4校から10校に増えて、通級指導が増えるということは、この子たちはあくまで特性が目立つということで、決して皆さんと発達が全然違うというわけではない。そういったことを、生徒たちも教職員も、「みんな同じだけど、ちょっとだけ特性がある」、そういう受け止め方をできるよう生徒や先生がたの間の知識を深めることも非常に重要と思う。医療的に発達障がいの子どもたちの特性を知りその子どもたちの取り扱いを学ぶということではなく、この子たちがみんなと同じような場所で同じような環境でやっていくためにどう受け止めてあげられればよいかということを学ぶことで、社会に出たときに、本来発達に大きな問題がないと言われている方たちと同じ土俵で、社会で生きていけるようになり、それはお互いにとって非常に重要なことだと思うので、そういった知識の拡充まで目を向けていただきたい。

(教育センター教育企画部長)校長のマネジメント力の向上について、本当に校長、管理職として必要な危機管理の問題や、あるいは人材育成の話等、校長に必要とされる様々なことについて教育センターで検証している。今ご指摘いただいたことも含めて、今後、管理職の必要とされる課題等について、もう一度、来年度の研修に反映させていきたいと考えている。

(井上委員)キャリア教育のところで、研修で民間企業の社長を呼ぶという話があったが、それはどういった企業の社長に何の話をしてもらっているのかを教えてほしい。

(高等学校課長)詳しくは把握していないが、高等学校では従来から就職に進む子どもたちが多い学校があるので、地域の企業を含めて繋がりを元々持っているところがある。一方で今、いろんな職種が広がってきていることもあり、学校が繋がりを持てていない状況がある。そこで、様々な職種、業種の民間企業に依頼して、民間企業で持っている繋がりを活用して、そういう企業から話をしに来てもらうということも含めた事業を進めている。

(井上委員)何の話をされているか把握していないとのことだが、「うちの会社はこうだよ」という話をしてもらっているのか、それとも、「社会では今こういう人たちが求められているよ」という話か。どちらの話かというのもわからないのか。

(高等学校課)両方が含まれている。特定の業種の方に来てもらい、全体の講演もやっているが、希望に応じた形で業種・職種ごとにいくつもの部屋に分かれて子どもたちが希望に応じてそこに行くということもやっている。従って、特定の企業についての話を聞くということもあるし、広く全体を通してキャリア教育として、「今社会が非常に大きく変化しており、Society5.0が言われるなか、社会がどんどん変化、進化して将来の予測が立てにくい中で、社会全体でこういうことが求められている」という話も全体講演として進めているところである。

(岡部委員)井上委員の質問で私が知っているのは、就職する生徒が多い学校で、しかも課題のある生徒さんの就職というところで、生徒が思っていることと実際にすることがかなりかけ離れていることが多い。一般の学生でもそうだが、「実際働くときに何をするのかがわからない」とか、「できないときはサポートをこんなふうに頼んでいいよ」とか、実際にそこに行ったときに1人でできないからと縮こまってしまう場合が多いので、そうではなく、「こんなふうに助けを求めたらいいよ」「こんなふうにちゃんと挨拶するんだよ」とか、学校の勉強とは全然違う実践的なことを教えている。学校から社会に移行するのに溝があるのをそのまま子どもたちだけで飛び越えるのではなく、そこをうまく今までの経験値を生かして子どもたちが困らないよう、どうしたらいいのかがわかる形で研修している学校もあると聞いている。

(井上委員)それも必要だと思う。大学生も高校生も一緒で、「実際、社会にどういうギャップがありますか。」ということは大事でそれはそれでやるべきだと思う。もう1つ、いろんな業種の社長が来て、「うちの会社はこういうことやっていますよ」ということも必要だと思う。「会社に入ったらどんなものなのか。」という話もかなりプリミティブなレベルで必要だと思う。もう1つは、「実際どういう仕事で、どういう会社です。」ということを説明することも大事だと思う。3つ目に、「これからの社会はこうなっていきます。」という話をしてもらうのも大事だと思う。このような話は、今来ておられる会社の社長もできる方とできない方がいらっしゃるかもしれないが、これは何も衰退する産業に就職してはだめだという話ではなく、これから伸びていく産業に行ってもらうことは非常に大切であり、今までとは違ったスキルが求められるという話をしてもらうことが大事ということである。もしそれが今のメニューの中に入っていないのであれば、そういったメニューを入れていくべきだと思う。10年後産業構造が変革してなくなる業種は必ず出てくるので、そういったところに今なんとなく就職して、10年後になってなくなりましたとなると、その子がすごくかわいそうなことになるので、伸びる業種はこういうところだよということを説明し、しっかり話していただけるようなキャリア教育は大事だと思う。それと、論理的に書くという話の中で、すくすくウォッチを使いながら先生がたが研修するということか。

(小中学校課参事)研修ですくすくウォッチを示しているが、すくすくウォッチは子どもがやる段階で、先生も必ず解くので、その段階で、論理的な思考をこのような問題で育んでいるということを先生が把握できると思っている。

(井上委員)例示的には非常にいいと思うが、民間企業でも公務員でも一緒かもしれないが、今、論理的にものを考えるロジカルシンキングとかクリティカルシンキングは基本の「き」であり、一番上に出てくるようなことなのかなと思う。新任の教員の方々には府の中で教育していくことも必要で、そういったことが教育学部の中の課程に入っていないのであれば、しっかりやってもらう必要もあると思うし、中堅の教員の先生にはそれを再教育していくことをやらないといけない。たまたま例示的にすくすくウォッチでこうですからそれで終わりますということでないと思う。例えば、働き方改革ひとつにしても、非常に論理的に物事を考えていくことで皆さん合意が取れていくことも大いにあると思う。結局、働き方改革は、段取りの話になると思う。そういった意味でも教員の方々も、もう一度やり直すのは、能力を上げるということ。今、民間企業であれば、ITに長けていない、ITの知識が足りないと仕事ができないため会社が経費を出して研修をやっている。なぜ経費を出してまでやるかというと業務効率が落ちると赤字になる、赤字になるのを避けたい、そのために社員の能力を上げていかないといけないということになるからである。役所は赤字・黒字は関係ないが、大阪府教育委員会での「成果」は何かというと、子どもの能力が伸びたかというところになる。そこを一番伸ばすために何が一番合理的かを考えると、教員の方々の能力を上げていくところが大事だと思うので、そういったことを検討いただきたい。
  
あともう1個、教員の論理的に考える力を上げていくのは、英語教育のところにも非常に関係してくると思っている。高いレベルでリーダーとなると、ただ英語が喋れますというだけでは、アメリカやイギリスの人は全員英語が喋れるので、不十分である。従って、話せることは前提に、ちゃんと物事を整理して発信していくことが大事になってくると思う。話せること、整理して発信することがセットとしてリーダー像になってくるということである。
 
あと、スーパーイングリッシュティーチャーの話が出たが、英語ができる人材というのは取り合いになってきている状況である。全て人材は需要と供給の関係で成り立ってくるので、世の中で価値が高いとなると、たくさん報酬を払わないと来てくれない状況である。もちろんお金が全てではないし、民間企業でも別にお金がいいから行くのではなく、その仕事がやりたいから選ぶということはあるのだが、でも同じ仕事であればより給与がいいところに行くという事態が現実で起こってきている。このような状況で優秀な教員の獲得を戦っていかないといけない。スーパーイングリッシュティーチャーは一例だが、なかなか人が取れないことについては給与の改定にようなことを考える必要もあるだろうと思う。そして、次に数学が非常に重要視をされてきているところもある。私大の文系だと早稲田大学は政治経済学部が最高峰とずっと言われているが、以前なら国語と社会と英語ができれば入れるみたいなところでも数学が必須になってきた。こういった文系のトップの学校でも数学をやりましょうと。国立はもちろん昔からあったが。そういった時代になってきてデータサイエンスやITの世界になっていくと数学的思考、これがさっきの論理的思考と繋がってくると思うが、そうなってくると今度数学の先生や算数ができる人が取り合いになってくる。全部のところで給与を上げることはできないが、今後そういう特定の科目の先生を需要と供給に合わせて人材獲得するとなると、給与の格差をつけてでも取りに行くことも考えていかないといけないと思った。

(竹若委員)英語に関して聞きたいが、教育センターで、小学校の英語が教科必須となったときに、教員を選んで、リーダー養成という研修をやっていたと思うが今もやっているのか。

(小中学校課参事)小学校の英語の実践リーダー研修を令和2年度から始めてきた。令和3年度からは、英語教育推進教師連絡会ということで、育成したリーダーの各市町村代表教員を対象に研修を実施して、自身の市町村内での効果的な実践の共有を行って、授業公開等の研修を行っているところである。

(竹若委員)先ほどの説明のときにそれをおっしゃっていただければ、委員の質問の中に小・中学校がどうなっているのかという質問が出てこなかったと思う。やることをやっているのだから、説明を初めて聞く委員にしてもなるほどと納得できる説明をいただきたい。あえて今日申し上げるのは、次年度から始まる第二次の教育振興基本計画に関わることで、小中高一貫した英語教育、英語力の向上をめざそうとすると、必要となるのは教員の養成だと思う。それは委員が皆おっしゃっている通りで、一つの事例として、さいたま市が全国で中学生の英語力の力がトップらしいと聞いた。その背景には、小中高の英語に関わる教員を継続して、1ヶ所に集めて、どうしたら子どもの英語力が身につくか、コミュニケーション力が身につくか、そういったことを課題にしながら、年間に何回か検討会をしている。そこでやったことを、各市町村に持って帰り、また学校現場に持って帰って授業実践している。その積み重ねが今、さいたま市はすごい力を持っている。同じことは大阪でも言えることであって、教育センターという立派な組織もあり、今までの歴史があるわけなので今やり始めている小学校の先生方の英語の関係のリーダーを養成すると同時に、中学校からも高校からも一堂に集まっていただいて、「大阪の英語力はあなたがたに頼るんですよ」というぐらいの自負を持ってもらって組織的に研究を続けてもらいたい。この前の総合教育会議でも話したが、そのようなことを実施計画の中にぜひ盛り込んでいただきたいと思う。
 それから体力だが、確かにコロナの関係で測定もできず、体力の低下の状況であるが、アクションプランの策定率が非常に高くなった。私から言えば、アクションプランが策定したから、それを即、子どもたちに活かされているかどうかいう検証をしてほしい。アクションプランのいわゆる実施率というものを、時間はかかるがヒアリングをしてもらう中で、どれだけ効果を高めているかということやらなければ、せっかく府教育庁が作ったアクションプランが絵に描いた餅に終わってしまう。ぜひとも次年度からの事業計画の中に入れながら実現できるようにお願いしたい。
  マネジメントのことだがこれは教育長にいつか話をしようと思ったが、先だって、校長候補の面接に私も参加した。つくづく感じたことは、校長になろうとして勉強はしてきているが、マネジメントが一場面に限った部分しか出てこない。例えば支援学校の教頭であれば、自分が支援学校としての校長ではこういうことできます。では、他へ行ったらどうですかと聞くとちょっと言葉が詰まる。確かに研修でマネジメント力は高まると思う。あえて言わせてもらうのは、できれば学校経営の年度初めの計画がどれだけ中間で、また年度末で進捗しているのかということをヒアリングすべきではないかなと思う。学校数も多いので大変だと思うがあえて申したい。府教育庁には、小中高合わせて指導主事がたくさん在籍している。その小中高の指導主事を総動員してでも、学校を分担して、ヒアリングをして、まとめてほしい。教頭が自分の学校の状況をプレゼンしようとすれば、1年間のこと、半年のことをまとめると思う。そこで人材を育ってくる。また指導主事もそれをヒアリングすることによって、自分が現場にいたときの力となってくると思うので、大変な作業だが、マネジメントの進捗状況について実質ヒアリングをお願いしたい。
  
最後に、すくすくウォッチだが、これも知事のご協力のもとに予算がついて初めて5年生6年生の子どもが実施できるようになった。中1中2中3もチャレンジテストができるようになる。なぜやっているのかという説明が不足していると思う。特にすくすくウォッチは、現場において非常に高い評価を得ている。どういう点というと、今までない物を見て考えて答えなきゃならない、論理的に考えなきゃならない、初めて大阪でこういう問題が作成されてきたという点である。ここに大阪の教員の教育力、指導力の向上も背景に見えているし、またそこに活かさないといけない。すくすくウォッチの結果の分析力がどのように大阪の学校現場に、そして教員の指導力の向上に生かせるかということが大きなテーマである。ここについてもきっちりと説明できるように事務局に頑張っていただきたい。

(教育長)全ての教育委員の方々からご意見をいただいた。この議案は令和3年度の教育行政の点検評価結果なので、今日いただいた意見は、事務局で検討し、次期教育振興基本計画に盛り込むものは盛り込んでいきたいと思っている。

(井上委員)たまたま3ヶ月前ぐらいにさいたま市の教育長さんと食事をする機会があった。その中で市長も一緒させていただき、部活動の改革や、英語教育の取り組みを色々お聞きした。一度何か必要があればオンラインでもいいので取り組みについてお伺いする場を設定させていただいてもいいと思う。大阪府もそうだが、さいたま市は教育委員会と首長との連携がすごくうまくいっている例であり、そういった意味では竹若委員がおっしゃったのは非常に素晴らしい例と思ったのでぜひ何か取り入れていただければと思う。

 【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 教育長、竹若委員、井上委員、岡部委員、中井委員、森口委員)

◎議題2 大阪府立学校条例及び大阪府立高等学校・大阪市立高等学校再編整備計画に基づく令和4年度実施対象校(案)について

【議題の趣旨説明(高校再編整備課長)】標記について、方針を示し周知を行うことを決定する件である。その上で、様々な意見を踏まえ、令和4年11月の教育委員会会議で最終決定する。

 【質疑応答】
(森口委員)各校、機能統合による再編整備が進む中で、それぞれに今現状、公募するときに何々コースという名前がついていると思う。生徒たちが、自分たちが希望するコースがわかりやすいようにネーミングもいろいろ考えてきたと思うが、コース名は変わらないのか。こういった方向に進みたいという子どもたちが選択できるよう、学校の公募のPRの中で、コース名をわかりやすくしていく必要があるのではないか。再編統合する立場からは機能統合を踏まえた名前となるわけだが、一方子どもたちにとっては自分の志望するコースが何なのかという理解を深めていく必要がある。そのあたり十分なされているのか、検討されているのかを聞きたい。
  
あと、多様な教育実践校のところでエンパワメントスクールの持ち味というのは非常に大きいものがある。その中で、エンパワメントスクールで実際に働いている教員の言葉の中に、「子どもたちが実社会で知らないことを知ることで、どんどん子どもたちの自己肯定感が上がっていく」という力強い言葉を様々な場面で聞かせてもらった。そういったエンパワメントスクールの力量が温存されていくのか、その点について危惧されるので教えてほしい。

(高校再編整備課長)コースの設置について、それぞれの学校にあった専門コースをできる限り機能統合先である高校に特色を持っていきたいということもあり、名称は変わるかもしれないが、例えば平野高校の環境科学コースだと松原高校の環境科学系の学科に統合させてもらう形をとっている。その辺は生徒から見てもできる限りわかりやすいような設定にしていくよう努めている。

(高校教育改革課長)多様な教育実践校については、具体的な中身はこれから検討ということになるが、いずれにしても、西成高校、岬高校は、エンパワメントスクールとして少人数の学級編制やきめ細かい指導を今までやってきた実績があるので、そのような取り組みを活かしながらより多様な生徒に対応できるような形で考えていきたい。

 (岡部委員)先ほど伺った一般の高校の障がいのある子どもたちへの支援と担当になる先生がたの支援だが、西成高校、岬高校がそういった形で先進的な実践の事例になっていくということで、ここがモデル校になることは本当に望ましいことでぜひ推進していただきたい。一方で、先ほど申し上げたのは、ヤングケアラーの件でもそうだが大阪府の調査で明らかになったことの一つは、決して困難校だけではなくて、ほぼ全ての学校にヤングケアラーがいる可能性があるということがわかったというところである。

実は障がいをもつ子どもについてもそうで、困難校の人たちのところには確かにたくさんの人数が集まるだろうし、もちろん手厚く、支援すべきだということは明らかだが、他の高校にいないというわけではない。おそらく全ての学校に支援を必要としている人たちがいて、逆にそういうふうに数少なくなってくると、なかなか支援してほしいことを言いにくい状況が普段できている可能性も考えられる。そういったところに関して西成、岬でこれからモデル校として実践することをどのように一般校に広げていこうとされているのかという見通し、あと一般校でどう支援するかということに関して、これから府としてはどこでその知見を開発されていこうとされているのか伺いたい。

(高校教育改革課長)支援が必要な子どもとは、学力が一概に低いということではなく、多様な子どもがいると思うので、今検討している多様な教育実践校や通級指導など、どういう形の支援がその子に合っているかを検討した上で、多くの選択肢ができるような形にできればと思っている。今、通級指導教室を設置している学校が10校になったが、例えば、グローバルリーダーズハイスクールの大手前高校にも設置している。様々な学校に支援の必要な生徒を受け入れる環境を整えていかないといけないと考えている。岬高校、西成高校で通級指導や自立支援コースとかいろいろなところでやってきたノウハウを他の学校に広げていけるような取り組みも考えていく必要があると思っている。

(岡部委員)自分から言えるというのは、きちんと自覚されたりとか家庭の支援があったりということだと思う。なかなか言えないとか本人も家族も先生も気づいていないが実は、というようなことがあると思う。そういったケースをおそらく西成、岬や通級指導の先生がたもご存知だと思うので、ぜひ教員研修をして、困った子や怠けた子と先生が思っているのが実は違う可能性があるというのを教員研修の方でしっかりと特別支援が必要な子どもたちを先生から見いだせるような力を付けていけるような機会を設けていただきたい。

(教育長)今回募集停止校が3校という原案になっているが、現行の再編整備計画では、平成31年から令和5年まで8校程度の募集停止と計画に書いてあり、前年までで6校、既に募集停止を決定している。本来計画では8校程度という幅を持った言い方であることから、今回対象校が必ず2校でないといけないことはないと思うが、今回3校にした考え方を補足的に説明してほしい。

(高校再編整備課長)今回3年連続定員割れをしている学校をどのように今回の3校に絞り込んだというところだが、例えば一番わかりやすいところで言うと2−8ページに美原高校の各数字、入学者状況等が書いている数字の表があるが、一番上の表にある美原高校の上から二つ目、募集定員の次、入学者数というのがある。H30から240, 218, 204となってきているが、令和4年を見てわかる通り80名に今のところの入学者がなっている。40人学級で運営するということになると2クラスぐらいになってくる。かなり小規模化が進んでいる。かわち野、平野についても111, 109と、やはりかなり学校規模が少人数化しておりクラス編成的には学校規模が少なくなっている。そうすると学校活動や様々な展開授業、校外授業等で支障をきたすというところが大きなところになる。この3校を選んだのは小規模化がかなり進んでいる学校というところで今回2校ではなく3校を案として挙げた。

(教育長)2校程度ということで今回3校やるが、1校やりすぎということはないのか。

(高校再編整備課長)今回の再編整備の計画の中では8校程度としており、8校と決めているわけではない。数の話になるのでどうやって数を算出しているかというと中学校卒業者数の減少を見越して、どの程度学校を減らしていくべきかというところを計画に立てている。もちろん減り具合はあくまでも予想の範囲でそこは上下に振れることはあると思っているので8校程度と、ある程度、幅を持たせているところである。また、今後もまだまだ中学卒業者数は減っていくと我々も予想しているので、そういう意味ではもちろん計画上は8校なので、それでストップという考え方もあるかもしれないが、我々としては今後も計画を続けていかなければならないと思っている。今回の9校させていただき、その次というのも、まだ確定はしていないが、しっかりと検討していかなければならないということで、今回は8校に対して9校目まで選択させてもらったというところである。

(教育長)再編整備については学校関係者にとって大変厳しい決定になるわけだが、これまで学校の活性化、教育活動の充実という観点から、小規模化の著しい学校については再編整備を進めてきた。その基本的な考え方のもとで、今説明があったように今回3校を募集停止にさせていただくものである。

 【採決の結果】賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 教育長、竹若委員、井上委員、岡部委員、中井委員、森口委員)


◎議題3 府立高等学校における令和5年度使用教科用図書の採択について

【議題の趣旨説明(高等学校課長)】標記について、府立高等学校が選定した教科用図書をすべて採択する件である。

◎議題4 府立中学校における令和5年度使用教科用図書の採択について

【議題の趣旨説明(高等学校課長)】標記について、府立富田林中学校、府立咲くやこの花中学校、府立水都国際中学校が選定した教科用図書をすべて採択する件である。

◎議題5 府立支援学校における令和5年度使用教科用図書の採択について

【議題の趣旨説明(支援教育課長)】標記について、府立支援学校が選定した教科用図書をすべて採択する件である。

【質疑応答】
(井上委員)教育委員を続けていて、毎回教科書採択の議題が出てくると、誤字、脱字、スペルミスや記載ミスという問題がいつも出てきている。文科省が検定してチェックしたということなっているが、文科省が中身の何をチェックしているのかは、まだはっきりされていないのではないか。教科書会社も納入に際し、自分たちでチェックしていると言っているが、どうみても都道府県の教育委員会が誤字脱字を見つけてくれるだろうと思って納入してきているのではとしか思えない。ある意味ビジネスでやっているので、普通に民間企業でああいうものが納入されると、おそらくあれだけ毎年同じミスがあれば二度と取引されないと思う。
  
文科省のチェックもどこまでが範囲内かというところが不明確で、しっくりきていない。教育委員会の皆さんは教科書の調査研究で、内容のことをメインにチェックされているわけだが、内容だけのチェックであれば概要を把握するだけでいいと思う。だが、現状では、毎回誤字脱字だったとか致命的なスペルミスだったというところまで見つけないといけない前提で皆さんに時間を使われていると思っている。貴重な税金を使って人件費を使っているので、これを違う仕事に回せることにもなってくると思う。あと、保護者も、コロナ禍で非常に収入が落ちている方々がたくさんいる中で、子どもの教科書はどうしても必要なので、みんな一生懸命お金払っている。教科書のチェック体制のしわ寄せを、大阪府の教育委員会だけではなく、全国の都道府県の教育委員会が担わされていると思うので、都道府県なのか市町村なのかわからないが教育委員会で横の連携をとってでも、一体誰が最終的にチェックするのかをはっきりさせた方がいいと思う。文科省がチェックするのが内容だけだというのであれば、教科書会社は徹底的に誤字脱字がないようにしてもらわないといけない。毎回、皆さんが内容は教育内容に正しいものなのかというチェックだけではなく、教科書会社がすべきチェックをも行っている点が全く改善されていないので、ぜひもう一度申し入れをしていただきたい。

【採決の結果】議題3、4、5 賛成多数により、原案どおり決定した。
(賛成者 教育長、竹若委員、井上委員、岡部委員、中井委員、森口委員)

 井上委員はここで退席した。

 ◎報告事項1 大阪府学校教育審議会工業教育部会の中間報告について

【報告事項の趣旨説明(高校再編整備課長)】標記につき、報告する件である。

 【質疑応答】
(森口委員)工業系高校の魅力を発信するために様々な努力をしていただけたらと思っている。その中で特に、やはりこれだけ社会が府内の様々な業種からの需要が高いというところ、子どもたちの成人になる年齢も下がっていることから、社会へ出ていくということはどういうことか、それプラス大学との連携、大学進学を前提に置いた工業系高校のあり方をイメージ戦略として積極的に発信していく、そういった進み方をしていただければと思う。

 (岡部委員)6番目の開かれた学校作りのところについてお願いがある。そこに明示されているように中学生保護者、中学校教員に魅力を発信するということだが、中学生が「見える」範囲は本当に限られていると思うので、ここで高校進学の決め手になるのはどうしても相談する保護者とか中学校教員ということになってくると思う。男女の違いや、一般高校に進んだ方が大学進学しやすい等、思い込みに近いような、そういったことで生徒の進路がいろいろ左右されることがどうしても出てくるかと思う。進学先が社会から認められているということはもちろん伝えていくべきだと思うが、実際に10年後まで言うということは難しいかもしれないにしても、実際に卒業した人がどうなっていて、「この学校に進学したら、きちんと生きていけるんだ、確実に人生ちゃんと開かれているんだ」ということをしっかりと明確に伝えられるように、ぜひ広報に力を入れていただきたい。あと、教員だけではなく、ソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等、「チーム学校」の人々にも協力してもらい魅力を発信してもらえるように学校の中だけではなく、地域連携というところにも発信していただければと思う。

(中井委員)工業系高校の定員割れというか、人気が落ちてきていると、ここ数年実感している。そのあたりをもう少し分析していただきたいと思う。中学生が自分の将来の姿をしっかり思い浮かべて、どういうところに自分が就職していって、どんな人生が開けるかということがもっと見えるようにしてあげれば、モチベーションも上がってくるという気がする。工業系高校は非常に重要な学校だと思っている。定員が割れているのは、その魅力が中学生に十分伝わっていないのが原因ではないかと思っている。その辺の分析・改善をお願いしたい。これから社会の仕組みがどんどん変わっていくので、今の時代に合うような工業系高校をしっかりとめざしていただきたい。旋盤とか技術のベーシックな教育が不要とは言わない。しかしこれからICTがどんどん進んでいき、グローバルな時代にもなってくるので、どういう工業高校の未来があるのか、将来があるのかというあたりがもう少し明確になれば、もっとモチベーションが上がってくるのではないかと考えている。

◎報告事項2 新型コロナウイルス感染症に係る対応について

【報告事項の趣旨説明(教育総務企画課長)】標記について、6月20日(前回報告後)以降、8月16日までの府立学校及び市町村立学校の臨時休業の状況等について報告する件である。

【質疑応答】
(森口委員)医療側からのアドバイスだが、学校は夏休みに入っていたので、7月の連休明けまでの人数というのは第7波をそのまま表していると思う。また今週から2学期が始まっているので、確実に増えてくると思うが、今現状10代の子どもたちはやはり軽症が多いのと、あと大阪府が20歳から49歳まで無料の抗原キットによるオンライン診療を始めている。教職員の先生方は積極的にそれを利用してできるだけ早く診断に結びつけるようにしていただけたらと思う。また9月末までに、ワクチン接種を積極的にしていただかなければいけないということも府の方から出ているので、そのあたりも各学校に教育委員会からお知らせいただけたらと思う。

以上

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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