令和元年度第7回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2020年2月27日

議題1  大阪府青少年健全育成条例の改正(案)について

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資料1 大阪府青少年健全育成条例の改正(案)について(淫行処罰規定の見直し) [PDFファイル/379KB] [その他のファイル/202KB]

※資料に基づいて、危機管理監より説明。

【山野副知事】
・パブリックコメントでの反対意見は、どういう意見だったのか。

【危機管理監】
・意見が5件あり、うち1件が反対意見で、「13歳以上の性行為等は、自由意思で行われるものであり、その部分については、法律以上の規制をするべきではない。」という意見であった。

【山口副知事】
・一部報道等では、本条例が、真剣交際以外は違反となる条例だと言われている。真剣交際の定義は非常に曖昧だと思う。また、この条文は、昭和60年最高裁判決に則っており、極めて限定的に解釈するべきだと考える。これらに関する府の見解を確認したい。

【危機管理監】
・規制のあり方については、条例上、「真剣交際」という表現は使っておらず、改正後も使う事は考えていないが、青少年健全育成審議会の提言の中で、「真摯な交際関係に基づく性行為については規制の対象とはしない」という表現がなされている。
・本条例を昭和59年に制定した時も、そのような説明をした経過があると聞いているが、条例上は、あくまで処罰の対象とする行為を表現しており、真剣交際に当たるかどうかが論点ではない。

【山口副知事】
・真剣交際というのが、例えば、その時限りでも真剣だったら性行為に及ぶことが許されるという誤解を生んで、間違った情報が流れるということが非常に心配なので、条例の趣旨や、自己の欲望を満たすために行う性行為は、幅広く処罰対象になるということを、しっかり啓発し、間違った情報が流れないように取り組んでいただきたい。
・また、取締りを行うのは警察なので、警察としっかり共通認識を持っていただきたい。

【危機管理監】
・承知した。

【政策企画部長】
・SNSには圏域がないため、本来であれば、国の法律により一律で規制することが一番良いが、都道府県ごとに条例が制定されている状況であり、ターゲティング啓発そのものについても、府だけで実施するのではなく、例えば他府県、あるいは全国で連携しながらやっていったほうが良いと考えるが、いかがか。

【危機管理監】
・ターゲティング啓発は、今回初めての試みである。これによって、どこまで青少年や大人側に届くかということを検証しながら、来年度実施したいと考えている。
・こういった取組みを大阪府が実施しているということを、色々な場面で他府県の担当者が集まる機会もあるので、情報を共有しながら、連携していきたい。
・当然ながら、予算がかかるので、どこまでできるかは、他府県の判断となる。

【総務部長】
・条文案については、大阪地方検察庁との協議中であり、趣旨は変わらないが、文言が変わる可能性があるとのこと。今の条文案は、昭和60年最高裁判決の判決文と全く同じ内容ではなく、「対象としてのみ扱っていると認められる行為」としているが、現状の大阪地方検察庁の意見として、この条文案を変えるとしたらどういった案があるのか、もし今ご報告いただけることがあればお願いしたい。

【危機管理監】
・こういう風に変えてほしいという意見が出ているわけではないが、構成要件を規定する条例改正にも関わらず、立証に関わるような表現の仕方をしているので、刑事立法として違和感があるという意見を頂いている。その点について、今後詰めていく事になる。

【財務部長】
・資料9ページのとおり、他府県の条例が、構成要件の規定によってA、B、C、Dに分類されており、40都道県がDの『「淫行又はわいせつな行為」(要件の限定なし)』に分類されている。
・その40都道県は、「淫行又はわいせつな行為」という単純な規定になっており、昭和60年最高裁判決の要件の解釈によって運用しているという説明であった。
・今回の改正はCの『威迫・欺罔・困惑を要件又は単に自己の性的欲望を満足させる性行為を規定』に分類されると思うが、あえて府としてDの単純な表現ではなく、Cの規定にした理由は何か教えていただきたい。

【危機管理監】
・昭和60年最高裁判決は、福岡県青少年保護育成条例について、全ての淫行又はわいせつ行為を処罰するというのは範囲が広過ぎて、罪刑法定主義に反するのではないかということが争われたもの。
・Dに分類される条例の大部分は、昭和60年最高裁判決の前に制定されているが、判決後はそれに沿って運用されている。
・府は、昭和60年最高裁判決後に条例改正をするため、判決に沿った規定に改正する。

【吉村知事】
・ターゲティング啓発の範囲は、大阪府に限るということだと思うが、どういう仕組みで大阪府と判別するのか。

【危機管理監】
・各SNS事業者がそれぞれのプライバシーポリシーに基づいて情報を収集されているが、その中でどういう情報をもとにターゲットを絞るかによって色々なやり方がある。
・例えば、位置情報を使う場合、使わない場合もあるだろうし、大阪府内在住、あるいは今現在府内にいらっしゃるとか、色々なやり方ができると考えているが、そこは今後調整していきたい。

【吉村知事】
・原則として大阪府民に対してターゲティング啓発をするということか。パパ活や援助交際などを利用する人に対し、青少年と、行為者である大人の双方に対して啓発するということで良いか。

【危機管理監】
・その通りである。

【吉村知事】
・昭和50年代に大阪府の条例が制定、施行されてから、随分、社会の環境は変わっている。SNSの普及によって、青少年を取り巻く環境は圧倒的に変わっている。
・一昔前であれば、青少年と見ず知らずの大人が知り合うことはほぼなかった。呼び掛けや、声掛けぐらいでしかなかったが、今はSNS上で、誰しもが簡単に見ず知らずの大人と知り合うきっかけがあるという状況である。
・そして、スマートフォンの所持率やSNSの利用率を見ると、現実問題として、18歳未満の青少年と見ず知らずの大人が容易に接触できる関係に変わってきた。その環境に応じた条例の改正というのが必要である。
・18歳未満の青少年に対する、自分の欲望を満たすためだけの性行為については、府条例で厳しく処罰していきたい。
・併せて、それを未然に防ぐことも大事であるから、こういった条例が制定されたことを周知していくとともに、そういったことを考える大人や青少年について、きっかけはSNSなので、先ほどのターゲティング啓発、あるいはSNSの出前授業など、様々な場を通じて青少年への呼びかけ・働きかけをしてもらいたい。
・なぜSNSを通じて知らない人に相談をし、そして実際に会うようなことがあるのかということを分析すれば、その背景には色々な家庭事情や問題を抱えている子ども達が多いというのが実態だと思う。
・そういった子ども達が相談窓口を知っていれば、適正な対応が取れる。ターゲティング啓発には、これが犯罪だということを明確に示すとともに、そういった相談窓口もきちんと明示してもらいたい。
・やはり根本にある問題を解決しないと、なかなか本質的な解決にならないため、是非それはやってもらいたい。
・資料4ページの「見直しの背景(2)」にある通り、被害児童が被疑者に会った理由は、「金品目的」(29.6%)が非常に多いが、それとほぼ肩を並べるくらい多いのが、「優しかった、相談に乗ってくれた」(22.9%)となっている。
・これはかなり驚異的な数字だが、「金品目的」とほぼ変わらないぐらいの率であり、「寂しかった」(2%)という割合と足せば、「金品目的」と同じくらいの数字になる。
・そこに大人が乗じて、SNSを使って、不特定多数の18歳未満の子ども達に対して、大人が“良い人”になって自分の欲望を満たす行為ということをやっているのだと思う。
・そこを青少年が見抜くことはなかなか難しいと思うし、実際そういった感情を抱くようになれば、それはより難しいことになる。冷静に考えたら完全に片面的な話になっているが、青少年からすれば、そういう風になっていることもあると思う。
・見ず知らずの大人に対して、相談するような悩みがあり、そういった悩みを相談する先があれば、これを防げることもあると思うので、是非ターゲティング啓発をやってもらいたい。SNSの正しい使い方の出前授業など、そういう時にも相談窓口を是非広めてもらいたい。
・どうしても孤独で、親との関係も非常に厳しくなって、同年代の友達しかいない、大人とほぼ接触することがないということになれば、大人が子どもを騙すのは、はっきり言って簡単である。その青少年も大人になれば、18歳以上になって社会に出れば、ある程度自己責任だが、それは社会で経験を積めば分かる話。全くそういう経験がない青少年を騙すのは、そんなに難しくないと思う。そこに乗じた、悪い大人をきちんと処罰していくことも重要であるし、併せて相談相手がいないことも重要な問題点だと思う。相談窓口にきちんと繋げるような取り組みにも力を入れてもらいたい。
・条例改正は、これで進めていきたい。自分の欲望を満足させるために青少年、18歳未満の性的搾取をする行為者については、厳しく処罰していきたいのでよろしくお願いする。

【政策企画部長】
・本日ご審議いただいた大阪府青少年健全育成条例の改正(案)については、これで決定する。ただし条例の文案については、大阪地方検察庁との協議を経た後に、2月議会に提案していくということで決定したいがよろしいか。

【吉村知事】
・それでお願いする。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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