7 不動産取引の紛争事例

更新日:2022年4月1日

大阪府に寄せられる様々な不動産取引に関するトラブルの例をご紹介します。

(1) 住宅ローンが否認されたので、白紙解除したいが・・・Aさんの場合

 Aさんは、土地付き一戸建て住宅を購入するにあたり、売主業者と売買契約を締結しました。Aさんは、住宅ローンを利用する購入計画をたてていたので、売買契約書に、「ローンが否認された場合、買主は、当該契約を白紙解除できる」旨のローン条項とともに、ローン解除できる期限を契約日から2週間後に定めました。

 その後、Aさんは、ローン事務の代行をしてもらった仲介業者を通じて、銀行からのローンの可否についての連絡を待っていましたが、ローン解除期限までに何の連絡もなく、ローン解除期限を切れてから、ローンが否認されたという通知があったと仲介業者が伝えてきました。

 Aさんは、「ローンがつかなかったので白紙解除して、手付金を返してほしい。」と業者に申し出ましたが「契約書に定めた期日を過ぎているから、白紙解除には応じられない。」と言われました。

 !注意点!

 ローン条項を定めるときには、ローン条項の内容だけでなくローン解除期限についても確認しましょう。そして、その期限までにローンの可否について確認し、ローンが否認された場合には、ローン解除期限までに、契約書に規定されているローン解除の手続きをしましょう。

(2) 買換えがうまくいかなかったBさんの場合

 現在住んでいる一戸建て住宅を買い換える計画を立てていたBさんは、業者に自宅の売却を依頼するとともに、業者に紹介された建築条件付土地を購入して住宅の建築工事請負契約を結びました。

 その土地売買契約書には、現在住んでいる一戸建て住宅が一定の期日までに売却できなかった場合に契約を白紙解除する旨の特約(いわゆる買換え特約)をつけていませんでした。

 Bさんは、業者に自宅の売却を任せていましたが、一向に買主は見つからないまま、土地売買契約の決済日がきてしまいました。Bさんは二重にローンを抱えることになるので、自宅を早く売却したいと何度も業者に伝えていますが、業者は最近、Bさんの自宅は競売にかけるしかないと言い始めました。それでは約束が違うとBさんは不満に思っています。

 !注意点!

 自宅を買換える場合、現在の所有物件の売却が思うようにいかない場合がありますので、売却ができなかった場合は購入契約を白紙解除する旨を契約書に明記しましょう。 

(3) 「フリープラン」のはずが・・・Cさんの場合

 Cさんは、「フリープラン」という広告を見て物件の見学に行き、住宅のプランを自由に立てられるという説明を業者から聞き、契約することにしました。「住宅のプランは契約してから立てていく」と業者に言われ、業者が用意していた2通の契約書(土地の売買契約書と住宅の建築工事請負契約書)にサインしました。その後、Cさんは住宅のプランについて業者と話合いをしましたが、間取りは業者が提示したプランの中から選ぶよういわれ、キッチンなどについて希望を言ったら、別途オプション料金がかかると言われました。「フリープラン」のはずなのに自由にプランが立てられず、オプション料金がかさんで予算オーバーになるので解約を申し出たところ、業者に違約金を請求されました。

 !注意点!

 「フリープラン」をうたう物件の多くは建築条件付土地です。住宅については、土地売買契約とは別に建築請負契約を締結することになりますが、土地と住宅の契約を同時に結んでしてしまうと、後で住宅のプランを思うようにならない場合に解約トラブルになりがちです。住宅の建築工事請負契約書にサインするのは、土地売買契約を結んだ後で住宅のプランを十分に練ってからにしましょう。

(4) 住宅建築の請負代金も含めた手数料?・・・Dさんの場合

 Dさんは「自由設計」の物件を気に入り、土地の売買契約と住宅の建築工事請負契約を結びました。その後、仲介業者から請求された仲介手数料の額が多いような気がするので計算してみると、法定上限額をオーバーしていました。Dさんが仲介業者に指摘すると、住宅の請負代金を含めて仲介手数料を計算している、重要事項説明書にも記載している、と言われました。改めて土地の重要事項説明書を読んでみると、土地だけでなく住宅の内容も記載されており、請求額と同じ仲介手数料が記載されていました。

 !注意点!

 建築条件付土地の取引において、土地の売買契約の仲介をした業者が受領できる仲介手数料は、土地の売買代金から計算される法定上限額の範囲内となります。土地の重要事項説明書に住宅の内容も記載されていたり、住宅の代金の分も含めた仲介手数料の額が記載されている場合には、自由設計をうたいながら実質的に建売住宅(土地建物セット売買)で、住宅のプランを自由に立てられずトラブルになるおそれもありますので、注意しましょう。

(5) モデルルームでシニア向けマンションを契約したEさんの場合

 Eさんは、老後のことを考え、高齢者用の設備が整った物件を探していたときに、シニア向けマンションの広告を見て販売会社に問い合わせました。すぐに担当者が自宅まで迎えにきてモデルルームに案内され、そのまま長時間にわたり勧誘が続きました。「帰りたい」、「家族に相談したい」と申し出ましたが、「相談する必要はない」などと受け入れてもらえず、精神的にも疲れて契約してしまい、手付金(3百万円)を支払いました。不本意な契約だったので、2日後にクーリング・オフを申し出ると「モデルルームで契約したのでクーリング・オフはできない。解約するなら手付放棄による解除になるので手付金は返せない」と言われました。

 !注意点!

 売買契約書に署名押印して契約が成立すると、後で契約解除しても手付金は返還されないのが一般的です。クーリング・オフは、事務所に準じた場所であるモデルルームでの契約には適用されません。契約するかどうか検討する時間が必要であれば、その旨を毅然と伝え、何らかの書面へのサイン等を求められてもすぐに応じることは避けましょう。

Memo 投資用マンションのしつこい勧誘電話

《典型的な事例》

勤務先に、「投資用マンションを購入しませんか」という勧誘電話がかかってきた。「今は忙しいから」と断ったが、また同じ内容の勧誘電話がかかってきた。再度断ったが、その後も勧誘電話がしつこくかかってくる。勤務中に何回も電話がかかってくるので仕事に支障が出て困っている。

対応のポイント(1)

「今は忙しいから」などと、はっきりと断らずあいまいな態度をとると、「購入の見込みがある客」と思われ、勧誘電話が続くことになってしまいます。投資用マンションに興味がないのであれば、「興味がない」こと、そして、「もう勧誘電話はかけてこないでほしい」ことをはっきりと宅地建物取引業者に伝えましょう。

対応のポイント(2)

断っているにもかかわらず勧誘電話をかけてくる宅地建物取引業者に対しては、商号又は名称と勧誘を行った従業員の名前を確認し、宅地建物取引業法違反に当たる勧誘行為であることを指摘し、監督官庁に相談すると警告しましょう。

対応のポイント(3)

しつこい勧誘電話が続く場合には、その宅地建物取引業者が大阪府知事免許業者であれば大阪府(都市整備部住宅建築局建築指導室建築振興課宅建業指導グループ)へ、国土交通大臣免許業者であれば国土交通省(近畿地方整備局建政部建設産業第二課不動産業第一係)へ相談しましょう。なお、電話をかけてきた宅地建物取引業者がどちらの免許業者かわからない場合は、業者の名称(例「株式会社○○不動産」)を聞き取った上で大阪府建築振興課に電話でお問い合わせいただければ確認できます。

このページの作成所属
都市整備部 住宅建築局建築指導室建築振興課 宅建業指導グループ

ここまで本文です。