賃上げ一時金調査  令和2年  【春季賃上げ】(最終報)

更新日:2020年6月30日

令和2年春季賃上げ 要求・妥結状況(最終報)

【集計組合数:305組合(加重平均)】
【調査時点:5月25日現在】

 □ 妥結額    5,950円 (前年:6,201円)

 □ 賃上げ率  1.99% (前年:2.11%)

【調査結果の特徴点】
■全体平均では、妥結額、賃上げ率ともに2年連続で減少を示す。
■企業規模別では、中小、中堅、大手の全ての規模で減少を示す。
■産業別では、製造業、非製造業ともに2年連続で減少を示す。
 

大阪府労働環境課は、今年の府内労働組合の春季賃上げの妥結状況等をまとめました。

 本集計は、定期昇給及びベースアップ(またはこれらに相当する賃上げ額)の合計額を記載しています。
 

本調査の調査対象・集計方法

 本調査は、府内に所在する約1,700組合を調査対象として実施し、5月25日までに妥結額が把握できた365組合のうち、平均賃金、組合員数が明らかな305組合(98,296人)について集計(加重平均・組合員一人あたり平均)しました。

【集計方法について】
 加重平均は以下の方法で算出しています。
 加重平均=(各組合の妥結額×各組合の組合員数)の合計/各組合の組合員数の合計
 

経済的背景と要求・交渉経過 

(1)経済的背景と労使交渉等の動向

・日本経済団体連合会第8回審議員会(令和元年12月26日開催)に出席した安倍総理は、「今求められているのは大胆な投資であり、中でも重要なのは、人材への投資である。来年の春も大いに期待している」と述べ、賃上げの実現を経済界に要請しました。 

・また、内閣府は、2月の月例経済報告において、「景気は、輸出が弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増した状態が続いているものの、緩やかに回復している」と分析しました。

・そのような情勢のもと、金属労協(JCM)を構成する大手組合や各産別傘下の組合では、2月中旬から3月上旬にかけて要求書を提出し、3月11日の集中回答日に向けて大手組合を中心に回答の引き出しが進められました。

・集中回答日の直後となる3月13日に開催された閣議では、加藤厚生労働大臣から「世界経済の不透明感や新型コロナウイルス感染症の影響がある中でも多くの企業でベアが実現するなど、7年連続で賃上げの流れが続いている。中小企業を含めて真摯な話合いが行われ、非正規雇用で働く方々を含めた賃金上昇や働き方改革の実現が進むことを期待している」と発言がなされましたが、同感染症の感染拡大が進み、4月7日には緊急事態宣言が発出されるなど、同感染症の拡大防止に伴う経済活動の停滞が深刻化しました。

・その影響を受け、4月の月例経済報告においては、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある」との分析が示されています。

・春闘開始時期から経済情勢が大きく変化する中、集中回答日以降に、労使交渉が本格化した中堅・中小組合では、交渉実施が困難となった組合も多く、例年に比べ回答の引き出しに遅れが生じており、現在も多くの組合において労使交渉が進められています。


(2)労働団体及び経済団体の春闘における主張(概要)

労働側

経済側

○連合「2020連合白書(2020春季生活闘争の方針と課題)」(令和元年12月)
〈基本的な考え方〉
・社会全体に賃上げを促す観点とそれぞれの産業全体の「底上げ」「底支え」「格差是正」に寄与する取り組みを強化する観点から、月例賃金にこだわり、賃上げの流れを継続・定着させる。
・中小組合や有期・短時間・契約等で働く者の賃金の「格差是正」の取り組みの実効性を高めるため「賃金水準の追求」に取り組む。
〈具体的な要求指標〉
・2%程度とし、定期昇給分(定昇維持相当分)を含め4%程度とする。

○全労連「2020年国民春闘方針」(令和2年1月)
〈方針の柱・重点課題〉
・日本経済の再生、持続可能な地域経済・社会への転換を求めるとりくみ
・社会的な賃金闘争を推進し、2020年国民春闘で実質賃金の改善を必ず実現する 他
〈具体的な要求指標〉
・賃上げ要求:月額25,000円以上、時間額150円以上
・最低賃金要求:時間額1,500円以上

○経団連「2020年版経営労働政策特別委員会報告」(令和2年1月)
〈2020春季労使交渉・協議にあたっての基本スタンス〉
・「賃金決定の大原則」に則って生産性向上による収益拡大を社員に還元する「賃金引上げ」と、働き手の職場環境の整備や能力開発に資する「総合的な処遇改善」を車の両輪として位置付け、多様な選択肢の中から自社に適した方法・施策を検討・実施していくことが重要である。その際、正社員と同様に、パートタイム・有期雇用社員についても、適正な利益配分とエンゲージメント向上の観点から検討が必要。

・労働組合等からの要求を受けて、自社の外的・内的要素を総合的に勘案し、適切な総額人件費管理の下、支払能力を踏まえ、労使が議論を尽くした上で企業が賃金を決定する「賃金決定の大原則」に則って対応する。

・賃金引上げのモメンタムの維持に向けて、各社一律ではなく、自社の実情に応じて前向きに検討していくことが基本、その際、「基本給」「諸手当」「賞与・一時金」の3つを柱に据えながら、各企業において、多種多様な方法による組み合わせを含めて議論していくことが望まれる。

調査結果の概要

(1)妥結額・賃上げ率の推移

 全体平均では、妥結額5,950円(前年:6,201円)、賃上げ率1.99%(前年:2.11%)となり、妥結額、賃上げ率ともに前年を下回りました。

(2)企業規模別の妥結状況

 企業規模別の妥結額をみると、
「299人以下(中小)」が、5,233円(対前年比:48円減、0.9%減)
「300から999人(中堅)」が、5,582円(対前年比:207円減、3.6%減)
「1,000人以上(大手)」が、6,060円(対前年比:360円減、5.6%減)となり、全ての規模で減少を示しました。
 

(3)産業別妥結状況

 産業別(大分類)の妥結額は、製造業の妥結額平均が5,998円、非製造業の妥結額平均が5,907円と、製造業が非製造業より高い妥結額となっています。
 なお、全体平均(5,950円)と比べて妥結額が高かった業種は、「化学(7,871円)」、「複合サービス業、サービス業(8,248円)」等となりました。一方、低かった業種は、「医療・福祉・教育・学習支援業(2,193円)」、「生活関連サービス業・娯楽業(3,205円)」等となりました。


  

発表資料のダウンロード

令和2年春季賃上げ要求・妥結状況(最終報)   [Wordファイル/193KB]     [PDFファイル/771KB]

■ 6月15日に本調査の詳細分析(同一の組合による対前年比較)を当課ホームページに掲載します。併せてご参照ください。


 

このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 地域労政グループ

ここまで本文です。


ホーム > 商工・労働 > 商工労働関係調査・統計 > 労働に関する各種調査結果 > 賃上げ一時金調査  令和2年  【春季賃上げ】(最終報)