適性・能力に関係のない「本人に責任のない事項」を質問することは、「公正な採用選考」に反します。
これまで、学生から報告があったものでも「本籍・出生地・学歴に関すること」「家族に関すること(家族の構成、家族の学歴・職業、家族の収入など)」「住居・住居環境に関すること」についての質問など、「本人に責任のない事項」に関わる問題事象が数多く報告されています。
これらは面接時に行うことはもちろん、会社独自の履歴書やホームページからのエントリーシート、会社説明会などで配布されるアンケートで、記載項目として設けることも「公正な採用選考」に反する問題事象となります。
また、思想・信条や宗教など「本来、自由であるべき事項」でも同様に、面接時に質問することや応募提出書類などの質問記載項目とすることは問題事象となります。
〔本人に責任のない事項〕
(1) 国籍・本籍・出生地に関すること
(2) 家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)
(3) 住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)
(4) 生活環境・家庭環境などに関すること
〔本来、自由であるべき事項〕
(5) 宗教に関すること
(6) 支持政党に関すること
(7) 人生観・生活信条などに関すること
(8) 尊敬する人物に関すること
(9) 思想に関すること
(10) 労働組合・学生運動など社会運動に関すること
(11) 購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
〔採用選考方法〕
(12) 身元調査などの実施
(13) 全国(大阪においては近畿)高等学校統一応募用紙等に基づかない本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用
(14) 合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
男女雇用機会均等法では、労働者の募集及び採用における性別を理由とする差別を禁止し、男女の均等な取り扱いを求めています。
〈採用面接〉
男性または女性を排除、あるいは敬遠しているかのような質問、男性または女性に対する差別的な質問、
セクシュアルハラスメント発言などは、公正な採用選考(男女雇用機会均等法)に反します。
〈募集・採用条件など〉
募集・採用条件などで、男女のいずれかを排除することも、男女のいずれかを優先することもできません。
また、採用選考基準を男女で異なるものとすることや、求人情報の提供を男女で異なることも禁止されています。
求人応募時に戸籍謄(抄)本の提出を求めることは、応募者本人の本籍地から「生まれ」「ところ」を調べることになり、部落差別にもつながるものです。
また、採用内定後であっても、合理的な理由なく画一的に提出を求めることは、「生まれ」「ところ」により不当な取扱いが生じる恐れがあり、問題があると言えます。
身元調査とは「自宅の近隣に問い合わせるなどして家族の状況・住居環境等や思想・信条等を調査すること」を言います。
従って身元調査は、本人の適性・能力などと関係のない個人情報を一方的に収集する特に重大な公正採用選考に反する行為と言えます。
※なお、採用合格後に、求人企業・団体が学生本人宅に訪問して入社の意思確認することなどは、紛らわしい行為ですが「身元調査」には当たりません。
採用選考時に、合理的な必要理由の説明もなく、一律的に健康診断を実施することは、仕事上、何ら影響のない応募者の健康情報まで把握し、そのことが合否判断に影響を与える可能性も有り、結果として公正な採用選考に反することになります。
特に「血液検査」や「色覚検査」などで、職務遂行上、必要不可欠な場合を除き実施することは、ウイルス性肝炎感染者やHIV感染者、色覚障がい者の方々に対する偏見を助長し、就職の機会均等を奪うことにもつながることです。
例えば、在日韓国・朝鮮人の方々に「日本名を使用すること」を条件としたり、障がい者に対し職務遂行上、何ら支障がないにも関わらず、「障がいの種類・程度などの条件」を付けること、また「性同一性障がい」であることで、採用から排除することなどが結果として特定の人々を排除することにつながり「公正な採用選考」に反します。
このページの作成所属
商工労働部 雇用推進室労働環境課 労政・労働福祉グループ
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