不当労働行為審査事件関係書類作成にあたって(不当労働行為救済申立書)

更新日:2020年12月25日

                                                                                                                                                                令和2年12月25日 (※1)

大阪府労働委員会会長様

         申立人 所在地 大阪府大阪市中央区大手前二丁目1番22号 (※2、※3)
                                       名 称 大手前労働組合
                                      代表者 執行委員長 甲野 一郎

                                                        不当労働行為救済申立書

     労働組合法第7条第1号・第2号・第3号に該当する不当労働行為があったので、労働委員会規則第32条により次のとおり申し立てます。 (※4)

 1 被申立人 (※5)

所在地  大阪府大阪市住之江区南港北一丁目14番16号
名 称  乙田運送株式会社
代表者  代表取締役  乙田 太郎

 2 請求する救済の内容 (※6)     

(1)被申立人は、組合員甲山二郎に対する令和2年10月1日付け解雇を撤回するとともに、当該解雇がなければ得られたであろう賃金を支払うこと。

(2)被申立人は、申立人が令和2年10月9日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じること。

(3)被申立人は、申立人への加入を躊躇させるような言動をしないこと。

(4)被申立人は、上記(1)から(3)の不当労働行為を行ったことを認め、下記文書を会社正面玄関に掲示するとともに、申立人に速やかに手交すること。
                                                                記
                                                                                                                         年 月 日

大手前労働組合
執行委員長  甲野 一郎 様

                                                                                                  乙田運送株式会社   
                                                                                                  代表取締役 乙田 太郎

     会社が、令和2年10月1日に貴組合員の甲山二郎を解雇したことは労働組合法第7条第1号に、令和2年10月9日に貴組合員が申し入れた団体交渉を拒否したことは同条第2号に、貴組合への加入を会社に対する裏切りであると発言したことは同条第3号に、それぞれ該当する不当労働行為であると大阪府労働委員会において認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

3 不当労働行為を構成する具体的事実 (※7)

(1)当事者 (※8)

ア 申立人大手前労働組合(以下「組合」という。)は、平成2年2月2日に結成された労働組合であり、組合員数は現在222名である。

イ 被申立人乙田運送株式会社(以下「会社」という。)は、昭和33年3月3日に設立された運送会社であり、従業員数は現在33名、資本金は333万円である。

(2)本件不当労働行為に至る経過(背景) (※9)

ア 会社の代表取締役である乙田太郎(以下「乙田社長」という。)は、気に入らない従業員に対して、理由もなく怒鳴ったり、割に合わない遠距離便の運送を割り当て、拘束時間を増やす等の横暴を繰り返し、従業員は劣悪な労働環境におかれてきた。

イ 会社には、乙田運送労働組合(以下「別組合」という。)が存在していたが、実質的には何ら活動をしておらず、乙田社長のこのような横暴に対しても、何ら抗議等の活動を行わなかった。

ウ そのため、このような乙田社長の横暴に耐えられなくなった甲山二郎(以下「甲山組合員」という。)及び甲川春子(以下「甲川組合員」という。)は、組合に相談に訪れ、令和2年9月1日、組合に加入した。

(3)本件不当労働行為に係る具体的事実 (※10)

ア 組合は、令和2年9月2日、会社に対し、甲山組合員及び甲川組合員の組合加入通知及び団体交渉申入書を会社に郵送した。

イ 令和2年9月4日、甲山組合員及び甲川組合員は、上司である乙畑夏子(以下「乙畑課長」という。)から呼び出しを受け、個室で面談を行った。

乙畑課長は、組合が送った組合加入通知書及び団体交渉申入書を二人に示し「昨日、郵送でこれを受け取ったが、組合に加入したのは事実なのか」と確認した。二人が認めると、乙畑課長は「社長に見せる前に事前に話をした方が良いと思った。」「個人的な意見だが、悪いことは言わないから組合は脱退した方がよい。」「社長が組合加入を認めるとは思えない。このままでは最悪解雇されることもあり得る。」などと発言した。

二人が組合を脱退する意思はないと表明すると、乙畑課長は「そこまで意思が固いなら、私は何も言わない。社長に組合加入を報告する。」と述べ、面談は終了した。

ウ 令和2年9月7日、乙田社長は朝礼において、全従業員に対し「会社内に労働組合があるにもかかわらず、外部の労働組合に加入した者がいる」と述べ、甲山組合員と甲川組合員の名前を挙げ、「このような行為は会社に対する裏切りである」「二人には考えを改めてもらう必要がある。今後厳しく教育していく」などと述べた。

それ以降、甲山組合員と甲川組合員は、業務時間中は常に会社の管理職に監視され、些細な業務ミスをこれみよがしに大声で叱咤されるなど、職場でいじめを受けるようになった。

エ 令和2年9月16日、団体交渉が開催された。

組合は、団体交渉において、甲山組合員と甲川組合員に対するいじめをやめるよう要求したが、会社は、業務上必要な指示であっていじめではないと主張し、議論は平行線であった。

そこで、組合は、会社が甲山組合員と甲川組合員に対して行った“業務指示”の内容とその理由を、書面でまとめて組合に提示するよう会社に要求し、その日の団体交渉は終了した。

オ しかし、団体交渉の後も、会社のいじめは引き続き行われた。

これに耐えられなくなった甲山組合員は、令和2年9月24日、乙田社長に対し、このような取扱いをやめてほしいと申し入れたところ、乙田社長は、「上司に対する反抗だ」「職場の秩序を乱した。解雇事由に該当する」などと述べるとともに、「社内で甲山組合員の処分を決定する必要がある。明日から職場に出勤してはならない」と、甲山組合員に対し自宅待機を命じた。

カ 令和2年10月1日、会社は、甲山組合員に対し、解雇通告を文書で送付した。

解雇通告には、甲山組合員が令和2年9月24日、乙田社長に対し威圧的な発言をしたことが、職場秩序を乱し、就業規則上の解雇事由に該当するとして、10月1日付けで解雇する旨記載されていた。

キ 令和2年10月9日、組合は、甲山組合員の解雇について団体交渉の開催を求める団体交渉申入書を会社に持参した。

会社は乙田社長が対応した。組合が団体交渉申入れの趣旨を説明したところ、乙田社長は「解雇は会社が熟慮した結果であり、撤回の余地はない」「そもそも甲山組合員は、解雇されており、既に会社の従業員ではないから、会社は団体交渉に応じる義務はない」などと述べ、団体交渉を拒否した。

組合は抗議したが、乙田社長は聞く耳を持たなかった。

(4)まとめ (※11)

ア 甲山組合員の解雇が労働組合法第7条第1号に当たることについて (※12)

前記(3)ウのとおり、組合が甲山組合員と甲川組合員の組合加入を会社に通知した直後の朝礼で、乙田社長は組合嫌悪を隠さない発言を行い、組合員2名に対してのみ、業務指示と称して職場でいじめを行っており、会社が組合を嫌悪していることは明らかである。

 そして、前記(3)オ、カのとおり、会社は、いじめをやめてほしいと申し入れた甲山組合員を、職場の秩序を乱したなどとして自宅待機を命じた上で解雇したが、甲山組合員の正当な申入れが、就業規則にいう職場の秩序を乱した行為に当たるはずがなく、組合を嫌悪するが故の言いがかりにすぎない。

また、前記(3)オ、カから分かるとおり、会社は、自宅待機命令からわずか7日後に解雇通告を行っており、解雇に先立って甲山組合員から事情聴取を行ったこともない。そうすると、会社が、解雇について正当な手続きを踏み、充分な検討を行った上で解雇を行ったとは到底いえず、むしろ甲山組合員が組合員であることを理由として、性急に会社から排除したいと考え、解雇を強行したとしか考えられない。

以上のことからすると、会社が、組合を嫌悪し、甲山組合員が組合員であるが故に解雇を行ったことは明らかであるから、かかる会社の解雇は労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。

イ 会社の団体交渉拒否が労働組合法第7条第2号に当たることについて (※13)

前記(3)キのとおり、会社は、解雇については撤回の余地がないとして団体交渉を拒否したが、撤回の余地がないという会社の一方的な言い分が、団体交渉拒否の正当な理由とならないことは明らかである。

また、組合は解雇が不当であり無効であると争って団体交渉を申し入れているのであるから、使用者は団体交渉に応じなければならないのであって、会社による団体交渉の拒否は、正当な理由などなく、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。

ウ 令和2年9月7日の朝礼における乙田社長の発言が労働組合法第7条第3号に当たることについて (※14)

前記(3)ウのとおり、令和2年9月7日の朝礼で、乙田社長は、甲山組合員と甲川組合員の組合加入について、「会社に対する裏切りである」と発言したが、このような発言は、他の従業員が組合に加入しようとするのをためらわせるには充分すぎる効果を発揮するものであり、会社内における組合活動を萎縮させるものであって、組合活動に対する支配介入行為に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。

※1 申立ての日付を記載してください。(必要的記載事項)
※2 申立人の所在地・名称・代表者氏名を記載してください。(必要的記載事項)
※3 代理人による申立はできません。
※4 何号についての申立てなのか記載してください。
※5 被申立人の所在地・名称・代表者氏名を記載してください。(必要的記載事項)
※6 請求する救済の内容を具体的に記載してください。(必要的記載事項)
※7 不当労働行為を構成する具体的事実を記載してください。(必要的記載事項)
※8 「当事者」では、組合の設立日や組合員数等、会社の設立日や事業内容、従業員数、資本金等について、分かる範囲で記載して
   ください。
※9 「背景」では、不当労働行為に直接つながらないものの、明らかにしておくべき事項を記載してください。なければ記載しなくて構い
   ません。
※10 「具体的事実」では、不当労働行為に係る具体事実を時系列に沿って記載してください。
※11 「まとめ」では、会社のどの行為が、どういう理由で、何号の不当労働行為に当たるのか、具体的に主張してください。
※12 1号は「組合員故、組合結成故、組合活動故に行われた不利益取扱い」を禁止しています。「組合員故、組合結成故、組合活動故
   の取扱いである」という根拠を具体的に記載してください。
※13 2号は正当な理由のない団交拒否と、実質的に団交拒否と同等といえるような不誠実な団交対応を禁止しています。
※14 3号は組合の運営や活動に対する会社の支配介入行為を禁止しています。
※15 申立書は「被申立人の数+6」部提出してください。
※16 ※1、※2、※5、※6、※7の記載されている内容は、必要的記載事項であり、この記載がなければ受け付けられません(労委規則
   第32条第2項)ので、記載忘れのないよう特にご注意下さい。

このページの作成所属
労働委員会事務局 労働委員会事務局審査課 運用グループ

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