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更新日:2012年5月9日

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平成25年4月臨時委員会会議会議録

大阪府教育委員会会議会議録

1 会議開催の日時

平成25年4月1日(月曜日)午後5時00分開会

午後6時00分閉会

2 会議の場所

大阪府教育委員会委員会議室

3 会議に出席した者

  • 委員長
    隂山 英男
  • 委員長職務代理者
    小河 勝
  • 委員
    中尾 直史
  • 委員
    立川 さおり
  • 委員
    木村 知明
  • 教育長
    中原 徹
  • 教育監
    津田 仁
  • 教育次長
    藤井 睦子
  • 教育総務企画課長
    見浪 陽一
  • 教育振興室長
    和田 良彦
  • 高等学校課長
    丸岡 俊之
  • 市町村教育室長
    吉美 学
  • 小中学校課長
    浦嶋 敏之
  • 教職員室長
    山本 讓

4 会議に付した案件等

協議事項 英語教育について

5 議事等の要旨

  • (1)会議録署名委員の指定
    立川委員を指定した。
  • (2)議案の審議等

協議事項 英語教育について

協議事項の趣旨説明(中原教育長)

中原教育長から発案のあった英語教育改革について協議を行う件である。

  • (中原教育長)提案の趣旨は新しい英語教育改革プロジェクトチームを立ち上げることをご了承いただきたいということ。現在、TPPの問題等があり、グローバル社会の中でどのように生き抜いていくのかという問題に直面しており、その解決の一つに英語力の向上があり、10年20年先を見据えた英語教育を大阪府でも考えていかねばならない。小学校1年生から高校3年生ひいては大学4年間まで子ども達がどのように使える英語力を養っていくのかの道筋を考えなければならない。大阪市の教育振興基本計画では、24小学校において始業前や放課後、土曜日を効果的に使い、音を重視した英語教育であるフォニックスによる指導を実験的に開始する予定であり、校区が重なる8中学校でも新しい英語教育を模索し、本年度中に実行していくこととなっている。大阪府でも小中高と続く英語教育の一つの道筋を考えるプロジェクトチームを立ち上げ、市での実践的な課題や成果を府の方でも学ばせて頂いた上で、効果的な英語教育のパッケージを作っていき、大阪府でのノウハウも提供して協力していきたいと考えている。同時に、他の市町村教育委員会にも呼びかけをし、興味があるところにはパッケージを提供して大阪府の子ども達の利益に資するような展開をしていきたいと考えている。また、府立高校における既存英語教育の改善も、プロジェクトチームのメンバーを中心にしていきたい。チーム構成については、既存の英語チームに加え、任期付公募選考や非常勤ベース等による外部人材の任用により、一部外部人材を加えたプロジェクトチームを考えている。

外部人材には、ネイティブスピーカーや、ネイティブ以外でも高い英語力を持っており英語教育が分かっている人材を考えている。

委員の質問及び意見

  • (隂山委員長)今日の最終的なアウトプットは外部人材を入れるかどうかである。行政的な手続きが必要となるが、人事委員会との絡みや、法的問題点、課題はあるのか。
  • (藤井教育次長)任期付という法的制度では、任命権者として人事委員会との協議、承認が必要となる。大きな方向性を決めていただければ人事委員会と協議を進めていく。
  • (隂山委員長)最終的には人事委員会のところで決着するということである。人事委員会を説得できるような説明を組み立てなければならない。
  • (木村委員)基本的にフォニックスの導入には賛成。良い音をとることは良いこと。小中の連携がなかなか難しい中で英語を通して連携することは良い。大阪市でうまくいけば府としても導入を検討すべき。外部人材は現場を知っているネイティブの方、熱い情熱のある誠実な方が入っていただければ良いと思う。
  • (小河委員長職務代理者)フォニックスは私も主張してきたことで同感できるが、内容の問題として気になるのが、1年生から英語を入れることが子どもの成長にとって良いのか悪いのか。教育現場での一番の問題点は国語力である。子ども達は言葉の展開の論理が入っていないため、数学の文章題が中々理解できない状態が見える。これは府だけでなく国全体の問題であり、子ども達に基本的な論理概念の展開を日本語の組み立ての中で育てていかねばならない。特に小学校の1年から4年の間にしっかり足場を置く指導からすると、若干それを揺さぶる側面がありはしないかと危惧している。また、これが成果として出てくるのは、10年、15年という時代を経た調査でしかはっきり見えてこない。その辺のことを十分検討していかなければならず、1年生からしていけばよいという議論を危惧している。
  • (隂山委員長)色々な議論がある。小学校の英語教育に絞ってご意見をおねがいしたい。
  • (立川委員)就学前の幼稚園は7割が私学に通う。幼稚園によっては生活態度や基礎について小学2年生程度を目標としているところもあるときく。その中で、読み書きや英語がカリキュラムに入っており、就学前の実態把握と小学校との兼ね合いの研究が必要ではないか。
  • (中原教育長)既存のカリキュラムに入り込むのでなくカリキュラム外で進めていくのが良いと考えている。1日10,20分の範囲であれば問題ないと考えている。また、アメリカのデータなどでは、軸足を決めたうえで二か国語を話している子どもは他の学科に良い影響を与えているとのデータもあると聞く。フォニックスとは英語の文字と音を組み合わせて覚える九九みたいなもので、一度でも英語で使う音と文字の組み合わせを認識してしまえば成果があるのではないかと考えている。大阪市でうまくいくのであれば、小河委員のご指摘も踏まえ、修正した上で、府としてパッケージに落とし込んでいくことも良く、そのように自治体の教育現場から情報を集めてくるのもプロジェクトチームの一つの仕事と考えている。
  • (立川委員)枚方市の小学校で使える英語プロジェクトは、担任とネイティブの先生がうまく連携し、授業を進めるのは担任、発音はネイティブで、ギターにあわせて歌ったり、楽しみながら、遊びの延長のような雰囲気でプレゼンテーション能力もついている印象を受けた。英語の授業は、色々プラスされる要素があると感じた。
  • (木村委員)フォニックスの後に児童英検がよいと考えている。また、最近、英検6級を作る動きがあるが、児童英検と英検5級をつなげていくような仕組みをしていくような働きかけも必要だと思います。また、誰が教えるかが問題であり、どういった方がやるのかを慎重に考えるべきである。
  • (中原教育長)児童英検を誰がするのかという部分では、府は指導助言の立場の中で児童英検の話などを進めていけばよい。誰が教えるのかという問題は人事の話もあり市が独自で決める話であるため、市との関係でいえば指導助言の範囲でできることをしながら、府としてパッケージを作る時は教育委員会会議で精査していけばよいと考えている。
  • (中尾委員)韓国のサムスンではTOEICの910点が必要といわれている。それに比べると日本の大学生のレベルは低い。企業・大学・高校・中学・小学校と上から考えていく必要があり、最終的に社会に役立つ力を修得させるという視点が大切である。当然のことながら、日本語が満足に使えないのでは駄目である。国語力がないため数学等の試験の設問の意味が分からないというケースも散見される。しかし、これは国語の時間を減らす話ではないので、グローバル化の中では何らかの方策は必要と考える。気になる点としては、大阪市の動きを将来的にどう持ってくるのか、市町村でどのように展開していくか、今の高校での使える英語プロジェクトとの繋ぎをどうするか、などがある。
  • (隂山委員長)フォニックスについてはみなさん良いとしている。小学校についての議論では、基本的な日本語力が必要との議論。私の経験だが、乳幼児のころから一生懸命英語を勉強している子どもは日本語がおかしくなるということもある。きちんとした哲学が必要だと思う。英語は好き嫌いがあり、日本語一本でいきたいという高い学力を持った子ども達も出てきてしまう。学力は国算社で評価し、英語は英検等の外部評価で証明してくというのも面白いと思うが、国全体の動きがない中で府だけで動くのは地域的な問題点等によりいろいろなトラブルが起こる危険性がある。教育委員会としては、入試問題が最終局面で重要となってくるが、小学校からとなると、英語の能力差がかなり出てしまう恐れがある。
  • (中原教育長)好むと好まざるにかかわらず小学校5,6年生で英語をしなければならず、大学入試では英語の配点が高いため、ここは国民的議論となってくる。府という単位で考えるなら、小学校5,6年生から大学入試まで英語をしなければならないことを考えると、選択できることは個人の自由として良いが、国の制度の中で許されないため、任意で選べることへの議論が未解決であるなら、教えてあげることがトータルとしては良いと現時点では考えている。
  • (小河委員長職務代理者)表現する力が劣っており日本語の危機を感じている。むしろ母国語を確立することが優先課題である。英語ができる人は国語力がある人。一方、英語のベーシックな部分は義務教育の段階で鍛えておくことも大事な課題と思っている。基本的な部分は小学校5,6年生から始めていくのが重要となるため、現状は妥当な構成ではないかと考えている。府が内容を決めて形を決めてしまうのは良くないことから、現場が手を挙げれば導入できるような現場サイドの意思決定ができるのは賛成であり、現場を説得、納得させることが大切であると考える。
  • (隂山委員長)国全体の方向性と異なる方向へ踏み出すことを確認しておく必要がある。また、現場がやれる条件を整えることができるかどうかが問題であり、現場がやりたいかどうかではないのではないか。
  • (小河委員長職務代理者)そこは行政的にしっかりフォローしていかなければならない。
  • (隂山委員長)国が決めていないことを突っ走ると想定外の事態が起こるため慎重にすべき。そもそも日本人の何%が英語を話せるようにならなければならないのか。
  • (立川委員)大阪の企業でも、外国人とコミュニケーションがとれ、外国人が多い製造ラインを管理できる高卒を雇用したいという企業があり、中小企業でもニーズはあると思う。
  • (中尾委員)これからは日本国内において、内なる国際化が起こってくる。ある程度の英語レベルを持っていないと使いものにならない。
  • (隂山委員長)確認しておきたいが、ネイティブのように話せることが求められているわけではないということ。公用語を英語にしたシンガポールでは「いったい何人を育てているのか」という議論があり、言語とメンタリティーの問題がある。英語が万能のような幻想を生まないようにしなければならない。私は受験英語もレベルは高いと考えており、英語の読み書きの能力も大切である。
  • (中原教育長)確かに読み書きができないので仕事につけないという例はアメリカでもあり、従来の受験英語を否定するものではない。
  • (中尾委員)ICTと共に英語はツールであり、これができるからグローバル人材というわけではない。グローバル人材とはどういう人材なのかということを押さえておく必要がある。
  • (小河委員長職務代理者)どうすれば国語力がつくのかを国語の先生だけでなく、みんなで考える必要がある。英語をするには国語力の足場を鍛えなければならないという理念を明確に掲げておかなければならない。
  • (中原教育長)是非、国語の教育改革のプロジェクトチームもやっていきましょう。
  • (隂山委員長)国語教育も陳腐化している。大学入試には小説が問題に出てこないが、小学校では先生が物語文に非常に力を入れる現状がある。大学入試は小説など出題されず、論理構成が重要であることを理解する必要がある。もう一点、方向性では、無理のない範囲で、大阪市、堺市以外の市町村との関係も考えていく必要がある。高校入試の英語の配点等を考えていかねばならない。
  • (小河委員長職務代理者)今ここではそこまで踏み込んだ結論は議論できないのではないか。
  • (隂山委員長)それなりに了解理解しといてほしいということ。それでも進むかどうかということ。
  • (中原教育長)パッケージを作り、市町村が良いと思えばその市町村が取り入れればよく、他の市町村のデメリットはないと考えている。
  • (隂山委員長)やるところ、やらないところが出てくると、さまざまな問題が出てくる。府も市と連携しながら府の教育センターでしっかり連携フォローしてもらうということ。
  • (小河委員長職務代理者)これまで中学や高校で専門家が課題として取組んできた事実があるため、教育長が合意形成をきちんと図っていくことが大きな課題じゃないかと思っている。
  • (中原教育長)府の教育委員会の付き合う相手は市町村の教育委員会であり、各学校長は市町村の教育委員会がマネジメントするもの。小河委員と隂山委員長の議論はすり合っていると思う。各市町村とは十分連携していく。
  • (立川委員)大阪府内の市町村の教育委員会は、希望すればプロジェクトチームに参加できるか。
  • (隂山委員長)基本的には何らかの協定等がなければできないこと。府の教育センターなど既存セクションを活用していただくこととなる。
  • (中原教育長)他の市町村を遠ざけることには反対である。それぞれの市町村の考えを尊重して、やりたいところにはノウハウを共有していきたい。
  • (隂山委員長)大阪府は府内全域の責任があるので、絶えずその情報を各市町村に流して幅広く見渡したうえで、全ての家庭、子ども達に恩恵がいく姿勢を忘れないでほしい。

協議の結果

英語教育改革について外部人事を含めたメンバーによるプロジェクトチームを立ち上げる。

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