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インターネット上の人権侵害に対する大阪府の取組み
1.インターネット差別事象への対応策の検討
これまでの大阪府をはじめとする地方公共団体や国、業界団体等における様々な取組にもかかわらず、インターネット上では、特定の外国人等に対する不当な差別的言動(ヘイトスピーチ)やいわゆる同和地区の所在地を摘示する書込みや投稿は後を絶ちません。
このような中、大阪府では、「2025年大阪・関西万博」を見据え、国際都市にふさわしい環境を整備するため、令和元年11月に「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」を施行しました。
さらに、不当な差別的取扱い等を解消するための方策について、専門的知識を有する学識経験者等から幅広く意見を聴取することを目的に、平成26年7月に設置した「大阪府差別解消に関する有識者会議」の令和元年度の会議において、インターネット上で行われている差別的行為に対処するための有効な取組みについて、議論を行いました。
2.国への要望
大阪府では、インターネット上の差別事象への対応について、国に対して、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(いわゆる「プロバイダ責任制限法」)の改正を含め必要な措置をとるなど、実効性のある対策を早急に講じるよう、要望を行っています。
- 令和2年度人権施策並びに予算に関する要望書 令和2年度人権施策並びに予算に関する要望書(PDF:291KB) 令和2年度人権施策並びに予算委関する要望書「(ワード:47KB)
- 令和3年7月2日 「インターネット上の人権侵害事象に対処するための提案」を総務省及び法務省に提出しました。(詳しくはインターネット上の人権侵害事象に対処するための提案について)
3.インターネット上の人権侵害の解消推進事業
令和5年度の取り組み
インターネット上の人権侵害解消推進月間
11月を「インターネット上の人権侵害解消推進月間」とし、新たな専門相談窓口「ネットハーモニー(外部サイトへリンク)」の開設やJR大阪駅等におけるデジタルサイネージの実施、大阪メトロ全駅での啓発リーフレットの配架、教材(「インターネット上における人権侵害」)の作成、インターネット広告の実施等を通じて、インターネット上の人権侵害解消に向けた事業を集中的に取り組みました。
関連ホームページ:インターネットと人権
令和4年度の取り組み
人権啓発講演会「ヤサシイハナをサカセマショウ 木村花さんが望んだやさしい世界を思いながら」
令和2年5月、SNSでの誹謗中傷により最愛の娘である木村花さんを失った木村響子氏を講師としてお招きし、講演会を開催いたしました。
- 日時 令和4年7月31日(日曜日)午後2時から午後4時
- 場所 阿倍野区民センター大ホール
- 講師 木村 響子氏(NPO法人Remember HANA代表)
- 関連ホームページ 令和4年度 人権啓発講演会「ヤサシイハナをサカセマショウ」
インターネット上の人権侵害解消啓発推進月間
7月を「インターネット上の人権侵害解消啓発推進月間」とし、JR大阪駅や梅田HEP前ビジョンにおけるデジタルサイネージの実施や、大阪メトロ全駅での啓発ポスターの掲示、啓発リーフレットの配架、人権啓発講演会の開催などを通じて、インターネット上の人権侵害の解消に向けた啓発活動を実施しました。
関連ホームページ インターネット上の人権侵害解消推進月間です!
インターネット広告
インターネット上の誹謗中傷に係る発信者又は被害者がSNSで投稿、検索した語句が、大阪府が設定したキーワードと合致した場合などに、タイムライン上に啓発画像(バナー)を表示するとともに、啓発画像をクリックすることで、大阪府人権局のサイト「インターネットと人権」に誘導するインターネット広告を実施しました。
- 期間 令和5年2月15日(水曜日)~3月15日(水曜日) 29日間
- 広告の種類 SNS広告
- 広告の媒体 Twitter
- インプレッション(啓発画像表示)数 795,897回
- 啓発画像(バナー)クリック数 1,364回
- 啓発画像(バナー)クリック率 0.1714%
令和3年度の取り組み
人権啓発講演会「突然、僕は殺人犯にされた」インターネットと人とのかかわり合い
身に覚えのない事件の殺人犯だとネット上で書き込まれ、言われなき誹謗中傷を受け続けたスマイリーキクチ氏を講師として、自身の体験を交えた講演会を開催いたしました。
- 日時 令和3年7月3日(土曜日) 午後2時から午後4時
- 場所 ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)
- 講師 スマイリーキクチ氏(お笑い芸人)
- 関連ホームページ 令和3年度 人権啓発講演会「突然、僕は殺人犯にされた」
大学との共同研究に係るシンポジウム(研究成果発表会)
大阪府では、インターネット上の人権侵害の解消に向け、誹謗中傷や差別的な書込みに対処するには、どのような啓発が効果的かについて、今年度、関西の6つの大学(大阪教育大学、関西大学、近畿大学、甲南大学、奈良学園大学、龍谷大学)と共同研究を重ね、各大学から、共同研究の成果を発表いただくシンポジウム(研究成果発表会)を、以下のとおり開催しました。
- 日時 令和3年11月27日(土曜日) 午後2時から午後4時30分
- 場所 大阪産業創造館 4階 イベントホール
- 内容
- 各大学の研究成果の発表及び質疑
- 有識者による講評
(有識者)
武庫川女子大学教授 橋本光能氏
株式会社ドコモCS関西CSR推進担当課長 衣川由希子氏
- 関連ホームページ 令和3年度 大学との共同研究に係るシンポジウム(研究成果発表会)
大学との共同研究成果(啓発動画の制作)
大阪府では、関西の6大学と実施しました共同研究の成果として啓発動画を制作し、大阪府公式YouTubeチャンネルで公開しています。
なお、制作した啓発動画は、今後、人権啓発講座等で活用します。
- 啓発動画 「加害者にも被害者にもならないために」(動画の長さ:約3分22秒間)
権啓発動画「加害者にも被害者にもならないために」(外部サイトへリンク)
(内容)
SNSでの何気ない投稿が誹謗中傷を生む恐れがあること、投稿された内容の信憑性を確認する必要があること、投稿に対する安易な同調は更なる誹謗中傷を生む場合があることなど、事例を交えて紹介することで、誰かを傷つけることにならないか投稿する前の確認を呼びかけるものとなっています。 - 啓発動画 「SNSを正しく使おう」(動画の長さ:約3分42秒間)
人権啓発動画「SNSを正しく使おう」(外部サイトへリンク)
(内容)
インターネット上で誹謗中傷する書き込みには法的責任が伴うこと、プロバイダ責任制限法により発信者情報は開示されること、SNSを使用するにあたっての心構えなどを解説することで、SNSは使い方を誤ると、誰かを傷つける凶器になることを呼びかけるものとなっています。
令和2年度の取り組み
大阪大学大学院人間科学研究科とインターネット上の人権侵害の解消策について共同研究を行うとともに、この研究の一環としてシンポジウムを開催し、基調講演及び研究成果の発表を行いました。
また、研究成果をもとに啓発リーフレット「SNSを凶器にするな。」を作成しました。
シンポジウム
講演会
日時 令和2年11月6日(金曜日)午前10時30分から午前12時まで
場所 オンラインによる開催
内容 講演「インターネット上の人権侵害について考える」 要旨(PDF:680KB)
講師 李信恵氏
研究成果発表会
日時 令和2年11月13日(金曜日)午前10時30分から午前12時まで
場所 オンラインによる開催
内容 ・学生による研究成果の発表
・担当教員及び大阪府職員による講評
啓発リーフレット「SNSを凶器にするな。」
共同研究による研究成果をもとに、インターネット上、とりわけSNSの利用率の高い10代、20代の「若い世代」向けの、人権侵害の解消に係る啓発リーフレットを作成しました。
作成したリーフレットは、「若い世代」に手に取ってもらいやすいよう、コンビニやカラオケボックス、学校などで配付しました。
リーフレットの主な特長
- 「SNSを凶器にするな。」という強いメッセージをタイトルに採用
- 黒い背景を用いたインパクトのある表紙
- SNS投稿前に注意すべきことが確認できるチェックリスト
- 共同研究概要(PDF:763KB)
- 啓発リーフレット(PDF:3,548KB)
過去の取り組み
1.モニタリング調査の実施
大阪府では、インターネット上における差別書込みの実態を把握するため、市町村等の協力を得て、平成20(2008)年度から平成22(2010)年度の3か年にわたって、インターネット掲示板上の差別書込み等についてモニタリング調査を実施し、多くの差別書込みがあることを確認しました。
一方、国においては、プロバイダ業界等民間団体に対し取組みの支援や指導等に努めてこられたところですが、今なお悪質な書込みが氾濫するなど、十分な効果が現れているとはいえない状況にあります。
府としては、こうした状況を踏まえ、人権尊重の視点に立ち、現行法では対応できない差別表現の取扱いについて、差別行為及び差別助長行為の防止に向けた有効な法規制を講じること、また、こうした法規制が行われるまでの間は、サイト管理者の名称や連絡先を明記させる等、削除要請が迅速・円滑にできるよう必要な措置を講じるよう国に対して要望しています。
モニタリング調査の結果については、国に対する要望の基礎資料として活用したところです。
モニタリングの実施方法及び留意点
モニタリングは、参加団体が輪番で、平日概ね2時間程度、特定の掲示板上の書込み内容を対象として行いました。
また、差別書込みの判断基準については、同和問題については全国人権同和行政促進協議会における削除依頼の判断基準を参考としました。
差別書込み事案については、人権課題別(同和、障がい者など)に分類するとともに、権利侵害等の態様別(差別用語、土地差別、個人・団体への不利益など)の分類を行いました。
なお、年度が進む毎にモニタリング実施スレッド数が増加し、対象掲示板や分類の区分を見直したため、年度ごとの単純比較はできません。
モニタリング調査の結果
- 平成20年度インターネット上の差別書込みのモニタリング実施結果(PDF:40KB)
- 平成21年度インターネット上の差別書込みのモニタリング実施結果(PDF:44KB)
- 平成22年度インターネット上の差別書込みのモニタリング実施結果(PDF:47KB)
2.インターネット差別事象への対応策の検討
インターネット上の差別事象への対応について、国は、表現の自由とのかねあいや、国が直接削除を求めることは事実上の検閲行為にあたるという問題もあって、業界団体による自主的な取組みを支援していますが、今なお、部落地名総鑑に相当するような同和地区の所在地等の情報や、外国人や障がい者等に対する差別書込みが行われています。
大阪府では、平成24年度、インターネット差別事象対策推進会議において有効な対応策を検討することとし、有識者等の参画を得て、3回の会議での意見交換を通じて、国への要望に際しての考え方を整理しました。