見方を変える―わたしのものさし・あなたのものさし―
これって問題?
様々な問題から人権を尊重する具体的な方法を考えます
ねらい
「人権は尊重すべきもの」ということは誰も否定しません。しかし、具体的な場面になると人権上問題かどうか意見が分かれることがあります。このプログラムでは、人権に関わる具体的な事柄について「問題があるのかないのか」「それはどのような理由からなのか」を話し合うことで、暮らしの中で人権を尊重していくための具体的な方法を考えます。
キーワード
様々な人権問題、意見の対立
準備物
シート1(参加者数)、シート2(参加者数)、シート3(参加者数)、シート4(2枚×グループ数)、参考資料(参加者数)
プログラムの流れ
|
所要時間 |
内容 |
説明 |
1 |
5分 |
はじめの説明・導入 |
このプログラムのねらいの説明や、参加体験型学習への導入を行います。 |
2 |
15分 |
ちがう人さがし |
参加者同士が知り合い、その後の学習への参加を促進します。 |
3 |
30分 |
これって問題? |
意見が分かれる事柄について自分の意見を表し、それを交流します。 |
4 |
30分 |
だから問題なんです |
具体的な事柄における判断の理由や背景を掘り下げて考えます。 |
5 |
10分 |
ふりかえり |
これまでの活動をふりかえり、人権を尊重していくための具体的な方法を考えます。 |
プログラムの内容
時間
|
学習の進め方
|
アドバイス
|
スタート |
1 はじめの説明・導入
(5分)
1)ねらいの説明
まず、私の自己紹介をします。
「人権は尊重すべきもの」ということは誰も否定しません。しかし、具体的な場面になると「問題か問題でないか」意見が分かれることがあります。
今日は、人権に関わる具体的な事柄について、「問題があるのかないのか」「それはどのような理由からなのか」を話し合うことで、私たちの暮らしの中で人権を尊重していくための具体的な方法を考えます。
2)参加体験型学習の説明
そのために、今日は参加体験型学習で進めます。これは、皆さん同士で対話をしたり動いたりしながら、皆さんの中で学び合う学習です。
3)ルールの説明
最初に、参加体験型学習を進めるためのルールを確認しておきたいと思います。
- 参加…できる限り参加しましょう。ただし、参加は強制ではありませんので、パスもありです。
- 尊重…相手の話をよく聴きましょう。
- 守秘…この講座で聞いた個人的な話はここだけにします。
- 時間…時間も分け合いながら進めます。
今日は、様々な人権に関わる事柄について話し合いをしていきますが、グループの中にも、差別や人権侵害を受けるおそれのある立場の人や、差別に関わる発言に出くわすなどの経験をした人がいるかもしれないということを心に留めながら話をしてください。
|

- 会場設営:4から5人のグループ
- テーブルを2台合わせ、周囲にイスを置いてグループを作ります。
- あまり時間をかけず簡単に説明します。
- 「参加者に、人権侵害を受けるおそれのある立場の人がいるかもしれない」ということに思いをはせることなく話をすることが、その人を傷付けることにつながったりします。また、差別に関わる発言に出くわしたり、それを傍観したりした経験がある人が、それを思い出すことなどもあります。お互いを傷付けず、安心して話し合いができる場となるように努めます。
|
5分経過 |
2 ちがう人さがし(ウォーミングアップ)
(15分)
1)説明(1分)
今から、どのような人が参加しているか、交流しながら知り合います。
2)シートの記入(2分)
シート1の自己紹介シートに、自分のことで該当することには○、該当しないことには×と記します。
【シート1】
- 名前
- 甘い物と辛い物では甘い物の方が好きだ
- 性格は細かいよりもおおざっぱな方だ
- 話すのと聞くのとでは話す方が得意だ
3)交流の実施(5分)
次に、他の参加者と順番にペアになって、名前と3つの項目についての答えとその理由を紹介し合います。
違う答えが2つ以上ある人が見つかれば、そこで終わりです。一緒に近くの席に座ります。
時間は3分です。
終了です。まだ座れていない人は、近くの席に座ってください。
4)感想の共有(7分)
どのようなことを感じましたか。まず隣の2から3人で感想を話してください。
何人かに感想を聞いてみます。
同じになって安心することが多いと思いますが、違うことで驚きや発見があったとも思います。
人の見方や考え方は様々です。今日は、自分と違う見方や考え方になってみて、人権問題についての様々な状況について学習を深めて行きたいと思います。 |
- 移動が難しい人がいれば、他の参加者の方に動いてもらうこともできます。
- 参加者の動きが止まったようなら終了したり、柔軟に進行します。
- 誰に感想を聞くかの例として、早く座れた人と最後まで座れなかった人に聞いてみます。
- 違う意見を排除しない雰囲気を作るよう努めます。
|
20分経過 |
3 これって問題?
(30分)
1)グループを作る(2分)
座った机で4から5人のグループになります。
違う人を見つけた3つの項目のどれか1つを使って、グループでそれぞれ自己紹介をしてください。
2)個人で記入(5分)
私たちの周りには、人権に関わって様々な事柄があります。
シート2の事柄は「問題あり=×」か「問題なし=○」か考えてみましょう。
まず、それぞれで×か○かを記入してください。
3)グループで交流(15分)
1つずつ事柄を読み上げますので、「×」か「○」かのカードを選んでグループの真ん中に出してください。
その後、その理由をグループで紹介し合ってください。×か○かを一致させる必要はありません。AからHの設問でこれを繰り返します。
紹介はそれぞれ1分30秒くらいです。
「×」か「○」の理由を紹介し合ってもらいます。
4)全体で交流(8分)
×○の感想を2から3のグループに聞いてみたいと思いますので、挙手をお願いします。
|
参加者や時間、ファシリテーターの得意分野に応じて事柄を選ぶこともできます。
- 学習のねらいや参加者の関心によって深めたい事柄がある場合は、その事柄のみを考えることもできます。
- ファシリテーターが読み上げる事例ごとに「×」か「○」かで選んだカードを一斉に出してもらいます。
- グループから感想が出ない場合には、意見が分かれた事柄などを聞いてみることもできます。
|
50分経過 |
4 だから問題なんです
(30分)
1)事柄の選定(4分)
グループで深めたい事柄を1つ選びます。その事柄について、なぜ×と思うのか、○と思うのか、その理由や背景を考えて深めていきます。
次に、グループの中で×チームと○チームに分かれます。自分の意見ではなく、これから話し合いを深めていくための仮の立場を決めるものですので、チームの人数はなるべく均等になるようにしてください。
2分程度で決めてください。
- グループで深めたい事柄の選定とチーム分けをしてもらいます。
2)理由の交流(15分)
×チームは×の意見の理由を2つ、○チームは○の意見の理由を2つそれぞれ考えてシート4に書いてください。時間は2分程度です。
【シート4】
×
それは・・・・・だからです。
それは・・・・・だからです。
○
それは・・・・・だからです。
それは・・・・・だからです。
×チーム、○チームの順で理由を紹介してください。
1チーム2分です。
シートを交換します。
相手のチームが出した理由に対する意見を考えて2分程度で記入してください。
【シート4】
○
でも、・・・・・ですよ。
でも、・・・・・ですよ。
×
でも、・・・・・ですよ。
でも、・・・・・ですよ。
各チームからその意見を紹介してください。1チーム2分です。
3)議論のふりかえり(5分)
議論をふりかえってグループで話し合います。
話し合うのは、感じたこと、気が付いたこと、それと議論のポイントとなったことです。議論のポイントとなったことは後で各グループから発表してもらいます。
4)全体で共有(6分)
議論のポイントとなったことをグループから発表してもらいます。
1グループ1分程度でお願いします。
|
- 事例選定は、意見が分かれた事柄や今、課題になっている事柄を選ぶこともできます。
- チームはあくまでも仮の設定で、各自の意見に従って分かれるのではないことを強調します。
- 書くのが進まないようならば、理由は1つでも構わないことを伝えます。
- どうしても意見が出なければ感想でも構いません。
- 問題かどうかの判断でポイントとなったことのみを紹介してもらいます。
|
80分経過
|
- ふりかえりシートに記入してもらいます。
- ふりかえりシートを回収します。
5 ふりかえり
(10分)
1)補足説明
今日は、人権に関わって意見が分かれる事柄について考えてきました。意見が分かれる背景には、それぞれの事情や具体的な状況があるということでした。
参考資料をもとに、発表された事柄について説明します。
2)まとめ
問題があるかないかには様々な理由や背景があります。具体的な場面ごとに、人権を尊重するための方法をその都度考えていく必要があります。
今回の学習が日常生活の中で、話し合いによって人権を尊重するための方法を考えていくきっかけになればと思います。
3)ふりかえり
ふりかえりシートを配付します。短くてもいいので、書ける範囲でお書きください。
後で回収させていただきます。
- ふりかえりシートに記入してもらいます。
- ふりかえりシートを回収します。
|
- 参考資料の中から、発表された事柄について説明します。
- 最近の事例などを説明の中に加えることもできます。
- 終了時間までに書けた内容で回収します。
|
≪前へ 次へ≫ 目次へ