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中学生の「税についての作文」
中学生の「税についての作文」は国税局及び全国納税貯蓄組合連合会が主催するものです。
以下、大阪府知事賞受賞作品をお読みいただけます。
内閣総理大臣賞など、その他の受賞作品についても、税の作文(中学生・高校生)(外部サイトへリンク)からお読みいただけます。
令和7年度中学生の「税についての作文」大阪府知事賞受賞作品
【題名】税の有無による社会の変化
【学校名・学年】豊中市立第十二中学校・3年
【氏名】初鹿 咲耶
最近テレビや新聞などで、「消費税が高い」「消費税をなくしてほしい」という声をよく耳にするようになりました。確かに消費税がなくなると、買い物で支払う金額は減り、家計が少し楽になるかもしれません。しかし私は、なぜ税金が上がっていて、どんな理由があるのか疑問に思い、調べてみることにしました。そこでこの作文では、税がある社会とない社会を考えながら、税の有無による社会の変化を見比べていきたいと思います。
今の税がある社会では、国や自治体が様々なサービスを提供するためのもととして税金が使われています。例えば、医療、年金などの社会福祉、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛など多くの公的サービスは税金によって支えられています。身近なものだと公立の小中学校の授業料無償化、台風や地震後の避難所の運営と支援などもあります。これらのサービスは私たちが安心して生活できる社会を作るために欠かせません。また、税金は社会の安定にも重要な役割を果たしています。少子高齢化により医療費や年金費用を必要とする人が増え、そこにも税金が使われています。そのため税がなくなればこうした社会保障制度を維持することが難しくなります。このように、税があることで社会全体の生活の質が保たれ、多くの人が安心して暮らせる環境が支えられています。そして、税があることで生活が支えられる一方で、買い物にかかる消費税や、働くことで発生する所得税、住民税は家計に重く、負担に感じる人も多くいます。また、税の使い道がわかりにくいと感じることもあり、納めた税金がどう役立てられているのか、疑問を持つ人も少なくありません。このように、税は社会を支える役割を持つ反面、負担や不信感につながる側面も有しています。
もし消費税がゼロになったり減税された場合、私たちにはメリットが大きく分けて二つあります。一つ目は家計の負担軽減です。食料品や日用品など、生活必需品が安くなり、消費者はより多くの商品やサービスを利用できるようになります。二つ目は企業の負担軽減です。企業の税負担が減り、新事業の展開や投資資金の確保、景気回復につながります。しかし税収が減ることで、国や自治体の財政が厳しくなり、財源の確保や社会保障制度、公共サービスの維持、質に影響が出る可能性があります。このように税の引き下げは家計や企業の負担が軽減され、消費や活性化につながる一方で、社会全体のサービスを支える財源の減少という課題も抱えています。
税があることで守られる暮らしがあれば、税がないことで広がる社会もあります。税の有無による社会の変化を考え、私は税とは、良さと課題が大きく離れた、バランスの難しい存在なのだと感じました。だからこそ、私たち一人ひとりが税の意味を理解することが、より良い社会へとつながるのだと思います。
令和6年度中学生の「税についての作文」大阪府知事賞受賞作品
【題名】税金が切り開く未来
【学校名・学年】大阪市立西中学校・3年
【氏名】田畑 奏
今年は高校を受験する年だ。受験勉強にも本腰を入れ始める夏休み、そろそろ私も進路を決めねばならない。ウェブでどんな高校があるのか調べてみると、それぞれ違った校風があり、どこもなかなか楽しそうだ。
そういえば、公立高校と私立高校では入学金や授業料に違いがあり、私立は相当お金がかかってしまうと聞いた覚えがある。そこで、実際にどの程度の差なのか、調べてみた。
私が住む大阪府の場合、公立高校と私立高校の一年次にかかる入学金や授業料の総額は、およそ六十万円の差があることが分かった。また、制服代や教科書代などを合わせると、さらに差は広がるようだ。
そして、更に調べてみると、令和六年度から大阪府では、私立高校と公立高校の授業料無償化が始まるとのことだ。保護者の所得の大小や子供の人数に関係なく、公平に家計の負担がなくなる仕組みである。
授業料自体は公立と私立で差があるのだが、全て無償化され、家族の負担の差はほぼ埋まることになる。その結果、家庭の経済事情で進学希望を諦めることがなくなり、学力さえあればどこの高校にも進学できるのだ。税金を元にした授業料無償化という仕組みによって、私たち高校進学希望者に対する「教育の機会均等」が実現するのは素晴らしいことだ。
私はここに、税金の果たす重要な役割の一つを見出す。憲法には、日本国民は皆健康で文化的な最低限の生活を営む権利を持つという旨が書かれている。社会が発展し、人々の生活が向上していくと、この「最低限の」という意味もレベルアップしていくものなのだろう。そして、税金は大阪府に住む全ての中学生に対して公平に、自分の望む高校で学ぶ上での経済的制約をなくしてくれるのだ。
税金を元に給付される様々な公共サービスは、国民の生活をある意味公平に守ってくれるものだ。火事になれば消防車が駆け付け、事件や事故が起きたら警察が守ってくれる。公園は地域の住民に安らぎの場を与え、公共道路や公共交通機関は人々の生活の足となる。
これらと同じように、高校の授業料無償化は私たち中学生に未来の可能性を与えてくれる。税金を元に授業料をまかなうことで、家庭の環境や経済状況などで私たちの将来が閉ざされることがないように、いわば税金が私たちの未来を切り開いてくれるのだ。
税金と聞くと、「増税には反対だ」「税金をもっと減らすべきだ」と声高に叫ばれることが多い。しかし、その税金を元に、私たち国民の暮らしに必要な様々な公共サービスが私たちの元に与えられることを忘れてはいけない。私たち公立中学校に通う中学生にも、年に一人当たり約百万円の税金が投入されているという。中学生にとって、税金とは決して縁遠いものではない。だから、一人前の大人になった日には、税で与えてもらった希望を恩返しできるような人間になりたい。
令和5年度中学生の「税についての作文」大阪府知事賞受賞作品
【題名】改めて考える税金
【学校名・学年】羽衣学園中学校・3年
【氏名】川合 彩月
私の家の近くに市のコミュニティバスの停留所がある。先日帰宅途中に、バスを待っているお婆さんから話しかけられたことがあった。文字が見えにくいので、次に来るバスの時刻を時刻表で見てほしいと頼まれた。決して多い本数ではなかったが、日中は1時間に数本あり、市内をくまなくまわっている。運賃は一律160円。コミュニティバスどうしの乗り継ぎもできる。民間のバス会社の初乗り運賃よりも安い。このバスがあることでとても助かっているのだとそのお婆さんはありがたそうに言っていた。このバスは私たちの納めた税金で運営されていると知った。私が住む市だけではなく、他の市でも似たようなコミュニティバスが走っているのを見たことがある。調べてみると、市税の都市計画税という税金だそうだ。私は、今まで税金というものを深く考えることがなかった。確かに物を買うときは10%や8%の消費税を支払う。図書館などの公共施設を利用する。そういったことでしか、自分と税金との関わりを感じとることができていなかったのだ。だが、税のありがたみを改めて実感するできごとがあった。
先月、祖母が引っ越しをした。祖母の家の前の道路が拡張されることになり、そのため土地を市に買い取ってもらい、何メートルか下がって家を建て直すことになった。今、前の家を取り壊し中で新しい家ができるまでの一年ほどは、別の賃貸物件に居住する。その立ち退き費用や、新しい家の建築費用、賃貸物件の賃料などの諸費用を賄えるほどのお金が支給された。びっくりするほどの大きな金額で、これらは全て税金で払われていると知った。それはもちろん祖母の家だけではなく、祖母の家の近所一帯が立ち退きの対象になっているので、査定額にバラつきはあるものの、決して安い金額ではないお金がどの家にも支払われていることになる。より良いまちづくりのために、道路を拡張することで人や車の流れが変われば、新しい商店などもでき、まちの発展に繋がるだろう。また、災害時に緊急車両が通りやすくなり、より安心で安全に暮らせるようになる。これこそそのまちに住む人々のためになる税金の使われ方だと思った。
日々のニュースで取り上げられるのは、コロナ禍での布マスクの余剰在庫など、税金の無駄遣いについての事柄が多い。私たちが納める税金は、私たちのために適正に使われてほしいものだ。税金の使われ方は国民の代表である議員が決める。そのためには、私たち一人一人が政治に関心をもち、日々その動向をチェックしていかなければならない。まずは私が18歳になったら、選挙の際には必ず投票に行こうと思う。そして、自分で稼いだお金を納税するようになったら、一層社会との関わりを他人事だとは思わずに自分事として考えていきたい。