平成29年12月委員会会議会議録

更新日:2018年1月22日

大阪府教育委員会会議会議録

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1 会議開催の日時

   平成29年12月21日(木曜日)  午前10時00分 開会

                        午前11時00分 閉会

2 会議の場所

   大阪府公館 大サロン 

3 会議に出席した者

教育長向井 正博
委員竹若 洋三
委員井上 貴弘
委員岩下 由利子
委員良原 惠子
委員岡部 美香
教育監橋本 光能
教育次長中野 伸一
教育センター所長山崎 政範
教育総務企画課長村田 幸正
人権教育企画課長岸本 雅彦
教育振興室長向畦地 昭雄
高等学校課長松田 正也
支援教育課長田中 一人
保健体育課長田中    実
市町村教育室長坂本 暢章
小中学校課長坂本俊哉
地域教育振興課長大野  広
教職員室長河西 陽三
教職員企画課長古田    正
教職員人事課長大武  基

施設財務課長

土佐 泰豊

4 会議に付した案件等

◎ 議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について

◎ 議題2 平成30年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について

5 議事等の要旨

(1) 会議録署名委員の指定

 竹若委員を指定した。

(2) 11月17日の会議録について

 全員異議なく承認した。

(3) 議題の審議等

◎ 議題1 知事からの意見聴取に対する回答の承認について

【議題の趣旨説明(教育総務企画課長)】

地方教育行政の組織及び運営に関する法律第29条の規定により知事から意見を求められた平成29年9月定例府議会に提出された議案について、大阪府教育委員会事務決裁規則第5条に基づき教育長が代決により異議がない旨を回答した。

この代決を、大阪府教育委員会事務決裁規則第7条第2項に基づき承認する件である。

 

   【質疑応答】

(竹若委員)退職金水準の改定ということで、この年度末に退職する方は減額されるということか。

(村田教育総務企画課長)そうである。

 

【採決の結果】

賛成多数により、原案どおり承認した。

(賛成者 向井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、良原委員、岡部委員)

 

◎ 議題2 平成30年度「府立学校に対する指示事項」及び「市町村教育委員会に対する指導・助言事項」について

【議題の趣旨説明(高等学校課長及び小中学校課長)】

標記における「取組みの重点」について、決定する件である。

 

 

 

【質疑応答】

(良原委員)2-38ページの(20)【幼児期の教育の推進】についてだが、アのところに幼稚園だけではなく保育所や認定こども園という文言が入っているので、0歳児からの子どもが入ると思うが、乳幼児期ではなく幼児期であるということについて、もう少し説明いただきたい。

(坂本小中学校課長)平成30年度から全面実施になる幼稚園教育要領の元の記載では、「幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである」ということで始まっており、国・地方公共団体については幼児の健やかな成長に資するということが定められているため、このように表現している。

(井上委員)府立学校に対する指示事項の2-10ページの(12)【働き方改革】のところ、イのノークラブデーで、週1回ノークラブデーを設定するということだが、これは週7日に対して1日ということか。

(松田高等学校課長)そうである。

(井上委員)日曜日も含んで7日のうち、どこか1日休むということか。もう一つ、働き方改革で、長時間勤務と書いてあるが、こういったところには、具体的に何時間以内にしてくださいというような記述をしないのか。つまり、月の労働時間や残業時間は何時間以内を目標とするとか、もう少し個別に目標を伝え、履行してもらわないのか。

(古田教職員企画課長)今回の中教審の中間とりまとめの中で、その点を検討するように指示があるので、今後の検討事項になる。

(井上委員)それは、目標時間数についてか。

(古田教職員企画課長)そうである。

(井上委員)いつまでにどのようにか。

(古田教職員企画課長)中教審の答申を踏まえて、文科省で検討されている。その状況を聞いて、教育監、次長でプロジェクトチームを立ち上げているので、そのプロジェクトチームの中で、国の動きなども見ながら検討していく。

(井上委員)民間の企業など、経団連に加盟している企業では、月の残業や年間の上限など、かなり厳しい縛りがあって、1人でも社内でオーバーした人間が出ると大騒ぎになり、そこにはもう1人配置しようということになるなど、かなりスピード感を持って、働き方改革を行っている。全てが正しいかは分からないが、労働時間をしっかり管理して、プライベートと働いている時間をきちんと分けよう、ということは、民間企業では相当に行われている。教員についても、先ほどノークラブデーについて質問したのもそういう意味で、学校でしっかり指導することは、家庭やプライベートの時間が充実してこそできると思う。国が全体のスケジュールを決める中で、仕方がないかとは思うが、相当にスピード感をもって取り組んでほしい。

(古田教職員企画課長)中教審の緊急提言の中で、教員に勤務時間を意識した働き方をするようにという意見があり、報道によると、1月22日から開催される国会で働き方改革関連法案が議論されることが予定されているが、教特法があるため、教員については適用除外になっている。教職調整額4%の問題があるので、時間外という概念が非常に限定されている中で、教員の勤務時間をどう縮減していくかについては、時間外勤務命令をしていないこともあり、どのように管理していくのかが重要な問題になっている。府では、勤務時間を適正に管理している。出勤退勤を電子で管理しているため、国が求めている勤務時間の把握はできているが、それをどの程度に落とすのかということについては、関連法案、国の議論を踏まえながら検討していかなければならない。

(井上委員)同じイメージではないかもしれないが、私の勤めている会社では映画を作っている。そこの部署では、今までは、社内の映画監督やプロデューサーは、時間など関係なく良いものを作るためということで、例えば、数日間くらい、泊まり込みで睡眠時間も十分に確保せず、撮影を続けるような状態であった。現在では、そういう職種であっても一日の撮影時間は何時間までと、かなり厳格に管理している。もともと、そのようなプロフェッショナルな職業の人には、別の手当てを渡して残業は管理せず、良い作品を作ってもらう、というやり方であったが、現在は、時間のたがをはめて、体力的にも精神的にも健康状態を保ってもらっている。学校の先生だけ除外されているようだが、しっかりと適正な労働時間内で仕事ができるようにしてもらいたい。

(中野教育次長)給与制度等の関係で、時間外勤務の目標の持ち方はいろいろ考えなければならないが、井上委員がおっしゃったように、給与制度とは関係なく、教員の健康管理の面から、きっちり管理しなければならないと思う。学習指導とか、生徒指導とか、教員の中核になる仕事を大事にしていかなければならないが、それ以外のところをどう減らしていくか、というところを検討している。年度内にその方策をまとめて公表しようと考えている。

(井上委員)各論になるが、労働時間を管理していて、一定の時間を超えた月、例えば3か月超えると、必ず医師の診察を受けるなどの制度はあるのか。

(中野教育次長)産業医の面談を受けることになる。ただし課題として、産業医の面談を受けなければならない方が、それを受けないことがあるため、そこを徹底していかなければならない。これは、我々を含めて管理職の責務と思っている。

(井上委員)2-38ページの指導助言事項の重点8の(19)のアの「保護者のエンパワメントを図る」と書いてあるが、普通に読むとあまり意味通じないと思うので、もう少し具体的に、分かり易く書いた方が良いと思う。先生方は、「保護者のエンパワメント」という意味が分かるのか。

(大野地域教育振興課長)教育では、エンパワメントという言葉がよく使われている。確かに一般の保護者向けの文書であれば、そういう意見があるかもしれないが、市町村教委向けの文書なので、そこは分かってもらえると思い記載した。

(井上委員)それでは、「保護者のエンパワメントを図る」とは、日本語で言うとどういうことなのか。

(大野地域教育振興課長)保護者の資質、特に家庭教育に関する部分を更に上げてもらうという意味で記載した。

(井上委員)そう書いたほうが分かりやすくないか。わざわざエンパワメントと書く意味、必要があるのか。

(大野地域教育振興課長)検討する。

(岩下委員)全体的に見ると文章が具体化されてきて、すごく見やすいと思う。校長先生と准校長先生が使うので、その中で一番分かり易くなって、良いと思う。1つ確認したいのが、すごく大事なところだと思うが、府立学校に対する指示事項の2-5の【グローバル人材の育成】、ウの二重線のところ、この「充実を図り」という方が、恐らく平成29年度の文言になっていると思うが、その代わり、最後の「こと」というのが新しいものに入っているので、間違っているのではないか。

(松田高等学校課長)基本的に文章については、すべて文末を「こと」とすることで統一しており、昨年度まで「する」で終わっていたものを「すること」とした。

(岩下委員)そうではなく、ウの一番最初の「充実を図り」というところは、「充実等により」というのを平成30年度の文言にしたいのではないか。逆ではないか。今までのものが「充実を図る」になっている。間違っているのではないか。

(松田高等学校課長)実は、昨年度と文言が変わっていないが、間違ってアンダーラインを引いている。新旧対照表の方では、平成29年度欄に「等により」と書いているが、昨年度も「充実を図り」と書いているので、文言が全く変わっていない。去年の文言を誤って表示しているので、新旧対照表の2-14ページの一番下、昨年度は「理数教育の充実等により」とあるが、昨年度の指示事項では今年と同じで「理数教育の充実を図り」なので、新旧対照表が間違っており、アンダーラインを付けなくてよいところに付けてしまった。その前年度に「等により」という言葉が曖昧だったので、「図り」に変えた。

(岩下委員)「図り」に変えて、そのまま平成30年度も「図り」のままで良いか。

(松田高等学校課長)そうである。申し訳ない。

(岡部委員)【一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援の充実】というのが、府立学校の方は2-6にあり、市町村の方は2-29にあるが、そこで障がいのいろいろな種別であるとか、病弱であるとかは、目配りされているし、在日外国人など、外国にルーツがある人たちについても、人権尊重のところでしっかりと書かれているが、今、大学の再課程認定について、文部科学省からこの文言を入れるように言われているものの中に、「貧困」というのが入っており、特別なニーズの中に「貧困」も入れるようにというメッセージが入っているのが気になっている。特に、高校での貧困というのは、今まで言われてこなかったところであり、これから注目していくようにと言われている。また、小学校の不登校についても、1年生から不登校が続く場合が出てきているということもあり、「貧困」というのがこれから不登校の問題とも絡みつつ、別の特別なニーズとして注目していかなければならない、というのが文科省から出ているが、今回その文字を入れるか入れないかということに関して何か議論があったかどうか、これからどう考えていくか、教えてほしい。

(松田高等学校課長)貧困については2-8ページの(7)【中退・不登校の未然防止】、ここでは関係機関との連携について、スクールカウンセラーの場合には特にメンタルが多いが、特に近年、貧困という家庭状況の中で、福祉関係、あるいは医療関係との連携というのをかなり意識しており、そういう意味で(7)に新しく追加している。貧困や家庭の虐待なども含めて、そういう家庭状況の中で子どもたちにとって厳しくなっているところでの対応という意味では、「貧困」という言葉そのものはこの中には入れていない。

(岡部委員)入れてほしいという強い要望ではないが、今までの不登校の理解では、調査項目でもあまり経済的要因が出てこない形で調査項目を作っていた、というところが文科省の反省としてあるようで、「貧困」というのを敢えて立てていこうという方針を作るという方向性が、結構強く出ている。それを不登校の問題というよりは、特別支援という形で入れていく、というのが再課程認定の方で出ている文書だと私個人としては理解しているので、それを特別なニーズとして先生方すべてが認識するようにもっていくのか、それとも不登校の1つの要因としてもっていくのか、いろいろ考え方があると思うが、これからの課題として、高校としては教育課程を考えていく上で、どちらの方向を採るのかを検討してほしい。

(向井教育長)貧困については、福祉部と連携をし、貧困対策ということで別途事業を実施していくが、ある意味すべてに関わる、大多数に関わるところなので、貧困について、どのように指示事項とか指導助言事項に入れるかは、また考えさせていただきたい。

(岡部委員)もう一件、英語教育について伺う。ついこの間だが、英語教育の専門をという形で、加配を行うという方向性が強く出たかと思う。それを今回入れることはできないとは思うが、今の小学校の先生やこれから先生になる人の英語力を上げていく、という方向で大阪府は進めようと考えているのか、それとも、今の先生にはできる限りの努力をしてもらい、外部人材と協力して英語力を高めていく方向で英語力の充実を図ろうとしているか、どちらの方向で強く考えているのか。

(坂本小中学校課長)指摘いただいたことについては、全国の各都道府県で皆が悩んでおり、学校現場の小学校の先生方の不安は非常に大きく、私たちも非常に大きな課題として認識している。委員がおっしゃった、どちらかだけということはできないと考えている。つい最近もニュースになっていたが、新しい国の加配の概要が示された中で、小学校の先生に英語の専科指導の項目があり、府も加配を少しでも多くもらえるように要求しているところである。新しい加配には、現状案として、英語の免許状であるとか、中学校高校の英語の免許状であるとか、豊かな英語に関する経験などが一定の条件となるだろう。ただ、今、小学校の先生は当然のことながら、英語の専門性を求められた上で小学校の教員になっているわけではないため、何の支援もなく現場が始まるというのは絶対あってはならない。今の活用のあり方など、複数年の計画にはなるが、英語の力をつけてもらうための研修の提供であるとか教材とか、今の先生にもできるだけ支援をと考えている。どちらかが抜けるということはできないと考えている。

(岡部委員)そういった細かいことに関しては、本編とか、別のところに記載するのか。

(坂本小中学校課長)そうである。先ほどの説明で申し上げた2-28の【英語教育の充実】のところで、小学校中学年高学年については、現在の項目であってもかなり細かく記載をしており、そういったメッセージも踏まえているということである。

(松田高等学校課長)先ほどの貧困のことだが、平成29年度の指示事項の「はじめに」のところに、貧困に関わる項目を1つ記載している。教育長からも説明があったが、貧困は中退、不登校、学力、進路、生活すべてに関わってくるので、次の30年度の指示事項についても、「はじめに」の部分に、そのあたりのことをしっかり記載したいと思う。

(竹若委員)2-9ページの【教職員の組織的・継続的な人材育成】のアで「『校長及び教員の資質向上に関する指標』及び『研修計画』(仮称)に基づき」というのは、何か具体的に考えているのか。

(松田高等学校課長)育成協議会において、特に大学での教員養成と、採用教員の育成・研修を連続的に、系統的に行うというのが文科省の教育公務員特例法の趣旨にあり、その協議会を開いて、大学側とも意見交換しているところである。それに基づき、具体的な指標と研修計画を作成し、年度内には指標を含めた研修計画を示すということで、現在、準備している。

(竹若委員)育成協議会というのか。

(松田高等学校課長)教職員育成協議会である。

(竹若委員)大学にあるのか。

(松田高等学校課長)大学と府教育委員会、府都市教育長協議会、市町村教育長の代表、小中高の校長会の代表に集まってもらい、そこで意見交換し、どのような指標どのように設定すべきか、ということを意見いただく。

(向井教育長)少し補足すると、教員の資質向上について、これまで大学は大学での教員養成で終わっていた。府では採用してから、教員を養成する。当然、研修がメインになる。そこを大学、都道府県教育委員会、市町村教育委員会も含めて、教員を養成していくということ、つまり都道府県教育委員会が大学のところまで、ある意味、手を突っ込み、大学も採用のところまで手を突っ込んで、共通認識として研修計画を作るという意図がある。今年度中に各都道府県政令市がこのような研修計画を作り、大学と共有したいと考えている。

(竹若委員)それが平成30年3月作成予定ということか。

(松田高等学校課長)そうである。

(竹若委員)今の説明を聞いて、今までにないことで、特に、教員養成については喜ばしいことと高く評価したい。ただ、願わくは、指標というのが抽象的なことに終わらないように、できるだけ、具体的な指標というか、こういう人材を目指すというのが、できれば皆が理解できるような文言での作成をお願いしたい。それと併せて、教員養成というのは、教員養成大学が実習を行っているが、形式的に終わっている教育実習もこの頃多いと思う。できれば、今の教育長の話を聞いた中で、教育実習まで踏み込んで、どういう実習が必要なのかというのも、考えていただければと思う。

(橋本教育監)竹若委員がおっしゃったことについて、まず、最初の方は15項目にわたって大学で養成すべきこと、教員になってからの新任の時期、中堅の前期、中堅後期、それから、ベテラン期に分けて、それぞれ15項目で具体的に書くようにしている。大学でも、大学の時にこういう資質を身につけてほしいということを具体的に書く作業をしている。教育実習については大学が行うものだが、別途この協議会と別に、例えば大阪府でいうと、大阪教育大学とは包括協定を結んでいるので、個別に大学に意見を言う別の機会もある。まさに先生がおっしゃったような教育実習のあり方についてもいろいろ意見を申し上げているところである。

(竹若委員)全般を見せてもらって、重点項目なので、それぞれの項目にしたがって30年度にこういう重点を置く、というのはよく分かるが、気になるのは、府立学校の【中退・不登校等の未然防止】で、2-8(7)の「府立高校の中途退学・不登校を未然に防止するため、関係機関との連携やスクールカウンセラー等の専門人材の活用を進め」という文言、それから、市町村の方は見た限りだが2-32の「いじめ・暴力行為等の問題行動や不登校に対して、スクールカウンセラー等の専門人材を活用し」といった文言である。どちらかというと、この前、総合教育会議の時に、長吉高校で、エンパワメントスクールをスタートさせて、不登校や遅刻がなくなり、子どもたちの真剣さも以前よりずいぶん良くなったという話があった。こういう問題行動であれ、いじめ、不登校、特に不登校あたりは、学校が子どもたちにとって楽しかったら、学校に行くと思う。だんだんと重点項目、重点項目と迫っていく中で、この大前提が薄れていきはしないかと、心配している。そのため、重点項目をどう謳うかは難しいが、最初の部分であるとか、総括的な話の中で、やはり学校というのは子どもにとって一番魅力のあるものでなくてはならない。しかも一人ひとりの子どもにとって。先ほどの貧困を抱えている子どももそうだろうし、虐待を受ける子どももそうだろうし、いろんな悩みをもった子どももそうである。そうすると、普通、人間の「生きがい」という言葉があるが、それをもじれば、子どもにとって「行きがい」のある学校とはどのような学校なのかというのを、これから求めていかなければならないのではないか。不登校の問題が始まっておおかた20年以上、不登校は減らず、むしろ増えている。何が要因かというとさっぱり分からない。それが、また別の話になるが、教育振興基本計画の大きな部分にそういう大前提を書く必要があるのではと思ったりする。授業が勝負だという話もあるが、子どもは学校へ行って、勉強が分かって、友だちができて、先生が好きになれる、一番単純なことだが、その単純な基本をだんだんと薄めていく感じがする。これを読み、全体的に考えたことである。

(向井教育長)非常に難しい。委員がおっしゃるように、我々も学校で勉強するということを基本的に考えているが、ただやはり学校に行けない児童生徒については、あまり学校に行くということにこだわらずに、例えばフリースクールに行くなど、そういう意見もある。そのあたりについて、結論というのは持っていないが、どちらが良いかなどはケースバイケースで考えて、対応していくべきと考えている。やはり、これまで日本の学校教育において積み重ねてきた歴史もあるし、当然、学校に行くことのメリットは非常に大きいので、そこは学校教育が基本であると考えて対応したい。

(竹若委員)スクールカウンセラーや専門家に怒られるが、一旦不登校になってしまうと、これを戻すことは非常に労力が大きいものがあり、確率が非常に少ない。不登校を生まない学校という観点で専門人材と協働していく、ということに立ち戻らないといけない。

(橋本教育監)そういう観点は、我々はぶれていないつもりである。改めて言うまでもないが、授業が一番で、分かる授業、授業改善が不登校防止の一番根本にある。それと居場所づくり、人間関係も含めて、そこが根本にあるというのはぶれてはいないが、発信の方法も考える。

(良原委員)私もスクールカウンセラーでありながら、やはり「スクール」の「カウンセラー」は学校に来てもらう、学校に行く、そのための魅力ある学校を作ることを一番に大切に考えている。その一方で、2-8ページ(7)のオのところで「信頼関係を保ちながら、再び登校できるように」という「登校」だけではやはり厳しいと思う。登校を目指すことと同時に、教育の社会全体との関わりを考え、子どもを社会につなげていくという役割もある。教育長がおっしゃったように、フリースクールなどもある時代なので、学校に来ることだけが教育ではなくて、学校に在籍している以上、社会につなげるという意味で、社会への関わりを支援するという視点がもっと入ると良いと考えている。

(松田高等学校課長)本編も含めて、考えていく。

(井上委員)府立学校の指示事項の2-9ページの「教員の資質向上」に関して、労働環境というか職場環境の改善の1つの策として、働き方改革ということと、これは民間企業においてだが、もう一つはハラスメントの防止というのを、かなり躍起になって行っている。パワーハラスメントの研修、例えばこういう行動はいけませんよとか、セクシャルハラスメントについても、異性間だけでなく、同性間でもこういうことはだめですよと、全社的に全員が研修を受けるなどしている。しかし、ここで書かれている (10)のセクハラの防止は、先生の生徒に対するセクハラ防止だと思う。(9)の組織的な人材育成というのは、先生の同僚間、上司部下の関係のところで、学校組織の問題にも関わってくるので、そういったハラスメント防止についてもここに触れるべきだと思う。大きなテーマは働き改革ということで、労働時間の仕組み、労働環境の改善であり、もう一つはハラスメントの防止、パワーハラスメント、セクシャルハラスメントの防止をここのどこかに入るべきではないかと思ったので、入れていただければと思う。

(橋本教育監)本編にはあるので、そこの記載との兼ね合いは少し考える。

(井上委員)それともう一つ、細かいところだが、市町村の指導助言の2-33ページの重点4「健やかな体のはぐくみ」の(10)の「子どもの体力・運動能力は改善傾向にあるものの、依然として下位段階」とある。全国の下位段階というのは、先生方はわかるのか。

(田中保健体育課長)体力テストでは、合計点数が何点と出るようになっている。それを点数ごとにAからEの5段階で評価をすることとなっているため、学校の先生方にとってはわかる形になっている。

(井上委員)下位というのは。

(田中保健体育課長)「依然として下位」というのは、DEのことで、例えば小学校5年生の男子だと全国では昨年DEの子どもたちは29.7%だったのが、大阪では35.1%、これを何とかしようという意味である。

(井上委員)先生も下位段階という全国平均で、低い子どもの割合が高いというのが分かるということか。

(田中保健体育課長)先生も分かる。

(向井教育長)その下に、カッコ書きで見にくいが、上に「全国体力・運動能力、運動習慣等調査 文科省」と書いてあり、この数値についてである。

 

 

【採決の結果】

委員の意見を踏まえた修正を事務局に一任し、その他の箇所については原案どおりとすることを、賛成多数により決定した。

(賛成者 向井教育長、竹若委員、井上委員、岩下委員、良原委員、岡部委員)

 

 

 

 

◎ その他 三島高校の損害賠償請求訴訟について

 

(向井教育長)予定していた議題については以上であるが、先日、大阪高裁の判決があった三島高校の訴訟事案、器械体操部の練習中の事故に係る損害賠償請求事案について事務局から報告する。

(松田高等学校課長)既に報道されているが、先日12月15日に、府立三島高等学校損害賠償請求訴訟の控訴審判決があったので、その対応について説明する。この事案は、平成22年4月に府立三島高等学校の器械体操部の活動において、生徒が鉄棒の演技の練習中に鉄棒からマット上に落下し、負傷したものである。卒業後の平成25年2月18日に、当該生徒等が大阪地裁に損害賠償請求の訴訟を提起した。府としては、「外部コーチは適切な指導を行っており、注意義務違反といったことはなく、コーチの指導に過失はない」と主張してきた。今から1年半前の平成28年6月28日、一審の大阪地裁においては、府の主張が全面的に認められ、生徒の請求が棄却となった。しかし、二審の大阪高裁においては、府に過失責任があるということで、府に対し損害賠償金の支払いを求めて、遅延損害金も含めて約2億7400万円という判決が出された。この判決内容を精査した結果、府としては、控訴審判決を受け入れるという判断をした。理由としては、当該生徒の障がいが非常に重く、事故からすでに7年が経過しており、経済的・心理的な負担が続いている中で、これ以上係争を継続するということは避けたいということ、また、技術指導における過失がどうかということについては、二審でこういう判決が出たので、上告したとしても、府に一切の過失がないという判断が出るのかについては、非常に期待しにくいのではないかということもあり、損害賠償金を支払うという控訴審判決を受け入れるということにした。府立高校への影響は、現在28校の府立高校で体操部が活動している状況であるが、こういった事故が二度と起こらないようにということで、至急に、来週12月25日に体操部の顧問を集め、今回の事案が具体的にどういう事故であって、控訴審で指摘された安全配慮が、何が過失であったかについて説明し、冬休みの活動からしっかりと安全が確保される形で指導できるように、私立も含めて呼びかけて説明会を行いたいと思う。一方で、今後の体操部の活動についての安全配慮について、保健体育課と大阪高等学校体育連盟体操専門部で協議し、指導における危険の回避方法等を示した「指針」を作成したいと考えている。2月末を目標としているが、これに基づいた指導を行うように、全府立高校へ周知してもらいたいと、また、私立高校に対しても示していきたいと考えている。

 

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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