第1回大阪府教育振興基本計画審議会 議事概要

更新日:平成31年4月9日

日時

平成24年11月9日(金曜日) 午前9時30分から午後0時10分

場所

ホテルプリムローズ大阪 高砂

出席委員

梶田会長、森田会長職務代理、小田委員、神谷委員、山本(晋)委員

議事概要

1.開会

(事務局)

 ・5名の委員の出席があり、会議が有効に成立していることを報告。

 ・11月1日付で委員委嘱を行い、委員の互選により、梶田委員が会長に選任されたことを報告。

 ・本審議会の部会として、「府立高等学校の将来像検討専門部会」を設置したことを報告。

(中西教育長)

 委員の先生方、ゲストスピーカーとしてお越しくださった皆様、お忙しい中、早朝からお集まりいただき、ありがとうございます。

 附属機関として設置されたことにより名称が変わり、審議会としては第1回ということになるが、前回の8月22日以降の状況としては、8月24日に知事と教育委員と意見交換を行い、先生方にご議論いただいた内容を「中間まとめ」として整理をし、9月府議会に臨んだ。

 9月府議会では、本会議から教育常任委員会を通して、議員から非常にたくさんのご質問をいただいた。特に、今議会はこの計画をはじめとして、いじめの問題や教育2条例の具体化など教育への関心が非常に高い中で、私自身もこれまでにないほど多くの答弁をさせていただいた。そうした議論を通じて、この計画については、大きな異論もなく、ほぼコンセンサスが形成されてきたのではないかという感触を持っている。

 今日は、この計画を広く社会的なコンセンサスが得られるものにしていくため、関係団体からのヒアリングということでご意見を頂戴したいと考えている。そのうえで、成案化に向けて作業を進めていくということで、この後も非常に厳しいハードなスケジュールになるが、よろしくお願いしたい。

 

2.審議

(1)「大阪府教育振興基本計画の策定に向けた中間まとめ」に関する関係団体からのヒアリングについて

(会長)

 まず、会長の職務代理として森田委員を指名したいと思うので、よろしくお願いしたい。

 本日は、「中間まとめ」に対して関係先の方々からご意見をうかがって協議をしたいということで、ゲストスピーカーとして関係の団体から代表して来ていただいている。10分程度でご発表いただいた後、15分程度で委員の皆さんと質疑という形で進めていきたい。

 

【公立小・中学校】

<竹若会長>

 大阪府都市教育長協議会の会長をしております、寝屋川市教育長の竹若です。

 昨日、全国の都市教の理事会があって国の教育振興基本計画の審議経過が示されたが、その際、「明日、こういう会議がある」ということを情報交換していたところ、大阪の教育は全国から注目を浴びており、「また、情報があったら教えてほしい」と言われた。

 この「中間まとめ」では、市町村に関係する部分は非常に幅が広く、項目で言うと1,4,5,6,8,9に関係があるが、10分という時間が制約された中で、項目1の「小中学校の教育力の向上」に焦点を絞って、話をさせていただきたいと思っている。

 15ページの「重点的取組みとその方向性」について、一通り見せていただいたが、ほとんどが今すでに実施しているもので、その中で充実させていこう、発展させていこうという意図が伝わってくるけれども、2つ目の「これからの社会で求められる確かな学力のはぐくみ」というところで、全国学力・学習状況調査等で大阪の子どもたちの実態が浮かび上がってきている。要因は様々あるとは思うが。この調査に焦点を絞って話をさせていただくと、学力に対する考え方も様々あるけれども、特に国の方で知識基盤社会の到来ということで、ここにも書いているが、抽象的な感じがしていて、基礎・基本の確実な定着と活用の力というものの、具体的にどういうものを求めているのか、少し分かりにくい。

 大阪が30年40年にわたり、本当に学力というものを求めながら具体的なことができていたのか、反省も含めてお話させていただくけれども、教科の研究会というものがありながら、ほとんど機能していない。7つのブロックがあるけれども、各ブロックがバラバラ、各市がバラバラで、言い過ぎかもしれないが、そういう状況。ところが、例えば秋田や福井とか、実際私も行って学んできたけれども、そこにはやはり学力にかかわっての継続した調査、研究そして授業づくりがなされている。学力はすぐには上がらないけれども、やはり30年40年かけて積み上げていくもので、そういった観点で、この「これからの社会で求められる確かな学力のはぐくみ」には、そういったものに向けた組織作りなり、人材育成なり、そして支援策というもの、盛り込むべきではないかと思う。

 特に、福井の体力の問題で言うと、小学校の体育の担当者に誰がなろうとも、毎年年2回一同に集まって自分の学校の状況のデータを示し、改善策を討議し、それを持ち帰る。それを継続して50年やったんだと。そこには他府県に見られないすばらしいものがある。同じように、これからの大阪の子どもの学力・体力、そして豊かな心をはぐくもうとしたときに、大阪府教育委員会を中心として市町村の教育委員会と学校現場との研究会の組織をぜひここで取り入れていただけたらと思っている。

 特に英語教育の充実という中で、昨年から小学校の5・6年生で外国語活動が始まった。学校現場はそれなりに努力していると思うけれども、では、大阪の子どもたちにどんな英語の力を求めていくのかなと考えたときに、高々とアドバルーンを上げることの是非は別として、大阪でここまで子どもたちに英語の力をつけたいという目標というか、指標というものをぜひ盛り込んでいくべきではないかと思う。

 まだまだあるけれども、とりあえず、これで終わらせていただく。

(会長)

 実際に小中学校を設置しておられる市町村からというお立場で伺った。委員の皆さんからもう少しこの辺をということや、あるいは伺ってみたいという事などあれば。

(委員)

 研究会そのものは府内にもずいぶんあると思うが、それがあまり機能していないということか。会合の頻度が低いとか、組織そのものがあまり動いていないとか。

<竹若会長>

 機能しているところもあれば、していないところもあるだろうと思うけれども、恥をさらすようだが、目標・目的がない。ただ単に集まってやっているだけ。特に話したいのは、例えば、大阪の子どもたちに求める学力がどんなものなのかと討議した時に、じゃあ、授業づくりはどうなのか、共有化されていない。つまり、授業そのものが共有化されていないために、個々の先生方の思いで授業されている、これが現状。その点では、秋田では40年前の学力テストでは正答率の平均値が70%のところから20数%のところまであって、同じ秋田の税金を使いながら、なぜこれだけ差があるのかというところから始まったのが調査研究。担当者が県内で16名いるが、その担当者が算数・数学の授業なら全ての県内を回って共有している。授業スタイルそのものを見せてもらったが、見事なものだった。そこまでできるかどうかは別として、やっぱりそういう組織作りが大事ではないかと思う。

(委員)

 組織作りという事を考えたときに、単に、「あなたはこの研究会に入ってくださいね」ということではなくて、組織を引っ張っていくリーダーを育成するということが必要だと考えるがどうか。

<竹若会長>

 たしかにその通りだと思うが、目標自体を、例えば、学校長が「自分の学校のその教科をあなたに託したい。ぜひ、行ってください。そして「おみやげ」を持って帰ってきてください」というような形で、現に少しずつやっているけれど、先進市に行って、帰ってきてから市に広げる、そのように目標を持ってやれば可能だと思う。

(委員)

 全然違う観点になるが、グローバル人材と言われるときに、日本の伝統文化というものもしっかり教えなければいけないということで、その一環で今年から中学校に武道が取り入れられたが実際に現場の方はどういう感じなのか。心配しているのは、教える人がいないというころで急きょ先生方も色々トレーニングされたと思うが、子どもたちもたたき合いや投げ合いを楽しむのではなく、本当に教えてほしいのは「心」であり、人をいたわるとか、心の痛みが分かる人間を養成するために取り入れられたと思うので、そういうところにも気を配ってほしいと思っている。

<竹若会長>

 武道もスタートしたばかりでそれぞれの学校では非常に苦労しているのが事実だが、体育科の教諭が中心となって、自分が不得手である武道であっても、研修を盛んに行っている。その中で、今おっしゃったような点は、先日、女子の体育の剣道の授業で、体育館で正座ができない、痛い痛いと言いながら正座をし、礼はこうするんだと話をしていた。そこに、武道と言われる良さを少しずつではあるけれども持ち出しながらやっているのが現状。

 ただ、マスコミ等で柔道のけがの問題が多く取り上げられているが、ほとんどの中学校での武道の柔道は、立ち技を使わずに、寝技を中心としてやっているので、その点はマスコミが騒ぎすぎているのかなという思いがある。

(委員)

 教科の研究会等の組織を作り、ある意味ではその学力向上の基礎となる授業研究、教科研究というものを進めていく必要があるというのは、本当に同感。そのための一つの大事な視点としての授業づくりというのはまさに必要なことであり、授業づくりをどのように進めていくかというのは、教員側としての一つの大きな課題になるんじゃないかなと。その前に、実は落ち着いたクラスと安心できるクラスづくりに力を入れなければ、わかる授業に入って行かない、そういう現状をいろいろな現場を回って思っている。

 そして、このわかる授業とか、授業におけるユニバーサルデザインという全ての子どもたちにとってわかりやすくするためには、大阪府が大切にしている多様な学びの環境を提供していくという観点を踏まえ、習熟度だけでなく認知特性に応じた支援、様々な教科特性や認知特性に応じた授業づくりというものを全国に先駆けてやっていただけると、本当に学力向上の手段としての授業づくりというものが大きな意味を持ってくるのではないかと思う。また、授業づくりに重点を置いていく視点として、小学校2年生の授業が一番大きなポイントになるかと思っている。2年生がわからなければ3年生以上がわからない。そこに重点をあてた研究授業と、先ほど申し上げた、認知特性とかみ合わせたそういう取組みができていけばいいなと思っている。

<竹若会長>

 おっしゃる通りで、大阪の教育が今まで培ってきた、子ども同士が学びあうという、これを根幹において授業づくりを進めるべきだろうと。そこには、力の差があれ、思いの差があれ、子ども同士がお互いに高めあうという事が一番大事ではないかなと思ったりしていたが、その点、今、大阪府内の学校、小学校はずいぶん様変わりをしてきていて、授業づくりが進んできている。ところが、残念ながら中学校は、まだまだそこまでいかない。そこには子どもたちの状況を見て、そういう授業づくりに踏み込めない現状があるのだろうと思うが、私は、これから子どもを自立させていくときに、子ども同士がお互いに支えあうということを、どの教員も共有すれば可能だと思っている。

 少し寝屋川の現状を申し上げると、毎年、小学校1年生から中学校3年生まで学習到達度調査をさせている。1年生2年生ときて、3年生4年生で変化が出てくる。5年生になった時に、4年生のクラスに分解したデータを出すと、見事に、担任の指導力の差が生まれてくる。そういう意味でも申し上げたのは、子どもは互いに学びあうという事を土台にしながら、授業づくりというものが学校だけでなく、市内・府域で共有できれば子どもたちの学力も向上すると思うし、何よりも学習活動を通して、コミュニケーションがとれる。今私どもが小学校でさかんに口を酸っぱくして言っている小学校の生徒指導、学級経営、その根幹がうまくいけば授業づくりもうまくいくということ。

(委員)

 竹若会長のご意見にまさに同感する。研究会は目標・目的が少し見えにくくなっているという傾向があるなと私も思う。しかし、同時に多様な研究会があるという事も大事なことで、そのバランスというか、うまく保てるようにこれから活性化していくことが大切かなと思った。最低限の質を確保する研究と、より多様なより高い質を確保する研究とまた少し違うものがあるかと思う。両方伸ばしていけるようにやっていくことを望みたい。

 また、英語教育も非常に重要なテーマだが、英語を話すという事に力をいれるときには、非常に難しいところがあるけれど、やはりメッセージを持つ人という事が基本になる。言葉の力を持つという中での英語という、自分の考えを持って語れる人というのが、順番はともかくとして、まず求められることで、その上で英語でできたらものすごくいいと、私も思う。ハローとかグッバイだけではなくて、もう少し中身のあることを言えるようにならないといけない。そこのところのバランスというのも、実はこれから非常に重要なところじゃないかなと思った。

<竹若会長>

 実は私も英語全然しゃべれないもので、せめて子どもたちにという思いでスタートした。府教育委員会に特にお願いしたい支援は、市町村が英語教育を進めるときに、学校の教員だけに求めてもこれはもうしんどい。寝屋川市も小学校から英語をやるために特区をとってやった。「英語教育」と呼んでしまうと「教員の免許がない」と言われるので、「国際コミュニケーション科」という名前を勝手につけて。これだと免許がいらないので、日本人で英語の堪能な方、例えばTOEICが800点以上とか、英検が準2級以上の方とかを公募して、小学校2校に1人配置したのだが、これが当たった。ただ、その方に授業してもらうと教員は育たないので、あくまでも支援者ということでやったが、1日8,000円という単価で、おかげさまで小学校の英語というかコミュニケーションを中心とした英語活動、支援者のおかげで教員が育ってきた。そこで、支援という具体的なことまで入れられるかどうかわからないが、ぜひお考えいただけたらと。

(会長)

 小中学校の教育力の充実を中心にいろいろとご意見をいただいた。

 たしかに15ページのところはもう少し具体的にした方がいいのかなと思いながら、伺っていた。この点、大事なところで、いつも申し上げているが、昭和30年代の全国学力テストの頃は、大阪の子どもたちは全国でトップレベル。ところが今や、全国学力・学習状況調査では最低を高知と沖縄と大阪で争っている。これは、本当のこと変な話。沖縄なんかはすごく追い上げて追い上げて、すごく差があったのをここまで来た。高知もそう。逆に今お話があった秋田とか福井、これは昭和30年代あまりぱっとせず、東北はすごく悪かった。ところが今やトップレベルになっている。なぜなのか。今ご指摘いただいた授業力の問題、研究会活動のカリキュラムや教材の研究も含めて、この辺りは私も不可欠だと思っている。もう少し具体的に書き込めるかなと思うので、またご指摘等よろしくお願いしたい。

 

【保護者】

<大井会長>

 大阪府PTA協議会会長の大井です。

 中間まとめを見せていただき、私の感じたことを含めてお話しさせていただこうと思う。全般的な話だが、この中間報告については、「中間」が取れて、その後どう進められ、どのような形で学校の現場に降りて行くのかが見えない。私は民間の企業に勤めているので、こういった計画は、これはいつまでにやろう、こちらはいつまでにやろうという達成年度というのを決めて取り組むが、この中にはそういった記載はなかったように思う。あと一つ、会社勤めの人間がいつも言われるのは、その目標を達成するのに予算をどうするのかということ。その点に関しても、これからそれぞれのシステム設定の中で予算確保ということになっていくのかとは思うが、その点に関しても全然記載がないなと思った。

 余談になるが、中1の私の娘に「5分でいいから。」と、中間まとめを読ませたところ、「何でここに書いていることが分かっているなら、今までにやらなかったの?」という言葉が返ってきた。そんな感想を聞いてここへ来た。

 大阪府PTA協議会というのは小学校、中学校のPTAの集まりなので、そちらの視点でお話をさせていただこうと思う。

 「大阪の教育を取り巻く状況」の中で、教育行政基本条例、府立学校条例の制定と教育における地方分権の推進ということが書かれている。全ての小中学校が市町村の教育委員会なりPTAで運営されていることになるのだが、教育行政基本条例の中で、第9条の「府費負担教職員の資質及び能力の向上等」や、第10条の「府費負担教職員の任命権の移譲」といったことが書かれているが、これらが府から各市町村にどういった形で降りて行くのかが全く分からないと感じている。

 続いて、違う点になるが、「大阪の教育が目指すもの(基本的な目標)」の中で、「教育振興の目標」として、「全ての子どもの学びの支援」に「置かれている環境にかかわらず一人ひとりの子どもが社会での自立に必要な知識・能力を身につけられるよう、全ての子どもに対する公平な学習機会を確保」と書かれている。もうひとつ言えば、現状分析の中で「低所得層の増加が著しく、低所得層の大学進学が少ない状況である」とも分析されている。こういう言い方はまずいのかもしれないが、親の収入が低いと子どもの学力が低いというのは現実にあること。今日も家を出る前に子どもと話したのだが、授業をしていてもまともに聞いている子どもは少なく、ある意味、学級崩壊という状況になっているのかもしれない。そういった中で子どもに学力をつけさせるために、ほとんどの子を塾に行かせているというのが実態。塾に行っていない子はどうかと聞くと、親御さんの収入が少ないから塾に行けないということも聞いているし、親同士の間でも話している。義務教育という枠の中でどこを目標として教育するのかは難しいと思う。1)最低限のことを全ての子どもに教育するのか、2)大阪府が目指そうとしている高学力を身につけさせるために教育するのかは、相反するものであって、これらを1つの言葉の中まとめていくのは非常に難しいのではないかと感じた。

 同じく、「大阪の教育が目指すもの」の「教育の最前線である学校現場の活性化」の中で「保護者、住民をはじめとした社会のニーズを教育に反映させるため、積極的な情報提供をはじめ、開かれた学校づくりを推進」という記載があった。現実に、大阪府ではコミュニティスクールは導入されておらず、京都市が、一番導入が進んでいると聞いているが、大阪府の場合は各市町村が、それぞれの力の中で教育を行っている中で、京都市のように大阪府全域に広げるのは難しいのではないかと思う。できるかどうかは分からないが、海外で、学校運営組織に校長先生を含めた先生方も参加し、その学校の運営を1年単位、2年単位で決めているような国があるということも聞いている。最終的にそういったこともしなければ、保護者のニーズ、社会のニーズを取り入れるのは難しいのではないかと思う。

 あと、「教員の資質向上」のところで、「教員の大量退職、大量採用に伴う教員の資質・能力の向上に向けた取組みの推進」とあり、「がんばった教員がより報われる仕組みづくり」と記載されている。現場の先生方は本当に頑張っておられる。その中でも、特に大阪の先生には非正規の方が多かったのではないかと思う。働く側からすれば身分が不安定。そういった要素を取り除きながら、今進められている評価システムの中で正しい評価ができるような取組みも必要なのではないかと思う。

<峯会長>

 大阪府立支援学校PTA協議会会長の峯です。皆さんの参考になるか分からないが、今日は、これまでのPTA活動の経験の中で感じたことをお伝えさせていただきたい。

 支援学校は、知的障がい、肢体不自由、視覚、聴覚、病弱という種別の学校があるが、大阪府で一番多いのは知的障がいということになるので、今日は知的障がいを中心に、4項目についてお話をさせていただく。

 まず、学校における教育内容について。大阪府では職業教育の推進ということで子どもたちに専門的な職を身に付けさせようということで取組みを進めている。ただ、それが高等部から始まっており、初めて手に取った、初めて勉強したという職種はキャリア教育として取組んでも全く身に付かないものになっている。以前に、手に職を付けるためには、まず小学校から職業に関わる教育をするべきではないかと提案した。将来に向けて色々な技能を身につけるために、小学部から職業に関わる経験を積めるよう、授業の中に取り込んでほしい。そして、将来、就労に結び付きやすいような教育を希望する。

 次に、行政の役割について。行政はこれまでの概念を破り、仕事を与えられるような仕組みを考えてほしい。どんな仕事ができると思われるかを保護者とともに考えてほしい。そして、小学部のころから段階的に教えていくことが大切だと思う。働くこと、ものづくりをすることで税金を納められる人に育てていくということが我々の願い。保護者の中には、どうしても我々は税金で助けていただいているという思いがある。少しでも働ける人を育てていただいて、税金を納めてもらうというのが教育の一番大事なところだと思っている。

 続いて、道徳の向上と人間的な成長について。自分が障がい者だという権利意識を持っている子どももいるし、保護者の中でもわが子は障がい者だということを前に出している場合がある。そうではなく、親も子も他人を思いやる気持ちなど、人間的な成長ができるように学校教育でも道徳を教育してもらいたい。我々が小さい頃も道徳の時間というものがあり、その中で先生に心にしみるような話をしていただいた。学校教育の中で道徳の話もしていただきたい。そのためには家庭との連携・協力も必須だと思う。

 もうひとつ、保護者の意識の向上が必要。支援学校教育には保護者の気持ちというものが必要。保護者の意識の向上というのは、わが子だけでなく、他人の子どももともに社会の子どもとして育てていかなければならないということで、わが子がより良い成長をするためには周りの子どもとの協調が必要だし、「ともに学び、ともに育つ」ように保護者自身の意識の向上が望まれるということ。地域の中学校のPTA会長から聞いた話だが、小学校の間は支援学級に通う子どものお母さんもPTA活動に熱心に参加されたが、2年、3年と上がっていくと変わってくる。3年生ぐらいを境にPTAにも参加されなくなってくる。そういう状況なので、地域の支援学級の状況がPTAには伝わっていないのではないか。さまざまな問題があるが、地域の学校の支援学級に通っている子どもの保護者との会話も必要になってくると思う。途中から支援学校に来る子は、周囲の理解不足などで編入されて来られる。

 学校教育においては、保護者と学校の連携が必要になる。これは先生の問題ではあるが、保護者が先生に「おはようございます」と挨拶をしても、忙しいのか先生から返答がないことがある。校長先生が率先して挨拶をしているにもかかわらず、先生がなぜ挨拶をしないのか。道徳の話にもつながるが、子どもたちを指導しているのは先生たちなのに、そのようなことでは先生の言うことを子どもたちは聞かなくなってしまうのではないか。そのような中で本当に教育を推進することができるのかと思う。ぜひ改善してほしい。

 今後は地域の支援学級のPTAの皆さんや先生方ともつながりを持っていきたい。支援学校は一歩一歩、歩き出したところ。今日の話も学校に持ち帰って保護者の皆さんと協議していきたいと思う。

(会長)

 ありがとうございました。今、保護者の側から見たご指摘をいくつかいただいた。委員の皆さんからご質問、ご意見はありますか。

(委員)

 大井会長からご指摘のあった、この計画の具体的な実施プロセスはどうかとか、達成目標はどうなっているのかという指摘については、全くおっしゃる通りだと思うが、教育振興基本計画についてはかなり幅広い議論を行っているので、それを具体化するプロセスはまた別途議論していく必要があるのかなと思っている。極めて多面的な議論をしているということをご理解いただきたいと思う。

<大井会長>

 幅広く多面的な議論をしているということは理解できるのだが、個々のプロセスあるいはシステム化する時に、「これは早くやらないと」というものが明らかでなければ「もう遅いよ」ということになって、この報告の意味がなくなるのではないかなというところが気になった。(会長)

 教育振興基本計画は、教育基本法の改正で位置づけられたもので、国の場合は10年の計画の中で当面5年間どういう方向を目指すかということを教育振興基本計画に位置付けることになる。それに基づいて、今年度は何をどうする、お金をどうするという年次計画を、別に作るということになっている。府の計画も同じようになる。おっしゃるとおり、この「中間まとめ」のままでは具体的な仕事が動くはずはない。しかし、方向付けはきっちり行わなければならないということ。

(委員)

 大井会長のお子さんの感想は、まさにその通りだと思う。実施することを決めたらすぐにするというのが大切。

 峯会長のご意見についても、我々受け入れる企業の側としても、社会に出て初めてコミュニケーションをするのではなく、学校にいる間から周りのみんなと一緒に訓練していくべきだと思う。

<峯会長>

 先ほど言い忘れたのだが、うちの学校で保護者にアンケートをした。小学部の1年生から高等部まで全ての保護者に対して、将来自分の子どもにどのような仕事ができると考えるか、という内容でアンケートを行った。私は、子どもは親や親族の仕事に関わる場合が7、8割だと思っている。親が仕事を教えれば、子どももできるようになるのではないかと思う。70件ほど返って来たアンケートの回答の中でも造園関係、農業関係という答えが多かった。

 障がいのある子どもにとっては、健常者と一緒に仕事ができるのかということも問題。大阪ではインクルーシブ教育が進んでいるといわれているが、私は全然進んでいないと思っている。インクルーシブ教育を行うためには、各市町村の教育委員会がしっかりしてもらわなければならない。小学校では、校長先生が障がいのある子を受け入れるかどうかを決めていて、受け入れてもらえない場合に府立の支援学校に行くことになると思うのだが、障がいのある子どもが小学校に入る時に、地域の学校に行きたいなと思っても、校長先生にうちでは対応できる教師がいないなどと言われると、結果的に支援学校に行くことになる。健常者と一緒に仕事をしていくためには、まず市町村の教育現場を改めていただき、例えば府立の支援学校がなくなるような形で、地域の学校で育っていくようなインクルーシブにしていく必要があると思う。地域で教育を受けるのが難しい状態では健常者と一緒に仕事をしていくのはなかなか難しいと思う。

(委員)

 お二人が共通しておっしゃっているのは、保護者と教員、学校と家庭との連携をどのように進めていくかということだと思う。ここがうまくいかないことで、教育内容、教育方法にも影響を与えてしまう。もちろん、進路指導にも影響を与えるということだと思う。そういった意味で、連動していくということだと思うが、実際には、連動というところからどんどん離れてしまっている現状の中で、先生方も止まってしまっているという状況があるのではないかと思う。いかにうまく連動して1つの方向を向いてやっていけるかということを双方から考えていかなければならないことだと思う。

 峯会長がおっしゃったように、キャリア教育という点に関しては大事なところで、高等部から中学部のキャリア教育がどうあるべきか、また小学部の教育がどうあるべきか、高・中・小という流れで見ていくことの大切さについては我々も感じているところ。ただ、小学部での取組みの内容がキャリア教育の視点で十分説明できる側面があるものと思っている。しかし、そこにも、保護者との意見の違いによって、子どもに力があっても就労に繋がりにくいというケースがあるのではないか。いずれにしてもキャリア教育をどのようにとらえ、例えば小学部では職そのものを身に付けることを目指すのか、職を付けるための基礎を身に付けるのかということを考えて研究していく必要がある。

 道徳のお話についても非常に感銘を受けた。大きくは自己理解ということだと思う。社会が、周りが変わっていくという側面と、本人自身の力を付けるという自己理解という側面の両方に関して大事なことだと改めて感じた。

 保護者の意識の向上に関しては、その意識の差が様々な取組みに表れてくる。PTAの研修をしても、本当に聞いていただきたい方が来ないという現状もあり、問題解決に向けて進めていくことが難しいことがあると思う。保護者と教員が共通理解し、同じ方向を向いて取り組んでいくことが子どもの教育の充実に不可欠なことであるという認識を一層持ってほしいと思っている。

 インクルーシブ教育が進んでいくと支援学校がなくなっていくということであったが、多様なニーズの中で教育を行っていく場合、支援学校の方が教育内容として専門的で適切な教育を提供できるという点で、支援学校は選択肢の一つとして、必ず必要だと思う。インクルーシブとは全ての子どもが地域の小中学校に行くということではなく、多様な学びの選択肢がある中でのインクルーシブということを踏まえていかなければならないと思う。

<峯会長>

 各市町村の教育委員会との対話はやはり必要。今後、政令市・中核市が変わってくると支援学校の子どもたちの立場も変わってくるのではないかと思っている。その心配があるので、各市の障がい福祉課も回って、今後の子どもたちの福祉の話を聞いたりもしている。政令市・中核市が府よりも力を持ってしまって、なかなか思うように動かないかということもあると思うので、そうした市町村の教育委員会とも連携を深めていかなければならないと思っている。

(委員)

 新しい学校教育、未来の学校教育というのは、保護者や住民の皆さんと力を合わせていかなければならないと思っており、非常に示唆的なお話だったと思う。

 大井会長からの「中間まとめ」の記載の内容がやや保護者に伝わりにくいという点については、確かにそういうところはあるなと思って聞いていた。どういう問題と格闘してこういう方針が出たのか、何をしようとしているのかというところが分かるようにもう少し記載に工夫があってもいいのかなと思う。例えば、収入と学力のお話があったが、これは大阪だけの話ではなく、世界的なテーマだと思う。学校がそういう格差を広げてしまっているのではないかという心配はどこの国もしているし、そうならないようにしなければならないという流れの中でこういう方向が出てきている。

 日本の場合は、OECDのデータを見たところによると、学校でその差がずいぶんと吸収されている。学校がチャンスを平等に振り分ける国だということになっている。しかし、今、教育が学力を上げていこうという方向で進んでいる中で、このまま何もしなければ、恐らく格差が広がっていってしまうだろうし、そうならないようにするために、大阪ではこういう取組みをしているのだということが保護者の方に分かるようにしなければならない。このまとめの中だけでできることではないのかもしれないが、保護者と力を合わせて進めていこうとしているのであれば、そういう努力も必要だと思う。

 それから、峯会長がおっしゃっていた「税金を納められるような人にしたい」という願いは、本当によく分かる。教育振興基本計画も、そのような課題も含めての計画なんだということをまだまだ説明しなければならないところがあるなということも感じた。

 教員の質の向上についても、大阪は非常に難しい問題と格闘していて、新しい時代の新しい教育を創らなければならない時に、大阪は全国に先駆けて教員の入れ替わりが非常に激しくなっている現状がある。このように、全国に先駆けて、特殊というか、どの府県からも学べない問題を抱えている大阪府として、私たちは教員の質の確保をこのように考えているんだというぐらいの説明があると、やろうとしていることが伝わりやすいのではないだろうか。つまり、府民や保護者など、必ずしも教育の専門家ではない人たちにも伝わりやすいのではないだろうか。そのあたりのロジックも工夫していく必要があるように感じた。

<大井会長>

 私どもの会合で、単純にこの中間まとめについて「知っていますか、知りませんか」というアンケートを行い、回答してくれた40名のうち、知っていたのは6名だけ。ホームページにアップされていることも全く知らないという状況を、何らかの形で解決していただかなければいけないのではないかと思う。

(会長)

 今、お二人から保護者のお立場から中間まとめに対するご指摘をいただいた。これを受けて、検討すべきところは検討していかなければいけないと思う。

 私は保護者の立場ではなくなったが、同じ町内に孫がおり、おじいちゃんおばあちゃんの立場で小学校に行事などで行っている。学校も頑張っておられるが、やはり注文したいこともあって、うまく学校で受け止めていただける仕組みができればいいなと思う。先ほどお話があった京都のコミュニティスクールについては、ずいぶん意識的に市全体に広げられたということで、当時の門川教育長から苦労話も聞いた。京都も教育についての保護者の意見の強いところだが、それをシャットアウトしようということではなく、学校運営に反映する方向で考えたということを聞いている。

 そういう方向で、大阪でもいろいろと考えられることがあり、もう少し具体的に書いてもいい部分はあるのかなと思う。特別支援教育についてもそう。

 インクルーシブ教育、あるいはユニバーサルアクセスについてどう考えていくかということについては、もちろん前進させていかなければならないが、どの辺が着地点かということについては、まだ少し議論しなければならない。国の方では、民主党政権が理想主義的なことがあったため、それでは絵に描いた餅になるということで、中教審で引き取ってかなり議論した。今、国の新しい指針が出ているが、普通の学校で一緒に教育する方がいい部分と、専門家が専門的な施設を使って、教育でもあり訓練という部分も含めてやった方がいいところもあるので、そこはもう少しきっちり考えなければならない。同時に、障がいの種別やレベルに応じた教員養成ができていないというところもあり、強めていくことになっている。今、峯会長がおっしゃったことも非常に大事であり、府としてもできるところから前進させるということで取り組まなければならない。

 

【府立学校】

<栗山会長>

 大阪府立高等学校長協会の会長で、大手前高校校長の栗山です。

 この振興基本計画においては、今まで大阪の学校や行政でやってきた成功事例がいっぱいあるので、そういう施策の継続という意味でも、振興基本計画の中にこれは必ず押さえとかなあかんという所をきっちり押さえていただき、さらにプラスアルファで、審議いただいている内容を加味していただければと思う。

 我々としては、大阪の政策そのものは高等学校に関していうと丁寧にきちっとやっておられるんじゃないかなと思っているし、そのことによって我々校長・准校長の意識もかなり変わってきた部分があるとも思っている。例えば学校経営に関しても、経営計画をきっちり立ててやる、また学校協議会に関しても地域とか保護者の意見も入れながら方向性そのものは非常にうまくいっているし、それから予算の面についても、府立高等学校は特色づくりということで、それぞれの学校がそれぞれの持ち味を、いいところを作っていこうということで、その特色づくりも全般的に見れば成功していると思う。その特色づくりに関しての予算も十分とは言えないかもしれないが、いろんな形でついているので、それを継続することを振興基本計画の中で押さえていただきたい。

 公私の関係について、我々は府立だが、大阪の特徴は公私が非常にうまく連携してきて、切磋琢磨してきたかどうかは色々あるかもしれないが、連携・協調しながら、大阪の全体の教育を進めようと、盛り上げていこうということでやっていると思っている。それがここの中間報告にきっちり書かれているので、そこはしっかり押さえて、大阪の教育力全体を上げていくには、公私が協調しながら切磋琢磨しながらやっていかないといけないというのは非常に大事なことだと思う。一時的に、公立高等学校の無償化・私立の学校の無償化、それから選抜の制度のいろいろな仕組みで一時的に少しひびが入ったようなところもあったが、それはもう落ち着いてきているので、公私の切磋琢磨、協調というのをしっかりと目標の中に入れといていただきたいと思っている。また、それに対するいろんな施策もやっていただきたいと思う。

 今言ったのは公私の横の連携、支援学校も含めての横の連携だが、縦軸の幼まで入れて幼小中、高等学校、専門学校、大学というような縦軸の連携についても、きっちりと計画の中にどこかで入れといていただけるとありがたいと思っている。そうすることで、これからの高等学校の教育をさらに充実させていくことができるのかなと。

 それから、教員の資質向上が挙がっているが、これは管理職が集まるといつも話題になる喫緊の課題であり、それぞれ現場でいろんな形で昔に比べるとはるかにいろんな形で教員をどうやったら資質向上できるんだということで取り組んでいるけれども、これも計画の中で、現場の育成ももちろんであるが、府全体として育成にどう取り組んでいくかという視点もきっちりと押さえておいていただければと思っている。もちろん給与面もそうだが、大阪は低いので、それでなかなか大阪は集まりにくい。優秀な教員を確保することが大阪の教育力の向上につながるので、資質向上を現場と計画の中でしっかりと押さえといていただきたければありがたい。

 学校経営・学校運営に関しては、先ほど申しあげたようにそれぞれの学校で特色づくりを進めており、そういうことに関しても、例えば「がんばった学校支援事業」、これからがんばる中期計画の推進のための支援事業など、いろんな支援事業の予算付いている。そういう外からの予算的な支援につながるような、それがある程度いろんな形を変えながら学校の特色づくり、学校経営とか学校運営を支援するような予算的な面についても、どこかでやはり基本計画の中で押さえといていただければ、我々としてはさらにそれを進めていけるのではないか。

 最後に、人材育成と並んで管理職の間でいつも議論しているのは選抜制度で、公平な、そして府民から見て分かりやすい選抜制度を、完成形というものはないので、それをきっちりと検討するような、そういうところも入れておいていただければと思っている。

<鈴木幹事>

 大阪府立高等学校長協会の幹事で、たまがわ高等支援学校校長の鈴木です。

 まず初めに、教育振興の目標の中に全ての子どもたちの支援という形で、障がいのある子どもの自立支援をしっかりと項目立てしていただいて、感謝申し上げたい。

 支援学校の今後のあり方については、これからの具体的なプロセスの中でお話をさせていただければいいかなと思っているので、今日は大きな視点で、これからの大阪の支援教育のあり方というような話で少し意見を述べさせていただく。

 まず1つ目に、大阪の教育を取り巻く状況の中で、社会経済状況の変化、大阪の教育をめぐって2条例を含む動きというのが取り上げられ、項目立てて進められていると思うが、古い表現になるけれども、まさに流行の部分というのを取り上げなければならないというのはわかるが、大阪の教育に長く携わってきた私としては、大阪がこれまで守ってきた大阪の教育、心の部分であるとか、最初に申し上げた全ての子ども達への教育の保障、「ともに学びともに育つ」という理念は大阪の教育の不易の部分と考えているので、この2つのバランスを大切にする新しい要素のある大阪の教育の構築という視点で考えていく必要がある。そういった意味で、そのあとの具体的な基本的な目標の中で、支援が必要な子どもに対してはこれをどのように読みとっていけばいいかなという読み方を、今回問いかけをさせていただいている。

 ただ、障がいのある子どもイコール支援の必要な子どもではないという視点も必要であって、先ほど小・中学校の授業の話で、認知特性に応じたいろいろな支援が必要だとか、ユニバーサルデザイン化された授業が小学校では必要だ、これが小学校の授業力・教育力の充実につながっていくとのことだったが、まさに、こういう言葉があるかどうかわからないが、支援教育力の充実ということが非常に大切だと考えている。そのような観点からいけば、障がいのある子どもの自立支援の部分の項目についてはそれでありがたいが、教育全般において、小・中・高等学校における教育力の充実には、今やユニバーサルデザイン化された支援教育力というのを外して、経済的な問題とか少子高齢化の問題とか、これは一つの要素ではあるけれども、支援教育の充実という観点で考えていっていただくことが、支援教育、支援学校にもその先で何が必要かというのが出てくると思う。インクルーシブの話があったが、例えば場の設定として、35人の集団が適切でない子どもたちがいれば、5人とか6人とかの場を設定しなければならない。それが地域の小中学校がいいのか、支援学校がいいのか、そういう観点で、今後、支援学校は専門性をさらに構築していく必要性があると我々も考えている。

 大阪の教育が目指すものの基本的な目標についての私の受け止めは、チャレンジする人づくりという部分については、障がいのある幼児・児童・生徒に多様な選択肢を提供しようと、今まさに大阪の教育委員会で取り組んでいるが、高校をはじめとして自立支援推進校、共生推進校、さらには先ほど峯会長からキャリア教育のお話があったが、全ての知的障がい支援学校に職業コースを設置する、また私どものたまがわ高等支援学校と同じ目標を持った高等支援学校をさらに3校作るというのは、多様な選択肢を提供していくことであり、出口の選択肢を多様にすることによって、保護者として峯会長も考えておられた、出口が多様であるからこそ小学校からのキャリア教育が可能となる。これまで出口があまりにも少なかったので、キャリア教育を進めるといっても形が1つしかない。そういった意味で、いろんな形で社会参加していきましょうということが、可能となる。

 自立して力強く生きる人づくりというところでいくと、障がいのある幼児・児童・生徒の就労支援でもあるし、主体的に豊かに社会参加していくということ。ただ、これを教育のパーツだけではなかなか実現できないので、今もやっていただいているが教育・福祉・労働の3部局連携であるとか、関係機関との連携をもって、一生涯を見通した支援という形の中で、その教育のパーツを我々はどのように構築すればいいかという考え方で連携が必要。

 さらに自律した社会を支える人づくりで言うと、ともに学びともに育つ理念で育てる心の教育の中で、小・中・高等学校・支援学校全ての教育のフィールドで自律心を育てていくということと私は読み替えた。ただし、そもそも支援のない教育は存在せず、教育イコール支援であるという観点からいけば、我々は特別な支援教育をしているわけではないので、大阪府立に関しては、その理念を忘れずに、一人ひとりに適切な支援を提供するという視点は、障がいのある子どもたちの教育のパーツだけではないということを大阪は培ってきていると思っている。平成18年の学校教育法の改正の際に、障がいのある子どもたちの教育の保障ということで法改正、追記がされたけれども、その時にはこれまでになく国会で非常に支援教育について論議がされた。ただ、私が全国の特別支援学校長会でその報告を受けた時に、例えば保護者と子どものニーズをもっと聞いてやれとか、就学指導のあり方について考えろということだったけれども、大阪の校長たちは大阪は当たり前のように定着させてきていると感じていた。インクルーシブ教育についても大阪のあるべき姿としてどのようにするかというのを、先ほど私申し上げたような形でこれから考えていく必要があるのではないかなと。ただ、小・中・高校全てにおいて支援教育の向上が、この中間まとめの中にもう少し反映されればいいかなというのが私の思い。少し話が大きくなって申し訳ないが、先ほど申した認知特性に応じた支援ということで言うと、私どもの学校は軽度知的障がいの子どもたちが就労を目指すということなので、学校の目標として生徒の目標は1つしかない。非常に単純明快な教育活動を展開していると教員たちにも言っている。生徒は全員卒業後働きたいと思っているので、目標は1つだけれども、多様な特性を持っているので、11人とか20人とかの単位で授業しておりまが、その中では目標達成の手段は多様であり、一人ひとりの認知特性に応じた方法でアプローチすることによって目標を達成する。これは支援教育の基本ではないかと考えているので、そういったことが今後全ての学校において、全ての教育の場で行われることが、今後の大阪の支援教育のめざす方向ではないのかなと考えている。

 具体になるが、障がいのある子どもの自立支援のパーツにおいては、新校整備とか、教育環境の充実を取り上げていただいているが、新校計画を進めるとともに並行して既存の学校の教育環境の整備とか、早急に次期環境整備計画ということが必要。少子化が進行する一方で、支援を必要としている子どもは増加しているというのを、社会状況の大きな項目として取り上げていただけたらと思っている。それから就労支援について、この中では就労支援に関するセンター的機能の構築と記載いただいているが、支援学校の就労支援に関する機能というのは支援学校の専門的機能としてもっと充実、確立させなければならない。それは今職業コースを設置しているところなので、将来的にはそうなるだろうが、まずは支援学校として就労支援に関する専門的機能の構築というのを大きく掲げていただけたらと思う。

 最後に、発達障がいのある子どもへの支援体制だが、ずっと述べてきたように全ての教育の場で支援教育の充実が必要ということで、障がいのある子どもたちの自立支援というとこで取り上げるのではなく、全ての教育のフィールドの中で考える必要がある。そういう特性のある子どもたちに適切な情報提供することで十分やっていけるということで、全ての教育のフィールドでやっていただく。そういった中で、我々支援学校については、特にさらにもう少し丁寧な支援の必要な子どもたちの教育を充実させていくという形で読み取らせていただきたいと思う。

(会長)

 ありがとうございました。それでは委員の方々からご意見を。

(委員)

 前回からデータを拝見してある種の危機感を持っており、府立高等学校の教員の年齢構成、特に男性教員の年齢構成が極めて偏っている。一般的に言われているのは50代の教員が半数ということだけれども、もう少し詳しく計算すると、45歳から60歳までの教員のトータルでは7割近い。この方々がこれから15年くらいで定年をお迎えになる。ということは、学校のマネジメントの中核層がごそっと抜けるということ。もう1つさらに心配なことは、40歳からから45歳までの先生方、男性教員では全体の約3%。会社で言うと、課長・部長・役員クラスがごそっと抜けて、その下の係長あたりが全然いないという状況で、今から対策をとっていかないとかなり厳しい状態になるんじゃないかと心配をしているが、どのようにお考えか。

<栗山会長>

 全く同感。昔はワイングラス型と言って、もっと細くて、高齢の方々が非常に多くて、下はだんだんあふれてきていると。今は、横から見るとM型になって、太鼓のつづみ型みたいな形。とにかく30代前後、40代が非常に少ないのはどこの学校でもその傾向。それをどうしていくかということだが、現場においては、経験をマニュアル化する場合もあるし、言葉で伝える場合もあるけれども、経験の少ない教員にどうつないでいくかというのはいろんな知恵を出しながら学校ではやっている。1つの学校だけではなかなかそういうのができないので、何校かで集まってやったり、地域、市の学校でやったり、全日制と定時制で合わせてやったり、いろんな形で研修などをやっている。その辺に関しては、例えば各学校に校長・教頭と教員との間に首席というのが置かれたり、指導教諭というのもある。首席とかが中心となって人材育成しているというところ。ただ、経験は少ないが優秀な新規採用の教員はいっぱい入っており、中には大丈夫かなというのも1,000人に1人ぐらいはいるかもしれないが、大半は優秀な教員なので、彼らをしっかりと育てていくことで、現場ではフォローしていきたいというところ。ただ十分に危機感はある。

(委員)

 30から40代がものすごく少ないということは、50代の先生方が30代前半から20代くらいの若手に伝授するということになるが、かなり組織的にやらなくてはいけないと思うのと、もう1つは最近の流れで、定年延長で継続して先生方に残っていただいて、その先生方が若手を指導するというような工夫もされているのか。

<栗山会長>

 経験を積まれた先生方が若手を指導するという機会は、現場では多くなっている。例えば、ある学校では全部の教員が1ヶ月のうち何回か決めて、経験の少ない教員に自分の話をすると。1年間で全部の教員が話をできて、いろんなことを伝えていくということもやっているし、また、行政的にも府の教育センターが中心になって、丸ごと学校の経験の少ない先生を育てていくような、それも1回だけでなくて続けて、パッケージ研修と呼んでいるが、そういう研修もやっていて、育てていこうという意識は非常に強いと思う。昔はほったらかしだったが今はそういう機会の中で育てていっていると思っている。むしろ管理職をこれからどう育てるかの方が、もっと危機感がある気がしている。

(委員)

 まさに教えるということと組織をマネジメントしていくということとは別の才能だと思うし、行政的に組織を動かしていくということに関する知識だとか経験を一定の先生に積んでいくことは大変重要かなと思っている。特に社会が複雑化、グローバル化していく中で、組織をマネジメントしていくことを今後も継続的に研究し、訓練も受けていただくことが必要かなと思っている。

(委員)

 学校の組織は、一般的には文鎮型と言われて、なかなか校長等の話も下に伝わりにくいと。今年入った新卒も59歳の先生も同格であるということがよく言われて、たしかにいろいろ研修でスキルを学ばれているが、毎日の授業と言うか、お互いのコミュニケーションの中で若手の先生を指導するというのが、昔はあったような気がして、我々の時は先生といえば非常に神聖化された、PTAから見てもそうだというのがあったけれども、校長先生として文鎮型組織ではないよ、ある程度良くなってるよということだと受け止めをさせていただいた。

 それともう一つは大阪の場合、進学校は確かにすばらしいけれども、実業高校はどうなのかなと心配している。というのは企業で学生を受け入れるとき、大阪から採用させていただくと寮もいらないし、家から通っていただけるし、非常に企業としてはありがたい。ところが、他所からの高校生の方がレベルが高いと言うか元気がいい、なかなか思い通りに採用できないという実態がある。私どもの会社だけではなくて他でもそういう声を聞いている。そういうことがあって、親御さんは進学への関心が高いので、実業高校でも進学に目が行ってスキルを教える先生が少なくなっていると聞いており、企業の施設で実習の授業をやるとか、あるいは企業からの派遣を受けるとか、そういったことについての先生のご意見はいかがか。

<栗山会長>

 文鎮型というのは私の感覚では古い概念かと思っている。大阪においては先ほど申したように、管理職と教職員の間に首席・指導教諭という中間的なものを置いており、今のところは文鎮型に比べると若干ピラミッド型という感じはする。そういう中において、ずっと昔は府立高校で新採教員が1校にゼロか1名で、入っても自分より上はすごい年上で、どうしていいのか分かりにくいという状況があったが、最近は採用数が増えて府立高校でも1校に新規採用教員が4名とかになっているので、自分たちの仲間の中で、いろんなことを相談しながら、そしてまた先ほど言ったように経験のある先生からいろいろなことを聞きながら、というシステムはできつつあり、少し改善しているのではなか。

 2点目は、ものづくりは大阪の高校がものづくりの中心的な役割を果たしていかなければならないと思っているので、ものづくり教育については企業との連携とかいろいろな実習とか非常に進んでいると思っている。実際に企業に採用されるときに色々な問題が起こっているかもしれないが、私が見た工科高校でも規範意識というか、だらしのない工科高校は少ない。規範意識も育てながらやっている。ただ、ものづくりの技術に関しては、教員がだんだん年齢がいっているので、新しい技術にどう対応していくかは、研修とか企業の協力を得ながらやっていかないといけない今後の問題だと思う。高校生に関しては、一昔前は元気はあったが、今はその分では若干そうではないかもしれないが、人間的な充実、成長という意味では昔と劣らないと思っている。

(委員)

 文鎮型をあえて申しあげたのは、最近、外から校長先生になられた方から何回かお話を聞いて、入ってみてびっくりと仰っており、教育の世界の中では大分変わってきておられるとは思うけれども、まだまだそういった意識でずいぶん苦労されているように聞いたので、質問させていただいた。

 それから先ほど、大阪の教育の不易の部分ということをおっしゃっておられたが、具体的な例を2,3ほど教えていただけないか。

<鈴木幹事>

 例えば、地域の小中学校で学ぶ障がいのある生徒は、大阪は支援学級の設置率が98%を超えており、これはもうはるか昔から90%を超えており、地域でともに学びともに育つという理念があって、かつ、そのニーズがあったらそれに応えようとする努力をしてきているし、もう一方で大阪の多様な人々の集まりの中で大阪の教育がこれまで守ってきたこと、それから府立高校に関して言えることだが、全ての子どもたちのニーズに応える学校づくりということをやってきて、今、再編再整備等でさらに考え方を変えていっているけれども、高校進学率の高い中で入学した子どもたちを全て卒業させることを実現させていこうという、そういう部分での大阪の良さというのがあると思うので、それを守りながら時代のニーズに応じたという形で不易の部分ということ、全ての子どもへの教育の保障ということを挙げてはいただいているが、それと合わせて、今の時代と合わせたらいいんではないかということで話をさせていただいた。

(委員)

 支援教育の立場でお話しさせていただく。今、高等学校にも研修という形、また授業参観という形で行かせていただく機会が多いが、ほとんど最近は授業改善に視点を当ててという依頼を多くいただく。今は高等学校でも従来に比べて授業研究、授業改善というのをすごく意識的に取り組まれてきているなというのを実感している。教科に応じたとか、生徒の特性に応じたというのが非常に進んできたなということを実感している。そういう意味では小中と共通したものがあるかなと。授業づくりの中で、安心したクラスづくりとか、違いを認めあうクラスづくりとか、居心地のいいクラスづくり、これが前提に授業づくりが行われる中に、おそらくクラスづくりが不登校や生徒指導にも関連してくる。そういったことが連動してくるのかなと思っている。

 先ほど支援教育力という言葉を使われたが、私もなるほどなと思った。今の授業改善という観点の中で、私自身が支援教育から見ているということもあるが、例えば視覚教材をうまく使っていくという視覚化とか、授業の展開をできるだけパターン化していこうという構造化とか、子ども同士、生徒同士がうまく交流できる場面を作っていくという協働化とか、こういったところは支援教育がずっと進めてきたところだと思っている。そういったものが小・中・高でも大事になってきているところからすると、まさに、支援教育で培ってきているものの内容がそこに入っていく。それが今ナチュラルサポートという形になって展開していくというのが、やはり大きなこれからの進めていく方向かなということを思っている。

 支援教育、支援学校の方から考えると、現状で学校増設の後にも支援が必要な生徒、または支援学校に対するニーズというか、多くの支援学校を望んでいる子どもたちや保護者も多いという現状からすると、さらに高等学校との連携が必要になってくるのかなと思う。そういう意味での高等学校との連携、そして教員の資質向上という面からの連携という、単なる人事交流だけではない連携ということで、もっともっと支援学校と高等学校の連携とか交流があってもいいのかなというのをつくづく思っている。

 また、私学にも支援が必要な子どもたちがたくさんいるという現状からすると、合同研修というのが項目に入っているが、ぜひ進めていただきたい。私学に行くとまだまだ大きな差を感じるので、こうしたことは支援学校、高等学校、私学の学校との合同的な研修という形態が増えてくると更にいいなと。そういった意味で高等学校と支援学校の連携というのを進めていけるといいなと思っている。

<鈴木幹事>

 今言われたナチュラルサポートという考え方からいうと、ナチュラルサポートのあるパーツの部分を支援学校が担っており、特にさらに専門化されたものを担う必要があるだろうと考えている。先ほど私は大阪の教育がめざすものを支援教育の人間から読み替えるとこのように読んでみたと述べた。原案を作った方がそういう意味を持って作ったかどうかは分からないが、我々はそういう意味で取り組んでいきたいと考えている。

 それから、先ほど工科高校、実業高校に関するお話があったが、まさに今、たまがわ高等支援学校では、実習の繰り返しによって仕事の力をつけており、それと同じタイプの高等支援をさらに作ることとしている。既存の支援学校にも職業コースを作るが、企業での実習なくしては成り立たず、まさにキャリア教育の最後の出口の所でやろうとしており、その中で非常に力をつけているので、現場実習など企業のご協力を、この場を借りて、お願いしたい。

(委員)

 お二人とも同じことを1つおっしゃっていたのは、計画だから何か新しいことをやるという感じでとらえられがちなので、今までやってきたこととの連続性をもう少し強調してほしいということだったと思う。それはたしかにその通りで、今までやってきたことをご破算にしてやっているという計画ではないので、その辺が少し見えた方がいいというのが1点。

 それから先ほど教員選抜制度改善ということを少しおっしゃったような気がしたが、そこのところをどういうふうにお考えなのか、もう少し具体的に教えていただけたら。

<栗山会長>

 先ほどは入試選抜制度のことを申し上げた。

 教員選抜制度、教員をどう採用するかについては、毎年毎年、大阪はいろんな形で、前年と同じ状況がないほど色々改善されている。例えば講師の経験のある者を採用する枠を作ったりとか、当然選抜はあるけれども、いろんな形で改善されているので、この改善を続けて行けばとは思っている。ただ、さっきも少し話が出たが、大阪では高等学校においても1年だけの常勤講師、非常勤講師の方がたくさんおられて、その方も教職員なので、そういう方の資質向上を、それも当然我々現場の中でやっていかないといけない部分もあるので、そこにも力を入れてもらいたいと思う。教員の選抜の仕組みについては、大阪は年々非常にいい形で改善されていると思っている。あとは給料だけ。

(委員)

 先ほど1,000人に1人ぐらいという話もあったので、少し気になった。

<鈴木幹事>

 本校では教諭60名程度に14名の常勤講師がおり、非常に多いが、常勤講師たちには、1年で完結、成果を出す教育をやってもらわないといけないと常に言っている。教師はあまりそこを考えてない。子どもの1年というのは非常に大きいので、本当は教諭たちもこの1年でどれだけの到達度というのを考えていかないといけない。

 ただ、支援学校においては、男女比の問題というのがあり、更衣の介助とかトイレ介助など、同性による対応が必要な仕事というのがある。にもかかわらず男女比を維持できないという非常に厳しい状況があるというのが現状。

 また少し違う話になるが、支援学校は今年齢が非常に若くなってきており、本校では今平均年齢34.4歳。逆に言えば新しい教育なので、若い人たちしか確保できないという部分もあるというのも現実。

(会長)

 ありがとうございました。府立高校については、この審議会に別の専門部会を作って、そこでも細かく議論していただいているので、それをまたこの審議会にも報告をいただいて、この論議は深めていきたい。

 

【私立学校】

<坪光会長>

 大阪私立中学校高等学校連合会の会長をしております、坪光です。

 この大阪府教育振興基本計画の策定にあたり、当初は私立学校についてはほとんど記載がなかったかと思うが、この審議会において「私立学校についても、大阪の教育力を高めるためには、公私ともどもに協力しながら進める必要がある。」ということで、「中間まとめ」の中に数か所にわたり、私学について記載いただけることになったことに感謝している。

 それから、先ほど栗山校長が言われたように、近年は府立学校の校長会と私立の中高連の役員・校長とが一緒になって「大阪の教育の向上のためにはどうしたらいいか」ということについて話し合いをしているが、今まで長い歴史がある中で、これまではなかったことが最近は行われているということで、非常に嬉しく思っている。

 本日は、「中間まとめ」を受けて、「計画における私学の位置づけ」「公私立高校の役割の分担」「私学振興のあり方」の3点について、短い時間の中なのでたくさん話をすることはできないが、資料2をご覧いただきながら、これはという点をお話させていただきたい。

 私立学校の教育といっても、日本の法律上では、公教育の立場との位置づけとなっている。私学が担っている役割は、幼・小・中・高・専修学校の初等・中等教育が主な学校種になると思うが、私が担当しているのは「中・高」の大阪の連合会で、その会長の立場でお話をしたい。

 まず、学校種ごとに質・量の両面から私学教育の役割・位置づけを明確にしていくべきであると思っており、その上で大阪の教育力を高めていくために、公私が共有すべき課題を示していくことが必要だと考えている。

 また、私学については、存立基盤に建学の精神を持っており、その自主性・独自性を尊重していただきたい。また、公私ぞれぞれの特性に応じた目標を示すことが大事ではないかと思っている。

 私立学校は、高校が中等教育学校1校を含めて102校、中学校が65校ある。配付資料にあるように、府内の高校生全体の約4割が私立にいる。府内の公立中学校を卒業して私立高校に入ってくるのが全体35%くらいだが、附属中学から高校に入ってくる人数を合わせると約4割となる。それだけの大きな比重を占めているわけだが、そんな私立学校の一番拠って立つべきところ、最も大切な存在理由は、まさに「建学の精神」。これをそれぞれの学校が実現していくことが、我々の責務。極端に言えば、私学がその建学の精神を実現できなければ、学校が存在してもしなくても良いということになる。このことからも、公私がそれぞれの特性に応じた目標を示すことが必要ではないかと思っている。

 今日は最後の発表者となっており、これまでお話を聞かせていただいていたが、振興基本計画の策定という命題は、大変な作業であると敬服している。私学は法人としては90ぐらいであり、それらが連合会を作っているが、教育委員会のように一つのまとまりでもって全ての学校に指令・指示ができるというシステムは全くない。連合会はまとめ役ぐらいのもので、各学校がそれぞれ建学の精神の実現を目指さなければいけないという点で、公立の学校と私立の学校とは大きく違う。公と私の領域にある高等学校では、これをご理解いただいた上で、教育力を高めていくための教育環境の整備のあり方について議論していっていただきたい。

 2点目の「公私立高校の役割分担」について、高校教育は公私それぞれの機能と特性を発揮して成り立っているもの。私学は、従来から互いに競い合って、公立にはないものを改革しつつ多様な教育ニーズに応えてきた。大阪の公立高校では、平成11年から「教育改革プログラム」を進め、10年かけて20校程度統廃合してきたが、そのときに打ち出した特徴の1つとして、公立高校でも色々な特色ある教育をしようということで、新しい学校種が作られた。当時の思いとして、私立で古いところで130年ぐらいになる学校があるが、それまで色々と自分の学校の特色を目指して作りあげてきたものを、公立でやられたときに、私学はどうしたらいいだろうかという思いにかられた。

 何か1つ特徴のあることをやろうというときや、進学・スポーツなど各種の才能を伸ばそうとするときに、私学で一番先に考えるのは「お金」。これがクリアできなければ、絶対に前に踏み出せない。しかしながら、公立が、特徴ある教育をということで、お金は後からついてくるという感じで改革を進められたときには、妬みも含めてになるが大変羨ましく思えた。

 それらが定着しつつある中で、生徒数は昭和62年の約15万人をピークにして、現在はその半分くらいになり、この先は毎年千人単位で減り続けて平成30年頃には約40%台にまで減ってしまう見込み。こういう状況で将来のことを考えた時、公私の役割分担というものについては、公私が十分に意思を交流させ、それぞれの役割をいかに果たしながら大阪の教育を担っていくかということを、ともに考え合おうではないかということをご提案申し上げたい。

 そして、公立高校の使命、特にセーフティネットについて、その機能をどこまで公立で担われるのか。数年前に生徒が急増した際、私学にも子どもたちのセーフティネットの役割を果たしてほしいとお願いされ、実際にカバーできた。今年もややそういう状況。その先の問題として、私学は経営がそれぞれ1つずつなので、2から3校閉じたら済むじゃないかというのは無謀な話であり、お互いがどう縮小していくかなどについての計画を作っていかなければならない状況になっていると感じている。

 それから、私立中学校の65校は全て同一法人の高校の附属になっている。中高一貫教育、今は制度上は少し別の意味になっているが、中高一貫はもともと私学が担っていたものであり、ぜひこれからも大阪府においてはその役割は私学が受け持っていきたいという決意でいるので、その点はご理解いただきたい。公私がそれぞれ特性を発揮して社会的使命を果たしていくことが、公費の効率的・効果的な活用ということにつながっていくと思う。

 また、今後、私立学校の運営に大きな影響を及ぼすような特色づくりや再編計画、選抜制度の変更改正といったものは、計画段階から一緒に議論させていただきたい。例えば、記者発表する前の日に伝えられたりすることがここ数年であったので、ぜひお願いしたい。

 3点目の「私学振興のあり方」としては、府民の多様なニーズに応えて教育力を高めていくためには、活力ある私学の経営基盤を考慮いただきたいということ。その点で、私学の競争条件は、授業料支援補助金という形で保護者に対しては日本一手厚い支援をいただいたが、同時に、授業料が年間58万円というキャップがかぶさって、私学経営者はそれ以上はいただいてはいけないということになっている。授業料プラス経常費補助金という形で私学の経営は成り立っていたが、この経常費補助金は高校で10%カット、中学校で25%カットされており、私学の教育力は非常に危機的状況な状況にある。私学としてはそういうことがバックになければ成り立っていかないというところがある。この場での話題ではないとは思うが、そういう面から補助制度の制度設計についても詳しくお考えいただき、大阪の教育の4割を受け持っている我々私学の考え方も、この基本計画に盛り込んでいただければ幸いであると思っている。

(会長)

 ありがとうございました。委員の皆さんからご意見があれば。

(委員)

 私学における厳しい状況というのがよく分かった。

 私が現在いるAPU(立命館アジア太平洋大学)の学生は、「国際学生」と呼んでいる留学生と日本人が約半数ずつ。また、APUでは日英2言語教育に取り組んでおり、同じ科目を日本語版と英語版でやっており、人手もかかる。

 グローバル人材の育成を考えるときに、グローバル化した社会で必要となる資質として、もちろん専門的な知識もあるが、それもさることながら「問題解決能力」と「コミュニケーション能力」というのが非常に大きな役割を占める。これらの資質は、教えられる部分と学生が自ら体得しなければならない両方がある。教えられる部分は、良い先生と正しい方法論が必要であり、体得する部分は、放っておいてもできるわけではないので、学生同士が切磋琢磨できる環境を整備しなければならない。その成果としては、国際感覚に優れた学生を輩出し、毎年就職率もいいということで評価されているが、グローバル人材の育成にはお金がかかる。

 先ほどの、学校の改革、学校が独自の特色を出すということには大変お金がかかるにも関わらず、自由になるお金が入ってこない。学費支援は、システムとしては保護者に行くだけで学校には入ってこないという理解でいいか。

 また、生徒数が減少していくと高校の供給過剰が避けられず、お金が入ってこないことに加えて厳しい状況にあると思うが、打開策として何かお考えがあればお聞きしたい。

<坪光会長>

 各学校では、資金が潤沢ではない状況の中で、昔から学校独自の特色ある教育をしようということで頑張ってきた。色々な生徒がいる中で、それぞれ自校に要請されていることを果たせるよう環境の整備に取り組んできており、誰でも彼でもということではなく、今までの歴史を通じてそれぞれの持ち分というか、自分の学校の特色を選んでくれる子どもを顧客層に持っている。本来は、公立こそが万遍なく色々な層の子どもたちを受け入れるべきであると考えているが、今、少し偏っている気はしている。昔は私学が公立に遥かに差をつけられていて後ろから歩んでいたのが、ようやく実績をあげて追いついてきたところ、補助金の件とあわせて新たな進学指導特色校などの動きでしんどくなってきている。そういう状況にあっても、何か特色のあることをやろうということで、各学校の教員たちは一生懸命頑張っている。先ほど教員構成の話があったが、教員の採用についても、教育委員会から割り当てられるわけではなく、全て各学校が独自で行っており、特に最近は公立の採用数が増えているので、非常に厳しい状況。

 また、大阪は他府県に比べても生徒の減少率が高く、これから私学にとって苦難の時期となる。私学の務めとして、大阪府に対して今後の私学助成の制度設計について意見提案をしていくこととあわせて、定員の変化にあわせた計画的な教員配置に目配りをしていかないと路頭に迷う先生が出てきてしまうことになる。

(委員)

 教員採用について、学校の先生の場合はあまり年齢に関係ない部分はあるとはいえ、若い先生を採用する必要はあると思うが、今はなかなか採りにくいということだった。私学において、正規の教員と非正規の教員の割合はどのようなものか。

<坪光会長>

 データは手元にないが、今は非正規の教員の割合が高くなるのは仕方がない時期かと思っている。今まで専任の先生でやっていたが、セーフティネットの観点から、生徒を多くとってほしいと言われている状況では、非常勤や年限決めの先生を採用しないとやっていけない。ただ、学校ごとによってそのバランスは全然違うと思う。

 この点に関して、公立の教員の定年退職後、長年培ってこられた教育に関するノウハウを活かしてもらうということで、私学に再就職という形で応援に来てもらっていたが、「天下り」はダメという府の条例ができ、大阪市も同様で、中学校への応援もいただけなくなった。普通の社会の再就職・再雇用の問題と学校の先生の再雇用の問題は区別して考えてもらいたいところ。

(委員)

 教育内容ということから考えたときに、学校園だけで完結するのではなく、連携をどのようにとっていくかがこれから重要になると思っている。公立学校の場合は、関係機関との連携は当然入ってくるが、私学の場合は学校の中で完結しようとして、さらに混乱しているケースもあるのではないかと。

 支援が必要な子どもで私立の中高一貫校の中学校に通っている子が高校に上がるときに、「このままでは高校には行けない」ということで、どうしたものかという相談が結構ある。私学の側も困っているのだろうと思っており、公的機関も含めた連携や、特に就労という卒業後のことも教育内容ということで視野に入れて考えてあげなければいけないと思う。

<坪光会長>

 我々としても、中学・高校を卒業したらそれで教育を終えたとは思っていない。卒業してから教育の結果が出るものであり、まさにその先の子どもたちの発展的な可能性を自分の生活の中で実践できる能力を養ってやらなければいけないと思っている。

 先ほどあった「がんばった学校支援」事業についても、教育は10年、20年先のその人の人生に何らかの形で携わることになるものであり、結果がすぐに出なかったら評価されないといったやり方は見直してほしい。

(委員)

 公教育の一翼を担う私学ということでお話しをいただいて、高校生の減少を受けてその経営は一層厳しいのだろうということが分かった。

 ただ、私学助成も議論に入れてほしいということでは、私学のことをもっと幅広く経営実態や中身を府民に知っていただく必要があるのではないか。私が知らないだけで明らかになっているのかもしれないが、どういう状況なのか理解を得るプロセスが必要になるではないかと思っている。

<坪光会長>

 各学校全て状況が違うので、押し並べて言うのは難しいが、府からの指導もあり、財務状況や学校の自己評価等もオープンにするように努力していていくらかは分かるようなっているとは思うが、ほとんど気づいてもらえていないのが現状。今ご指摘いただいたように、いかに多くの人に知ってもらうか、中には「私学って税金もらっているの?」という方もいるぐらいなので、その辺りの努力はまだ十分でないと認識している。

(会長)

 今回の大阪府の教育振興基本計画の検討にあたって、公立の学校だけでなく私立も含めて大阪の子どもたちをどのような仕組みで大きくしていったらいいのかを、公私含めて全体で考えようとしてきたのは非常にいいことだと思う。ただ、私立学校に対してはある種の固定イメージや誤解もあり、まだ十分でない点もあるので、今回の計画に盛り込める部分は工夫してより一層入れていってもらいたい。

 もう時間も過ぎているが、最後に「これだけは」と言いたいことがある方がいれば。

<竹若会長>

 今回の計画の中に「生涯学習」が出てこないのは気になる。

 それから、国でも今同じように振興計画の検討がされているが、そこに使われている文言を加味いただければと思う。特に、豊かな心のはぐくみの中で、開発的な生徒指導というか、子どもたち自らが取り組むことでよくしていくという、自己指導能力という言葉が出てきているので、この機会に考えてもらいたい。

 最後に、関係機関との連携ということでは、大阪の子どもの生活のしんどさを表しているが、スクールソーシャルワーカーの活用が必要となっている現状を踏まえ、福祉行政との連携ということを明記いただければと思う。

<峯会長>

 子どもたちは在学中よりも学校を卒業してからの方が時間は長い。この計画は子どもたちの人生の道筋だと思うので、今後の内容の充実をよろしくお願いしたい。

 

3.閉会

(会長)

 今ご指摘があったように、国の方でも第2期の計画がほぼまとまりつつあるので、もう一度つき合せをして、我々の今回の計画が見落としのない形でうまくやっていければと思っている。

 今日は、本当に示唆に富むお話をありがとうございました。

(事務局)

 次回の審議会は、11月21日(水曜日)に大阪キャッスルホテルで開催し、計画の10本の目標などについてご審議いただく予定。

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 教育政策グループ

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