小さく早く生まれた赤ちゃんの子育てについて

更新日:2023年10月4日

目次

〇 小さく早く生まれた赤ちゃんに起こりやすいこと

〇 予防接種について

〇 極低出生体重児の発育曲線について

〇 搾乳について

〇 お住まいの市町村の母子保健担当窓口

〇 先輩ママ、先輩パパのメッセージ

〇 ママ・パパたちの活動紹介

〇小さく早く生まれた赤ちゃんに起こりやすいこと

 赤ちゃんは予定日頃をめざしてお母さんのおなかの中で成長していきます。早産児はその途中で生まれることで、小さく生まれることがあり、それぞれの臓器に負担がかかることがあります。その経過は赤ちゃんごとに異なり、それぞれの合併症がどの赤ちゃんでも起こるわけではありません。気になることは医師や看護師に何でも相談してください。早産児の発達や成長を一緒に理解していきましょう。

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1 呼吸窮迫症候群

呼吸は肺の中の肺胞で行われます。肺胞を膨らませておくサーファクタントは32週ごろから増加して34週には十分に産生されます。呼吸窮迫症候群は、サーファクタントが不足しがちな34週未満の早産児に発症しやすく、呼吸が速くなり、息を吸うときに肋骨の間がへ込む、息を吐くときにうめくといった症状を呈します。軽症では経鼻的持続陽圧療法(N-CPAP)や経鼻高流量酸素療法(HFNC)で治療を行い、中等症以上で人工呼吸管理、人工肺サーファクタントを肺胞に投与します。生後数日後頃には早産児でもサーファクタントを自分で作れるようになってきます。

2 慢性肺疾患

未熟な肺には治療として酸素投与や人工呼吸が必要ですが、未熟な肺は酸素投与・人工呼吸・感染などにより肺が傷ついてしまいます。未熟な肺の修復が不十分で損傷が強い場合は、酸素投与や人工呼吸が長期に必要となり、治療としてステロイドを使うこともあります。ときには退院後も酸素投与や人工呼吸が必要となることがあります。

3 未熟児無呼吸発作

早産児は、呼吸中枢が未熟なこと、気道が柔らかいこと、呼吸を行う筋力が弱いことから、呼吸を時々休んでしまいます。呼吸が20秒以上止まっていたり、心拍数が遅くなったり、皮膚が紫色となったりします。軽症では体を揺らすなど刺激をすることでおさまります。経鼻的持続陽圧療法(N-CPAP)や経鼻高流量酸素療法(HFNC)などで呼吸を補助したり、呼吸中枢を刺激するカフェインなどの薬を投与したりします。週数が経過すると改善していきます。

4 脳出血

脳の血管が未熟な早産児では、脳の血管が弱く脳内に出血することがあります。特に生まれてから最初の3日間が弱いとされています。血液の流れる量の変化が強いと脳の血管が破綻して出血してしまいます。脳実質への出血や、出血によって脳室に髄液が過剰にたまって脳実質を圧迫する水頭症をきたした場合は、脳の後遺症が心配です。出血による水頭症が進む場合は髄液が過剰にたまらないように髄液を逃がす通路を入れる手術が必要になることがあります。

5 未熟児網膜症

早産児では、眼の網膜血管が未熟です。生後、順調に網膜血管が伸びずに、異常な新生血管が増えてくると、治療として血管の異常増殖をとめるためにレーザー治療や、抗血管増殖因子を目の中に注射することがあります。異常な新生血管が増えるのを抑えることができなければ、ひどい場合は網膜がはがれて失明する危険があり、硝子体手術が必要となることがあります。

6 未熟児動脈管開存症

赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいるときは胎盤から酸素を受けとっていて自分の肺で呼吸はしていません。出生後に自分の肺を使って呼吸を始めていきます。赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいるときは心臓から肺に血液を流す必要がないので大動脈と肺動脈の間の動脈管というバイパスの血管を通って体に血液を流していきます。出生後は自分の肺で呼吸するので動脈管はいらなくなり、動脈管は自然に細くなって閉じていきます。早産児は動脈管が閉鎖に時間がかかります。動脈管が開いたままとなると大動脈から肺動脈に血液が流れ込んでくるので、体に流れるべき血液が肺に流れていくことで、肺と心臓に負担がかかります。負担がかかる場合はインドメタシンやイブプロフェンといった動脈管を閉じさせる薬を使いますが、何回使っても動脈管が細くならず肺と心臓の負担だけが続く場合は手術を行います。

7 壊死性腸炎

早産児は腸管の組織が未熟で、腸管への血流不足や感染などで腸管組織が損傷され壊死してしまうことがあります。便に血が混じり、腸液を吐き、おなかが膨れて、ぐったりします。人工乳に比べて母乳の方が壊死性腸炎は起こりにくいといわれています。腸の組織が損傷を受けるとそこから腸内の細菌が損傷を受けた腸壁から血管内に入り感染症をおこします。壊死性腸炎となれば、母乳や人工乳の注入を止めて腸を休ませ、点滴から栄養補給を行い、細菌感染に対して抗生剤を使います。損傷が進行すると腸壁に穴が開いて手術が必要となります。

8 感染症

早産児は免疫力が未熟であり、感染症が起こりやすくなっています。また、感染を起こすと進行しやすいため、感染症を疑った場合は早く治療をはじめることが重要です。治療として抗菌薬を使います。免疫力を補充するために免疫グロブリンという血液製剤を使うことがあります。

9 未熟児貧血

早産児は赤血球を作る力が未熟なことと、お母さんからの鉄の補給は妊娠後半が多いので、早産児は赤血球を作るための材料となる鉄が不足していることから、早産児は徐々に貧血をきたすようになります。赤血球の産生を促すエリスロポエチンを投与し、鉄剤を補充します。それでも貧血が進行すれば赤血球輸血を行うことがあります。

10 未熟児代謝性骨疾患

赤ちゃんはお母さんのおなかの中で妊娠後期に骨の多くの部分を形成していきますが、早産児はこの時期をお母さんのおなかの中で過ごすことなく出生するので、十分に骨を形成する前に出生します。骨を作るために必要なカルシウム、リン、ビタミンDが乏しければ骨の形成が遅れ、さらに進行すれば骨折する危険があります。栄養管理としてカルシウムとリンの補充を行い、場合によりビタミンDも補充を行います。

11 咽頭軟化症

早産児は、喉の奥の空気の通り道である喉頭の組織が柔らかく弱いために、息を吸うときに喉頭が引き込まれて気道が狭くなりゼーゼーと音がして、呼吸困難となります。軽症例では月齢が経過していくにつれて喉頭の軟化は改善していくので成長を待ちますが、中等症以上では、閉塞性無呼吸、哺乳不良、体重増加不良がみられるので治療が必要です。体位保持、経管栄養、経鼻的持続陽圧療法(N-CPAP)などを行っても改善が乏しい場合は、喉頭形成術や喉頭蓋つり上げ術を検討しますが、これらで改善が期待できない場合は気管切開術を行います。

12 新生児一過性多呼吸

赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいるときは、肺胞は肺液で満たされていますが、生まれるときに吸収されていきます。早産児は肺液の吸収が悪く呼吸困難となる新生児一過性多呼吸となることがあります。帝王切開で生まれた赤ちゃんに比較的発症しやすく、生まれて間もなくから、呼吸の回数が多い多呼吸となります。酸素投与や、経鼻的持続陽圧(N-CPAP)による呼吸補助を行うことで2〜3日で軽快していきます。

〇予防接種について

早産児の成長と発達は修正月例(出生予定日から換算した月齢)で評価しますが、予防接種は、生まれた日からの換算した実月齢で始めます。NICU入院中に始めることもあります。詳しいことは担当医に聞いてみましょう。

〇極低出生体重児の発育曲線について

極低出生体重児(1,500g未満)発育曲線(平成4〜6年度旧厚生省心身障害研究班)

この発育曲線は全国の医療機関で1,500g未満で生まれた赤ちゃんのうち、比較的順調に経過したお子様達の成長を基に作成されたものです。赤ちゃんの成長は、個人差もありますので、あくまでも目安として参考にしていただき、不安や疑問がある場合は、フォローアップ外来担当医師にお尋ねください。

男の子の発育曲線

男の子

女の子の発育曲線

女の子の発育曲線

〇搾乳について

搾乳について

母乳分泌を促し維持するために、お母さんの体調が落ち着いたら、搾乳が開始されます。必要な方は搾乳量の記録表をご活用ください。詳しい搾乳方法については、病院スタッフへご相談ください。

搾乳の届け方

届ける際は冷凍した状態で、解けないようクーラーBOXに入れるなどして病院に届けてください。詳細については病院に確認してください。

搾乳量の記録表(印刷用) PDF版 [PDFファイル/80KB] Word版 [Wordファイル/16KB]

〇お住まいの市町村の母子保健担当窓口

市町村母子保健主管課一覧

〇先輩ママ、先輩パパのメッセージ 2023年9月末日更新

ハンドブックの作成にあたって、当事者の方々より、同じ境遇の方からのメッセージが励みになるという声をいただきました。
ハンドブックにはたくさんの先輩ママ・先輩パパからのメッセージを掲載しておりますが、より多くのメッセージを当事者の方々に届けるため、応援メッセージを募集しております。

メッセージの応募はこちら

ママより

NEW 早い出産となりましたが、主人から、他の人より、赤ちゃんの可愛い期間が長くて、幸せやで!の言葉に救われました(^^)(25週、694g、3歳)

NEW ご出産おめでとうございます!戸惑いの中の方もいらっしゃると思いますが、お子さんのペースできっとどんどん成長していきますよ。(32週、1232g、0歳)

NEW あと数日で4歳になります。小さく生まれた事を忘れるぐらい元気に成長しています!幼稚園にいきだして毎日楽しいと言ってます。(23週、516g、3歳)

NEW 産まれた時は本当に小さかったです!NICUでの 環境と本人の生命力の強さに、毎回こちら側が勇気と元気を貰ってました。(30週、875g、0歳)

NEW 5ヶ月間の入院に手術も2回頑張り、成長はゆっくりですが向上心は人一倍強い子に成長してます。赤ちゃんの生命力はすごいです!(24週、724g、2歳)

NEW 小さく産まれた娘は、今保育園で毎日給食をおかわりし楽しく過ごしています。我が子の未来を不安に思うでしょう。大丈夫信じて!(28週、427g、4歳)

NEW 小さく早く産まれ4度の手術をした我が子は元気いっぱいヤンチャな優しい子に育っています。辛い時は沢山泣いて良いんですよ。(25週、772g、4歳)

NEW 産声は子猫のような「ニャー」という声。保育器の中で小さな身体で、大きく息をしていた。今も強く生きてくれてます。(27週、677g、0歳)

・100日の入院生活でした。入院中から、足の強さが自慢の息子!すごくよく笑い、家族みんな笑顔の毎日です!(27週6日、1171g、7ヶ月)

・指の第一関節ほどの小さな手、片手で収まるほどの小さな身体、早く産んでしまったことを毎日後悔していましたが、今では月齢相当に立派にすくすくと育ってくれています (25週、694g、2歳)

・半年の入院中4度の手術をし沢山頑張ってくれた我が子は、ヤンチャで笑顔の絶えない優しい子に育ってくれています(25週6日、772g、3歳8ヶ月)

・沢山自分を責めたけど我が子を信じてあげることが1番だと1年経ってやっと気づくことができました。(27週3日、1167g 、1歳2ヶ月)

・どんなに小さく産まれても、命の重さはみんな同じ。大切なことを教えてくれてありがとう。 (31週、1442gと1162gの双子、2歳)

・予定よりも小さく早く産まれた娘も、もうすぐ10歳。10年前には想像出来ない位すっかりお姉さんになりました!(27週、1047g、9歳)

・急いで早く産まれチューブが相棒。ゆっくりペースで個性溢れる笑顔がステキな子へと大きくなってくれました。(22週1日、409g、7歳)

・産まれてすぐ小さな体で沢山の困難を乗り越えてくれました。ゆっくり発達していく姿は愛おしく誇りです。(25週5日662g、1歳5ヶ月)

・初めて抱っこをしたとき小さいながらも温かったのを今でも覚えています。それが今ではずっしり重くてめちゃくちゃ大きくなったな〜と日々感じています!産まれてきてくれて本当にありがとう(24週3日、616g、3歳)

・生まれる前から生まれた後も不安な毎日でしたが,そんなことを忘れるぐらい幸せな日々を送っています!元気で居てくれてありがとう!(28週、470g、3歳)

・沢山の管、手術、点滴。1つ1つ大きな壁を乗り越えてくれて今では毎日笑顔です。頑張る赤ちゃんの生命力は無限大です。(27週3日、916g、2歳)

・NICU入院中、ハンドタオルがお布団代わりになるくらい小さかった我が子。たくさんの治療を乗り越えて今ではそのタオルをぶんぶん振り回して笑ってます!(25週、824g、1歳)

・1300gで生まれた私の父も65歳を超えても元気です!!だから、娘のこの先も大丈夫と思えます!!(24週5日、743g、1歳3ヶ月)

・この子達は無限の可能性を持ち、次々と凄まじい力を発揮してくれます。会えるときはめいっぱい楽しんでください。(22週、475g、1歳)

・保育器の中で少しずつ成長する姿を見て『大好きだよ』と毎日言葉をかけていました。今もたくさんの幸せを運んでくれています。(28週0日、883g、0歳7ヶ月)

・週数よりも小さく産まれて大きくなるのか不安もありましたが、今は毎日走り回ってすくすく成長しています!(30週、711g、1歳)

・小さく産んでしまったと、何度も自分を責めて毎日泣いていたけど、赤ちゃんは、日に日に成長を見せてくれました。赤ちゃんのひたむきで一生懸命な姿に助けられ、勇気づけられました!(33週、1528g、3ヶ月)

・子どもの成長は無限大!一つ一つの成長を一緒に喜びましょう!おめでとうございます!!!(31週2日、960g、3歳)

・吐き戻しが多くて心が折れそうになるけど、成長するにつれてなくなってきたよ。子供の成長って本当すごい!!(23週4日、524g、1歳11か月)

・慢性肺疾患で在宅酸素療法も行いましたが、現在は元気な小学生。走るのが大好きな男の子です!(26週、998g、8歳)

・産まれた時は小さくて小さくて大丈夫かな?と毎日不安で心配したけど自分のペースで日々育ってくれています。(24週、654g、1歳)

・沢山泣いた分、今では家族や関わる先生方から愛情を沢山もらい笑顔いっぱい成長しています!一人で抱え込まないで下さいね。(25週、1012g、7歳)

・あなたのもとに生まれた子はとても強い子です。小さいときからたくさんの試練を乗り越えるのだから。(28週4日、712g、1歳9ヶ月)

・たくさんビデオや写真を撮ってあげてください。小さいからこそ生命力の強さ、日に日に成長している姿を感じれますよ。(26週、1,057g、1歳11ヶ月)

・小さく産まれたけれど、いくつもの壁を乗り越えて元気に育ってくれてありがとう。この子の成長が誰かの希望となりますように。(26週5日、602g 、4歳1ヶ月)

・3ヶ月も早く生まれた息子ですが、多くの方々に助けられ、今では元気な笑顔で動き回る姿に励まされる毎日です!(25週、704g、1歳3か月)

・保育器の中でモゾモゾと動いたりうつ伏せで踏ん張る姿をみて赤ちゃんの生きる力強さを感じました。(23週5日、338g、1歳2ヶ月)

・不安と心配でいっぱいかもしれませんが毎日少しずつ成長しています。日々その変化を見つけるのが楽しみです。(23週5日、338g、1歳2ヶ月)

・ママとパパがとびきりのニコニコ笑顔で接するようにしています。(23週5日、338g、1歳2ヶ月)

・小さく生まれ大きく育ってほしい(32週、兄1248g 妹1780g、1歳2ヶ月)

・突然の陣痛がきて、はやく、小さく産まれてきた娘。毎日、可愛い姿をみせてくれて、家族は幸せいっぱいです。(26週、975g、0歳)

・小さく生まれた不安で泣いてしまうこともありましたが、今の息子との生活は笑顔でいっぱい、大笑いもいっぱいです!(26週0日、701g、2歳3ヶ月)

パパより

NICU通いや双子が家と病院離れ離れの期間は辛かったけれど、今は毎日ニコニコ元気いっぱいとっても仲良しな双子です!(31週1日、798gと1440gの一卵性双生児、まもなく5歳)

・産まれてすぐに保育器の中へ。子供の心配と同時に妻の心理的負担も心配になりました。様々なことを妻子共に強く乗り越えてくれました。妻の前向きな性格に感謝しています。(25週、824g、1歳)

・3か月も焦って会いに来た、小さな小さな瞳に宿った力。信じ続けた1年後、わんぱく小僧は今日も大暴れです(25週、704g、1歳3か月)

・産まれて2日3日と1日経つごとにビックリするぐらいに成長し変化していきます。不安もあると思いますが、赤ちゃんの生命力は凄まじいです。安心して、成長を楽しんでください。(33週、1528g、3ヶ月)

・おめでとうございます!子どもの可能性は無限大!小さなことでも日々の変化や成長がとてもうれしく感じます。(31週2日、960g、3歳)

〇ママ・パパたちの活動紹介

キラリベビーサークル(外部サイト)


このページの作成所属
健康医療部 保健医療室地域保健課 母子グループ

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