水質総量削減制度は、人口、産業等が集中し、汚濁が著しい広域的な閉鎖性水域の水質保全を目的として、排水基準(濃度規制)だけでは環境基準の達成確保が困難である場合に、当該水域の集水域で発生する汚濁負荷量の総量を一定量以下に削減することで、当該水域に流入する汚濁物質量を抑制しようとする制度であり、昭和53年に「水質汚濁防止法」(昭和45年法律第138号)及び「瀬戸内海環境保全特別措置法」(昭和48年法律第110号)の改正により導入されました。
この制度では、削減目標量及び削減の方途について、環境大臣が総量削減基本方針を示し、これに基づき、関係都府県(大阪府を含む20都府県)の知事が、総量削減計画を策定しています。
水質総量削減は、瀬戸内海、東京湾及び伊勢湾を対象に実施されています。
対象水域に関係する都道府県は、大阪府を含め20都府県となっています。
水質総量削減制度で対象としているのは、化学的酸素要求量(COD)、窒素含有量、りん含有量の3項目となっています。
CODについては、第1次から第7次までの水質総量削減が、それぞれ、昭和59年度、平成元年度、平成6年度、平成11年度、平成16年度、平成21年度、平成26年度を目標年度として実施されてきました。
一方、窒素含有量、りん含有量については、瀬戸内海においては、瀬戸内海環境保全特別措置法に基づき指定物質削減指導方針を定め、これにより、りん含有量については昭和55年度から、窒素については平成8年度から、それぞれ削減指導を行ってきたところですが、海域のCODの一層の改善と富栄養化の防止を図るため、第5次総量削減から、窒素含有量、りん含有量についても、総量削減の対象として加えられました。
【水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)−抜粋】 【瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)−抜粋】 |
第7次までの水質総量削減に基づく対策を講じた結果、大阪府域で発生する汚濁負荷量(COD)は、制度開始当初からは3分の1以下に削減されています。
しかしながら、大阪湾の水質については、COD環境基準達成率が依然として低く、しかも貧酸素水塊が発生している状況にあります。
こうした状況のなかで、国は第8次水質総量規制のあり方を中央環境審議会に諮問し、平成27年12月、中央環境審議会は、大阪湾については、窒素・りんの環境基準の達成状況を勘案しつつ、特に有機汚濁解消の観点から水環境改善を進める必要があるとの答申を行いました。
これを受けて国が第8次総量削減基本方針を策定し、これに基づいて、大阪府では、平成31年度を目標年度とした第8次総量削減計画を平成29年6月に策定しました。
年度 | 生活系 | 産業系 | その他 |
---|---|---|---|
昭和54年度 | 134 | 46 | 10 |
昭和59年度 | 111 | 34 | 8 |
平成元年度 | 99 | 30 | 8 |
平成6年度 | 88 | 27 | 7 |
平成11年度 | 76 | 21 | 6 |
平成16年度 | 63 | 15 | 5 |
平成21年度 | 52 | 9 | 4 |
平成26年度 | 39 | 6 | 4 |
年度 | 生活系 | 産業系 | その他 |
---|---|---|---|
平成11年度 | 48 | 25 | 17 |
平成16年度 | 41 | 11 | 19 |
平成21年度 | 37 | 8 | 16 |
平成26年度 | 29 | 6 | 14 |
年度 | 生活系 | 産業系 | その他 |
---|---|---|---|
平成11年度 | 4.0 | 2.0 | 1.2 |
平成16年度 | 2.8 | 0.9 | 1.1 |
平成21年度 | 2.5 | 0.6 | 0.9 |
平成26年度 | 1.8 | 0.4 | 0.8 |
平成31年度を目標年度として、COD、窒素含有量、りん含有量のそれぞれについて、生活排水、産業排水、その他の発生源別の削減目標値を掲げ、この目標を達成するために行う取組みについてまとめています。
水質汚濁防止法第4条の5の規定に基づき、1日の平均排水量が50立方メートル以上の法で定める指定地域内事業場に適用される許容排出負荷量を定めるものです。
第8次総量規制基準については、特定施設の新増設により増加する特定排出水については平成29年9月1日から、既設の特定排出水については平成31年4月1日から適用します。
第8次総量規制基準適用開始までの間は、引き続き第7次総量規制基準が適用されます(第7次総量規制基準はこちら)。
平成27年12月7日 | 中央環境審議会による第8次水質総量削減の在り方についての答申 |
平成28年5月26日 | 中央環境審議会による総量規制基準の設定方法についての答申 |
平成28年6月27日 | 化学的酸素要求量等に係る第8次総量削減計画のあり方及び総量規制基準について大阪府環境審議会に諮問 →水質部会において審議 |
平成28年9月5日 | 環境大臣による総量規制基準の区分及び区分ごとの範囲に係る告示改正 |
平成28年9月30日 | 環境大臣による第8次総量削減基本方針策定 |
平成28年10月6日から 平成28年11月4日 | 第8次総量規制基準(案)についてパブリックコメント実施 |
平成29年2月16日から 平成29年3月17日 | 第8次総量削減計画(案)についてパブリックコメント実施 |
平成29年3月30日 | 第8次総量削減計画(案)について環境大臣に協議 |
平成29年6月28日 | 第8次総量削減計画の策定及び第8次総量規制基準の設定 |
このページの作成所属
環境農林水産部 環境管理室環境保全課 環境計画グループ
ここまで本文です。