第3回 大阪府差別解消に関する有識者会議

更新日:2019年11月26日

《日時》平成27(2015)年2月24日(火曜日) 15時から16時30分
《場所》大阪府議会会館 1階 談話室
《出席者》上田委員、中井委員、山本委員

《配布資料》

次第[PDFファイル/30KB] [Wordファイル/37KB]
(資料1)「差別と思われる事例」の募集結果について[PDFファイル/345KB] [Wordファイル/58KB]
(資料2)差別解消方策の検討に向けた考え方の整理[PDFファイル/121KB] [その他のファイル/88KB]
(資料3)ガイドラインの検討にあたっての考え方(案)[PDFファイル/88KB] [Wordファイル/28KB]
(参考資料)差別と思われる事例収集について[PDFファイル/223KB] [Wordファイル/67KB]
(参考資料)大阪府障がい者差別解消ガイドライン(案)第1版[PDFファイル/1.01MB] [Wordファイル/2.3MB]
《議事概要》以下のとおり


【議事概要】
事例の取扱いについて
≪委員≫










公募で寄せられた事例を「これはいかん」と断言することはもちろんいけないだろうが、差別だと思われた人から応募があったことは事実なので、そういうものとして紹介することは差し支えはないのではないかと思う。
判例については、ある種の規範性があるという書き方をして差し支えない。ADRでの対応事案にも一定の法的な意味がある。しかし結局のところADRでの結論に過ぎず、これをルールにするとなると、言い切ってしまってよいのか難しいところ。
法務省の人権侵犯事件は、法律に基づくものでなく、厳密に言えば一体これは何なのか、というものではある。しかし、あくまで国がこういう判断を示している、という紹介の仕方であれば、大阪府としては中立性は保てるとも言える。
公募して寄せられた事例については、単にそういう声が上がっているというだけで、どこかの機関が判断を示したものではない。判例、ADR対応事案、人権侵犯事件とは非常に大きな違いがある。ただ、ガイドラインの趣旨が啓発だということなのであれば、実際に差別だと感じた人がいるということは事実なので、「啓発の題材として考えましょう」という取り上げ方はあると思う。グラデーションに留意すべき。
時期の問題もある。30年前の事例なども挙げられており、一定の選別はせざるを得ないかもしれない。選別することになると、なおさら気をつけなければいけない。
■「不当な差別的取扱い」などの定義(一般論化)について




障がい者のガイドラインは、法律が使っている言葉に準拠しながら書いてある。障がい者以外のガイドラインについては、法律がない中で、障害者差別解消法の文言をそのまま使って、一般的な定義、定式を書くということになると、それ自体異論の余地がある。豊富な事例から定義、定式が異論なく導かれるのであればまだ良いだろうが、事例が少ないとなると心配である。
事例を挙げること自体は比較的問題が少ないと思うが、そこから何かを導き出すことについては、慎重であるべき。

合理的配慮などは事例が全然ないかもしれず、そのようなものにまで言及することになると、一定の価値判断を示すことになってしまう。慎重にしたほうがよい。

■学識経験者などで構成する合議体で、寄せられた事例について議論し、「これは差別である」と認定することについて











一般に、ある問題について、大体、「こうすべきである」ということが固まっているが、社会がそこまで追いついていないという場合には、「こうすべきである」ということを、ガイドラインや指針などで示すのが、これまでの典型的な対応の仕方。しかし、今回扱っている問題は非常に幅が広く、必ずしも「こうあるべき」と簡単には言えない問題がたくさん含まれている。
これまでの二回の会議では、一定の公の機関で一定の解決をみている事例があるのであれば、「こういう事例がありますよ」ということを示すことによって、事業者などに考えてもらうための基礎を提供するということを考えてきた。しかし、その方針に沿って調べてみた結果、そのような事例は豊富にあるわけではないことが分かった。では、どのような方法があるのか。おそらく従来型の方法は使えないのではないかと思う。もう少しやわらかい方法を考えなければならない。
ガイドラインと言うべきものではなくなるかもしれないが、例えば、ある問題について、それぞれの側に立っている人が集まり、「かくあるべきだ」と結論を出していくということも考えられる。しかし、結論を出せるものもあれば出せないものもあるだろう。
となると、様々な意見を挙げて、「これは一見すごく正しそうだけれど、実は他方から見るとこういう問題もあって、そう簡単にいかないのである」ということを示していく。
その問題の何がどう難しいのかということ、多面的に考えないといけない問題であること、をよく理解してもらうための基礎となるものを作る。行政が一方的に押し付けたり、誘導するのではなく、皆が多面的に考えて、将来ルールを作っていくための基礎を作るということを行政がやるのは全然悪くないと思う。かなり大変だと思うが、そのようなアイディアが小さい形でも実現できれば意味はあるのかと思う。

私も同じ。ガイドラインの中に「考えてみよう」というコーナーを作ることが考えられるのではないかと思う。嫌な思いをした方がいるということは事実なので、それに対して、「こういう考え方もあれば、また別の考え方もある、また、国際社会ではこのような規範ができつつあります」というようなことを紹介していくのは良いかと思う。
■押さえておかないといけないポイントについて


二点。一つは、大阪府はあくまで公権力なので、できること、やってはいけないことは何なのかという視点を持つこと。
もう一つは、司法との連携。本来、このような仕事は司法の役割だと思う。総合紛争解決センターなど司法の動きもあるようなので、それらと連携して事例の収集を行ったり、逆に、困っている方に対して「こういう方法があるんですよ」という紹介などをしていくべき。それでもどうしてもうまくいかないときに、条例という話が出てくるのだと思う。

法律がない中で、地方行政として何かを作っていくことはとても難しく、無形の圧力になってしまうという懸念も示されていた。しかし一方で、行政としては、「ここまでは絶対に許せない」というラインをしっかり持った上で、無形の圧力をかけていく、世論を作っていくというのも、行政の役割ではないかと思う。







人権問題の中でも、一番難しい問題を扱っていると思う。
人権の中でも平等権は、人と人を等しく扱わなければならないというものであり複雑である。国が行為者の場合は、まだ憲法14条があって比較的問題が小さいが、今回対象としているのは、私人が私人を等しく扱わなければならないという問題であり、非常に難しい。
現代だからこそやらなければならない、そしてすぐに答えは見つからないかもしれないが考えていかなければならない問題であるが、それだけに、従来の方法がそのまますぐに使えないところがある。性急に進めようとすると反発を生んでしまうので、意識を高めて、議論につなげ、そして将来のルール形成に持っていくという慎重さが必要。
様々な手法を使いながら、枠組みを作っていくのは、行政のなすべき役割だと思う。

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権擁護課 擁護グループ

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