人権問題に関する府民意識調査検討会委員
奈良教育大学名誉教授 中川喜代子
「人権問題に関する生活態度スコア」別に、差別や差別の解決に関する12の意見(問2)に対する回答を見ると、「(1)差別は人間として恥ずべき行為の一つだ」、「(3)あらゆる差別をなくすために、行政は努力する必要がある」、「(5)差別を受けてきた人に対しては、格差をなくすための行政の支援が必要だ」、「(11)差別問題に無関心な人にも、差別問題についてきちんと理解してもらうことが必要である」という積極的な意見に対して、「L」グループの場合、「そう思う」あるいは「どちらかといえばそう思う」と回答した者の割合が、いずれも3グループの中で最も低く、「H」グループとは18%程度、「M」グループとでも10%程度の差が認められるほか、「(7)差別は法律で禁止する必要がある」、「(9)差別される人の話をきちんと聴く必要がある」という意見についても、グループ間の差はさほど大きくはないが、やはり「L」グループの肯定的な意見の割合は低い。他方、「(2)差別は世の中に必要なこともある」、「(10)差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらきりがない」、「(12)差別の原因には、差別される人の側に問題があることも多い」という消極的な意見については、「M」グループや「H」グループと比べて肯定する者の割合が高くなっている。しかし、「(4)差別されている人は、まず、自分たちが世の中に受け入れられるよう努力することが必要だ」については、「M」グループとの差はほとんど見られない。
また、「(6)差別に対して抗議や反対をすることによって、より問題が解決しにくくなることが多い」、「(8)どのような手段を講じても、差別を完全になくすことは無理だ」という意見については、「M」グループの場合、支持する者の割合は、前者については53.2%、後者については72.2%を占め、3グループの中で一番高くなっていることに注意したい。【表6】
【表6 人権問題に関する生活態度スコア別差別に関する基本的な認識】
| 『そう思う』『どちらかといえばそう思う』 | 『そう思わない』『どちらかといえばそう思わない』 | 『わからない』 | 無回答・不明 | |
(1)差別は、人間として恥ずべき行為の一つだ | L | 67.3 | 16.8 | 5.1 | 10.7 |
M | 85.7 | 6.3 | 2.0 | 5.9 | |
H | 85.0 | 4.5 | 1.6 | 8.9 | |
総数 | 81.2 | 8.3 | 2.7 | 7.9 | |
(2)差別は世の中に必要なこともある | L | 36.0 | 43.0 | 9.3 | 11.7 |
M | 27.1 | 58.1 | 8.8 | 5.9 | |
H | 13.8 | 68.4 | 7.7 | 10.1 | |
総数 | 25.6 | 57.4 | 8.6 | 8.4 | |
(3)あらゆる差別をなくすために、行政は努力する必要がある | L | 61.2 | 18.7 | 7.0 | 13.1 |
M | 77.8 | 12.0 | 4.5 | 5.7 | |
H | 80.2 | 6.1 | 3.2 | 10.5 | |
総数 | 74.5 | 12.0 | 4.8 | 8.7 | |
(4)差別されている人は、まず、自分たちが世の中に受け入れられるよう努力することが必要だ | L | 66.4 | 15.0 | 7.0 | 11.7 |
M | 63.6 | 22.9 | 8.1 | 5.4 | |
H | 50.6 | 33.2 | 7.3 | 8.9 | |
総数 | 60.7 | 23.8 | 7.6 | 7.9 | |
(5)差別を受けてきた人に対しては、格差をなくすために行政の支援が必要だ | L | 49.5 | 28.5 | 10.3 | 11.7 |
M | 64.7 | 22.6 | 7.0 | 5.7 | |
H | 68.4 | 15.4 | 6.9 | 9.3 | |
総数 | 62.1 | 22.0 | 7.8 | 8.1 | |
(6)差別に対して抗議や反対をすることによって、より問題が解決しにくくなることが多い | L | 45.3 | 25.2 | 17.3 | 12.1 |
M | 53.2 | 24.4 | 16.5 | 5.9 | |
H | 38.1 | 34.4 | 17.8 | 9.7 | |
総数 | 47.2 | 27.4 | 17.1 | 8.4 | |
(7)差別は法律で禁止する必要がある | L | 34.1 | 37.9 | 16.8 | 11.2 |
M | 41.4 | 36.9 | 15.8 | 5.9 | |
H | 51.4 | 22.3 | 16.6 | 9.7 | |
総数 | 42.4 | 33.1 | 16.3 | 8.2 | |
(8)どのような手段を講じても、差別を完全になくすことは無理だ | L | 67.3 | 15.0 | 5.6 | 12.1 |
M | 72.2 | 14.0 | 7.7 | 6.1 | |
H | 57.5 | 25.5 | 7.7 | 9.3 | |
総数 | 67.0 | 17.4 | 7.2 | 8.4 | |
(9)差別される人の話をきちんと聴く必要がある | L | 77.6 | 7.5 | 3.7 | 11.2 |
M | 83.9 | 5.4 | 5.2 | 5.4 | |
H | 85.4 | 2.4 | 2.8 | 9.3 | |
総数 | 82.8 | 5.1 | 4.2 | 7.9 | |
(10)差別だという訴えを、いちいち取り上げていたらきりがない | L | 47.2 | 29.9 | 11.2 | 11.7 |
M | 40.3 | 44.3 | 9.0 | 6.3 | |
H | 28.3 | 56.7 | 5.7 | 9.3 | |
総数 | 38.6 | 44.3 | 8.6 | 8.4 | |
(11) 差別問題に無関心な人にも、差別問題についてきちんと理解してもらうことが必要である | L | 62.1 | 18.7 | 7.9 | 11.2 |
M | 75.3 | 13.1 | 5.4 | 6.1 | |
H | 80.2 | 6.9 | 3.6 | 9.3 | |
総数 | 73.5 | 12.7 | 5.5 | 8.2 | |
(12)差別の原因には、差別される人の側に問題があることも多い | L | 53.3 | 22.0 | 12.6 | 12.1 |
M | 48.2 | 32.4 | 13.6 | 5.9 | |
H | 27.5 | 49.8 | 13.4 | 9.3 | |
総数 | 43.7 | 34.7 | 13.3 | 8.3 |
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府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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