人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 大阪人権意識 2.人権意識、差別意識を測る尺度作り (3)結婚相手の条件

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子

2.人権意識、差別意識を測る尺度作り

(3)結婚相手の条件

 問3では、結婚相手を考える際に気になること(なったこと)について、14項目を挙げて、回答者自身の場合と子どもの場合との両方について問うています。これらの項目の中で、「人柄、性格」、「趣味や価値観」、「仕事に対する相手の理解と協力」、「家事や育児の能力や姿勢」以外の項目は、結婚相手を考える際に気になる(なった)人ほど差別意識が強いのではないかと考えられます。
 気になること(なったこと)の特徴を捉えるために、ここでも因子分析を試みることにします。「主因子法」で「バリマックス回転」を行った分析結果が、表2-3-1です。以下のいずれの因子も、回答者自身の場合、子どもの場合とも同様に高い「因子負荷量」を示しています。

表2-3-1 結婚相手を考える際に気になることについての因子分析結果 

結婚相手の気になること

第1因子

第2因子

第3因子

第4因子

第5因子

第6因子

第7因子

第8因子

問3c(6) 学歴

.740

.111

.085

.063

.062

.140

.117

.102

問3i(6) 学歴

.642

.078

.072

.026

.071

.158

.102

.052

問3i(8) 家柄

.504

.185

.087

.300

.064

.057

.092

.187

問3c(8) 家柄

.488

.171

.075

.301

.083

.135

.070

.176

問3i(14) 同和地区出身者かどうか

.142

.815

.011

.061

.151

.135

.158

.108

問3c(14) 同和地区出身者かどうか

.156

.802

.028

.129

.174

.127

.161

.108

問3c(10) 国籍・民族

.195

.490

.040

.478

.092

.048

.141

-.027

問3i(10) 国籍・民族

.184

.477

.035

.454

.056

.019

.151

.013

問3c(4) 家事や育児の能力や姿勢

.060

-.035

.692

.099

.061

.089

.062

.064

問3c(3) 仕事に対する相手の理解と協力

.062

.070

.678

.041

.062

.174

.016

-.002

問3i(4) 家事や育児の能力や姿勢

.066

-.005

.665

.100

.012

-.006

.066

.039

問3i(3) 仕事に対する相手の理解と協力

.059

.045

.652

.017

.075

.111

.013

.025

問3c(9) 離婚歴

.116

.082

.125

.615

.146

.209

.086

.115

問3i(9) 離婚歴

.142

.091

.131

.590

.094

.154

.104

.126

問3c(12) 相手やその家族の宗教

.116

.138

.108

.154

.875

.101

.119

.081

問3i(12) 相手やその家族の宗教

.100

.196

.120

.123

.780

.080

.059

.085

問3i(5) 経済力

.106

.069

.138

.059

.078

.640

.081

.081

問3c(5) 経済力

.090

.060

.133

.097

.036

.578

.051

.039

問3c(7) 職業

.375

.101

.077

.216

.065

.513

.057

.038

問3i(7) 職業

.441

.099

.061

.159

.046

.463

.045

.077

問3c(11) 相手やその家族に障がい者の有無

.166

.177

.090

.210

.120

.146

.768

.122

問3i(11) 相手やその家族に障がい者の有無

.179

.274

.095

.108

.077

.078

.715

.142

問3i(13) 一人親家庭かどうか

.140

.065

.062

.047

.066

.040

.084

.705

問3c(13) 一人親家庭かどうか

.144

.078

.040

.155

.070

.118

.107

.681

寄与率

8.7

8.7

8.2

6.6

6.4

6.3

5.5

4.8

累積寄与率

8.7

17.4

25.6

32.2

38.7

44.9

50.4

55.2

クロンバックの信頼性係数α

0.769

0.832

0.780

0.753

0.875

0.728

0.816

0.690

因子解釈

階層排除

同和地区・国籍等排除

理解協力

離婚歴
排除

宗教排除

経済力
排除

障がい
排除

ひとり親
家庭排除

因子抽出法: 主因子法
回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法
      
※ i 回答者自身の場合
  c 子どもの場合

 第1因子は、「学歴」、「家柄」が高い「因子負荷量」を示していることから、「階層排除」因子と名付けます。
 第2因子は、「同和地区出身者かどうか」、「国籍・民族」が高い「因子負荷量」を示しています。これらの項目は「同和地区・国籍等排除」因子と名付けることにします。
 第3因子は、「家事や育児の能力や姿勢」、「仕事に対する相手の理解と協力」が高い「因子負荷量」を示しており、「理解協力」因子と解釈することが できます。
 第4因子は、「離婚歴」が高い「因子負荷量」となっていることから「離婚歴排除」因子と名付けることにします。
 第5因子は、「相手やその家族の宗教」が高い「因子負荷量」を示しており、「宗教排除」因子と名付けます。
 第6因子は、「職業」、「経済力」が高い「因子負荷量」を示していることから、「経済力排除」因子と名付けます。
 第7因子は、「相手やその家族に障がいのある人がいるかどうか」が高い「因子負荷量」を示していることから「障がい排除」因子と名付けます。
 第8因子は、「一人親家庭かどうか」が高い「因子負荷量」を示していることから「ひとり親家庭排除」因子と名付けます。
 尺度を作成するに当たり、「クロンバックの信頼性係数」を求めたところ、第8因子の数値がやや低いものの、総じて問題ないと判断し、8種の尺度を作成することにします。
 なお、「理解協力」因子は、パートナーと対等な関係を築こうとする価値観の表われであって、「理解協力」の度合いが高くなるほど排除意識が高くなるのではなく、むしろ、平等意識の表われであると解釈されます。 

 第1因子から第8因子それぞれにおいて、高い「因子負荷量」を示している項目を用いて尺度を作成するに当たり、点数が高いほど排除意識が低く人権意識が高くなるように、「理解協力」因子以外については、「気になる」として選択した場合を1点、選択しない場合を2点とし、「理解協力」因子については、「気になる」2点、「選択なし」1点としてそれぞれ平均値を求めます。作成する8つの尺度を、「階層排除否定意識」尺度、「同和地区・国籍等排除否定意識」尺度、「理解協力意識」尺度、「離婚歴排除否定意識」尺度、「宗教排除否定意識」尺度、「経済力排除否定意識」尺度、「障がい排除否定意識」尺度、「ひとり親家庭排除否定意識」尺度と名付けます。
 それぞれの尺度の統計量は、表2-3-2のとおりです。

表2-3-2 統計量

 

 

階層排除否定

同和地区・国籍等排除否定

理解協力

離婚歴
排除否定

宗教排除否定

経済力
排除否定

障がい
排除否定

ひとり親
家庭排除
否定

度数

有効

793

793

793

793

793

793

793

793

欠損値

110

110

110

110

110

110

110

110

平均値

1.82

1.65

1.44

1.71

1.68

1.54

1.84

1.94

標準偏差

 

.294

.319

.386

.407

.440

.359

.339

.212

  性別、年齢との関連は、次のとおりです。

表2-3-3 性別と結婚相手の気になること 

性別

 

階層排除否定

同和地区・国籍等排除否定

理解協力

離婚歴
排除否定

宗教排除否定

経済力
排除否定

障がい
排除否定

ひとり親
家庭排除
否定

全体

平均値

1.82

1.65

1.44

1.70

1.68

1.54

1.83

1.94

 

度数

718

718

718

718

718

718

718

718

 

標準偏差

0.29

0.32

0.39

0.41

0.44

0.36

0.35

0.21

男性

平均値

1.86

1.64

1.46

1.75

1.73

1.66

1.84

1.95

 

度数

352

352

352

352

352

352

352

352

 

標準偏差

0.26

0.32

0.38

0.39

0.42

0.32

0.34

0.19

女性

平均値

1.78

1.66

1.43

1.66

1.63

1.42

1.82

1.92

 

度数

367

367

367

367

367

367

367

367

 

標準偏差

0.31

0.32

0.39

0.43

0.46

0.35

0.36

0.23

F検定結果

p=.001 **

p=.006 **

p=.002 **

p=.000 ***

 表2-3-4 年齢別と結婚相手の気になること 

年齢

 

階層排除否定

同和地区・国籍等排除否定

理解協力

離婚歴
排除否定

宗教排除否定

経済力
排除否定

障がい
排除否定

ひとり親
家庭排除
否定

全体

平均値

1.82

1.65

1.44

1.70

1.68

1.54

1.83

1.94

 

度数

718

718

718

718

718

718

718

718

 

標準偏差

0.29

0.32

0.39

0.41

0.44

0.36

0.35

0.21

20歳代

平均値

1.82

1.69

1.54

1.66

1.60

1.54

1.90

1.97

 

度数

52

52

52

52

52

52

52

52

 

標準偏差

0.27

0.26

0.42

0.42

0.46

0.38

0.24

0.12

30歳代

平均値

1.86

1.64

1.49

1.67

1.67

1.52

1.85

1.95

 

度数

100

100

100

100

100

100

100

100

 

標準偏差

0.28

0.34

0.42

0.43

0.45

0.35

0.33

0.21

40歳代

平均値

1.86

1.67

1.44

1.73

1.73

1.60

1.84

1.96

 

度数

113

113

113

113

113

113

113

113

 

標準偏差

0.26

0.32

0.39

0.39

0.41

0.35

0.32

0.20

50歳代

平均値

1.83

1.74

1.36

1.78

1.68

1.57

1.86

1.96

 

度数

120

120

120

120

120

120

120

120

 

標準偏差

0.29

0.28

0.35

0.37

0.44

0.35

0.31

0.16

60歳代

平均値

1.83

1.64

1.41

1.71

1.68

1.55

1.84

1.91

 

度数

178

178

178

178

178

178

178

178

 

標準偏差

0.29

0.33

0.38

0.41

0.44

0.37

0.35

0.24

70歳以上

平均値

1.75

1.58

1.49

1.65

1.67

1.47

1.74

1.91

 

度数

155

155

155

155

155

155

155

155

 

標準偏差

0.33

0.33

0.38

0.43

0.45

0.36

0.41

0.26

F検定結果

p=.017 *

p=.002 **

p=.016 *

-

-

p=.018 *

 表2-3-3から、男性よりも女性のほうが「階層排除否定意識」、「離婚歴排除否定意識」、「宗教排除否定意識」、「経済力排除否定意識」が低い傾向にあり、女性のほうが結婚相手の「階層」、「離婚暦」、「宗教」、「経済力」が気になる傾向が高いことがわかります。また、表2-3-4から、「階層排除否定意識」、「同和地区・国籍等排除否定意識」は、若年層より中年層のほうが高く、中年層において、「階層」、「同和地区・国籍等」が気になる傾向が低いことがわかります。年齢が低いほど「障がい」は気にならないという傾向がみられることは、障がい者差別意識が若年層ほど軽減される傾向にあるものと解釈できます。
 なお、年齢が低いほど「理解協力」が気になるという傾向がみられることについては、「理解協力意識」の程度は、パートナーと対等な関係を築きたいという価値観の表れであると解釈できることから、この点については、若年層ほど結婚相手として「排除する」意識が高いとはみなせません。

【知見】
○男性よりも女性のほうが、結婚相手を考える際に「階層」、「離婚歴」、「宗教」、「経済力」が気になる傾向にある。
○「階層」、「同和地区・国籍等」は、中年層において気になる傾向が低く、年齢が低いほど「障がい」は気になる傾向が低い。
○年齢が低いほど、「理解協力」が気になる傾向が高い。

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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