人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子
問4の5項目は、差別意識の一種である忌避意識の度合いを測定するために用意された項目です。これら5項目を別々に用いて分析するのではなく、組み合わせて忌避意識を測る一つの尺度を作りたいと思います。そこで、これまでの人権意識の尺度作りと同様に、因子分析の方法を用いて特性をみることにします。
表2-4-1は、これら5項目について、選択肢を「1避けると思う」、「2どちらかといえば避けると思う」、「3わからない」、「4どちらかといえば避けないと思う」、「5まったく気にしない」と、忌避意識の強いものから弱いものへと並べ替えた上で、「主因子法」を用いて「バリマックス回転」を行って解析した結果を示しています。1因子に収斂する結果となりました。「反忌避意識」因子と名付けることができます。「因子負荷量」はいずれも大きく、また、「寄与率」も50.9%と高く、さらに、尺度を作成するに当たり、「一次元性」について「クロンバックの信頼性係数」を求めたところ、0.836と高い数値を示していることから、「一次元性」が高いものと解釈することができます。
そこで、これら5項目それぞれに対する回答を1点から5点に得点化し、その平均値を回答者個々人の得点とします。平均値は3.0、標準偏差は1.1です。
なお、忌避意識イコール差別意識ということではなく、忌避意識は様々な差別意識の一種であることを押さえておきます(神原2011)。
表2-4-1 住宅を選ぶ際の条件の因子分析結果
住宅を選ぶ際の条件 | 第1因子 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
問4(2)小学校区が同和地区と同じ区域になる | 0.769 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
問4(1)同和地区の地域内である | 0.757 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
問4(3)近隣に低所得者など、生活が困難な人が多く住んでいる | 0.706 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
問4(4)近隣に外国籍の住民が多く住んでいる | 0.706 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
問4(5)近くに精神科病院や障がい者施設がある | 0.618 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
寄与率 | 50.9 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クロンバックの信頼席係数α | 0.836 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
因子解釈 | 反忌避意識 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
因子抽出法: 主因子法 |
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回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法 次に、反忌避意識と回答者の基本的属性との関連をみることにします。 表2-4-2 性別と反忌避意識
表2-4-3 年齢と反忌避意識
表2-4-4 学歴と反忌避意識
表2-4-5 職業と反忌避意識
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【知見】
○反忌避意識は、男性のほうが女性よりも高い傾向にある。
○反忌避意識は、年齢、学歴および職業と関連があるとはいえない。
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府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ
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