産業廃棄物の処理基準(FAQ)

更新日:2017年10月23日

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Q73 事業者が自社の産業廃棄物を自ら保管する場合、保管数量の上限基準は適用されるか?

A73
 適用されません。
 産業廃棄物が事業所の保管場所から収集され処分施設まで運搬される過程での保管については、積替えのための保管のみ認められており、産業廃棄物処理基準(施行令第6条)が適用されて、保管数量の上限(1日当たりの平均的な排出量の7日分を超えないようにすること)が定められています。(施行令第6条第1項第1号ホ) しかし、事業者が自社の産業廃棄物を自社の保管施設で自ら保管する場合には、法第12条第2項により「その産業廃棄物が運搬されるまでの間の技術上の基準(産業廃棄物保管基準)」の遵守が義務付けられており、産業廃棄物保管基準(施行規則第8条)では、収集運搬過程での保管とは違って、保管数量の上限の制限はありません。(A36参照
 ただし、屋外において産業廃棄物を容器を用いずに保管する場合にあっては、運搬されるまでの間の保管であっても収集運搬過程での保管の場合と同様に産業廃棄物の最大積み上げ高さに関する制限が適用されることに留意してください。
 なお、事業者が工場敷地外に確保した保管施設で自社の産業廃棄物のみを保管する場合も、積替えを目的とした保管でない限り、運搬されるまでの間の技術上の基準(産業廃棄物保管基準:施行規則第8条)が適用されます。

(注)
「運搬されるまでの間の技術上の基準」と「収集運搬過程での保管基準」との違い
「運搬されるまでの間の技術上の基準(産業廃棄物保管基準)」(施行規則第8条)
1.周囲に囲いが設けられていること
2.見やすい箇所に掲示板(60cm×60cm以上)が設けられていること
3.保管の場所から産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し並びに悪臭が発散しないように次に掲げる措置を講ずること。
 (1)汚水が生ずるおそれがある場合は、汚水による公共の水域及び地下水の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設け、
  かつ、底面を不浸透性の材料で覆うこと
 (2)屋外において容器を用いずに保管する場合は、最大積み上げ高さを超えないこと
4.保管場所に、ねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること
5.石綿含有産業廃棄物についての規定
「収集運搬過程での保管基準」(施行令第6条第1項第1号ホ)
上記1から5の基準に加えて、
6.保管は積替え※を行う場合を除き、行ってはならないこと
  ※積替えの基準
    ・あらかじめ、積替えを行った後の運搬先が定められていること
    ・搬入された産業廃棄物の量が、積替えの場所において適切に保管できる量を超えるものでないこと
    ・搬入された産業廃棄物の性状に変化が生じないうちに搬出すること
7.保管する産業廃棄物の数量が、当該保管場所における一日当たりの平均的な搬出量の7日分を超えないようにすること。

Q74 廃水処理施設に付随する汚泥の脱水ケーキホッパーでの保管には、保管基準が適用されるか?

A74
 通常、脱水ケーキホッパーから収集運搬業者の車両に積み込みされることが多く、脱水ケーキホッパーにおける保管は、「産業廃棄物が運搬されるまでの間」の保管となって、産業廃棄物保管基準(規則第8条)が適用されます。従って、掲示板の設置が必要ですが、「囲いの設置」については、保管基準の趣旨・目的から考えて通常は必要ありません。

Q75 自社工場の敷地内で汚泥を野積みする行為は不法投棄になるか?

A75
 廃棄物の不法投棄とは、廃棄物処理法第16条に規定する投棄禁止規定(何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない)に違反する行為をいい、「みだりに捨てる」に該当するかどうかは、廃棄物処理法の趣旨である生活環境の保全及び公衆衛生の向上に照らし、具体的状況を前提として、社会通念上許容されるかどうかで判断されます。
 従って、自社工場の敷地内で行われていたとしても、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るとの法の趣旨に照らし、社会通念上許容されない場合は、「みだりに廃棄物を捨てる」行為に当たります。自社の敷地内での不法行為を罰することが、憲法で保障された財産権を侵害するということにはなりません。
 また、「捨てる」という行為は、「廃棄物を最終的に占有者の手から離して自然に還元することをいい『処分する』ということと同旨である」とされていました。(厚生省水道環境部編「廃棄物処理法の解説」) しかし、廃棄物を野積みする行為であっても、その態様、期間等に照らして仮置きなどとは認められず、不要物としてその管理を放棄したものと認められる場合は、「みだりに捨てる」に当たり、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。すなわち、野積みした汚泥について、環境汚染を防止するための措置を講じるなどの管理を全く行わないまま、相当長期間にわたって野積みを続ける場合は、「みだりに捨てる」に当たる場合があります。
 なお、廃棄物処理法第16条に規定する投棄禁止規定違反に対する罰則(法第25条)については、平成15年の廃棄物処理法改正によって未遂罪が設けられたことに留意してください。

Q76 排水系統以外から廃液を排水口に投入する行為は不法投棄になるか?

A76
 廃棄物の不法投棄とは、廃棄物処理法第16条に規定する投棄禁止規定(何人もみだりに廃棄物を捨ててはならない)に違反する行為をいい、「みだりに捨てる」に該当するかどうかは、廃棄物処理法の趣旨である生活環境の保全及び公衆衛生の向上に照らし、具体的状況を前提として、社会通念上許容されるかどうかで判断されます。投棄禁止規定違反に限らず廃棄物処理法違反で処罰されるのは故意犯ですので、不法投棄で処罰されるには、行為者が行為の客観的外形について認識していることが必要ですが、自己の行為が社会通念上許容されないものである旨の認識を持っている必要はないとされています。
 従って、排水基準に適合しない廃液を排水系統以外から排水口に投入した場合には、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。

Q77 製品が廃棄物となったものや製造工程で生じる不要物を水で溶かし又は水に懸濁させて自社の排水処理施設に投入する行為は不法投棄になるか?

A77
 し尿浄化槽などの排水処理施設で本来処理の対象とはしていない固形廃棄物を水で溶かし又は水に懸濁させて投入する行為は、排水処理施設の負荷を高めて放流水の水質を悪化させるおそれがあり、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。(A76参照

Q78 ビルメンテナンスで発生する床ワックスの剥離廃液を未処理で下水道や公共用水域に放流する行為は不法投棄になるか?

A78
 高アルカリ性の剥離廃液を中和凝集沈殿処理して下水道や公共用水域に放流すれば、「みだりに捨てる」とは言えず、投棄禁止規定違反に該当しません。
 しかし、何ら処理せずに流す場合は勿論、水で希釈しただけで下水道や公共用水域に放流する行為は、投棄禁止規定違反に該当する場合があります。(A76参照)この場合、下水道法の基準に適合していることのみをもって、投棄禁止規定違反に当たらないとはいえません。
 なお、ビルメンテナンスに伴い発生する剥離廃液の排出事業者は、メンテナンス業者及びビルのオーナーの双方が排出事業者となることができます。(A5参照

Q79 焼却設備と熱分解設備の違いは何か?

A79
 焼却施設には物を加熱してガス化させた後そのガスを当該施設の別の空間で燃焼させる処理を行う施設を含むものです。熱分解設備(炭化炉を含む)については、加熱により物を分解する施設のうち、燃焼させる処理を伴わないものは焼却設備に該当しませんが、燃焼させる処理を伴うものは焼却設備に該当します。従って、熱分解設備の場合に熱分解によって炭化水素油又は炭化物を生成する場合は、廃棄物の処理に伴い生じた不要なガスを燃焼以外の方法で適正に処理することが必要です。ただし、処理した産業廃棄物の重量、生成した炭化水素油の重量及び処理に伴って生じた残さの重量を測定することができる熱分解設備において、通常の操業状態において生成される炭化水素油の重量が、処理した産業廃棄物の重量の40%以上であり、かつ、処理に伴って生じたガスのうち炭化水素油として回収されないガスの重量が、処理した産業廃棄物の重量の25%以下である処理(再生利用を目的として炭化水素油を生成するものに限る。)にあっては、この限りではありません。(施行令第6条第1項第2号イでその例によることとされた政令第3条第2号ロの規定による施行規則第1条の7の2)
 なお、熱分解設備は、産業廃棄物の焼却施設には該当しませんが、熱分解設備の構造及び熱分解の方法に関する基準を遵守する必要があるほか、廃棄物処理法第21条の2の規定による事故時の措置が必要となる特定処理施設(施行令第24条)には、「熱分解設備が設けられている処理施設であって処理能力が1トン/日以上のもの」が含まれることに留意してください。

このページの作成所属
環境農林水産部 循環型社会推進室産業廃棄物指導課 排出者指導グループ

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