高次脳機能障がい支援ハンドブック 第二編 福祉制度や種々のサービスについて

更新日:平成31年4月1日

第4章 日中活動への支援

 障がいのある方が住み慣れた地域で安心して自分らしい生活を送るために、地域には様々な日中活動の場が存在する。例えば、当事者同士の交流を図ることにより、地域の中で安心して集う場所ができたり、当事者が自身の障がいを少しずつ受け入れていく機会にもつながる。
 また、定期的に日中活動の場に参加することで生活のリズムを整える機会になったり、様々な活動の機会を得ることで、より楽しく充実した生活も送ることもできる。
 このような観点から、日中活動の場は、地域で生活する障がいのある方が地域で孤立しないための社会参加の機会として重要な役割を担っている。
 地域には様々な日中活動の場があり、事業所によって特色が異なる。そのため、支援者は、障がいのある方一人ひとりに合った日中活動の場を利用してもらうことを踏まえて支援することが大切である。

(1)日中活動の場の主な障がい福祉サービス
   1.生活介護
   2.自立訓練(機能訓練・生活訓練)
   3.就労移行支援
   4.就労継続支援(A型・B型)
   5.地域活動支援センター
(2)日中活動の場の主な介護保険サービス
   1.通所介護(デイサービス)
   2.通所リハビリテーション(デイケア)
    ≪事例≫就労継続支援B型(作業所)での働きがい・就労支援の事例
    ≪事例≫自立訓練通所を経て働くことへの意欲が家庭生活を大きく変え、作業所利用に至った事例

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(1)日中活動の場の主な障がい福祉サービス

障害者総合支援法

・生活介護
・自立訓練(機能訓練・生活訓練)
・就労移行支援
・就労継続支援(A型・B型)
・地域活動支援センター    など

※サービスの利用にあたってはお住まいの市町村障がい福祉担当課にご相談ください。

※障害者総合支援法の概要については、ここに記載しています。

1.生活介護

 障がい者支援施設などで、入浴、排せつ及び食事等の介護、創作的活動、生産活動の機会の提供など援助が必要な障がいのある方が常時介護を要する場合に利用することができる。主に昼間、入浴、排せつ、食事等の介護、調理、洗濯、掃除等の家事、生活等に関する相談、助言のほか必要な日常生活上の支援、創作的活動、軽作業などの生産活動の機会の提供のほか、身体機能や生活能力の向上のために必要な援助を行う。
 このサービスでは、自立の促進、生活の改善、身体機能の維持向上を目的として通所により様々なサービスを提供し、障がいのある方の社会参加と福祉の増進を支援する。

2.自立訓練(機能訓練・生活訓練)

機能訓練

 障がいのある方に対し、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、一定の期間、身体機能または生活能力の向上・維持のために必要な訓練などを行うサービスである。このサービスでは、リハビリテーションや歩行訓練、コミュニケーション、家事の訓練などの実践的なトレーニングを中心に一定の期間を決めて行い、障がいのある方の地域生活への移行を支援する。
 利用者像としては、地域生活を営む上で、身体機能・生活能力の維持・向上等のため、一定の支援が必要な障がいのある方で、具体的には次のような例が挙げられる。

(1) 入所施設・病院を退所・退院した方であって、地域生活への移行等を図る上で、身体的リハビリテーションの継続や身体機能の維持・回復などの支援が必要な方
(2) 特別支援学校を卒業した方であって、地域生活を営む上で、身体機能の維持・回復などの支援が必要な方 等

(上記の利用者像はあくまで一例であり、各事業所によって受け入れ状況は異なる。)

生活訓練

 障がいのある方に対し、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、一定の期間、生活能力の向上のために必要な訓練などを行うサービスである。このサービスでは、施設や病院に長期入所または入院していた方などを対象に、地域生活を送る上でまず身につけなくてはならない基本的なことを中心に訓練を行い、障がいのある方の地域生活への移行を支援する。
 利用者像としては、地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等のため、一定の支援が必要な障がいのある方で、具体的には次のような例が挙げられる。

(1) 入所施設・病院を退所・退院した方であって、地域生活への移行を図る上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な方
(2) 特別支援学校を卒業した方、継続した通院により症状が安定している方等であって地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な方 等

(上記の利用者像はあくまで一例であり、各事業所によって受け入れ状況は異なる。)

【高次脳機能障がいのある方の自立訓練について】

 高次脳機能障がいのある方が、住み慣れた地域で自立した生活を送るために、身体機能や生活能力の向上を目指し、個々の生活状況や特性、目標にあわせて、訓練を行う。
 主に訓練では生活リズムを整えるために、日中活動に参加するための体力や持久性の向上を図ったり、病気や障がいの理解を深めることで自身の健康管理を身につけたり、代償手段の獲得などを行っている。高次脳機能障がいの症状は一人ひとり異なるため、一人ひとりに合った訓練を実施することが大切である。

※ 大阪府内では、例えば大阪府立障がい者自立センター堺市立健康福祉プラザ生活リハビリテーションセンター(外部サイト)大阪市更生療育センター(外部サイト)東大阪市立障害児者支援センターレピラ サポートスペースここりーど(外部サイト)で提供されています。
 

3.就労移行支援

 就労を希望する65歳未満の障がいのある方に対して事業所内での作業訓練や職場体験などの機会を提供し、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練や、就労に関する相談や支援を行うサービスである。このサービスでは、一般就労に必要な知識・能力を養い、本人の適性に見合った職場への就労と定着を目指す。
 利用者像としては、就労を希望する65歳未満の障がいのある方であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方で、具体的には次のような例が挙げられる。

(1) 企業等への就労を希望する方
(2) 技術を習得し、在宅で就労・企業を希望する方
   (上記の利用者像はあくまで一例であり、各事業所によって受け入れ状況は異なる。)

4.就労継続支援(A型・B型)

就労継続支援A型

 一般企業等での就労が困難な人に、働く場を提供するとともに、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行うサービスである。このサービスを通じて一般就労に必要な知識や能力が高まった方は、最終的には一般就労への移行を目指す。
 利用者像としては、企業等に就労することが困難な方であって、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な65歳未満の方(利用開始時65歳未満の方)で、具体的には次のような例が挙げられる。

(1) 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった方
(2) 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった方
(3) 企業などを離職した者等就労経験のある方で、現に雇用関係がない方
   (上記の利用者像はあくまで一例であり、各事業所によって受け入れ状況は異なる。)

就労継続支援B型

 就労経験のある障がいのある方に対し、就労の機会や軽作業などの生産活動の機会の提供、就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練などを行うサービスである。このサービスを通じて生産活動や就労に必要な知識や能力が高まった方は、就労継続支援(A型)や一般就労への移行を目指す。
 利用者像としては就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない方や、一定年齢に達している方などであって、就労の機会等を通じ、軽作業などの生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される方で、具体的には次のような例が挙げられる。

(1) 就労経験がある方であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった方
(2) 就労移行支援事業を利用(暫定支給決定での利用を含む)した結果、B型の利用が適当と判断された方
(3)(1)(2)に該当しない方であって、50歳に達している方または障がい基礎年金1級受給者
(4)(1)(2)(3)に該当しない方であって、一般就労の場やA型事業所による雇用の場が乏しい地域または就労移行支援事業者が少ない地域において、協議会などからの意見に基づいて一般就労への移行が困難と市区町村が判断した方(2015(平成27)年3月31日までの経過措置)
(5) 障がい者支援施設に入所する方については、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案の作成の手続きを経た上で、市区町村が利用の組み合わせの必要性を認めた方
   (上記の利用者像はあくまで一例であり、各事業所によって受け入れ状況は異なる。)

5.地域活動支援センター

相談支援の実施、創作的活動やレクリエーション、軽作業などの生産活動の機会を得たり、社会との交流を促進することで、自立した日常生活や社会生活を営むことができるよう支援する。

※サービスの利用にあたってはお住まいの市町村窓口や基幹相談支援センター、相談支援事業所などにご相談下さい。

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(2)日中活動の場の主な介護保険サービス

介護保険制度

・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(デイケア)   など

1.通所介護(デイサービス)

 日中、デイサービスセンターに通い、食事、入浴、その他の必要な日常生活上の支援や生活機能訓練などを日帰りで提供するサービスで、利用者の心身機能の維持向上と、利用者の家族負担の軽減を図る。

2.通所リハビリテーション(デイケア)

 介護老人保健施設や診療所、病院等の医療機関に通い、日常生活の自立を助けるために理学療法(巻末参照)作業療法(巻末参照)その他必要なリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図る。

※サービスの利用にあたってはお住まいの市町村窓口や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などにご相談下さい。

※介護保険制度の概要については、ここに記載しています。
ボールで遊ぶデイケアの絵

就労継続支援B型(作業所)での働きがい・就労支援の事例

 40歳代・男性
 症状記憶障がい・注意障がい
 その他脳梗塞、左半身麻痺、自信喪失

 Hさんが病院の紹介で作業所へ通い始めたのは、脳梗塞を発症されてから約半年後のことでした。左半身麻痺に加えて記憶と注意の低下がありました。2人の子どもたちのためにも就労したいという強い希望がありましたが、その反面、以前勤めていた会社から障がいを理由に解雇されたこともあり自信を失っていました。
 作業所では当初、内職の仕事から始めました。記憶障がいのため同じ質問を何度も繰り返し、集中できないためミスも目立ちました。特に深刻だったのは、他の利用者の方と距離を置き、ほとんど会話することなく「もうあかん」と言いながら溜息ばかりの毎日が続いたことでした。
 そんなある日、Hさんと一緒に出来上がった内職を納品するため発注業者へ配達に行きました。その時、業者の方が「いつも丁寧に仕事してくれてありがとう」と声をかけてくださいました。その言葉を聞いたときHさんの表情がパッと明るくなり、他者との関係を拒んでいたHさんが業者の方と談笑していました。自分の仕事が他の誰かに認められたことがとても嬉しく、少しずつ自信を取り戻すきっかけになり、これまで以上に内職仕事に精を出し、難しい他の作業にも挑戦するようになりました。そして思いはあっても諦めていた就職は、職員と一緒にハローワークへ行くようになり、職員は面接があれば同行し、Hさんの就労支援が始まりました。
 そして作業所に通って1年後、アルバイトとして、ようやく自分自身がやりたいと願っていた設計の仕事に就くことができました。会社にはHさんの障がいやこれまでの訓練の様子などの情報を提供しました。入社当初はトラブルもありましたが、人事担当者の方のご協力で会社と作業所が緊密な連携をとることができ、その都度解決策を探っていきました。
 入社して1年後、仕事にも慣れたHさんは念願の正社員に採用されました。障がいを持ったことにより、確かに以前と同じように仕事をすることはできなくなりましたが、周囲の方々の理解と協力により、諦めずに挑戦する新しい人生を得ることができました。最近は社員旅行の幹事も務め、社内の信用も厚く生きがいを取り戻しました。

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自立訓練通所を経て働くことへの意欲が家庭生活を大きく変え、作業所利用に至った事

 60歳代・男性
 症状記憶障がい
 その他

 商売をして地域活動にも積極的に参加していたIさんが脳梗塞で倒れたのは60歳代でした。病前は活動的な生活を送っていたIさんは、麻痺などの身体障がいは残りませんでしたが、記憶障がいから奥さんに何度も同じことを聞くことが多く、また自ら何もしようとしないという状態が2年間続いていました。介護保険のデイサービスを利用してみるものの他の利用者との会話も乏しいという状況の中、奥さんは活動的であったご主人が段々としぼんでいくような寂しさを感じていました。ただ、Iさんが唯一興味を示したものがあり、それは「仕事」でした。役所の相談窓口で制度上は介護保険優先であっても目的によっては障がい福祉サービスが使えることを知り、再び活動性の高い生活を送ることはできないかと自立訓練の利用を始めました。
 記憶障がいは重度でしたが、遂行機能は保たれており創作活動やグループでの園芸や清掃活動は積極的に取り組みました。若い利用者さんにも声かけするなど以前の地域での世話役をやっていた時のような明るい雰囲気で話されることも増えました。デイサービス利用ではその日の出来事を話すことは無かったのですが、興味のあった活動のことは自宅に帰っても話すようになりました。また、少しずつですが自宅での家事などの役割を行うようになりました。
 自立訓練終了が近づき、今後どのような活動をするかについて、Iさん、奥さん、自立訓練施設職員の間で話し合いを度々行いました。奥さんは介護保険サービスよりも作業所などでの能動的な社会参加を希望しましたが、Iさんは当初は乗り気ではありませんでした。しかし、Iさんが自立訓練施設でも好んでいた農作業や建物の清掃・管理を中心とした活動をする作業所の体験利用を重ねていくうちに働くことへの意欲が高まり、作業所の利用が決まりました。
 記憶の障がいはあるものの若い利用者の指導まで行うようなリーダー的存在となるなどの再び活動的な日々を送られるようになられました。

農作業の絵

このページの作成所属
福祉部 障がい者自立相談支援センター 身体障がい者支援課

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