平成26年8月委員会会議会議録

更新日:2014年9月25日

大阪府教育委員会会議会議録

 1 会議開催の日時

   平成26年8月22日(金曜日) 午前9時27分 開会

                    午前11時00分 閉会

2 会議の場所

   大阪府公館 

3 会議に出席した者

委員長隂山 英男
委員長職務代理者小河 勝
委員立川 さおり
委員木村 知明
委員井上 貴弘
教育長中原 徹
教育監津田 仁
教育次長橋本 正司
教育センター所長和田 良彦
教育総務企画課長見浪 陽一
教育振興室長丸岡 俊之
高等学校課長橋本 光能
支援教育課長水守 勝裕
市町村教育室長吉美 学
教職員室長中野 伸一
教職員人事課長後藤 克己
 

4 会議に付した案件等

議題1 大阪府立高等学校入学者選抜制度改善方針(案)について

議題2 平成27年度使用府立高校教科用図書の採択について

議題3 平成27年度使用府立支援学校教科用図書の採択について

報告事項1 平成26年度1学期(平成26年4月19日以降)における教職員の懲戒処分の状況について

 

5 議事等の要旨

(1) 会議録署名委員の指定

小河委員を指定した。

(2) 前回の会議録について

全員異議なく承認した。

(3) 議題の審議等

 

◎ 議題1 大阪府立高等学校入学者選抜制度改善方針(案)について

【議案の趣旨説明(高等学校課長)】

大阪府立高等学校入学者選抜制度改善方針(案)を定め、周知を行うことを決定する件である。

なお、様々な意見をふまえ、11月の教育委員会会議において最終決定を行う予定である。

 

【委員の質問及び意見】

(木村委員) 入試制度については賛否が分かれる色々なご意見が出るであろうが、長時間の議論を経た上で決まった結果であり、私としては良い形に落ち着いたと考えている。試験科目も5科目となり、調査書も1年次より見ることとなり、学力の底上げも期待できる。選抜時期が一本化になることにより受験機会は減るが、生徒自身がしっかりと進路を考え、将来のビジョンを見据えた上で高校の進路選択をしていただきたい。10年程度は安定的に運用できる制度となってほしい。

(隂山委員長) 受験機会が一本化されるが、失敗した時の不安への備えは考えられているか。

(橋本高等学校課長) 公私トータルで、府内公立中学校の進学予定者数を上回るよう、公立高校の募集人員を設定する。

(小河委員長職務代理者) 学区撤廃で中学校現場での進路指導がしんどくなってくる。今後は現場との連絡を取り合い、硬直化せずに十分意見を活かした対応をしていただきたい。あらゆる可能性を論議してきたが、これで全てが解決される訳ではない。社会人教育や文化教育という新たな学び直しという流れもある中、色々な人生の道のりがあり、大きな視点で、これで人生が決まるというような追い詰められた感覚にはならないことが必要である。

(井上委員) 選抜時期の一本化もそうだが、調査書の評価対象を広げることで、中学1年生からしっかり勉強してくださいとのメッセージを出すことに大きな意味がある。また、「活動/行動の記録」欄を設けたことで、中学校側でも学校全体で、しっかりと生徒を見つめていく仕組みを作っていただく意図があることを伝えていかなければならない。また、自己申告書については、点数だけでなく人物像を加味して入学者を決めていく大学入試に近づくこととなるが、単にテクニカルな書き方の技術論が広まるのではなく、中学生が勉強だけでなく、学校生活の中で部活や課外活動等の自分の好きなことにしっかりと取り組んでいただきたいという意図があることを広報活動により丁寧に周知していただきたい。

(立川委員) 前期後期がある時代はチャンスが複数回あり夢のような時代ではあるが、中学校で教科書が最後までいかない問題や、高校生の進路指導にデメリットがある中で、選抜時期の一本化は中学校や高校において落ち着いて進路指導に尽力できるようになるメリットがあると考えている。高校中退が減らない中、不本意入学を減らす進路指導ができるように、情報提供をしっかりとしながら中学校と高校が連携しながら選抜制度の仕組みづくりを進めてほしい。

(中原教育長) 私学との関係で言えば、難易度の高い学校においては公立が横綱相撲を取ることになると考えている。当然、公立としてのセーフティーネットは確保しながらではあるが、入試時期が3月となっても志願者が大量に私学に流れるということはないだろうとの見込みがある。お互いに公正な条件で良い教育を提供した上で、府民のみなさんに選んでいただくというイメージである。東京のように私学が強い地域では、公立が横綱相撲を取るとどんどん私学に流れていくが、大阪ではどっしり構えて、受験の日程ではなく、教育の中身で信頼されるような横綱相撲を取らなければならないと考えている。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

 

 ◎ 議題2 平成27年度使用府立高校教科用図書の採択について

【議案の趣旨説明(高等学校課長)】

平成27年度使用府立高校教科用図書について、府立高校が選定した教科用図書をすべて採択する件である。

 

◎ 議題3 平成27年度使用府立支援学校教科用図書の採択について

【議案の趣旨説明(支援教育課長)】

平成27年度使用府立高校教科用図書について、府立支援学校が選定した教科用図書をすべて採択する件である。

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) 3−2ページにある、小学部の対象教科書数がのべ2,248冊となっているが、2,248種類あるということか。

(水守支援教育課長) 学校での重複等があり、実数となるともう少し少なくなる。

(隂山委員長) 支援学校では検定教科書以外に、書店で売っている一般図書を教科書として使うということが意外と知られていないので確認したが、それら全てを教科書として使うためにチェックしているということか。

(水守支援教育課長) はい。

(立川委員) 昨年の教科書採択にあたって条件付きで補完教材を使用するとした学校は報告書を提出することとなっていたが、提出はあったのか。

(橋本高等学校課長) 昨年、条件付きで採択された学校からは順次、報告書を頂いている。

(立川委員) この教科書を使用している学校は毎年変わるものなのか。

(橋本高等学校課長) 昨年と同じ学校が3校あり、新たに使用することとした学校もある。

(中原教育長) 2−10ページの書道の教科書の指摘については、出版社の方も気づいておらず感謝された。多くの学校で使われているが、この点を指摘する声がどこからも出てこなかった。教科書をしっかりと見ていき、より良い教科書にしていかなければならない。

 

【採決の結果】

原案どおり決定した。

  

◎ 報告事項1 平成26年度1学期(平成26年4月19日以降)における教職員の懲戒処分の状況について

【議案の趣旨説明(教職員人事課長)】

平成26年4月19日以降において、教育長が専決した教職員の懲戒処分の状況について、委員会に報告する件である。

 

【委員の質問及び意見】

(隂山委員長) 1−2ページのエについて、自宅に押し入って体罰をしているというのはどうなのか。

(中野教職員室長) 保護者との人間関係は出来ており、押し入ったということではない。

(中原教育長) 自宅に入ることも認め、指導についてもご存じではあるが、時間帯と場所と対応がおかしかった。ただし、親の知らないところでの事案ではない。

(隂山委員長) 親御さんと先生とはどのような関係なのか。

(中野教職員室長) 信頼関係はあった。どちらかと言うと先生を慕っている感じである。

(小河委員長職務代理者) このようなことはあり得る。親も手をあげており、先生にぶら下がり、助けてほしいとなっている例が、中学高校ではあり得る。

(中原教育長) かといって、このような指導をしてよいかどうかは別問題である。

(小河委員長職務代理者) 想像だが、先生も親にぶら下がられて、子どもを何とか抑えようと燃え上がっているうちに、このようになってしまったのであろう。

(中原教育長) 市町村立であれ府立であれ、できるだけ中野室長と共に私が面談するようにしている。市町村の場合は教育長等にも入ってもらっている。同じような傾向があり、怒鳴るか叩くか、気持ちが行き過ぎてエスカレートしてしまったという人が大半である。指導にはいくらでも選択肢があるが、選択肢に気付いていない場合がほとんどであり、ルール違反をしたのでごめんなさいとなる。技術力の問題である点については、話をすると分かってもらえる。そのようなことを、時間はかかるが少しずつ草の根でしていくしかない。

(小河委員長職務代理者) 技術ということの捉え方が人それぞれで違いがあると思う。

(中原教育長) 私はそこがポイントであると思う。教師とは気持ちや情熱であり、技術ではないと言っていることが問題だと思う。日を変えて落ち着いてから話したり、別室へ移動したり、担任や保護者等みんなで集まり会議をする方法もある。時間と場所とやり方と言うのは色々とあるが、体罰をした先生は、言われてみればそうかとおっしゃる。気持ちや情熱の問題ではなく教育技術論である。フィンランドでは臨床経験をもとに技術論をしっかりと教えてくれる。このような傾向の子どもにはこのようなアプローチの仕方が一番届く可能性が高いというオプションを多数持っている。そのような指導・援助を先生にしていかないと、気持ちは分かるがそれをしてはいけないというだけでは解決しない問題である。

(小河委員長職務代理者) おっしゃっている所は良く分かるが、教育とは何が重要かとなる。つまり、語るのは言葉であり、言葉で相手を理解させていくことが重要である。教えるとは何かと言うそもそもの立脚点に話が戻る問題である。現場の先生に叩いてはいけないと言っても、そう簡単に流れている習慣が切り替わるのは難しい。どのように切り込んでいくかは相当策を講じなければ難しい。言葉をどのように子どもに理解させていくのか。こちら側にも何が悪いのかが明確に分かっていない部分があるのではないか。法律で決まっているから駄目であるという段階ではなく、更に深い語り合い、価値観をめぐる問いかけが必要になってくるレベルがあると思っている。どうしても手を出してしまったレベルで、場所と時間をわきまえろと言う切り替えの話でとどめてはいけないと思っている。

(中原教育長) 場所と時間はあくまでも例である。クラブ活動を辞める価値観と辞めない価値観で揺れ動いている生徒に対して、先生は辞めることは悪であり、逃げているのだとなり、その子が嘘をついてクラブを休んでしまったことで先生が手を出した例がある。辞めることで成功することもあり、2つの価値観で揺れている時に、1つの価値観だけに凝り固まった人から怒られると怖くなるので嘘もつくが、そのような価値観が無いと、理解ができずに手を出してしまうという話もしている。そもそもの出発点で生徒の価値観を考えずに手を出し、時間、場所、タイミング、言葉を間違った形で使っていき、上手くいかずに手が出たという事例である。これで足りないということであれば、是非、面談に参加していただきご意見をいただきたい。

(隂山委員長) 井上委員へ質問だが、例えば民間企業の場合に、何かミスをした時に黙っているということは可能なのか。

(井上委員) 可能である。どこの企業であってもそのようなことが起こった時に発見できる仕組みを作ろうと努めている。仕組みでも見つけられないものは個人の倫理観、資質に関わってくる。

(隂山委員長) 一番問題となるのは組織的に動いているかどうかではないか。指導はその先生の指導であるとともに学校の指導でもある。俺が俺がとなってしまうと午前3時とかになってしまう。年数を経るうちに組織的に動くことの肯定的な意味が分かってくるが、若い時は気付かないことがある。管理職や教育委員会への報告を怠ったというものが目に付くが、この部分に根っこがあるのではないか。体罰が駄目だという研修は年度初めにどこの学校でもしているはずである。

(立川委員) 体罰と言うよりこれらは暴力である。学校では指導という体罰であっても外に出れば暴力である。私も教育長がおっしゃったように技術の問題で、指導力不足だと思う。どうすれば体罰が無くなるのかを色々、勉強して提案してきた。先日、部活動の指導者向けにアンガーマネジメントという怒りの感情をコントロールする研修をしていただいた。また、教師における指導力というのはコミュニケーション能力に尽きるのかと思う。コミュニケーションコースがある府立茨田高等学校での取り組みであるピア・メディエーションは、生徒のコミュニケーションスキルを上げるためにされているが、それを教える教師の方もそのスキルを取り入れ、教師間でのコミュニケーションがうまく取れるようになり、対話の指導を心掛けて、懲戒件数も減っていると聞いている。体罰は暴力であり絶対になくすべきであり、私もアイデアを出していきたい。

(木村委員) 小さな段階で子ども達の不満を拾うにはチームワークが必要である。先生たちは孤立感があるのではないか。週に一回でもいいので、自分の悩みや子ども達の現状を共有する時間を義務付けるのも良いのではないか。

(小河委員長職務代理者) 教育長がおっしゃった、時間、場所、タイミング等については、冷静に考えればそこに気付くというのはあると思う。コミュニケーションやチームワークと言うのも一つの策である。だが、子どもは、そのような行動をとっている時に、良くないことをしていることは直感的に分かっているが、なぜそのような行動をとっているのかは、子ども自身も分からず、そのことに対する苛立ちが沢山ある。それが何なのかは子ども達も教師も親も分からないものである。そこに研究しなければならないテーマが潜んでいるように思っている。逆に、子どもの行動に対する良し悪しの話をする時には、言葉で言える明確な表現方法である語る力を考えていかねばならない。教師同士が常に相談し合う人間関係が出来ることから、同僚同士の語り合いも非常に大切である。

(隂山委員長) 子ども達にアンケートを書かせることがあるが、読み取りに技術がいるため共有しにくいものとなる。友達がいじめられていることをアンケートには直接的に書いてこない。寂しそうにしていましたというように、間接的に書いてくる。深刻に書いていないため教師の側はスルーしてしまう。そうすると、たいしたことが書かれないためそのうちやらなくなってしまう。形式的にすることも大切であるが、実態をくっつけていくことは手間暇がかかることとなる。

(小河委員長職務代理者) 子ども達のイライラが増えてきている時代であると思っている。その背後には学力問題が関わっていると考えている。クラブ活動やその他の問題も色々あるだろうが、根っこには自己肯定感が無いことがある。自分はやっても駄目だとなってしまっている。そのような子ども達の状況があることを考えると、教師の目から見て、みんなで考えていく、教師同士の活動の流れがあっても良いのではないかと考えている。

(井上委員) アンガーマネジメントや教師間の意見交換等はもちろん必要であろうが、それ以前に、体罰については駄目なものは駄目であると思う。先生だからやってしまう環境にあるという所に立脚しているように聞こえる。体罰で処分されている先生は多くの先生のうちのたった数パーセントである。研修云々と言うよりはその人の資質の問題であり、特殊な事例である。体罰をやってしまっていることに対して、アンガーマネジメントや教師間の話し合い等は議論が逆のような気がする。駄目なものは駄目なのである。

(立川委員) 以前から何度も指摘しているが、処分指針の中に体罰は免職になると書かれていない。明文化する必要があるのではないか。

(隂山委員長) その件は後で話をしましょう。

(木村委員) 子ども達を見ていると、相談者がいる子どもといない子どもでは大きく変わってくると思う。私の塾でも僕には言えないが年齢の近い学生には言えることがある。そうすると問題が上がってくる。結局少しでも相談者がいるとこのようなことに気付きやすくなる。教師にも相談者が必要である。自分の中に悩みを貯め込んでしまう教師の方々のためにも、気軽に相談しやすい状況を作っていくことが必要である。

(立川委員) 暴力も依存症である。予防としてのアンガーマネジメントやコミュニケーション能力のアップは当然だが、体罰をしてしまった人に対するプログラム等が見えてこなかった。これら処分を受けた人は何らかのプログラムを受けてから現場に戻ることとなるのか。処分を受けた教員が個人的にそのようなプログラムを受けて、非常に落ち着いた上で、指導力をアップさせて現場に復帰している例を聞いたことがある。処分後の対応策が必要であると感じている。

(中原教育長) 処分を受ければそれで終わりというものではない。精神科医やカウンセラー、引退した校長等を入れて研修を行っている。別途中身を見ていただき、付け加えるべきことがある場合はご提案いただきたい。

(小河委員長職務代理者) 過去に処分を受けた人が、実際にプログラムを受けてどのようになっているのかを教えていただきたい。

(中原教育長) 同じことは繰り返していない。

(和田教育センター所長) 教育センターにおいて校長OBが中心となり研修を行っている。研修期間が終了するとすぐに現場に戻すのではなく、大学の先生や、精神科医、臨床心理士等の方々に審議会に参加いただき、別途、検討いただいた上で、大丈夫であれば現場に戻ることとなっている。

(隂山委員長) 1−4ページの一番上のイについてだが、紛失したUSBメモリを生徒が持っていたというのはどのような状況なのか。

(後藤教職員人事課長) 紛失したUSBメモリをたまたま生徒が校内で拾ったというもの。

(中原教育長) 時々このような紛失事例が出てくる。仕事上、一切、校内以外で仕事をすることを禁止することは難しいので、府の方ではクラウドコンピューティングシステムを導入し、原則USBの持ち出しは無くなる予定である。市町村の方では、そのようなシステムを導入していないが、USBの持ち出しについては、校長の許可を得た上で、もしものためにパスワードをかけるよう指導することとしているが、現場の末端にまで浸透させることが課題である。

(隂山委員長) 現状で良いという訳ではないが、全体的に見て、数年前に比べると、職場の緩みと言うものが減っているように感じる。そうした中、通勤手当の不正受給は無くせるのではないか。

(中野教職員室長) 内部の通報で発覚しており、そのようなシステムが機能していることとなるので、今後は減っていくと考えている。

 

このページの作成所属
教育庁 教育総務企画課 広報・議事グループ

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