日本二分脊椎症協会 大阪支部 要望書

更新日:2023年6月13日

要望受理日令和5年3月31日(金曜日)
団体名日本二分脊椎症協会 大阪支部
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室広報広聴課
表題令和4年度要望書

要望書

令和5年3月31日

大阪府知事 吉村 洋文 様

日本二分脊椎症協会大阪支部
支部長

 平素より日本二分脊椎症協会に対する、ご理解とご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
 毎年、このように要望をお受け取りいただくことに感謝しますと共に、「我々の声と意見」を直接お伝えできる貴重な機会をいただけていると考えております。今後も引き続きこのような機会を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 二分脊椎症は先天性疾患です。出生後すぐから、複数の診療科のトータル的なケアが必要です。脳神経外科・小児科・小児外科・泌尿器科・眼科・整形外科など、障がいの程度、重複の度合いによって様々ではありますが、生活するうえで、これらの通院は欠かすことが出来ません。また内部疾患は外見では判断しづらく、心理的な負担も軽くありません。幼い間は親子で通院し、成長と共に自分たちで管理していくことになります。生涯において様々な場面で行政のサポートが不可欠です。

 当協会は昭和47年に創設され今年度は50周年を迎えました。今後も変わらず継続した活動をして参りたいと存じます。変わらずのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。


1.医療費・療養費に関する要望
(1)先天性疾患の患者の移行期医療について
 二分脊椎症は先天性の疾患のため専門的に診察してもらえる病院が少なく、小児から成人への移行期に病院探しが大変で転院の不安が大きいです。大阪母子医療センターで小児期から診察を受けている患者が希望する場合には成人後の診察を継続してください。また、移行期のため転院する場合には二分脊椎症を診察してもらえる先生のいる病院探しを相談できる窓口の充実をよろしくお願いします。

(2)障がい者医療費助成制度について
 平成30年4月より、障がい者医療受給者の自己負担額が変更されていますが、二分脊椎症者は定期的に複数の病院での受診・検査などがあります。医療費を理由に受診を控える患者を出さないためにも医療費のこれ以上の負担増を避けていただけますようお願い致します。

2.教育に関する要望
(1)大阪府では各自治体の努力で小学6年生までの少人数学級編成を実施している自治体も増えてきています。大阪府としての少人数編成の実現をお願いします。令和3年3月に成立した「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」では計画的に35人に引き下げとなっていますが、小学1・2年生は「30人以下学級」、小学3年生以上と中学校は「35人以下学級」の早期実現を要望いたします。
 車いすを使用している児童が席を後ろの出口近くに決められたりせず、また教室内の移動を制限されることなくゆとりをもって移動できるように、少人数学級の実現をお願いします。インクルーシブ教育を推進する上で障がい児と健常児が一緒に授業を受けるということだけではなく、授業以外の時間にも児童が自由に動き参加出来る環境整備をお願いします。

(2)二分脊椎症児の発達障がいに該当する児童への対応の更なる改善について。
 就学前からの継続したフォローと適切な教育・早期の療育と指導を希望しますが、専門病院(機関)での指導では高額な負担など個人で受けるには限界があります。合理的配慮を含めたさらなる行政のサポート、教育現場への指導強化をお願い致します。
 毎年の要望に対しご回答いただき、府としての様々な取組みについて有難く思っております。今後も、教育・療育に携わっている方々には、発達障がいというものを深く理解し適切な個人支援を取っていただけるようにお願い致します。
 障がいの理解、認識、指導に向けて新たに実施された取り組みを教えてください。また大阪府としての合理的配慮の具体事例集があれば教えてください。

(3)教職員について
 (a)支援学級配属前に、専門性を担保するための教育研修実施と研修内容のさらなる充実、支援学級教員の支援学校教諭免許状の保有率引き上げ、支援学校教諭免状を保有する教員を地域の各学校に最低一人配置の措置をお願い致します。また、障がいを持つ児童生徒がきめ細やかな指導支援を受けられますよう支援体制の充実をお願いします。国への支援体制要望も引き続きお願い致します。
 (b)令和4年度の支援教育関係研修会の内容や規模・参加率などを教えてください。また、研修会に参加される教職員に対してどのような支援をされているのかお聞かせください。

(4)教育現場のバリアフリー化推進を強く望みます。
 (a)毎年エレベーターの設置をしていただきありがとうございます。しかしまだ設置されていない学校も多くあり、大阪府の公立小・中学校、府立高校において該当者や入学予定者がいる学校から、順次バリアフリー対策を実施してください。
   スロープやエレベーターは、二分脊椎症児者が安全・安心に学校生活を送るために必要不可欠です。要望があり必要な学校には早急に設置していただきますよう、お願い致します。
 (b)府立高校のエレベーター設置状況一覧表を下さい。またバリアフリー対策の状況がわかるよう、公表して頂いているホームページの内容を詳細にし、府立高校の、多目的トイレ・エレベーター設置の有無と、その数を一覧にして公表し今後のバリアフリー対策の予定もあわせてお聞かせください。全校設置されていない現状では、府立高校の入学を考える際の大きな判断材料になります。咲くナビでは、エレベーターの有無と同じように多目的トイレの有無も検索できるようにお願い致します。
   前回いただいた回答で『多目的トイレの設置状況についても、ホームページ等に掲載することを検討しているところです』とありましたが、ホームページ等に掲載されていますか。男女各トイレ内か性別関係なく使用できる多目的トイレかの掲載もあわせてお願いします。
 (c)府立高校のトイレの改修ありがとうございました。
   しかしまだ多目的トイレや洋式トイレが少なく困っています。各学校では大変配慮していただいておりますが、教室から遠い場合や排泄障害による急な腹痛などは近くに洋式トイレがあれば対応できる場合もあります。また、車いす使用者は多目的トイレのような広いスペースが必要です。
   今後も生徒の実態に合わせ要望があり必要な学校から多目的トイレの増設、広いスペースの洋式トイレへの改修を早急にお願い致します。

(5)支援学校について
 (a)平成28年度より大阪市立特別支援学校の大阪府への移管に伴い、遠方の支援学校に行かなければならない児童生徒の負担を考え、通学区域の見直しや周辺地域を含めた通学区域の柔軟な対応をお願い致します。また、通学支援の体制を確立して下さい。
 (b)支援学校の選択に際し、身体と知的など重複障がいを抱える生徒の選択の幅が狭まることの無いよう、バリアフリー化を含めた柔軟な対応をお願い致します。必要な学校には段差解消のためのスロープやエレベーターを設置など、早急に校内全体のバリアフリー化をお願い致します。また、職業学科を設置する高等支援学校における職業訓練や職場実習に代表されるようなカリキュラムにおいても、身体障がいを抱える生徒も視野にいれたカリキュラムの推進をお願い致します。
   今年度の支援学校におけるバリアフリー化の状況、今後の予定を教えてください。

3.災害時に関しての要望
 大阪府の災害・避難計画について。
 (a)二分脊椎症者は歩行困難に加え、水頭症やぼうこう又は直腸機能障害による合併症を抱え、医療的・介護的ケアも日常的に必要です。薬や排泄管理物品(導尿用カテーテル・洗腸に使用する物品)や医療品の確保・災害直後でも受け取れる場所の情報を得られるよう、よろしくお願い致します。
 (b)医療的介護的ケアが必要なため一般の避難所では避難生活が難しい状況です。福祉避難所の指定推進とその情報開示、地域における支援体制強化をお願い致します。災害時とその後の対応や、障がいを持つ人が在宅被災者になった場合について、新しい情報や見解がございましたら、お聞かせ下さい。自然災害がいつ誰に起こってもおかしくありません。以前より大阪府として、災害対策は多方面で行っておられるのは存じておりますが、避難として指定されている学校の体育館や施設のトイレには、車いすでは入る事ができず、手すりが設置されているだけで「身障者用」となっているところもあるようです。早急に改修していただけるようにお願いいたします。

4.障がい者職員採用について
 障がい者雇用のさらなる増員をお願い致します。
 令和4年度の障がい者正職員採用状況、令和5年度の障がい者採用選考の詳細をお聞かせください。府庁内や府立府営の施設での雇用状況や定着率、また大阪府障がい者雇用促進センター、大阪障害者職業能力開発校から就職された方々の正職員としての在職期間3年を基準にした定着率がわかれば教えてください。前回の回答では「定着率は把握していない」とのことでしたが今後は把握していただけるのでしょうか。教育庁所管の施設(府立学校等)を含めた所属、様々な府立府営施設(病院、図書館、スポーツセンターなど)で障がい者は正規雇用されているのか知りたいです。
 今年度のハートフル条例の成果、今後の計画がありましたら教えてください。

5.インクルーシブ公園について
 近年、障がいの有無にかかわらず誰もが一緒に遊べるインクルーシブ公園が話題となっています。大阪府でも少しずつインクルーシブ遊具のある公園が出来ていますが、気軽に行ける近くの府営公園となると大概の遊具公園は昔ながらの遊具が多く、新しく作られた大型公園でもアスレチック性の高い遊具がまだまだ多いように感じます。二分脊椎症児は障がいの程度は様々ですが肢体不自由を有することが多いため、運動能力が及ばなかったり、危険を感じ公園で遊ぶことを諦めるしかない状況が多くあります。障がいがあっても気軽に友だちと一緒に遊び様々な体験をすることは心身の成長にとても大きく影響します。車いすのまますべり台の上まで友だちと一緒にスロープで行けるなど、屋外で積極的かつ安全に身体を 動かし遊ぶことができる機会がたくさん持てるよう、公園の整備、遊具の補修・交換の際は、共生社会の形成に向けたインクルーシブ遊具やユニバーサル遊具への積極的な設置を要望します。

6.ヘルプマークについて
 外見ではわかりにくい障がいや難病を周囲に知らせるヘルプマークが作成され10年たちました。
 東京都から全道府県に拡大し、日常生活の場で目にすることも増えてきました。私たち二分脊椎症者も使わせていただいていますが、認知度も低くまだまだ理解されていないと思うことがしばしばあります。またかわいいデザインのためファッションアイテムに受け取られたり、アーティストのグッズに酷似したものが採用されるなど、理解不足からマークの意味が誤解されていることもあるように思います。電車でヘルプマークを見つけてもすぐ目をそらされることもあります。
 困っている人を助けるため、あるいは命を守るため、より生きやすく安全な社会をつくるためにも、ぜひヘルプマークを理解し、活用できるように、今まで以上の啓発活動をお願いします。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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