全国福祉保育労働組合大阪地方本部 要望書

更新日:2023年2月20日

要望受理日

令和4年10月17日(月曜日)

団体名全国福祉保育労働組合大阪地方本部
取りまとめ担当課福祉部 福祉総務課
表題要望書

要望書

大阪府知事  吉村 洋文 殿

全国福祉保育労働組合大阪地方本部
執行委員長 
 

2023年度大阪府予算等要望 全体項目

 
 日頃より、府民の福祉と暮らしの拡充に、ご尽力されていることに敬意を表します。
 さて、いまなお新型コロナウイルス感染はおさまったとはいえず、全国各地の福祉職場においても再び集団感染が発生するなど予断を許さない状況となっています。コロナ禍という緊急事態のなかで、福祉労働者の役割と重要性が社会生活を維持するためにも、不可欠なであることが明らかになり、低賃金や厳しい労働実態も社会的に注目されました。
 しかし、福祉職場では、職員の増員など慢性的な人手不足への対策がされず、これまで同様に利用者の原則的な受け入れが求められています。三密を避けることが難しい福祉職場で働く職員は、3年近くにわたり「利用者に感染させてはいけない」「自分も感染してはいけない」と不安と緊張のなかで、働き続け心身ともに疲労は限界にきています。
 国による処遇改善策が2022年2月から9月まで実施されましたが、対象となる事業や職員などが限定され、全産業平均と月額8万円の格差も解消されていません。また、毎年、改善を求めてきた長時間・過密労働といった劣悪な労働環境もそのままに職員配置基準の改善もなく、規制緩和による人手不足の対応を推進するなど逆行する施策をうちだしています。
 大阪府におかれましては、府内の福祉職場に対する実態を直視し、カジノ・統合リゾート(IR)に伴う大型公共開発に予算を使うのではなく、新型コロナ感染症や災害発生時の対策など府民のいのちや暮らし、福祉を守り拡充することが優先されるべきです。
 今こそ、「市町村を包含する広域の地方公共団体」として国へ要望するととともに、「基礎的地方公共団体である市町村」だけではなく、財源措置も含め「大阪府の責任」で対応することが求められます。
 地方自治法第一条の二(1)に明記されている「住民の福祉の増進」をもとづき、新型コロナ感染症対策、社会福祉制度の拡充や職員の大幅増員・処遇改善を求め、府民のいのちと暮らしが守られるよう、以下の通り要望します。

【全体の要望項目】

1.国に対し以下の項目について要望を上げ、予算措置を求めること。
【1】福祉職場における新型コロナウイルス感染予防を徹底できるようにするため、コロナ感染者を早期に把握し、施設・事業所内で即対応できるよう定期的なPCR検査をおこなえるようにすること。また、陽性者が出た場合、クラスター感染拡大が起こらないよう職員、利用者など全員のPCR検査ができるようにすること。
【2】介護・障害事業所の利用者については、新型コロナウイルス感染者は原則入院としてください。また、対応できる病院等での病床数を増やすなど、医療体制を強化・確保すること。
【3】かかりまし経費における新型コロナウイルス感染症対策に使われた施設数(事業所数)、金額と用途を明らからにすること。
【4】かかりまし経費における今後新型コロナウイルス感染症対策に使われる人件費については、かかりまし経費を大幅に増額するか、別途交付金とし恒常的に正規職員を配置し雇用できるよう新たに公費補助を設けること。また、個別協議に応じない自治体には応じるよう指導すること。
【5】利用者の安心・安全を確保し豊かなくらしができるよう、以下の福祉人材確保対策をおこなうこと。
1.処遇改善支援補助金事業は、支給対象は限定せず、すべての事業や職種を拡充し、恒常的に実施すること。また、利用料負担に跳ね返らない形(加算ではなく)の全額交付金として実施すること。
2.処遇改善支援補助金事業は、全産業平均月額8万円の格差を是正すること。また、支給方法は定期昇給や一時金、手当などではなく、ベースアップに充てることを義務付けること。
3.職員配置基準に関して、基準以上に配置されている実態を尊重し、これに見合うだけの公定価格や報酬単価に引き上げること。また、正規雇用を原則とし、常勤換算方式は撤廃すること。
4.労働基準法や労働関連諸法令が遵守できるよう、抜本的に職員配置の改善をおこなうこと。
5.感染症発生や災害発生時に利用者の安全が確保されるよう、24時間、福祉職場の「1人配置」の解消を行なえる人員配置をおこなうこと。
【6】児童福祉施設の実施監査の規制緩和はしないこと。
【7】社会福祉施設職員等退職手当共済制度を福祉・保育現場で働くすべての職員へ保障できるよう、公費負担をおこなうこと。

2.大阪府の福祉拡充をすすめ、府内自治体と連携し独自施策をおこなうこと。
【1】新型コロナウイルス感染対策
1.福祉職場や保育所、児童福祉施設、福祉団体など安全な運営ができるよう、大阪府の責任で利用者・職員に1週間に1度の定期的なPCR検査を実施すること。
2.コロナ感染に伴う福祉事業所の労働災害増加に対して、感染症対策の具体的対応を示すとともに、事業所任せではなく府民のいのちを守る観点で府として休業要請を行なうこと。その際に府の主導で各事業所・関係機関の連携をすすめ、利用者の暮らし・安全の確保を行うこと。
※3.休業など閉所にともなう減収については府が補填すること。
4.感染拡大防止対策により通常以上の過密労働となっている状況を勘案し、負担軽減ができるよう体制を強化する支援策を講じること。
5.コロナ禍により明らかとなった福祉事業の社会的役割を踏まえ、その労働にふさわしい継続的な手当を支給すること。また、実際に感染者対応をする際の職員への手当として特別勤務手当(仮称)を創設し、府として財源確保を行なうこと。
6.病床削減・転換は中止し、自宅や福祉入所施設などにおけるコロナ陽性患者の対応ができるように、すべての病床が活用できるよう医療スタッフを確保すること。
7.自宅や福祉施設で経過観察を診療・検査医療機関まかせにせず、保健所が責任をもつこと。また、保健所を増設し、保健師など保健所業務にたずさわる職員を増員すること。民間委託による増員はおこなわないこと。

【2】福祉職場の人手不足を解消し、府内自治体と連携し、福祉職員の確保と定着が図れるよう、以下の対策を講じること。
※1.感染症拡大や災害発生時等のいかなる状況下でも、豊かな利用者の暮らしを保障するため、正規雇用で専門性のある職員の増員をはかること。
※2.大阪府として福祉労働者の社会的責務にふさわしい賃金水準を保障するため、独自の補助金制度を創設すること。また、正規職員と非正規労働者の差別待遇・不合理な格差を是正するため支援策を講じること。
3.福祉事業所で労働関連諸法令が遵守されるよう、労働部局と連携して指導を強化すること。

【3】労働時間管理の徹底をはかるため、タイムカード設置を指導すること。

【4】介護・障害職場の職員への退職金を保障するため、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の都道府県公費負担分を大阪府として補助すること。また、大阪府全体かかる費用のシミュレートをし、その状況を開示すること。

【5】災害発生時にも利用者と職員の安全が守れ、事業を継続できるよう、以下の対策を講じること。
1.地震等の災害が頻発していることを踏まえ、府内福祉事業所の安全点検を実施するとともに、安全対策の支援策を講じること。
2.感染症や災害等で利用者の安全を確保するための休園・休所した場合の減収について補填を行なうこと。
3.自然災害時に福祉施設が福祉避難所として機能するよう、拠点施設の整備と担当職員の配置をおこなうこと。
4.災害時に利用者の安全が確保されるよう、福祉職場の「1人勤務」の解消を図ること。

【6】新型コロナ対策や人材確保対策など市町村まかせにするのではなく、「市町村を包括する広域の地方公共団体」という府の責務を果たすとともに、連携をはかり市町村間格差の是正、それに伴う財政措置を行うこと。

【7】利用料の軽減を行い、負担の心配をせず必要な福祉施策・福祉施設を利用できるようにすること。

【8】福祉医療費助成制度を拡充し、利用者負担の軽減と対象の拡大を図ること。また、廃止した老人医療助成制度を復活させること。

【9】カジノ・IRに伴う大型公共開発に予算を使うのではなく、府民への福祉・暮らしへ最優先に使うこと。また、国へのカジノ(賭博場)誘致計画の認可申請を取り下げること。

【保育関連施策】

※1.保育士の配置基準を0歳児2対1、1歳児3対1、2歳児5対1、3歳児10対1、4、5歳児15対1に府の責任で拡充すること。
※2.新型コロナウイルス感染症の瀬戸際で感染拡大防止に努めている保育施設、保育従事者に対して、大阪府として独自の予算を講じること
【1】感染が疑わる場合に速やかに検査が行えるように、PCR検査キット、または抗原検査キットを大阪府として保育施設へ配布すること。
【2】自治体によって格差がないよう、大阪府として慰労金制度を整備すること。
※3.コロナ禍も加わり保育施設での労働がより一層厳しくなった中で、専門職として支えてきた保育従事者に対して、処遇改善を行うよう国に要望すること。また、大阪府独自の処遇改善を行うこと。
4.障害児保育の実態に見合った職員加配となるよう市町村へ大阪府として指導し、予算の増額を行うこと。
5.全ての保育所において、病気や怪我の処置や衛生用品の準備が行えるよう、看護師を単独で1日加配出来るよう独自策を講じること。
6.複雑化するアレルギー児に対して、より安全な対応を行うためにも、職員加配(保育士・調理員)や食材費のための補助金を出すこと。
7.災害時・感染症のパンデミックなどへの対応や、栄養士や調理員の急病に際して、給食調理現場に保育士が応援に入らなくても対応出来るよう、最低の配置基準を2名とし、乳幼児20名ごとに1名の加配をするなどの独自策を講じること。
8.アレルギーや離乳食、食に困難を抱えた子どもへの支援などに対応するため、給食職員を国基準以上に独自加配している府下の保育園の数と割合を示すこと。また、栄養士・調理員の国の配置基準の根拠の説明とともに、それが現実に即した適切な基準であるのか大阪府の見解を示すこと。

【生活保護・救護施設関連施策】

1.いのちと暮らしを守るため、いろいろな方法で制度の周知を徹底し、制度を必要とされる方に対し積極的に制度活用を勧めてください。
2.救護施設利用者の必要性に応じ、速やかに要介護認定が(「みなし」も含めて)受けられるようにしてください。その際、施設変更の状況等に応じて、有効期限についても柔軟な取り扱いを図ってください。
3.救護施設に対し、府独自に看護師加算を増額してください。

【障害関連施策】

※1.第6期大阪府障がい福祉計画のサービス見込み量に基づき、大阪府で推計される障害福祉人材の必要数、および不足数を明らかにすること。
2.グループホームの夜間支援について巡回型の新たな加算であるが、大阪府下で現在、区分4から6の加算のそれぞれを取得している事業所が何か所で全事業所の何%程度なのか明らかにすること。また、国として複数配置が困難であり、国に要望していくことはぜひお願いするが、大阪府として複数配置が必要と認識されているのか明らかにすること。
※3.人員配置基準について、「必要な改善を図ること」と国へ予算要望をされているが、必要な改善とは具体的にどのような改善を求めているのか明らかにすること。
4.コロナ陽性の障害者が速やかに医療機関にかかり、必要な処置(入院、療養等)が受けられるように大阪府として体制を確保すること。また、陽性の障害者が安心して隔離・療養できる施設を府の責任で整備すること。

【児童養護施設関連施策】

1. 児童養護施設等関係
【1】児童養護施設(本体)の職員配置を、職員の働く環境の改善を図るため利用者2人に1人の職員配置に改善すること。
※【2】一時保護については、ユニット化の推進にともない一時保護の専用スペース確保のため、専任職員を確保するために一時保護専任職員確保の加算を創設すること。
※【3】心理職員の増員を図ること。当面対象児童20名以上生活している施設については複数以上配置できるよう改善すること。
【4】ユニットリーダー加算を充実させること。8か所までしか認められていない加算対象の上限を撤廃すること。
※【5】メガネだけしか支給が認められていない眼鏡代について、コンタクトについても支給を認めること。
【6】令和6年度からのユニット定員の変更(8名から6名へ)にともない、移行の期間として、ユニットが定員に満たないことに対して理解をしていただきたい。
【7】虐待加算について、子ども一人に対してトータルで1年だけ加算があることの根拠を示すこと。

2. 乳児院等関係
【1】一時保護児童の入所にあたっては、府の責任でPCR検査を実施すること。
【2】夜間の療育体制を強化するために、専任職員確保のための補助金制度を創立すること。
【3】施設の高機能化・多機能化を促進するために職員を増員すること。
※【4】3歳以上の措置費が大幅に減額されることに鑑み、助成を行うこと。当面、3歳児を対象にした加算配置を行うこと。

【高齢・介護関連施策】

1.共通要望
【1】市町村と連携してすべての高齢・介護事業所の利用者・職員に定期的にPCR検査を実施すること。
【2】市町村と連携してすべての高齢・介護事業所の利用者・職員に新型コロナウイルスのワクチンを優先接種すること。
※【3】感染症の蔓延や災害時においても、施設・事業所の業務が継続できるよう、加配の職員を配置するなど特別の対策を行うこと。
【4】市町村と連携して災害や感染症の発生時に、高齢者が避難、隔離できる福祉避難所を市町村ごとに整備すること。
※【5】災害や感染症の感染拡大による利用自粛等の減収については事業ごとに補填すること。
【6】コロナ感染症による消毒等の業務過重を軽減するための職員の増員等のための財政支援を講じること。
※【7】高い感染リスクを抱えながら日々業務をこなしている職員に特別手当を支給すること。
【8】ICTの導入・活用については、業務の省力化や職員の負担軽減、利用者ケアの向上を目的に実施されるべきであり、ICTの活用を根拠にした職員配置基準の緩和は行わないように国に求めること。

2.個別要望
【1】特養関係
1.介護職員がいつでも気兼ねなく休みが取れるよう、職員の増員を行うこと。
2.夜勤の介護職員体制をユニット毎で二人夜勤以上とすること。
3.利用料等の負担を軽減するための支援策を講じること。

【2】通所・訪問介護事業関係
1.安心して通所介護が受けられるよう、介護職員の増員と施設の拡張等の環境整備のための支援策を講じること。
2.訪問介護員の人材難の背景にある低い賃金を引き上げるため、財政支援を講じること。
3.訪問介護における感染対策を徹底するために、消毒等の業務に対する財政支援を行うとともに、マスク、消毒液、使い捨て手袋等の必要な衛生資材を定期的に配布すること。
4.訪問介護の感染者・濃厚接触者宅へのサービス提供にあたっては、従事者と家族の安全を確保するため、ホテル等の宿泊が可能になるよう、支援策を講じること。

【3】高齢福祉制度関係他
1.養護老人ホームにおいてコロナ感染症の感染予防のための業務が過重になっていることを踏まえ、体制強化のための支援策を講じること。
2.養護老人ホームにおいて、複数夜勤となるように支援策を講じること。
3.盲老人ホームの利用者が同行援護を利用して医療機関への受診・通院が安定的に保障できるよう、府内自治体と連携して強化を図ること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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