大阪府立支援学校PTA協議会 要望書

更新日:2022年11月4日

要望受理日令和4年10月14日(金曜日)
団体名大阪府立支援学校PTA協議会
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室 広報広聴課
表題要望書

要望書

令和4年10月14日

大阪府知事  吉村 洋文 様
大阪府教育委員会教育長 橋本 正司 様


大阪府立支援学校PTA協議会
会長

要 望 書

はじめに
 本協議会は、昭和48年結成以来、府立支援学校に関する幾多の事項を要望してまいりました。府当局におかれましては、多大なるご尽力によりこれまで多くの課題に真摯に取り組んでいただき、要望を実現させてきていただきました。心から感謝申し上げるとともに深く敬意を表します。
 一方で、都市部の支援学校の大規模化・過密化や老朽化に、施設・設備の整備が追い付いていない課題が、報道機関などで取り上げられています。府内支援学校でも同様の課題により、子どもたちがパフォーマンスを最大限に発揮できていないという危機的状況にあります。
 さらに、新型コロナウイルス感染症との新しい向き合い方として、「新しい生活様式」の普及と定着が求められています。しかし、子どもたちの多くは「新しい生活様式」に対応できず、生活のしづらさや困り感を持ち続けています。子どもたちが、長期にストレスにさらされ、心身の健康に悪影響を及ぼす恐れがあることは、広く懸念される事項であります。私たちPTAは、子どもたちが安全・安心に学校生活を過ごし、心の安寧を保つことを第一に考えます。引き続き、より良い教育環境づくりを継続的に取り組んでいただきますことを切望いたしております。
 本協議会では、各学校単位のPTAの共通する切実な要望を下記のとおり取りまとめました。今後、障がい児(者)が豊かな教育を受け、地域での充実した生活を送ることができるよう、以下の要望をご検討のうえ速やかに解決されますようお願い申し上げます。

1<教育庁への要望>

1.【学校建設関連】
(1)昭和38年に完成した大阪北視覚支援学校の現校舎は築59年が経過し、校舎の雨漏りや漏水は部分的修繕では追いつきません。建て替えについては、昨年度、基本構想に着手いただいていると認識していますが、児童生徒の安全な教育活動のために、建て替え計画を早急に進めてください。
(2)東大阪市在住の知的障がいのある児童生徒が通う支援学校は、八尾支援、生野支援、東大阪支援、交野支援四條畷校。特にこの数年間は、高等部の生徒数が増えるたびに通学区域の見直しが行われ、通学する学校が定まらず、子どもも親も不安です。子どもたちが見通しをもって通学し、安心して教育を受けられる環境を保障するために、東大阪市に小中高一貫の知的障がい支援学校新設をお願いします。
(3)特別支援学校設置基準の制定をうけ、今後の新設校・分校の設置や他の対策の検討状況、および、既存の支援学校への基準適合の状況を踏まえたうえで検討されている内容を具体的に示してください。とくに豊能三島地域の知的障がい支援学校に通う児童生徒数の増加への対策をお願いします。
(4)交野支援学校四條畷校は当面の間分校として存続とされていますが、今後の在り方を含めた具体的な教育環境改善についてスケジュールを示してください。以前から要望していますが、早急に四條畷校を独立させ本校として存続いただけることを切に望みます。

2.【施設・設備関連】
(1)知的障がいおよび発達障がいのある児童生徒が、肢体不自由校において安全・安心な学校生活を送れる環境が整っておらず、障がい特性に応じた教育環境整備が急務です。具体的には、ガラスや鏡を割れにくい素材のものに替える・クールダウンできる部屋の設置・校舎外への飛び出し防止柵を設置する等、府としての根本的な問題解決に向けた対応策を示してください。
(2)校舎の老朽化への対策が喫緊の課題であり、校舎の総点検、ならびに大規模改修における実施基準と計画を示してください。また、各障がい種に応じた設備の改修や、災害時に対応した施設設備への改修について早急に取り組んでください。
(3)トイレは毎日児童生徒が使用するものであるからこそ、現在の基準に照らし、洋式トイレ増設や温水洗浄機能付き便座への改修など、清潔で使いやすく、また介助者も安心して介助できるスペースのある仕様に改修してください。また、さまざまな障がいの状況や特性(肢体不自由・知的障がい・性同一性障がいなど)にも対応でき、プライバシーが守られるバリアフリートイレ(だれでもトイレ)の設置も必要に応じて積極的に進めてください。

3.【教育制度関連】
(1)長期入院治療する生徒への学習保障ができるように病弱支援学校高等部の設置を進めてください。
(2)卒業生にとって一番身近な相談場所である学校で、卒業後も定着支援、アフターフォローなどの相談ができる体制のための人員の配置及び行政と学校が一体となった支援体制を構築してください。

4.【教員配置・専門性関連】
(1)学校は児童生徒が安全で安心して生活を送る場所です。そのためにも教職員の定数を増やし、指導・支援が十分に行き届くよう教員定数を増やしていただくとともに、各障がい種に応じた専門性の高い教員の育成にOJTのみならず研修機能を充実させ、人材育成に取り組んでください。
(2)歩行や点字指導など視覚障がい教育の専門性が特に高い教員の人事異動については、その専門性を生かせるよう必要な配慮を行ってください。
(3)聴覚障がい児教育では、子どもの特徴を理解し、子どもにあったコミュニケーション手段を選んでやり取りができて、初めて指導が成立します。その指導環境の充実のため、教員の専門性の向上と安定的な専門性の継承を可能とするよう計画的な教員配置をお願いします。
(4)聴覚支援学校では、学校での聞こえの状況と家庭での様子を合わせた総合的な判断材料に基づき、福祉医療人材の方々との相談を実施することで、聴力や補聴器についてのアドバイスを含め継続的に外部専門人材の活用を図ることができています。また、肢体不自由校でもとりわけ自立活動の指導の充実のため、PT、OT、ST等の外部専門人材の配置は必要不可欠となっています。しかし、現状では子どもたちの指導・支援を充実させていくうえで各校に配置される時間数は不足しているといわざるを得ません。今後、必要な時に必要な専門的支援が受けられるようPT、OT、ST等の専門性のある福祉医療人材の配置について、雇用条件の改善も含めて、更なる充実をお願いします。
(5)様々な障がい特性による課題や問題、支援が必要な家庭がある中、支援学校においてもヤングケアラーの実態があります。これらの課題に対応するため、心理士やSSWによる支援が必要なケースが増えています。ぜひとも高等学校と同様にスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)を配置してください。
(6)児童生徒が学校生活を送るうえで、ADL(摂食指導、トイレ介助等)面での指導・支援は必要不可欠であり、現状の教員数だけでは十分な支援体制が整わず、特に安全面に不安があります。とりわけ、成長期の身体が大きくなった児童生徒に対する指導・支援を行っていくためには、大阪府独自で新たに「ADL面での指導・支援ができる教職員」の配置についてご検討いただき、ぜひとも学校の安全・安心な教育環境を整えていただきますようお願いします。

5.【ICT活用関連】
(1)遠隔地(原籍校)とつなぐICT機器レンタルを予算化(府で管理貸出等)していただき、遠隔教育の促進を図り、復学にむけた支援、教育の充実をお願いします。
(2)職業教育を充実させるためには、時代に即した機器や実習機械など施設・設備等の充実が求められています。機器の更新やメンテナンスのためのリース契約、ICT機器活用支援員の確保等に必要な予算の確保をお願いします。
(3)GIGAスクール構想によるICT機器の配備に伴い、軌道にのるまでICT支援員(常駐する専門のシステムエンジニア等)を配置してください。

6.【安全確保関連】 
(1)高度な医療的ケアを必要とする児童生徒が安全に泊行事に参加するためには、看護師だけではなく医師の同行が必要と考えます。そのためには、新たな施策として、府内自治体の先行する取組みを参考に、府教育庁と病院等が連携した「医師・看護師派遣システム」を確立してください。 
(2)車いすを利用する児童生徒にとって移乗は必須ですが、現状は教職員による人的介助のみで対応しています。児童生徒のケガや事故のリスクを回避し、より安全・安心で持続可能な環境を整えるため、リフトやアシストスーツ等の移動・移乗用具の導入等、環境整備を進めてください。
(3)通学バス介助員等、支援学校の児童生徒に様々な職域の人々が関わっており、正しい障がい理解に則って、障がい特性に応じた適切な介助および支援をすることが求められています。府の施策として支援教育への理解向上のための研修を実施してください。併せて、研修やサポート体制などの具体的な取組みを示してください。

7.【通学バス関連】
(1)通学バスについて、児童生徒数の増加への対応として、また、60分以上乗車の解消とさらなる乗車時間の短縮、コロナ禍(ウィズコロナ)における車内の密を回避するためにも、今の乗車率の基準を再検討し、増車により児童生徒の安全・安心を確保してください。

8.【予算措置関連】
(1)コロナ禍収束後も引き続き、学習支援員およびスクールサポートスタッフの制度を継続してください。

9.【医療的ケア関連】
(1)看護師の配置については、学校に配置された教員定数を崩して配置せざるを得ず、それに伴い、教員数が減少するしかない状況が続いている学校があります。児童生徒の教育保障のために、ぜひとも常勤看護師の標準法定数外配置を実現してください。
(2)医療的ケア通学支援事業について、児童生徒の学習機会の保障に対応する事業所は増えてきたものの、いまだ車両と看護師の確保が困難な現状にあり、とりわけ訪問看護師登録者の充実が急務であると考えます。希望するすべての児童生徒が利用できるよう、関係諸機関へのより一層の働きかけを進めていただき、どの居住地域においても等しく適切な支援が受けられるよう、事業所を検索するシステムを充実させる等の対応をお願いします。

10.【通学区域割】 
(1)支援学校の過大過密や長時間通学、自主通学の促進、中学部と高等部で違う支援学校に通う生徒がいることなどの課題を解決するため、適正な通学区域の再検討をお願いします。

2<知事部局(福祉部、商工労働部、都市整備部等)への要望>

1.【卒業後の進路、社会参加等関連】
(1)府として、障がい者の生活の場をどのようにイメージし、その人たちの生活をどう構築し、サポートするのか等についての情報不足を感じており、親亡き後の子ども達の将来について不安を感じています。大阪府の障がい児・者の施策について、とりわけ今年度及び次年度の重点施策についてお示しください。
(2)視覚障がいのある方の事故等が生起しているなか、視覚障がいのある生徒の卒業後の就労や学びの支援並びに安全・安心な通勤・通学のために、「同行援護」の制度を通勤・通学においても利用できるよう拡充してください。
(3)視覚障がいのある生徒が一人でも多く就労できるよう、企業や福祉施設等の事業者に対し、大阪府として視覚障がいの理解啓発を一層進めてください。
(4)医療的ケアを必要とする児童生徒が、卒業後に利用できる施設がまだまだ少ない現状です。高等部卒業後の進路先として、医療的ケアに対応する生活介護施設、ショートステイ、レスパイトケア、グループホーム等の拡充をお願いします。
(5)親の高齢化に伴い、子どもの養育が困難になっていきますが、グループホーム等がいまだに少ないうえ、障がいが重度になるほど確保が難しい現状です。成人後、そして親亡き後も安心して地域で生活できるようにグループホームの拡充を切にお願いします。
(6)就労定着や卒業後のアフターフォローのため、労働部局の専門性の高い担当者が日常から高等支援学校5校を巡回するなどし、相談窓口として教員と一緒に定着支援ができる仕組みを構築してください。
(7)現状の卒後施設では預かり時間が9時30分から16時までの所が多く、親の就業の継続に困難をきたしています。持続可能な人生設計のために、在学時と同様の時間帯(9時から18時)にし、利用者側に配慮した事業を行ってください。
(8)卒業後の日々の過ごし方について、日中一時支援ではフォローされない時間帯があり、放課後等デイサービスも利用できないという現状を踏まえ、卒業後も利用できる放課後等デイサービスに代わる恒久的な事業を拡充してください。
(9)高等部卒業後の豊かな学びの保障のため、卒業後に学びながら社会的自立に向かう力を育むことができる事業所(施設)の増加について、府の福祉分野に係る重点施策としてより一層推進してください。
(10)自立訓練の年限は2年と定められているため、年限に達したらやむを得ず終えなければなりません。しかし、障がいのある子どもは学びの定着に時間を要するため、利用年限の延長、もしくは本人の能力に応じて終了年限が設定できる等の柔軟な対応ができる「場」となるよう、大阪府として制度設計を進めてください。

2.【健康・安全、地域福祉関連】
(1)急病等で介助者が介護できなくなった際に預けられる施設が少なく、緊急を要する時に使えません。特にコロナ禍において、家族が陽性者となり、障がいのある子どものケアができなくなる場合が生起しています。こうした子どもの安全・安心を担保し、すぐに福祉サービスが受けられるよう、ショートステイ施設の増設や、緊急時受け入れ施設の確保をお願いするとともに、利用者にわかりやすい情報提供システムを検討してください。
(2)放課後等デイサービス職員等、支援学校の児童生徒が地域で生活する中で関わる福祉従事者が、正しい障がい理解に則って、障がい特性に応じた適切な支援ができるように、府が主体となり各市町村事業所に対して、「支援教育への理解向上研修」を企画・運営されるとともに、各市町村関係部局に対して、障がい理解・促進のための研修やサポート体制など、具体的な取組みを提示し、障がいのある子どもたちが地域でいきいきと暮らすことができるよう「府・市町村連携」をさらに進めてください。

3.【福祉医療制度関連】
(1)人工内耳の装具・高出力電池の購入や修理等に係る自己負担金の助成を、障がい者手帳の有無・等級に関係なく、補聴器と同等に、自立支援事業の一環である補装具費での給付とする取扱いをお願いします。
(2)令和4年5月25日に公布された『障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法』に基づき、公共交通機関利用時に情報をリアルタイムに取得できる等、情報保障の整備が充実し、児童生徒が安全で安心して通学できるようお願いします。
                             

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