大阪府(市・町・村)民の交通環境を良くする行動実行委員会、日本労働組合総連合会大阪府連合会 要望書(2)

更新日:2023年4月10日

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要望書

トラック関係

大阪府(市町村)民の交通環境を良くする行動
第20次大阪府トラック関係要求項目

1.新型コロナウイルス感染症への対応について
(1)物流事業者に対する「不安」・「忌避感」・「誤解」を払拭し、安心して移動や輸送ができる環境をつくるための政策展開について、主導し、有識者・医療関係者など専門家の知見に裏打ちされた正しい情報発信を行い、安心して物流サービスの利用ができる環境整備を積極的に進められたい。
(2)事業者は、コロナ禍により経営危機に陥る中、民間金融機関からの融資を受けることで辛うじて苦境を凌いでいる。ついては、コロナ禍にまつわる事業者への融資にあたっては、未曽有の異常事態下にあることを踏まえ、一定期間の審査基準や要件等の緩和を最大限柔軟に講じ、資金繰り支援を拡充されたい。また、借入金の返済負担の軽減措置など、コロナ禍対応の特例として財務上の負担軽減に係る支援策を講じるように関係機関に要請されたい。

2.運輸事業振興助成交付金について
 「運輸事業振興助成交付金制度」は、1976年の税制改正により軽油引取税の暫定税率が導入された際、税率の引上げに対する営業用トラック・バスの輸送力の確保、輸送コストの上昇の抑制等をはかるため都道府県トラック協会、都道府県バス協会等に安全対策事業、環境対策事業、適正化事業等を補助するため創設されたものであり、その取り組みは、安全運行の確保等交通安全対策や運転者、乗務員のための共同休憩施設および共同福利厚生施設の整備・運営、ターミナルの整備・運営に活かされている。
 2011年9月30日には、運輸事業振興助成交付金の継続と同交付金の確実な交付を行うため、「運輸事業の振興の助成に関する法律」が施行されたが、大阪府においては、法律で交付努力義務が明記されているにも関わらず、交付金は法律の趣旨を反映されたものとは言えず、未だに大幅な削減が続けられている。この制度は、日本経済および国民生活を支えるインフラの整備と、運輸業界の健全な発展のために重要な役割を担っている。したがって、本来の目的が遂行できるよう、法律に従った交付をすみやかに実施されたい。

3.トラック運転者採用難に対する雇用政策の推進について
 運輸産業は、日本経済を支える重要な社会基盤産業である。今後、生産年齢人口がますます減少していく中、こうした社会基盤産業を支える労働力の確保が重要な課題になると見込まれており、運輸産業における労働力不足は、共通の課題であり、我が国の経済成長にとっても大きな問題である。
 運輸業界では、若年者の就業に期待を寄せ、高校新卒者などの獲得のために説明会を開催するなど様々な努力を行なっている。大阪府においても高校生の就職活動を指導される際、トラック運輸産業への就業促進につながるよう、取り組み支援を願いたい。

4.輸送安全の確保について
(1)貨物自動車運送事業法の改正により、荷主から、輸送の安全確保義務違反を招く恐れのある異常気象時など、安全な輸送の確保が困難な状況で運行を強要するような行為があった場合は、荷主に対して是正に向けた国土交通大臣等からの働きかけや要請、勧告・公表の対象となったことについて、大阪府としても広く周知に努められたい。
   また、大規模自然災害時において、トラックや鉄道、またフェリー・旅客船をはじめとする船舶が物資及び人員輸送に大きく貢献し、その重要性が再認識された。ただし、生活物資輸送などの支援に役割を果たすには、多様な輸送モードの維持・確立が重要である。したがって、各モードの特長を活かした複合一貫輸送の推進や、物流の役割も考慮した鉄道ネットワークの維持、海上輸送網の確立に向けた取り組みを講じられたい。あわせて、発災時における物資の円滑な流通に向けて、物流の基幹的広域防災拠点を設置されたい。さらには高度化された物流結節点の整備も促進されたい。
(2)貨物自動車運送事業輸送安全規則に輸送の安全を確保するための措置を講じる目安等が定められたが、理解を示す荷主もある一方、無理な運行を荷主から強要される事例が後を絶たない。ドライバーの生命を守り、輸送の安全を確保するためにも、運行中止等に対する荷主の理解・協力が得られるように社会への周知に努められたい。
(3)「南海トラフ地震」が想定される中、沿岸道路における津波対策の充実に取り組まれたい。津波発生時の避難場所については、国土交通省のハザードマップポータルサイトに表示されているほか、直轄国道の高架区間等を活用した避難施設等の整備が実施されているものの直近の避難場所まで緊急的な避難が困難なケースも想定されることから、避難場所までの誘導に関する標示(夜間での視認性も考慮したもの)の設置に取り組まれたい。運行するドライバーが一目で認識しやすいように、その標示方法についても検討されたい。

5.道路渋滞解消に向けた総合的対策事業の推進について
 道路渋滞の解消に向けては、全国の渋滞対策協議会等において対策等の検討がなされ、取り組みが進められているところであるが、ドライバーの労働時間の短縮や環境負荷の低減などの観点から、引き続き、高規格幹線道路などの基幹的なインフラを着実に整備するとともに、円滑な物流を妨げている交差点、踏切、河川横断橋梁などのボトルネックを解消し、幹線道路の機能強化を促進する対策を講じられたい。特に、都市部の渋滞が激しく、環境に対する負荷が大きい箇所を重点的に改善されたい。

6.自転車等の安全対策について
(1)「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」等に基づき、全国の自治体において、歩行者と分離された自転車通行空間の整備が進められているが、その多くは「自転車専用通行帯(レーン)」や「車道混在」となっており、停まることが不可欠なトラック・バス・ハイタクとの交差・混在による事故や駐停車時のトラブルが懸念されるとともに、レーンの設置に伴う規制緩和区間の廃止が発生している。政府の「第11次交通安全基本計画」では、自転車活用推進計画に基づき、交通状況に応じた歩行者・自転車・自動車の適切な分離を図り、安全で快適な自転車利用環境を創出するとされていることから、引き続き、道路利用者全体の安全性確保に向けた歩道・自転車道・車道の峻別に取り組まれたい。
(2)自転車やバイク等を使用してのいわゆる「フードデリバリー(飲食料の配達)」による、信号無視や車道の無理な横断、死角等からの飛び出しなど悪質な運転は、事業用自動車の交通の安全を妨げる行為であり、その取り締まりや教育指導等の取り組みが強化されてきていることは評価するが、依然として危険運転等が散見されることから、さらに取り組みを強化されたい。
   一方、電動キックボードについては、この間、人身事故や悪質運転などが社会問題化する中、最高速度が時速20キロ以下のものについては、16歳以上であれば運転免許は不要、ヘルメット装着は任意とするなどの規制緩和がなされた。自転車等の取り締まりや教育指導等の対策も未だ十分とは言えない中、事業用自動車にとっての道路交通環境の悪化は明らかであり、関係機関と協力し、より厳格な取り締まりや教育指導等の対策に取り組まれたい。

7.駐車規制対策について
 現代の便利な生活に欠かせないコンビニ配送やATM等の現金装填、また、現代生活に不可欠なインフラの一つとなっている宅配便やデパート配送などの集配車両には駐車が不可欠である。
 2018年2月20日付で警察庁より各都道府県警察等に対して「貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの推進について」の文書が発出され、近畿各府県で実施されてきたことは評価するものの、規制緩和が実施された区間については、組合側の要望やトラック協会の要望との間に差異が生じている状況も散見される。見直しの集中実施期間は2020年度末までであるが、それ以降も「交通実態等の変化に応じ、不断の見直しを行うこと」とされていることから、地域住民との調整など難しい面もあるが、可能な限り現地実態に沿ったものとなるよう、引き続き強力に推進されたい。
 また、荷捌き用駐車場の整備、道路に停めざるを得ない現状での店舗前の物資搬入車両用の駐車マスの確保、附置義務駐車場を隔地・集約化する際の集配ドライバーの横持ちへの配慮など、引き続き物流の社会的役割を考慮したまちづくりの施策を策定されたい。

8.道の駅について
 道の駅は一般道における休憩施設として設置されるものであるが、最近は休憩よりも物販・料飲施設の機能を重視してきているため、駐車場やトイレの混雑が常態化している施設が多くなってきている。なかには、大型車両の駐車場まで自家用車で埋まっているため、貸切バスは路肩などに一時停車するなどの対応をとらざるを得ないことがある。大型車両の利用者にとっても安心して利用ができるよう、車種別の利用多寡にかかわらず一定数の大型車両の駐車スペースは確保いただくように取り組まれたい。あわせて、夜間の施設利用に資する24時間営業のコンビニエンスストア等の併設を検討されたい。

9.公契約条例への対応
 国土交通省の事故報告書のデータでは、Gマーク取得事業所は事故発生件数・死亡事故ともに未取得事業所の半数以下となっており、優位性がはっきりと表れている。
 大阪府市区町村における公契約条例策定時に、入札条件の中に、Gマーク取得事業所を盛り込まれたい。

10.夢洲地区における海上コンテナの渋滞緩和について
 大阪港・夢洲での2025年の大阪万博開催と2029年に開業を目指すとするIR誘致に絡むカジノ施設建設計画は、港湾を職域とする物流ドライバーに大きな混乱を招いている。
 夢洲にはDICT(夢洲コンテナターミナル)が稼働しており、その取扱量は大阪港の40%を占めている。毎年増え続ける取扱量に伴い、国際海上コンテナ車両の慢性的な滞留が頻繁に発生し、夢洲にアクセスする「夢咲トンネル」と「夢舞大橋」一帯では一般道での大渋滞が社会問題となっている。
 DICTへの搬出入をする海コン車両の待機場が設置されていないことが根本的な要因にある。重ねての設置要請により、大阪港湾局は空コンテナ車両の待機場を設置したものの、複雑な導線や車道幅員の狭さが要因となって、抜本的な滞留改善策とはなりえず、今では万博工事車両の通行が急増したことで、道路環境はさらに悪化をしている。
 港湾地区での長時間の路上待機や劣悪な道路環境を改善するために、物流の渋滞状況の実態調査と新たな待機場の設置、海コン車両専用道路の追加、車線の拡幅等を行い、万博開催に向けて物流ネットワークが安全・円滑に機能するように取り組まれたい。

以上

ハイヤー・タクシー関係

大阪府(市町村)民の交通環境を良くする行動
第20次大阪府ハイヤー・タクシー関係要求項目

1.交通政策基本計画に基づく地域公共交通におけるタクシー活用に関する補助金等の予算措置、及び高齢者等交通弱者に対するタクシー運賃補助制度導入について
 交通政策基本計画に基づく乗り合いタクシーやデマンドタクシーについては、第19次にもご回答をいただきましたが、大阪府内では年を重ねる毎に、高齢化、過疎化が進行し、より実効性の高い取り組みが求められています。例えば鉄道沿線にある複数の基礎自治体で構成される生活圏における交通ネットワークが存在する地域では、大阪府が主体的に予算措置を行い、地域公共交通網の効率的な運用が可能となる再編を行われるよう改めて要請します。
 また、19次で、運転免許証返納者に対して「高齢者運転免許自主返納サポート制度」を実施し、タクシー会社に於いても9社が10%の割引を実施しているとの事ですが、多くのタクシー会社では割引の実施が難しいことを鑑み、運転免許証を返納された高齢者の外出促進施策により、地域の活性化や高齢者の健康年齢維持を促進するため、自動車運転免許証自主返納者や自家用車を持たない高齢者などに対して、タクシー運賃補助制度の導入を今一度検討いただきますよう要請いたします。

2.自転車等の安全利用促進、安全対策及び取り締まりの強化について
 近年、自転車による重大な交通事故や妨害運転などが報道され、今年6月30日施行の改正道路交通法にも、自転車のあおり運転を「危険行為」と規定し、3年以内に2回違反した14歳以上の者に安全講習を義務化することされました。
 大阪府におかれましては、「大阪府自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」を制定され、自転車安全利用の推進に取り組んでおられますが、自転車事故をさらに減少させる為に、自転車利用者に対して更なる交通安全教育、また、自転車の安全利用を促進するための総合的な対策を関係機関と連携強化され、危険なルール違反を繰り返す自転車利用者の交通指導を一層推進されますよう要請いたします。
 次に、2022年4月に電動キックボードをめぐる新しいルールを盛り込んだ改正道路交通法が成立し、2024年5月までに施行される見込みです。改正法では、最高速度が時速20km以下など一定の基準に該当する電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」という新しい車両区分とされ、16歳未満の運転を禁じる一方、16歳以上であれば免許不要で運転で、ヘルメットの着用は任意です。走る場所は原則として車道ですが、最高速度時速6km以下の走行モードであれば自転車通行可能な歩道なども通行できるようになります。このような新たな交通手段は重大事故の発生の可能性を含むことから、ルールの周知などの対応をあらかじめ対策を講じるよう要請します。
 また、第19次で「民間による自転車監視員制度」の導入が困難であるとの回答を頂きましたが、府民の安全確保のため「民間による自転車監視員制度」の導入を再度検討いただくよう要請します。

3.公共交通の利用促進と施設整備について
 高齢化社会が現実になっている状況を鑑み、移動困難者の移動、利便性をどのように確保していくのかが重要な課題となっており、環境に優しく誰でも安全・安心に利用できる公共交通の重要性が高くなっています。近年、人口減少が続き、新型コロナウィルスの影響により、鉄道・バス・タクシー等の公共交通利用者の大幅な減少が続く中、公共交通事業の運営がこれまで以上に困難となり、路線の廃止や縮小など、公共交通事業そのものの維持が難しくなると予想されます。
 大阪府におかれましては、社会情勢に左右されない持続可能な公共交通を中心とした交通施策の総合計画を策定し、まちづくりの長期的かつ基本的な方向を構築されるとともに、災害時等、緊急時の輸送体制の確保及び駅前広場の整備においては、バスターミナル、タクシープールの整備、送迎スペースの確保やバス、タクシー、自家用車の分離など、安全性の高い交通施設整備をより一層進めていただくよう要請します。

4.「タクシー規制緩和特区」及び「自家用ライドシェア」の考え方について
 大阪府・大阪市は共同で2014年8月に国家戦略特区としてタクシー規制緩和を目指す「タクシー規制緩和特区」を政府に求められ、第19次のご回答では、国において検討が進められる際には、提案者の立場で大阪市とともに参画するとのことでした。しかし、現在のタクシーを巡る状況充分に鑑み、将来に渡り持続可能な公共交通を構築することを目的とした取り組みを要請します。
 また、全国で大きな問題になっています「一般の運転手が自家用車を使って有償で人を輸送する自家用ライドシェア」について、国に於いて、運行における安全の確保や利用者の保護等に関する観点から課題があり、現行の道路運送法では自家用ライドシェアの導入については認めないとの方針を堅持されたい。

5.「新型コロナウィルス」と向き合うのは医療従事者だけではなく、エッセンシャルワーカーとして働くタクシー乗務員に対する危険手当について
 ハイタク労働者は全国で「コロナ感染」が拡大する中、新型コロナの感染リスクと闘いながら重要な公共交通の最前線で働いています。
 2022年に入り、政府は経済活動に重きを置いた政策に切り替え、行動制限の規制を緩和しましたが、再び新型コロナウイルスの感染が拡大してきています。
タクシー乗務員は、きわめて狭い空間の中での旅客輸送を繰り返すため、非常に感染リスクが高く、また、近年の要員不足による乗務員の高齢化が進んだ事により、死亡リスクも非常に高い職業であることを鑑み、生活に欠かせない公共交通を現場で担うタクシー労働者の命と生活を守る施策として、危険手当を支給するよう要請いたします。

以上

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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