大阪府保険医協会 議事要旨

更新日:2022年11月16日

団体名大阪府保険医協会
応接日時令和4年10月28日(金曜日)
応接場所大阪府立労働センター(エルおおさか) 南館7階 南734会議室
参加者

団体側
 ・理事長他 16人

府側
 ・IR推進局 2人
 ・福祉部 4人
 ・健康医療部 10人

議事要旨IR推進局、福祉部、健康医療部関係の要望項目(8項目)について、本府から下記回答骨子のとおり回答し、その後、質疑及び意見表明があった

回答骨子

(要望項目)
1.新型コロナウイルス感染症対策の強化も含めた緊急時への備えの強化(発熱・検査センター設置等)、大阪府の職員体制、医療と公衆衛生分野の強化
(1)公的な検査センター、公的な発熱外来センターの設置を
 大阪府保険医協会は、新型コロナウイルス感染症への対応として、この2年間、大阪府に対して医療機関の実態を伝え、個人の診療所では通常診療に加え、ワクチン接種、検査、発熱外来、陽性者への対応など全てを行うことは困難であり、行政の責任での公的な検査センター、発熱外来センターの設置を求めてきた。東京都では医師会がセンター方式の発熱外来設置に向けて調査を行っている(8月16日時点)。大阪府もこうした取り組みを参考にし、常設の公的センタ―設置を至急検討すること。
(回答)
 今後の感染拡大による発熱外来のひっ迫に備え、10歳から64歳で重症化リスクが低く、症状がある方に対し、医療機関受診の代替手段としてセルフ検査を推進するため、無料で抗原定性検査キットを配布する検査キット配布センターを設置しており、ひっ迫が生じた際には積極的にセルフ検査を活用していただけるよう府民に対し強く働きかけることとしています。
 また、今年のお盆期間においては、市町村等が設置する休日急病診療所等での診療・検査の実施を要請したところであり、今冬に備え、更に多くの休日急病診療所等で実施していただけるよう努めてまいります。
(回答部局課名)
 健康医療部 保健医療室 感染症対策企画課

(要望項目)
1.新型コロナウイルス感染症対策の強化も含めた緊急時への備えの強化(発熱・検査センター設置等)、大阪府の職員体制、医療と公衆衛生分野の強化
(2)緊急時に府民の命と暮らしの救済に応えられる公衆衛生分野の職員配置を
 今、大阪府が力を入れるべきは、カジノIR誘致でなく、府民の命を守ることを重視した政策である。この間の新型コロナ対策で人材不足が起こるたびに、外部委託に頼る場当たり的な対応に終始し、府民への速やかな支援が行えない事態となった。臨時(委託)職員に専門的な知識がないために医療現場では混乱が起き、感染者への対応が遅れるという事態を生んだ。この事態を打開するためには、保健所職員など公衆衛生分野の府職員を増やすことである。危機管理を経験し教訓を蓄積した人材は今後の大阪府の医療・公衆衛生行政の力に必ずなる。保健所職員など公衆衛生分野の正規職員を増やすことを強く求める。
(回答)
 保健所の職員については、毎年度、新たな行政需要や既存の業務の必要性などを十分に精査したうえで、業務の見直しや効率化を図りつつ、業務量に見合った適正な体制となるよう、協議を行っており、令和3年からの2年間で、各保健所に保健師3名、行政職員1名等、合計39名の定数を増員し、コロナ対策関連業務の体制を強化したところです。
 引き続き、保健所が必要とされる役割を果たしていくことができるよう、取組みをすすめてまいります。
(回答部局課名)
 健康医療部 健康医療総務課

(要望項目)
1.新型コロナウイルス感染症対策の強化も含めた緊急時への備えの強化(発熱・検査センター設置等)、大阪府の職員体制、医療と公衆衛生分野の強化
(3)新興感染症の危機管理に耐えられる保健所の機能・体制強化を
   大阪健康安全基盤研究所の再編を(府立公衆衛生研究所と大阪市立環境科学研究所をもとに戻す)
 大阪の死者数の多さは、医療機関側の課題というより、感染者を増やさない対策、つまり行政の責任が大きい。2010年の「新型インフルエンザ対策総括会議報告書」には感染症危機管理に関わる体制の強化として「感染症対策に関わる危機管理を専門に担う組織や人員体制の大幅な強化、人材育成」の必要性を説き「感染症対策に関わる人員体制や予算の充実なくして、抜本的な改善は実現不可能」と指摘している。また、今年5月に発表された奈良県立医科大学の論文でも保健師の数が多いと新型コロナの罹患率は少ないとの研究結果が出されている。これらで指摘されている通り、保健所の人材確保と強化は喫緊の課題である。なお、大阪府は今年度若干の保健師数を増やしているが、感染拡大の一番多い大阪市の対策は遅れている。大阪府として大阪市の保健所体制の強化についても積極的に関わっていくべきであり、2017年に一元化した府立公衆衛生研究所と大阪市立環境科学研究所をもとに戻し、政令指定都市大阪市として公衆衛生行政に責任を持てる体制に再編することを強く求める。
(回答)太字部について回答
 地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所は、大阪府立公衆衛生研究所と大阪市立環境科学研究所の衛生部門が統合し、2017年4月1日に発足しました。
 大阪府、大阪市の地方衛生研究所として、公衆衛生に係る調査研究、試験検査及び研修指導並びに公衆衛生情報等の収集、解析、提供等の業務を通じて、健康危機事象への積極的な対応をはじめ、行政機関等への科学的かつ技術的な支援を迅速に行い、大阪府民・市民の健康増進及び生活の安全確保に寄与しております。
 新型コロナウイルス感染症対応につきましては、民間でのPCR検査が普及するまでの間、主力の検査機関としての役割を果たしたほか、疫学調査チームを立ち上げ、疫学研修及び実地指導など保健所の支援に努めるとともに、分析能力を活かしてゲノム解析による変異株の流行動態に関する情報提供を行っています。
 今後とも、高度専門機関として大阪の安全・安心に貢献して頂けるよう、共同設立団体である大阪市との連携のもと、支援してまいります。
(回答部局課名)
 健康医療部 健康医療総務課

(要望項目)
2.すべての人が安心して受けられる医療制度の構築
(1)75歳以上の患者負担軽減のために老人医療費助成の再構築を
 10月1日より75歳以上高齢者の医療費2割負担が実施されようとしている。大阪府は2021年3月をもって老人医療費助成を廃止したが、今回の負担増は多くの高齢者に影響を及ぼし、受診抑制による健康への影響も国会審議で指摘されている。大阪府の高齢者の命と健康を守る上で、高齢者を広く対象にした老人医療費助成制度の再構築を強く求める。
(3)「重度障がい者医療制度」の拡充を
 大阪府の福祉医療費助成の再編で障がい者・難病患者の医療費助成制度が「重度者」に限定された。このことで従来対象者だった中度・軽度の障がい者・難病患者の方は医療費助成制度の対象から外された。そもそも障がい者・難病患者の世帯は経済的にも厳しく、医療費助成の対象から外されたことでさらに暮らしを追い詰めることになり、影響は非常に大きい。大阪府として対象から外された方の調査を至急実施し、現在の重度障害者医療制度を拡充させ、中度・軽度の方も助成制度の対象にすること。
(回答)
 福祉医療費助成制度については、全ての都道府県において実施されており、事実上のナショナルミニマムとなっていることから、本来であれば国において実施するべきものと考えており、国において制度を創設するよう強く要望しています。
 一方で、国の制度が創設されるまでは、府としてこの制度を継続する必要があると考えています。
 平成30年度の再構築においては、府・市町村の厳しい財政状況のもと、対象者や対象医療の拡充が求められていたため、府議会の議決を経て、より医療を必要とする方々に支援が行き届く制度としました。
 具体的には、65歳以上の重度ではない老人医療対象者は3年の経過措置をもって対象外とする一方、重度の精神障がい者・難病患者の方々を新たに対象とし、年齢に関係のない重度障がい者医療として再構築するとともに、これまで助成対象外であった訪問看護ステーションが行う訪問看護を対象に加えました。また、令和3年4月から精神病床への入院について助成を実施しています。
 今後とも、再構築した福祉医療費助成制度により、医療のセーフティネットとしての役割を果たしていきます。
(回答部局課名)
 福祉部 障がい福祉室 地域生活支援課

(要望項目)
2.すべての人が安心して受けられる医療制度の構築
(4)妊産婦医療費助成制度の創設について、大阪府母子保健運営協議会等での協議を
 妊婦の保険診療における自己負担部分の助成制度は、都道府県レベルでは日本産婦人科医会の調査では4県となっている。同会が2019年に出した提言では「生育基本法が掲げる妊娠期から切れ目のない支援のために、妊産婦にも社会の暖かい援助があるべき」とし「とりわけ妊娠中から出産において何らかのご病気になられ治療を要する方々には(略)大変心強い助けになります」と指摘している。大阪府において妊産婦の医療費助成を創設に向け、大阪府母子保健運営協議会等で調査・研究することを強く求める。
(回答)
 大阪府母子保健運営協議会は、母子保健法等に基づく施策の調査審議を担任しています。お示しの4県が実施する助成制度は経済的な負担軽減を目的として独自で実施されていると伺っており、当該協議会において、同制度の創設について調査審議することは困難と考えています。
 なお、妊娠期間中、母子の健康状態を定期的に確認し、安心して過ごしていただくため、各市町村において妊婦健診費用を助成しています。令和4年4月1日時点の府内平均公費負担額は119,695円であり、さらに32市町において多胎妊婦への追加助成が行われており、引き続き市町村と連携しつつ母子保健の向上に努めてまいります。
(回答部局課名)
 健康医療部 保健医療室 地域保健課

(要望項目)
2.すべての人が安心して受けられる医療制度の構築
(5)府としても生活困窮者が速やかに医療機関に受診できる施策の強化を
 コロナ禍による失業、休業等で困窮している世帯が増えている。これは大阪府内各地域で行われている食料支援などの活動状況を見ていても明らかである。大阪府も独自に府民の暮らしに関する調査を実施するなどして実態をつかみ、生活困窮者への支援を強化することを強く求めるとともに、失業などで無保険状態となっている方が医療を受けられるような対策を求める。また無保険状態となっている方が医療を受けられるように、無料低額診療を実施している医療機関を積極的に広報するなどの対策を取るとともに、無料低額診療事業を保険調剤薬局へも適用するように国に強く求めること。大阪府においても府内の薬局で調剤処方された場合、調剤費の全部または一部を府が助成することを検討すること。
 なお、生活保護受給者に対してケースワーカーがマイナンバーカードを取得させ、現在の医療券発行からマイナカードに切り替えるよう迫る事例が出されているが、国民の自己決定権を侵害するという点において罰則による誘導と等しく問題であるので、直ちに是正すること。
(回答)
【無料低額診療事業】
 無料低額診療事業を実施している医療機関については、毎年4月1日現在の無料低額診療事業の実施医療機関一覧をHP上掲載し、日本語のほか英語、中国語でも広報を行っています。また府内民生委員・児童委員などに対しては、毎年、会議等において無料低額診療事業について説明し、周知に努めているところです。
 国において、無料低額診療事業の新規開始に対しては抑制する方針であるとされており、大阪府においては今後の無料低額診療事業のあり方については慎重に考えざるを得ないところです。保険調剤薬局の適用について、引き続き、国の動向に注視してまいります。
 また、無料低額診療事業の実施機関に調剤薬局が適用された場合、病院、診療所と同様の取扱いとなることから、調剤費の助成を府として実施することは困難です。今後、国における制度の動向を注視してまいります。
【マイナンバーカード取得】
 マイナンバーカードを保有していない生活保護受給者については、国から令和3年10月14日付け事務連絡により、訪問調査時等に制度の説明や住民制度担当課が発行した申請書を手交するなどの取組み、並びに可能な範囲で、申請書作成サポートの依頼がありますが、マイナンバーカードの交付申請はあくまで本人の意思によるものと存じます。
 医療券発行からマイナンバーカードへの切り替えについては、現在のところ、端末機の配備や具体的な方法が示されておらず、実績はありません。
 引き続き、国における制度の動向を注視してまいります。
(回答部局課名)
 福祉部 地域福祉推進室 社会援護課

(要望項目)
2.すべての人が安心して受けられる医療制度の構築
(6)国民健康保険料の軽減を
 コロナ禍の被害を受けている自営業者・フリーランス・非正規労働者はすべて国民健康保険(国保)に加入しており、暮らしが逼迫している方にとって、国保料引き下げは最も効果的なコロナ対策である。統一国保料を強行するのでなく、市町村の裁量に応じた軽減対策を認めること。また、多くの市町村が単年度黒字を出しながら次年度に繰り入れず基金に積み上げ、保険料の値上げを行なうという事態となっている。大阪府国保統一化により市町村の国保が重大な影響を受けていることから、2024年度の完全統一を見直すこと。
(回答)
 大阪府国民健康保険運営方針は、府と代表市町村等で構成される「広域化調整会議」等の場において、協議した結果を踏まえ定めたものであり、国民健康保険料については、同方針において、令和6年4月1日に府内完全統一としているところでありますが、令和5年度までの激変緩和措置期間においては、市町村の判断に委ねています。
 コロナ禍の状況を注視しつつ、府内のどこに住んでいても、同じ所得・同じ世帯構成であれば同じ保険料額となるよう、府内全体で被保険者間の受益と負担の公平化を図ってまいります。
 また、令和6年度の保険料統一を見据え、府と市町村国保特会の財源等のあり方や保険料抑制について、広域化調整会議等において、現在、検討しているところです。
 なお、国民健康保険制度は、国民皆保険を支えるナショナル・ミニマムであり、本来、国において、権限・財源・責任を一元的に担うことを基本とすべきと考えており、制度設計に責任を持つ国に対して、万全の措置を講じるよう、引き続き要望してまいります。
(回答部局課名)
 健康医療部 健康推進室 国民健康保険課

(要望項目)
3.安心して住み続けられる大阪府の実現を目指して
(3)直ちにカジノ誘致を撤回すること
 大阪府はカジノの利用者について年間1600万人と見積もっている。年間売上は5200億円、うちカジノで4200億円見積もっている(「ゲーミング」としているがギャンブルによる収入を8割も見込んでいる)。大阪市会の参考人聴取でカジノ事業者は「98%は問題なくゲームができる」としたが、これは2%はギャンブル依存症になるということであり、その規模は数万人にもなることが予想される。そもそも既存のパチンコなどのギャンブルで解決できていないギャンブル依存症という疾患に対して、新たな原因を作り大阪府が依存症者を出すことを前提にしたカジノIRを誘致することに、府民のいのちと健康を守る医師の団体として、認めるわけにはいかない。カジノIR誘致を撤回すること。
(回答)
 大阪市議会の参考人招致における発言は、世界各国のギャンブル等依存症の実態調査等の結果から、人口の約1%から2%が重度のギャンブル障害を抱えているとのIR事業者の認識から、発言したものであり、2%の方が、カジノにより依存症になるという意味での発言ではないと確認しています。
 本年4月に国へ認定申請を行った区域整備計画においてはギャンブル等依存症対策として、IR事業者によるカジノへの依存防止策とともに、大阪府市行政において、「(仮称)大阪依存症センター」を新たに設置することをはじめ、既存のギャンブルに起因するものも含め、普及啓発、相談、治療、回復支援にかかる総合的な取組みを強化し、万全の対策を講じていくこととしています。
 大阪・夢洲でのIR立地は、世界中から新たに人、モノ、投資を呼び込むものであり、持続的な民間投資による経済波及効果や雇用創出効果に加え、幅広い産業分野の活性化など、大阪の経済成長に大きく貢献するものです。
 また、カジノ収益の社会還元として、納付金等の収入を、ギャンブル等依存症対策の充実などの懸念事項対策をはじめ、子育てや教育、福祉、観光振興、地域経済振興など、住民福祉の増進や大阪の成長に向けて広く活用することにより、府民の暮らしの充実やさらなる都市の魅力と国際競争力の向上を図ってまいりたいと考えております。
 今後も引き続き、世界最高水準の成長型IRの実現に向けて取り組んでまいります。
(回答部局課名)
 IR推進局 企画課

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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