障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 要望書(1)

更新日:2023年4月10日

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要望受理日令和4年6月20日(月曜日)
団体名障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議
取りまとめ担当課府民文化部 府政情報室広報広聴課
表題要求書

要望書

2022年6月20日


大阪府知事  吉村 洋文 殿

障害者の自立と完全参加を
目指す大阪連絡会議(障大連)


要求書


 貴職におかれましては、障害者の自立と社会参加の推進に日々尽力しておられることと存じます。私達、「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」(障大連)は、1980年に府下の障害者団体、親の会、労働組合、民主団体が集まり結成され、障害者自身の立ち上がりを基礎に、すべての障害者の自立と完全参加をめざし活動を進めてまいりました。
 2020年から新型コロナ対応に追われ、今年度もまだ終息が見通せない不安な状態が続いています。この間、どの福祉事業所でも日々、感染防止に努めてきましたが、昨年の第4波以降は多数の事業所で感染が発生し、病床の逼迫からなかなか入院できない状態に陥り、特に、クラスターが発生した法人では、保健所等を通じての入院の働きかけや、支援体制の調整確保、外部応援派遣の調整等に追われ続けるなど大変な状況に追い込まれました。また入院が遅れることにより、病状が急変、症状が悪化し、多数の高齢者・障害者が命を落としました。私達は感染拡大当初よりずっと障害者は元々心肺機能が弱い人や基礎疾患のある方も多いため、すみやかに入院できるようにしておくこと、また入院できない場合に備えて、介護者を付けて宿泊療養ホテル等を利用できるようにしておくことを求め続けてきましたが、いずれも未だ見通しすら立っていません。今年7月から設置される「在宅の要介護高齢者向けの医療施設」(高齢者医療介護臨時センター)も高齢者だけが対象とされ、介護を要する障害者も同様の状態であるにも関わらず対象外とされています。大阪府は何度も同じ過ちを繰り返し、死亡者は全国最多の最悪な状況に陥るなど、もはや「判断ミス、人災」とも言える状態です。
 改めて、障害者等の命を守るために、速やかな入院、入院できない場合の介護者を付けてのホテル等の利用、クラスター発生を防ぐための速やかなPCR検査の完全実施、大規模クラスターが発生した法人へのレッドゾーンも含めた外部応援派遣等を可能とする明確な仕組みを作ることが必要です。

 2021年度からの国の報酬改定では、「重度化・高齢化への対応」が最優先課題とされ、中軽度者の報酬・加算が軒並み減算されました。とりわけグループホームでは中軽度者の夜間支援が大幅に減算され、就労支援B型の少日数・短時間利用での減算問題や、指定相談支援事業所がなかなか増えず、地域生活支援拠点等も十分機能しない問題についても解決には至っていません。
 昨年からは社保審・障害者部会で「総合支援法施行3年後の見直し議論」が続けられており、2024年からの次期報酬改定に向けて、とりわけ「グループホームの再編」が大きな問題となっています。厚労省は急増するグループホームの予算抑制を狙って、新たな類型として概ね3年で一人暮らしに移行させる「通過型グループホーム」の創設をめざしており、本人の「住まい」であるはずのグループホームが「訓練の場」に変わることに対して、各団体とも連携して強く反対し続けてきました。
 また、グループホームを巡ってはこの間、大阪市内の分譲マンションで、住民から「グループホームは住宅ではなく施設であり住宅規約に違反する」と提訴され、今年1月に大阪地裁で退居判決が下されるというとんでもない事態になっており、更にはグループホームの大規模化を求める営利法人の参入が相次ぎ、障害者が「食い物」にされ始めていたりもします。まさにグループホームを「住まい」として守り続けられるかどうかの瀬戸際にあり、地域基盤のあり方にも大きく影響する重大問題と言えます。各地域では8050問題や虐待事例など緊急対応を要するケースがますます増える中、それらに対応しうる強い地域基盤をいかに築いていくかがますます問われており、グループホームを「住まい」として守り抜くために、府は傍観することなく国に対してしっかり働きかけるべきです。また次の報酬改定に向けては、いよいよグループホームの個別ヘルパー利用も大きく見直されようとしており、削減ではなく今度こそ制度の「恒久化」をしっかり求めていかなければなりません。

 地域ではまだまだ差別事例・虐待事例が相次いでいます。大阪府の差別解消条例は昨年4月に改正され、ようやく「事業所における合理的配慮」が義務化されましたが、まだまだ様々な現場で差別が発生し続けています。賃貸住宅や市営住宅での入居差別は毎年のように相次いでおり、この間のコロナ禍においては、マスクが着用できない障害者が様々な場で利用を拒否される事例も新たに発生しており、鉄道事業者では乗客の減少、減収に伴い、駅の無人化も急速に拡がりつつあります。
 また、グループホームのマンションからの追い出し裁判では、地裁は障害者差別の案件としては全く受け付けず、消防法令を理由に安易に退居判決を下してしまいました。高裁で継続審議されていますが、このまま判決が確定すれば、全国各地の共同住宅で入居拒否や追い出しが拡がる恐れもあり、予断を許しません。旧優生保護法による強制不妊手術の問題も、一時金の請求期限まであと2年を切りましたが、認定者は一向に増えず、このままでは大多数の被害者が見捨てられることにもなりかねません。大阪・東京高裁の控訴審では、慰謝料の支払いが国に命じられるなど被害者側が勝訴しましたが、国はどちらにも上告するなどして今後の状況はまだ見通せません。

 各市町村の制度基盤の状況では、介護制度の支給決定基準をはじめ、新たに始まった就業支援事業の実施の格差、各種サービスの給付水準や事業所の設置状況にもまだまだ格差があります。障害の重度化・高齢化に伴い個々のニーズも拡大する中、地域によってはサービス量が決定的に不足する問題がより顕著になっており、介護保険との併給における利用制限等のトラブルも続いています。また、相談支援事業所では8050問題等の複合課題や虐待ケースの相談が増えるなど厳しい状態が続く中、廃止事業所も急増しており、地域生活支援拠点等も実際にはなかなか機能していません。入所施設・精神科病院からの地域移行もコロナ禍で進まなくなっており、最近では施設の新規入所者は地域移行者の2倍に至っており、精神科病院では職員による虐待事例が相次ぎ、コロナ感染患者の転院拒否による死亡事例の増加も問題になっています。
 社会全体にまだまだ残る差別意識の払拭、虐待の未然防止を更に推し進めていかなければ、障害者は安心して暮らすことはできません。併せて、気候変動により年々激しくなる風水害や地震等の災害対策の具体化も急務であり、各地域単位で上階へ垂直避難できる避難場所の十分な確保や、福祉事業所の連携による要支援者の個別避難計画の作成も急ぐ必要があります。

 大阪府では昨年度から6年間の新たな長期計画として「第5次大阪府障がい者計画」が策定され、「全ての人間(ひと)が支え合い、包容され、ともに生きる自立支援社会づくり」を基本理念とし、「障がい者差別・虐待の防止、命と尊厳の保持」「あらゆる分野における大阪府全体の底上げ」「真の共生社会・インクルーシブな社会の実現」等の5つの基本原則が掲げられました。
  大阪府は市町村とは違って直接支援の立場ではないため、障害者や事業現場と距離があって、障害者の実態やニーズを把握できなくなってきており、市町村に対する政策提案、国への働きかけにおいても力が低下してきたように見えます。大阪で過去数十年に渡り、団体と行政が連携して「重度障害者も地域で暮らせる先進的な基盤」を作ってきたことは大きな財産であり、今後もその経験から国に積極的に政策提案し、市町村を牽引し得る力をもつためにも、当事者の声を聞くところから対策を検討していただきたく思います。第5次計画で示された課題・方策が、決してかけ声だけで終わることのないよう、また、コロナ禍でも災害でも差別・虐待でも、「障害者をはじめ誰もが命を落とすことのない社会」の実現に向けて、行政と当事者団体、事業所、地域住民が連携・共同して、更に強固な地域基盤づくりをめざしていかなければなりません。
 以上の認識に立ち、以下各課題について要求いたします。

【障害者施策全般に関する要求項目】

1.団体応接の持ち方について
  これまで大阪府との団体応接では障がい福祉室からは各課長が出席してきたが、昨年度の応接において何ら事前説明もなく全課長が欠席し、今年度もまた欠席すると言われている。課長は各施策の実施責任の立場にあり、障害当事者の声を直接聞くところから制度・政策を検討するという姿勢を決して放棄することのないよう、今年度以降、必ず課長が出席すること。
  団体応接では、大阪市と違って府では回答の事前配布はなく当日読み上げとされているが、障害者に対する情報保障のあり方としては問題がある。個々の障害者への適切な情報提供の方法は様々であることから、事前に各団体で個々に応じた情報提供ができるよう、「情報保障における合理的配慮」の一環として回答を事前配布し、各団体で適切な情報保障できる余裕を設けること。

2.新型コロナウイルス感染への対応について
  新型コロナ感染が発生した事業所に対する「かかり増し経費」への助成である「サービス継続支援事業」については、昨年度末は補助の空白期間が生じないよう改善されたが、今後の第7波以降においても、感染者が出ても各事業所でしっかりと対応できるよう、危険手当、宿泊費、防護用品費等のかかり増し経費に対してしっかりと助成すること。また助成基準額については、事業種別による格差が大きく、実態に見合わない事業もあることから、助成が不足する場合は国に対して個別協議を行いしっかり助成されるようにすること。
  第6波においては1月から入院できない状況に陥り、第5波までに比べて高齢者・障害者の死亡件数が最多となってしまった(高齢・障害施設の死亡者の60%超が第6波に集中)。重度障害者が感染した場合は基礎疾患がなくても容体が急変し、重篤化・死亡に至るケースもあったことから、今後は決してそのようなことのないよう、重度障害者や基礎疾患のある障害者は優先的にでも必ず速やかに入院できるよう、府内全域でルール化しておくこと。
  第6波では医療機関での入院受け入れが追いつかなかったことと合わせて、保健所も機能不全の状態に陥り、疫学調査もできなくなってしまったことから、今後に備え、実際に入院を受け入れられる病床の確保と合わせて、保健所のカ所数、職員数の増員を根本から検討し直すこと。

3.大阪府立福祉情報コミュニケーションセンターについて
  福祉3センター等の統合移転により、一昨年6月に開設された府立福祉情報コミュニケーションセンターについて、駐車場(4台分)では決定的に不足することは最初からわかりきっていたことであり、設計段階から問題を訴えてきたところであるが、未だに改善の検討すらなされていない。現状では8台程度も詰め込むため出庫のたびに持ち主を探して移動してもらわなければならない等の不都合や、路上駐車により近隣からも苦情が生じるような状態になっている。
  障害者への「差別解消法における環境整備」の一環として、また近隣との良好な関係維持のためにも、府の責任において直ちに現状を改善すること。その具体方法として、昨年も提案している、隣接する府有施設「環境農林水産総合研究所」の空きスペースを活用することや、府が民間駐車場を借り上げる等によって直ちに問題を解決すること。

【介護に関する要求項目】

 今年も新型コロナの感染拡大が続いており、この間障害者の介護現場では様々な問題が生じてきました。通所先の休業等により昼間の介護が必要となっても、市町村がヘルパー時間数の上乗せを認めなかったり、本人や家族が感染した時に事業所が介護を拒否するケースが相次ぎました。障害者にとって「介護の空白」は生活が成り立たなくなる問題であり、生命に関わる問題でもあることを十分ふまえ、府から市町村・事業所に対して、必要とする介護に決して穴を空けてはならないことを周知徹底していかなければなりません。またコロナ感染や他の疾患の入院において、支援者の付き添いが認められず、院内での虐待や事故も発生しました。感染防止のため外部の出入りを制限せざるを得ないとしても、障害状況によって必要最小限での付き添いを認めるよう医療機関に働きかけるべきです。
 夜間支援の問題では、労基法との関係で昨年国が示した「手待時間も労働時間であり支給決定すること」について、府内ではまだほとんど実施されておらず、法令遵守に向けて国への国庫負担基準の見直しと合わせて市町村に対する促しが必要です。また強度行動障害や医療的ケア等での支給量も市町村格差があり、国が制度化した「雇用と福祉の連携による就業支援」や「大学修学支援」についても、実施市は極めて少ない状況にあります。介護保険との併給についても、国から何度も「介護保険で不足する場合は障害福祉サービスを支給すること」と通知されているにも関わらず、障害福祉サービスの利用を制限する市が多く残っており、様々なトラブルが発生し続けています。また、移動支援についても、市町村格差は一向に是正されないまま膠着した状態となっています。
 このように介護の市町村格差は厳然と残ったままであり、近年では制度水準の低い市から高い市に引っ越す例も相次ぐなどの弊害も現れており、このままでは更に格差が拡大しかねません。介護の支給決定の権原は市町村にありますが、市町村格差を放置してよいはずはなく、府内どこに住んでいても必要なサービスを必要なだけ直ちに利用できるよう、府の毅然とした働きかけが求められます。
 以上の認識に立ち、以下要求します。

1.新型コロナウイルス問題による介護の課題について
 (1) 新型コロナの感染者発生により通所先が閉所、通所制限を行った場合、または本人・家族の感染・濃厚接触により通所を自粛した場合について、計画相談などとも連携して、代替サービスとしてヘルパーの支給決定時間の上乗せを緊急に行うよう、市町村に強く働きかけること。
    特に単身障害者の感染や同居家族が感染・入院した場合には、生活が成り立たなくなることから、支給時間の上乗せ等、代替サービスを早急に手当するよう市町村に強く働きかけること。
 (2) この間、障害者や家族が感染・濃厚接触となった場合、従来介護に入っていた事業所が介護を拒否し生活に支障をきたす事例が相次いだことから、市町村に対して、事業所に介護の穴を空けてはならないことを十分理解させ、感染防止の上、介護に入り続けるよう周知徹底すること。
    また、介護事業所でクラスターが発生し、どうしても介護に入れなくなった場合は、外部応援職員の派遣によりレッドゾーンに入って介護することや、障害状況・病状によっては直ちに入院、介護を付けての宿泊療養ホテル等の利用を可能とする明確な仕組みを作ること。
 (3) 昨年、障害者がコロナ感染やそれ以外の疾病で入院した際に、支援者の付き添いが拒否され、骨折や窒息死する事例が発生した。必要に応じ院内で重度訪問介護や入院時コミュニケーションサポートが利用できるよう、病院の理解を深めるために通知するとともに、国に対し重度訪問介護の区分4以上の対象化、市町村に対しては入院時サポート制度の実施を強く働きかけること。

2.長時間介護、支給決定の問題
 (1) 昨年3月に国の重度訪問介護の夜勤Q&Aで示された「手待時間も労働時間であり報酬対象とならないということがないようにすべき」について、多くの市町村では未だに手待時間に対して支給決定しておらず、労基法に違反する不当な取り扱いが続いていることから、府内市町村に対して、コールに対応するために待機している手待時間も必ず支給決定するよう働きかけること。
    一方で、現行の重度訪問介護の国庫補助基準額は、手待時間まで保障するには全く足りないことから、夜間介護を利用する場合、手待時間を含め確実に上乗せできるよう、別途、「夜間介護利用における基準額」を設けるよう、国に強く求めること。
 (2) 重度障害、強度行動障害、医療的ケア等のケースに対して、各市町村でそれぞれの障害状況をふまえ適切に支給決定されるよう、市町村に具体例を示して強く働きかけること。

3.通勤・勤務・通学の保障
 (1) 「雇用と福祉の連携による障害者就業支援」について、まだまだ大多数の市町村が未実施であることから、利用を希望する障害者がこの制度を速やかに利用できるよう、全市町村での早急な制度実施に向けて働きかけること。
    また就業支援は地域生活支援促進事業に位置づけられたものの、雇用と福祉にまたがった制度であり、介助内容によってどちらの施策を利用するか細かく仕分けしなければならないなど煩雑であるため、重度訪問介護一本で利用できるよう国に見直しを求めること。
 (2) 大学修学支援事業について、入学時からスムーズに利用するためには、大学側での事前準備と併せて、市町村が事前に制度化しておくことが必要であることから、全市町村に対して障害福祉と教育部局が連携して、高校在学中の早い段階から利用可能性のある対象者を把握し、要綱を策定しておくなど、入学当初から確実に利用できるよう準備を働きかけること。

4.介護保険の併給課題について
  (1) 介護保険の併給に際して「従来通りの介護が受けられない」「生活パターンを変えなければならない」「共生型サービスを利用しなければならない」等のトラブルが発生していることを受け、各市町村で併給の際の条件づけや障害福祉サービスの利用制限が行われていないかを調査し、国の通知等をふまえ、「障害状況が変わらなければサービスの引き下がり等の不都合を生じてはならないこと」を十分理解した上で不適切な対応は早急に改めるよう市町村に周知徹底すること。
 (2) 併給に際してトラブルが生じないよう、介護保険と障害福祉双方の担当課、介護事業所、相談支援・ケアマネ事業所が、両制度の違いや適切なケアプラン作成まで確実に理解しておくよう、大阪市の通知文などを周知し、事業所研修も徹底していくこと。
 (3) ケアマネジャーが障害福祉サービスの詳細や障害特性等を直ちに理解することには無理があり、トラブル発生の原因にもなっていることから、市町村に対して個々のケースで指定相談支援事業を併給し、障害者相談支援専門員とケアマネが連携してサービスを調整することが可能であり、積極的に併用するよう周知すること。

5.移動支援の不当な制限の是正について
 以下課題について府として文書で「利用の必要性」を示し、市町村に早急な是正を働きかけること。
 「宿泊旅行でのホテル内介護」「日中活動前後の利用(三角形ルールの適用や通院等介助の併用)」「電動車いす利用者の利用」「重度化・高齢化にも対応した二人介護」「自転車での併走」「グループホーム入居者の月3回以上の通院での利用」(通院等介助が月2回に制限されているため)。

6.盲ろう者の通訳・介助者派遣制度等について
  (1) 次期報酬改定に向けて、引き続き国に対して通訳・介助制度の個別給付化を求め、日中活動も含め場面を問わず利用できる長時間の通介制度や高齢化対応での二人派遣の実施を求めること。
 (2) 盲ろう者の高齢化が進み車いす利用や移乗等、介護ニーズも増えていることから、介助事故の未然防止のために、府市が連携して高齢化対応での二人派遣の適用、派遣時間数(年1,080時間)や日中活動内での通介利用の拡大にふみ込むこと。従来の自薦中心の本人・通介者任せの仕組みから障害状況・介助状況を把握できるよう改善するとともに、養成研修・現場実習2の講師謝金について通介料の支給だけで済ませず、次年度からは労力に見合った謝金を別途保障すること。

【グループホーム等に関する要求項目】

 入所施設か親がかりの在宅生活しかなかった時代に、地域でのあたりまえのくらしを切り開く新たな選択肢として制度化され、30年以上、当事者、支援者、そして行政、みんなで大切に育んできたグループホームが、コロナとの2年半に及ぶ悪戦苦闘の中、大きな岐路に立たされています。2024年の「通過型」創設を柱としたグループホーム制度の再編案は、全国からの反対の声に押され、当初の「軽度は通過型、重度は効率化、ヘルパー併用や家賃補助も見直す」というような乱暴な表現は鳴りを潜め、「グループホームにおける安心できる地域生活の継続」「本人が望む暮らし」が前面に出されていますが、この数年、スケールメリットを公言し、くりかえされる報酬削減の延長線上にあるのは明らかです。ひとり暮らしへの支援充実をグループホーム全体の目的に盛り込み、住まいの場であるグループホームに訓練や能力主義を持ち込む再編案には、反対です。障害者を目標や期限で追いつめるような仕組みは「安心」とは程遠く、どこに住むかの選択権の侵害であり、障害者権利条約や憲法にも反するものです。また、個別のヘルパー併用については、全国から恒久化の要望がくり返し出されているにもかかわらず経過措置として放置されており、「安心」を言うなら、ヘルパー併用を早急に恒久化すべきです。
 大阪では、住民によるグループホームの追い出しを正当化する差別的な判決や、府の基準をかいくぐって様々な形態の大規模ホームができるなど、問題が続出しています。営利企業によるグループホームが急増する中、レトルトの食事や入浴回数の制限、支援がたくさん必要な人の追い出し、安易な事業廃止などの目を覆う実態があります。第5次大阪府障がい者計画が掲げる地域生活支援・地域移行の推進のためにも、大規模・効率化に歯止めをかけ、地域でのあたりまえの暮らしを実現するための質の確保をバックアップする大阪府の具体策がますます重要になっています。
 以上の認識に立ち、以下要求します。

1.新型コロナ感染対策について
 (1) グループホームにおける感染拡大を防止するため、グループホーム従業員などの定期PCR検査の復活、またスマホ検査センターを継続し、症状のない利用者・職員への利用にも拡大するなど、すみやかに必要な検査を受けることができるようにすること。
 (2) グループホーム入居者の感染時に正しい隔離に基づいた生活や療養ができるよう、すみやかな入院調整や、支援つきでの療養ホテルの利用などをすすめること。また、濃厚接触者や感染者以外の入居者も使用できる「分けるための場」の確保を、早急にすすめること。
 (3) 感染発生時などの日中の支援について、日中事業所とグループホームの双方が対応した場合は、双方の報酬請求を可能にするよう、早急に国に働きかけること。また、府独自で、初日から算定できる日中支援加算や入院時支援加算などの支援策を講じること。

2.国への要望について
 (1) 「通過型グループホーム」の類型創設など、グループホームから一人暮らしへの移行支援が強化されようとしている国の動向に関して、大阪府の評価・見解を明らかにすること。またこの流れによって、厚労省も問題視しているグループホームの質の低下の加速や、実質の利用抑制や数量規制が起こらないように、国と充分な協議を行うこと。
 (2) 2024年の報酬改定にむけた厚生労働省令の見直しについて
 ・グループホームの大規模化・効率化、くらしの質の低下の流れに歯止めをかけ、小規模なグループホームを広げるため、日中支援型を含めて、10人1ユニットを超える新規開設が行われない設備基準に変更するよう、国に強く求めること。
 ・グループホームにおける個別ヘルパー利用について、16大都道府県における実施状況や利用の実態を明らかにすること。またその実態をもとにヘルパー併用の恒久化ならびに、充分な支給決定が行われるよう、国に強く求めること。
 (3) 感染症対策とも関連する日中支援加算・入院時支援加算の初日からの算定、地域移行特別加算の在宅からの入居支援への拡充、自立生活支援加算の拡充、サテライト型の年限撤廃について、引き続き国に要望すること。

3.第5次大阪府障がい者計画の推進と、大阪府のグループホームに関する具体策について
 (1) グループホームの大規模・効率化、くらしの質の低下の防止について
 ・大規模・効率化を防止し、また同一敷地内・建物内で生活が完結することがないよう、1ホームの定員を短期入所を含めて10人以下、日中事業所・高齢グループホームとの併設禁止を原則とする「指定方針」を堅持し、府内全市町村とその趣旨を共有・徹底できるよう継続して啓発を行うこと。
 ・大阪府内(政令市・中核市含む)における大規模グループホーム(複数の法人名での意図的な合築などを含む)や日中支援型の、箇所数、生活支援の質等運営実態を明らかにすること。
 ・日中支援型が、地域のくらしの場として機能するよう、大阪府のチェックリストの普及を進めるとともに、入所施設が看板掛け替えで日中支援型に移行しないようにすること。
 ・グループホームの運営実態を把握し、より良い運営を確保するため、事業所の指定や運営における事業所への指導について、府市が連携をとれる仕組みをつくること。
 ・大阪府のグループホーム開設ハンドブックを、グループホームの質の確保や啓発への活用にも考慮した内容に改訂し、これを活用した事業者への啓発・研修をすすめること。
 (2) 大阪府の具体策として、下記をすすめること
 ・区分が低く認定される傾向の精神障害者グループホームの安定運営や拡充のための方策の検討にむけて、現行ホームの実態調査やヒヤリングを行なうこと。
 ・政令・中核市を含む自治体と連携し、大阪府下全域の個別のヘルパー併用の実態(人数・利用時間など)を明らかにすること。また、個々の入居者に必要・充分な支給決定が行われるようにすること。
 ・年限付きでない「サテライト型」あるいは、「グループホーム圏」として「ひとり住戸」を認めるなど、多様な物件確保や支援形態をすすめること。

4.グループホームの物件確保策、コンフリクトへの対策について
 (1) グループホームの物件確保を進めるため、下記の課題に取り組むこと
 ・グループホーム追い出し裁判に見られる消防法令・住宅法令の影響やコンフリクト問題を含む物件確保状況に関する実態を調査し、これらも元に入居拒否につながらない対策について具体的な検討を行なうこと。また大阪府障がい者計画の策定にあたっては、実態調査を定期的に実施すること。
 ・2019、20年度回答に基づき、大阪府グループホーム開設ハンドブックなどの活用を進め、UR、家主・宅建業者・管理会社・保証業者、地域や公営住宅自治会等への啓発を進めること。
 ・公営住宅利用拡充に向け、「隣接住戸2戸1化改修」などのグループホーム仕様や、借り上げ型公営住宅によるグループホーム活用など府独自のモデル事業を進め、国にも提言すること。
 ・消防法の改正により、公営住宅におけるグループホームの利用が困難になっている実態をふまえ、公営住宅全体の内装不燃化などの防火対策をすすめること。また、公営住宅におけるグループホームの開設にあたって、当該住戸の内装不燃化をすすめること。
 (2) 大阪府営住宅、および政令市を含む大阪府下市営・町営住宅の建て替え計画、ならびに該当住宅におけるグループホームの利用状況、および対応状況を明らかにすること。
 (3) 公営住宅利用グループホームが建替えに際し新築への入居から排除されることのないよう、「目的外使用」の見直しを国に要望するとともに、個別事例において適切な対応を図ること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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