選挙運動の権利を守る大阪共同センター 要望書

更新日:2022年6月24日

要望受理日令和4年6月14日(火曜日)
団体名選挙運動の権利を守る大阪共同センター
取りまとめ担当課選挙管理委員会事務局
表題

2022年参議院選挙にあたり
公正で自由な選挙の実現を求める要請書

2022年6月14日       

2022年参議院選挙にあたり
公正で自由な選挙の実現を求める要請書

大阪府選挙管理委員会 御中

選挙運動の権利を守る大阪共同センター  
構成団体 全大阪労働組合総連合
自由法曹団大阪支部
日本国民救援会大阪府本部

 

 貴選挙管理委員会におかれましては、来るべき参議院選挙に際し公明且つ適正な選挙の実現をめざし、多忙な日々をお過ごしのことと存じます。
 改めて申し上げるまでもなく、日本国憲法は、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」(前文)としているように、選挙は主権者国民が国政のあり方を決める大事な機会です。また、主権者国民の権利として「公務員選定の権利」(15条1項)を規定し、公職選挙法は「選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われる」(第1条)ことを求めています。
 これらを実現するため、国民に政党や候補者の政策について十分な情報が提供され、同時に国民同士が政治について大いに議論し合うことが必要です。そのためには、選挙において、言論・表現の自由(憲法21条1項)が最大限保障されなければなりません。
 しかし、公職選挙法は選挙における言論・表現活動を不当に制限しています。これは、憲法、国際人権規約に反するものです。市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)は、「参政権」「意見及び表現の自由」などの権利の享受を規定しています。自由権規約委員会は、日本政府に対して「公職選挙法が、表現の自由及び参政権に対して非合理的な制約を課していることの廃止」を求め(第5回日本政府審査)、さらに、法律を改正する前であっても「思想、良心及び宗教の自由あるいは表現の自由に対する権利への如何なる制限を課すことを差し控えることを促す」と厳しい勧告をおこなっています(第6回日本政府審査)。
 以上をふまえ、私たち「選挙運動の自由を守る大阪共同センター」は、今回も改めて、貴会に対し、公正で自由な選挙の実現をめざし、以下のとおり要請するものです。

1、言論・表現活動の最大限の保障と、投票率の向上にむけたとりくみを強めること
 (1)選挙において、言論・表現活動が最大限保障されるために、貴会が、その意義を広く市民に周知・徹底することを求めます。
 (2)投票率の低下が指摘されています。前回2019年の参院選では48.8%と戦後2番目に低い投票率になりました。主権者国民がみずからの投票で政治のあり方を決定するという憲法の理念からみたときに、投票率の低下は重大な問題です。
 その大きな原因の1つは、選挙運動が厳しく制限されているため、国民が選挙において、政治を議論すること、そのための情報が十分に提供されないことがあります。そのため、主権者としての「政治常識の向上」(公職選挙法6条)がすすんでないのではないでしょうか。
 いまマンションに住む人が増えていますが、選挙の際に、政党や候補者の政策を知らせるビラを国民に届けるという大切な活動に対して、マンション等では管理人がそれを拒否する事態が各地で発生しています。自治体によっては、選挙公報を新聞折込していますが、新聞をとらない家庭も増えるなか、誰が候補者で、どのような政策を訴えているのか、十分知らないまま投票せざるをえない(そのため投票にいかない)のが実情です。貴会が、選挙に際し、公報はもちろん、政策を伝えるビラの配布を制限しないように、関係者に周知するよう求めます。
 なお、マンションへのビラ配布について、最高裁で大切な判断がされていますので、参考に紹介します。
 東京・三鷹市の住民が、集合住宅の集合ポストに同市議の議会報告を配布したことに対して損害賠償を求めた裁判で、管理組合や住民による集合ポストへの投函をおこなわないよう求める掲示があったとしても、政治活動のビラ配りで建物に入ることは建造物侵入罪にあたらず「原告が葛飾マンションビラ配布事件を上げて違法性を主張しましたが、裁判所は集合ポストへのビラ配りと葛飾事件とは態様(7階から3階の各戸のドアポストにビラを投函)が違うとして退け」、民事上の「不法行為」とならないと判断しました。
 この判決は、最高裁第2小法廷が2021年1月22日に住民の訴えを退け、確定しました。また同趣旨の判決が同年11月11日、最高裁第1小法廷でも確定しています。
 (3)投票率をあげるためには、選挙の意義を国民に知らせ、理解を広げることが大切です。同時に、投票する機会を保障する物理的な工夫も必要です。
 投票しなかった理由として、「忙しい」「投票所が遠い」などの声があがっているもとで、近年、デパートや大学構内に期日前投票所を設置している自治体や、車で移動期日前投票所を設置するなどのとりくみがされています。
 他方、投票締め切り時間(午後8時)前に投票箱を締める投票所もみられました。これは投票する権利を制限するものです。
 貴会においては、投票がすすむ環境づくりをすすめるよう、財政的な援助を含めた国などへの働きかけをすすめることを求めます。とくに若者に対しては、教育の場での学習の推進やSNSなどを利用し、選挙の意義を理解してもらい、選挙に行こうとのキャンペーンをはかるよう求めます。
 (4)主権者国民がのびのびと選挙に参加できるように、選挙運動への制限を撤廃するなど公職選挙法を改正するように、担当官庁として政府に意見を出すよう、中央選挙管理委員会への具申を求めます。

2、買収こそ厳しく取り締まること
 買収は、「公明且つ適正」な選挙を妨げる最たるものです。
 ○○衆議院議員と□□参議院議員の買収事件に関連して、多くの首長や議員などがみずから金銭を受けたと証言していますが、全員が不起訴になるなど見逃されました。しかしその後、検察審査会が「起訴すべき」との議決をうけて、検察が一部の人について起訴しました。
 貴会においても、買収行為を放置せず、告発するなど厳しく対応するよう求めます。

3、選挙期間中の要求活動の保障をすること
 選挙期間中であっても、主権者が自己の政治的意見を表明するために行動したり、労働組合や市民団体がみずからの要求実現のためにおこなう街頭での宣伝、集会、演説等は、選挙運動にわたらない限り、公職選挙法違反にあたりません。
 憲法で保障された言論・表現活動への規制・介入は厳に慎まれなければなりません。貴会においても、表現活動を最大限保障することを求めます。

4、「公明且つ適正」な選挙を妨げる、「企業・団体ぐるみ」選挙を許さないこと 
 企業や団体などが、その構成員等に対し、利益誘導と強要を交えて特定候補者や政党への投票や選挙運動を強いる「企業・団体ぐるみ選挙」は、憲法が定めた「投票の自由」、個人の「思想・信条の自由」を侵害する行為であり、「利益誘導罪」(公選法第221条)にあたる可能性がある行為です。
 貴会が、「公明かつ適正」な選挙を妨げるこのような行為をおこなわないよう、広く周知・徹底すること、とりわけ企業などの関係機関に対して周知することを求めます。

5、「公明且つ適正」な選挙を妨げる謀略ビラや暴力による選挙の妨害を許さないこと
 過去の選挙で、特定の政党や候補者・団体を誹謗・中傷する出所不明の謀略ビラ(怪文書)が、投票日の前夜などに全戸配布されるような悪質な行為が発生しています。また、候補者に暴力をふるったり、法定ビラの配布や選挙カーの宣伝活動を妨害する行為も発生しています。
 こうした行為は、「公明かつ適正」な選挙を妨げるものであり、公職選挙法の「虚偽事項の公表罪」(235条)、「選挙の自由妨害罪」(225条)にあたる犯罪行為です。
 貴会が、このような行為が犯罪であり、決しておこなわないよう周知・徹底するとともに、悪質な選挙妨害などについては積極的な告発も含め、厳正に対処するよう求めます。


 

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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