部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会 要望書(2)

更新日:2023年4月10日

(1)  (2)  (3)  (4)  ※4ページに分割して掲載しています。

要望書

1.在日朝鮮人教育

1.【新型コロナウイルス感染拡大に関連する課題解決】大阪府・大阪府教育庁として、課題解決にむけた施策を講じること。
 (1)授業時数の確保や単元の履修のみに特化することなく、「学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切である」という文科省通知にもとづき、子どもたちの実態に応じた「ゆたかな学び」の保障につながるよう、人的措置を講じること。
 (2)管理職を含む教職員対象のオンライン研修における課題の検証をふまえて、今後の方策を示すこと。とりわけ人権にかかわる研修において、出会いや見学、ききとり等、学びを深めるために欠かせない体験的な内容が後退しないようにすること。
2.【外国人教育研究会への支援】大阪府の「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」をふまえ、在日朝鮮人教育をすすめること。また、大阪府人権教育研究連合協議会への人的配置の拡充、および「外国人教育研究会」未設置の市町村に対し、組織整備を求めること。(基23・帰3)
3.【指導専任】「教諭(指導専任)」の在日外国人教員を「教諭」として任用すること。また、採用及び採用後の実態を明らかにすること。管理職任用資格等その権利を完全に保障すること。さらに、海外日本人学校への派遣教員選考資格から国籍条項を撤廃するよう国にはたらきかけること。(基6(10)関連)
4.【管理職研修】在日外国人教職員の採用が続くなか、人権研修等をとおして、とりわけ管理職、指導的立場にある教職員の知識や人権意識の高揚に努めること。また、民族教育のとりくみをすすめる観点から管理職研修、教職員研修をよりいっそう充実させること。
5.【初任者研修の充実】新規採用による教職員の入れ替わりがすすんでいる現状に鑑み、これまでの大阪府内の在日朝鮮人教育をまとめた資料集を作成し、引き続き配布するとともに、在日朝鮮人教育の研修の充実を初任者研修等でさらにはかること。また、政令市、中核市、豊能3市2町に対しても、情報提供をおこなうこと。
6.【韓国修学旅行】府立高校の韓国への修学旅行などに対して教育課程の編成権は学校にあることを尊重し、大阪府教育庁として十分な支援をおこなうこと。
7.【民族講師】民族講師について
 (1)【採用】教科によらない教員採用選考テストを実施し、1948年「覚え書き」にもとづく、府費負担の民族講師を教員として採用すること。
 (2)【政令市の民族講師】従来大阪府として配置してきた民族講師について、給与負担等が移譲された政令市においてもこれまでどおり民族講師を配置し、大阪府と同様の民族教育をすすめていけるよう調整すること。
 (3)【人材育成・適正配置】民族教育をすすめていくための人材育成や、適正配置についてプロジェクトチームを作成し検討すること。検討内容については、解放共闘教育部会と協議すること。
8.【民族学級】在日朝鮮人の子どもたちやルーツをもつ子どもたちが在籍する学校に、民族学級を設置するよう市町村教育委員会に指導・助言すること。また、市町村で自主的にとりくまれている民族学級や民族クラブの制度的保障を促すとともに、大阪府教育庁として補助金交付、民族講師の派遣など市町村教育委員会を支援する制度をつくること。
9.【政治教育】「特別の教科 道徳」において、主権者教育や参政権がとりあげられている。政治的教養を育む教育については、外国籍の子どもを排除しない指導となるように、大阪府教育庁作成のガイドライン等の周知及び有効な活用を促すこと。また、外国籍の子どもたちの参政権の国籍国でのとりあつかいについても教職員に周知し、適切に指導できるように研修すること。(基47・帰4)                                                                                                        9.【政治教育】「特別の教科 道徳」において、主権者教育や参政権がとりあげられている。政治的教養を育む教育については、外国籍の子どもを排除しない指導となるように、大阪府教育庁作成のガイドライン等の周知及び有効な活用を促すこと。また、外国籍の子どもたちの参政権の国籍国でのとりあつかいについても教職員に周知し、適切に指導できるように研修すること。(基47・帰4)
10.【加配】在日外国人多数在籍校及び民族学級設置校への教員加配を国籍にかかわらず子どもたちの実態に即しておこなうこと。配置後は、加配教員が働きやすい環境の整備につとめるよう市町村教育委員会への指導・助言をおこなうこと。また、高校にも同様の配置を拡充すること。
11.【高校予算、指導員制度】高校における在日朝鮮人教育のとりくみや交流会等に対する予算措置並びに民族講師の派遣など指導員制度を整備・拡充すること。学校支援人材バンクのさらなる充実と整備をはかるとともに、登録者の研修を充実すること。
12.【朝鮮語教員・NKT】高校における朝鮮語の教員を現場要求にもとづき採用すること。また、大阪府教育庁として韓国・朝鮮語指導助手(NKT)の継続・増員配置をすること。
13.【差別事象の実態把握】教育現場や就職・進学における差別事象の実態把握を徹底するとともに、解決にむけたとりくみを解放共闘教育部会と協議しながら推進すること。10年6月作成DVD「在日外国人教育のための資料集 違いを認め合い共に生きるために」の周知に努めること。また、人種や民族、国籍に関する配慮を欠く不快・不適切な言動(レイシャルハラスメント)が多くなっていることに対し、実態把握、防止するための施策、研修を充実すること。(帰渡21)
14.【民族学校】民族学校に通う子どもたちの学習保障をおこなうこと。
 (1)【民族教育の権利】最高裁は、朝鮮高級学校を授業料無償化の対象から除外したという国の処分が「適法」と判決を出した。民族教育の権利、子どもの人権が保障されることは、各種国際人権条約でも認められている当然の権利であることから、地方公共団体の補助金交付再開等、授業料の支援をおこなうこと。また、朝鮮学校幼稚園に対して、幼児教育無償化を適用すること。
 (2)【補助金】朝鮮学校に対し、外国人学校振興補助金を交付すること。
 (3)【助成】一条校並みの助成をおこなうこと
 (4)【大学受験】民族学校卒業生に対して、すべての大学で受験資格が認められるよう働きかけること。
15.【本名指導】大阪府教育委員会が作成し13年度に修正した「本名指導の手引き」の使用の徹底をはかるよう、市町村教育委員会へ指導・助言するとともに、その活用状況を把握すること。特に、大阪府教育庁内や管理職の研修を徹底すること。さらに、本名指導に役立つ資料等を作成すること。
16.【ヘイトスピーチ】「ヘイトスピーチ解消法」、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」をふまえ、ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)やインターネットに書き込まれる人権侵害事象について、大阪府・大阪府教育庁として「差別を許さない姿勢」を明らかにすること。また、意図的でなくとも無理解や偏見による言動は差別であることを含め、子どもたちや保護者、地域、府民に対してよりいっそう周知するとともに、学校現場のとりくみを支援する方策を確立すること。また、「ヘイトスピーチの問題を考えるために―研修用参考資料―」の内容についても精査し、府立学校や市町村教育委員会への周知徹底をはかること。(基13・帰17)
17.【免許更新各申請書】教員免許更新に係る更新講習修了確認申請書等に「氏名」「生年月日」「本籍地」の記載を求めているが、必要のない個人情報である本籍地の記載を求めるのには合理性がなく、意味がない。これらの申請書における「本籍地」欄を削除すること。当面、「本籍地」欄に記載がない場合でも、本人に不利益がないようにすること。
18.【Jアラート】全国瞬時警報システム(Jアラート)については、子どもたちが必要以上に不安にならないための配慮をおこなうこと。また、これに関わって在日外国人、とりわけ韓国・朝鮮人に対するいやがらせ等がないように十分に配慮するよう、府立学校や市町村教育委員会へ周知徹底すること。
19.【啓発】保護者や府民に対して、在日外国人問題についての啓発をよりいっそうおこなうこと。
20.【映画・アニメ「めぐみ」】内閣官房拉致問題対策本部からの通知により、映画「めぐみ」及びアニメ「めぐみ」を積極的に活用するよう求めているが、教育課程の編成権は学校にあることから強制しないこと。また、活用する際は事前・事後の学習をおこなうことを周知徹底すること。

2.インクルーシブ教育

1.【合理的配慮】21年4月「改正バリアフリー法」、21年9月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」(以下、医ケア法)等の、支援を必要とする子どもの合理的配慮がすすむよう施策を講ずるとともに、市町村教育委員会に指導・助言すること。(基11)
 (1)合理的配慮の基礎となる教育環境の整備・充実を早急かつ適切におこなうよう、市町村教育委員会に指導・助言すること。
 (2)財政負担を理由に必要な支援・配慮がなされないことのないよう、施設整備について市町村教育委員会に指導・助言すること。
 (3)合理的配慮についての研修や環境整備の現状を明らかにすること。
 (4)当事者や関係者の意見を反映させるためのしくみをつくること。
2.【インクルーシブ教育基本方針】11年8月「障害者基本法改正」、21年3月「第5次大阪府障がい者計画(後期計画)」、21年5月「改正障害者差別解消法」等をふまえ、大阪府の「支援教育」は、すべての子どもたちが「ともに生き、ともに学び、ともに育つ」ことを基本とし、「支援教育」から「インクルーシブ教育」へとすすめていくために、以下にとりくむこと。
 (1)大阪府として「インクルーシブ教育基本方針」を策定すること。
 (2)「インクルーシブ教育」推進のための人的配置を基本とした支援事業をさらに拡充すること。
 (3)すべての子どもたちが地域の学校に通うことを前提に、施策を充実すること。(基10)
3.【新型コロナウイルス感染拡大に関連する課題解決】大阪府・大阪府教育庁として、課題解決にむけた施策を講ずること。
 (1)授業時数の確保や単元の履修のみに特化することなく、「学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切である」という文科省通知にもとづき、子どもたちの実態に応じた「ゆたかな学び」の保障につながるよう、人的措置を講ずること。
 (2)支援が必要な子どもにとって、ひとりで学ぶことを前提としたオンライン学習では「教育を受ける権利」が置きざりになることが懸念される。すべての子どもたちの学ぶ機会が公平に確保されるよう、合理的配慮を提供するてだてを構築し、市町村教育委員会には指導・助言すること。
 (3)高校入学者選抜等、卒業後の進路保障に関して、子どもたちが不利益を被らないようにてだてを講ずること。
 (4)国に対し、課題解決にむけた施策の充実をはたらきかけること。
4.【自立支援コース・共生推進教室】入学希望の多い「自立支援コース」の募集人数の増や、大阪府内各地域に新たに設置するなど拡充する具体的な年次計画を早急に示すこと。また、就労支援については、地域の自立支援施設との交流や社会体験学習を保障する地域支援組織の創設、就労支援組織との連携をはかること。「共生推進教室」でおこなう職業に関する専門教育については、子ども、保護者の希望を優先し、本校での学習を強制しないとともに、選考の条件としないこと。また、「共生推進教室」設置校の本校を近隣の支援学校とすること。
5.【高校教育のあり方】しょうがいのある子どもたちが「ともに生き、ともに学び、ともに育つインクルーシブ教育」の理念のもとで、公立高校がセーフティネットとしての役割を果たすことをふまえ、以下に努めること。
 (1)しょうがいのある子どもたちの受け入れ高校に対し、必要な人的保障や物的保障を最大限おこなうこと。
 (2)01年9月「府立高等学校における障害のある子どもたちに対する学習指導及び評価について(通知)」の周知徹底をはかること。
 (3)高校の通級指導教室について、成果や課題を分析して、今後の運用に生かすこと。また、「高等学校及び中等教育学校における『通級による指導』一体状況調査」の結果、大阪府では通級指導が必要と判断したにもかかわらず、指導体制がとれないために通級による指導をおこなわなかった子どもが多くいたことから、その現状をふまえ、今後の設置計画をおこなうこと。
6.【高校進学】高校進学を希望するすべての子どもたちに入学を保障するよう求める観点から、以下に努めること。
 (1)すべての高校を受験することが可能であることを保護者等に周知すること。
 (2)高校受験に際して、引き続き受験上の配慮をすすめること。私学に対しても同様の指導をおこなうこと。なお、入試制度の変更によって、しょうがいのある子どもたちに不利益がないよう、ていねいな対応をおこなうこと。
 (3)高校(公立・私立)で学ぶすべてのしょうがいのある子どもたちのニーズに応じた条件整備をおこなうこと。
 (4)すべての府立高校で実施されている「高校生活支援カード」については、子どもの状況にあう支援ができるよう、大阪府教育庁として施策を講ずること。また、市町村教育委員会にも「高校生活支援カード」の有効的な利用を促進するため周知すること。(進15)
 (5)定員内不合格を出さないように高校への指導を強めること。
7.【大阪府教育振興基本計画】18年3月「大阪府教育振興基本計画(後期計画)」における後期事業計画(18〜22年)において、「大阪市域を含む大阪府立支援学校における知的障がいの子どもの数は、今後10年間で約1600人増加すると見込まれることから、知的障がいのある子どもの教育環境の充実が求められている」とある。自立支援コース、共生推進教室の拡充、あらたな学校の設置などを計画的にすすめ、大阪府学校教育審議会答申をふまえたインクルーシブな学校づくりをすすめること。(基3・34関連)
8.【手話言語条例】17年3月「手話言語条例」が、教育現場で活用できるよう施策を講ずること。
9.【ハートフル条例】10年4月「障害者雇用を促進する条例(ハートフル条例)」施行以降の大阪府におけるしょうがい者雇用の現状と課題を明らかにし、雇用率改善にむけたとりくみをすすめること。とくに、都道府県教育委員会は法定雇用率が21年3月から2.5%に改定されたことをふまえ、知的しょうがいのある府立学校卒業生を雇用する「教育庁ハートフルオフィス推進事業」等の現状と課題を明らかにすること。
10.【就学時健康診断】就学時健康診断については、93年の確認(ア.受診義務はない。イ.就学時健康診断をもとに振り分けをおこなわない。ウ.保護者の意向を尊重する。エ.精密検査の受診についても強制はしない。オ.前記事項を市町村教育委員会に指導する。)を周知徹底すること。また、「障害者基本法」や改正された「学校教育法施行令」をふまえ、まずは地域の学校への就学をすすめるべきであることを確認し、市町村教育委員会を指導すること。
「就学指導委員会」や就学時の相談での「振り分け」がおこなわれないよう、委員会の名称も含め、市町村教育委員会を指導すること。また、就学通知は、地域の学校名を就学先としたものを「就学指導委員会」よりも先に送付するよう指導すること。就学相談については、必要に応じておこない、就学先については保護者、本人の意向を最大限尊重するよう市町村教育委員会を指導すること。(基26)
11.【支援学級】
 (1)支援学級の学級編制基準を引きさげるよう、国へ要望すること。当面、大阪府として6人以上の学級には加配をつけること。(基6(4)関連)
 (2)支援学級の教員1人あたりの子どもの数を全国平均並みに引きさげ、実態にあった教員を配置するなど、学級の大幅増設をはかること。また、しょうがい種別による学級設置をすすめること。
 (3)重度重複加配を存続し、その配置の拡充をおこなうこと。
 (4)普通学級のみに在籍するさまざまな支援を要する子どもの指導について人的配置をおこなうこと。また、支援についての研修をおこなうこと。
 (5)通級指導教室の増設をおこなうこと。
12.【ダブルカウント】小中学校等に在籍するしょうがいのある子どもの学籍については、普通学級・支援学級の両方に置くという、大阪府独自の措置であるダブルカウントを復活すること。その際、「原」(げん)学級とは、普通学級であることを確認すること。また、支援学校等に在籍する子どもたちについても「ともに生き、ともに学び、ともに育つ」理念から居住地の小中学校等に同時に在籍する二重学籍制度(副学籍制度など)とし、交流促進に努めること。
13.【医療的ケア】「医ケア法」の施行に伴い、さらに医療的ケアの必要な子どもや保護者のニーズが高まることが予想される。子どもが安心して就学できるよう「市町村医療的ケア実施体制サポート事業」については、大阪府として責任をもってすすめること。
 (1)対象の子ども1人ごとに看護師を配置すること。また、事業を拡大し、重度重複のしょうがいのある子どもたちが小中学校等に多数在籍する実態等をふまえ、理学療法士(PT)・言語療法士(ST)等を小中学校等に新たに配置・派遣できるようにすること。
 (2)看護師が安定的に配置されるよう、医療的ケアについての講習会など学校看護職の普及、啓発をおこなうこと。また、学校看護師の勤務実態を把握し、配慮あるとりくみをするよう市町村教育委員会を指導すること。
 (3)医療的ケアの必要な子どもや保護者が転入学時に安心して就学できるよう施設設備等条件整備や、通学支援をおこなうこと。
14.【院内学級】院内学級の整備をはかるとともに、学級設置を弾力的におこなうこと。また、私立学校へ通う子どもたちの在籍問題、転出入する子どもの学籍簿の扱い、退院した後のケアも含め、学校と院内学級との連携の必要性を認識し、配慮あるとりくみをするよう求めること。
15.【研修計画・研修内容】教職員の研修にあたっては、大阪府におけるしょうがい児教育の経過を十分に認識し、地域で「ともに生き、ともに学び、ともに育つ」ことをめざした「インクルーシブ教育」の推進、しょうがいのある子どもたちの人権を尊重した教育活動をすすめる研修計画や研修内容を策定すること。とくに、学校内で生起する教職員等による子どもに対する体罰、パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントなどの人権侵害を防止するための研修をおこなうこと。
16.【教育相談】支援学校で実施する教育相談は、しょうがいのある子ども本人の意思、保護者の意見を尊重すること。教育相談については、本人が通学している学校と連携をとり、すすめること。また、支援学校には「教育相談会」のガイドライン(11年5月大阪府教育委員会作成、19年4月改正)を周知すること。支援学校の通学校区変更については、子ども、保護者、当該地域・学校への充分な周知期間を設けること。
17.【就学前】幼年期から「ともに生き、ともに学び、ともに育つ」機会を充実するとともに、小学校等につなぐとりくみをすすめること。
18.【精神疾患】精神疾患についての理解がすすみ、早期に対応できるとりくみをすすめること。
19.【地域の社会教育施設】子どもの在学中はもちろん、卒業後も地域の社会教育施設(図書館・公民館など)で学ぶことができるよう、環境整備や支援体制などを整えること。
20.【人権啓発】大阪府人権関係3条例等をふまえ、保護者・大阪府民に対して、地域で「ともに生き、ともに学び、ともに育つ」ことをめざした「インクルーシブ教育」の啓発をおこなうこと。

3.夜間中学校教育

1.【大阪府の役割】義務教育未修了者の学ぶ権利を保障する、夜間中学校の果たす役割は大きい。16年12月「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)、18年7月「夜間中学の設置・充実に向けて」(文科省手引)の改訂など、公立夜間中学校の必要性の認識と増設・充実にむけた動きが国段階で明らかにされている。大阪府内の現7市11校は、いわば「府立」夜間中学校としての位置づけでなければならない。
 (1)夜間中学生の学習権と学ぶ場を保障するため、国への対応や、「教育機会確保法」「文科省手引」等をふまえた大阪府の役割をどのように認識しているのかを明らかにすること。府の教育振興計画に夜間中学校の重要な役割と増設や充実に関すること明記すること。そして、市町村教育委員会にはたらきかけること。
 (2)7市ならびに生徒居住市町村へ必要な支援をおこなうこと。
2.【就学保障】夜間中学生の実態にあった就学援助制度などの教育条件整備のため、国に支援を強く求めること。また、夜間中学校で学ぶ生徒の学習権を守るため、大阪府が措置してきた「通学費援助制度」を復活し、設置市教育委員会に補助すること。
3.【新型コロナウイルス感染拡大に関連する課題解決】夜間中学校を必要としている人たちが不利益を被らないように情報提供をし、学習権を保障するよう、設置市教育委員会に指導・助言すること。
4.【教育条件整備】夜間中学校で学ぶ生徒の学力を保障するため、夜間中学校独自の加配等をはじめ、教職員配置や学級編制の改善を国に要望し、予算措置をおこなうこと。とりわけ、政令市への給与負担等の移譲により、夜間中学校における人的配置や予算等が後退することがないよう、設置市教育委員会を支援するとともに、大阪府内の夜間中学校の充実をはかること。
 (1)継続して教頭と養護教諭を配置すること。
 (2)教科調整時間講師を従来どおり確保すること。
 (3)専任の事務職員を配置すること。
 (4)日本語指導の教員定数配置をすすめること。
 (5)日本語指導員及び母語支援員・通訳等を実態に応じて配置を拡充すること。
 (6)SCやSSWの配置を拡充させること。
 (7)夜間中学校に関連する研修を計画的におこない、広く周知すること。
 (8)夜間中学校に対する旅費配当を継続・拡充すること。
5.【識字に関する施策】「国連識字の10年―すべての人々に教育を」は、12年度で終了したが、とりくみの継続がさらに必要な状況にある。高齢化やさまざまな国籍の生徒の在籍が増えている実態があり、対応が求められる。「すべての人々に教育を」という理念にたった、大阪府・大阪府教育庁としての識字教室の成果と残された課題をふまえ、非識字者などをなくす夜間中学校を支援すること。
「大阪府識字施策推進指針(改訂版)」に示されている「関係市教育委員会および関係部局と連携をはかりながら、中学校夜間学級としてのあり方もふくめた検討をおこない、その学校教育活動の充実につとめる」ことに関わる、大阪府としての課題解決にむけて今後の具体的なとりくみを継続すること。とりわけ、夜間中学校卒業後の進路先ともなっている、識字教室や日本語教室などの学びの場の保障、識字施策の充実のため支援すること。また、国に対し、国の責務として非識字者の学習の場を保障するよう強く要請すること。
6.【設置市との連携・支援】夜間中学校の新増設にむけて、94年2月22日の確認を遵守し、設置市教育委員会より申請があれば、「文科省手引」をはじめ「大阪府人権教育推進計画」や「人権教育のための世界プログラム」にもとづいて引き続きとりくむこと。ならびに大阪府教育庁の「人権教育基本方針」「人権教育推進プラン」をふまえ、誠実に対処すること。また、夜間中学校の教育条件整備の充実にむけ、関係部局にはたらきかけるとともに、設置市教育委員会のとりくみの把握と支援につとめること。
7.【合理的配慮】しょうがいを理由に就学を「免除」「猶予」された人々やしょうがいのある生徒が学ぶ夜間中学校に対して、義務教育の完全保障の観点にたち、21年5月成立「改正障害者差別解消法」や、21年3月策定「第5次大阪府障がい者計画」(合理的配慮の実践や支援の拡充等)をふまえ、しょうがいのある生徒が修学旅行などの宿泊を伴う行事や校外での学習に参加できるよう、人的支援などをおこなうこと。また、しょうがいのある生徒の通学介助に関わり、生徒が日々通学できるように、地域支援事業の活用などを含めて、人的支援をおこなうこと。
8.【給食】「教育機会確保法」により、地方公共団体には教育機会の確保等に関する施策を実施するための必要な財政上の措置を講じることが求められている。とりわけ、大阪府内の昼間の中学校で給食実施がすすんでいる実態をふまえ、夜間中学校においては就学援助制度同様に居住市町村負担を導入することも含め、設置市教育委員会に補食給食の維持・復活にむけて、フードバンクの活用などを含め具体的支援をおこなうこと。
9.【広報活動の強化】文部科学省の調査によれば、社会全体での夜間中学校の周知は依然十分とはいえない。義務教育を必要とする人々に情報を届けることは、とても重要である。夜間中学校を必要としているすべての人の学習権を保障する観点にたち、夜間中学校についての広報活動を強化すること。また、大阪府内の夜間中学生が参加する連合運動会や作品展、新入生歓迎会など、大阪府全体の学校行事で使用する会場の確保等を大阪府教育庁としておこなうこと。また、ポスター等については、今後も継続して作成・配布ができるよう予算措置をおこなうこと。あわせて夜間中学や生徒募集に関する府ホームページや府内すべての市町村広報への掲載を拡充し、多言語対応も含め有効に活用していくこと。夜間中学生への情報提供者になりうる支援者(教職員・福祉関係者・自治会関係者・国際交流関係者など)への研修や周知をおこなうこと。
10.【卒業後の進路保障】夜間中学校卒業生の進路保障をすすめること。支援学校高等部既卒者が夜間中学校で学び直した後、定時制高校等へ入学できるようにするなど、夜間中学生の進路保障につながる制度改善をおこなうこと。また、夜間中学校卒業生の進路保障として、夜間定時制高校・多部制単位制高校などにおける展開授業や日本語指導等に対する人的保障をおこなうこと。(基33・進18)
11.【生徒の健康】夜間中学校に高齢の生徒やさまざまな国籍の生徒が多く在籍している実態をふまえ、現行健康診断および保健室の実態を点検するとともに、大阪府内の全夜間中学校に保健室が設置されるよう、設置市教育委員会に指導すること。また、夜間中学校で学ぶ生徒の実態に見合った健康診断・相談活動がおこなわれるよう、設置市教育委員会に指導すること。とくに、年齢にあわせて健康診断の受診項目を増やすこと。あわせて、国や大阪府で健康診断やスポーツ振興センターなどに関連する説明文書や資料について在籍生徒の母語での翻訳をおこなうこと。
12.【夜間中学校への受け入れ】学齢超過者(若年)に対して安易に夜間中学校への就学をすすめるのではなく、対象者の教育を受ける権利を尊重し、本人や家族の希望、意向を十分に配慮した丁寧な対応がおこなわれるよう、市町村教育委員会にはたらきかけること。また、学齢期の子どもの夜間中学校への受け入れについては、懸念される課題もあることから、慎重を期すよう、市町村教育委員会にはたらきかけること。
13.【夜中相互のICTネットワーク】大阪府内11校(近畿地区18校)の夜間中学校相互がICTネットワーク・オンラインによる情報共有や交流が可能となる条件整備をすすめ、夜間中学校の教育活動の充実につなげるよう設置市教育委員会にはたらきかけること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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