部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会 要望書(1)

更新日:2023年4月10日

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要望受理日

令和3年11月9日(火曜日)

団体名部落解放大阪府民共闘会議、同教育部会
取りまとめ担当課教育庁 人権教育企画課
表題部落解放大阪府民共闘会議/2021 教育要求書

要望書

2021年11月9日

大阪府知事        
吉村 洋文 様
大阪府教育委員会教育長   
橋本 正司 様


部落解放大阪府民共闘会議
議長
同  教育部会
代表

部落解放大阪府民共闘会議/教育要求書

 平素の教育行政へのご尽力に、敬意を表します。
 私たちは、部落差別をはじめとする一切の差別をなくし、「平和と人権の街」「世界に開かれた街」大阪を担う次世代を育むため、教育の果たすべき役割は極めて重大であると確信し、日々努力しています。特に、さまざまな理由によって「教育弱者」の立場にある子どもたちの教育保障を求めています。そのため、日本国憲法および国際人権規約・子どもの権利条約・女性差別撤廃条約の諸理念にもとづき、教育諸条件の整備・拡充に努力されることを強く要求します。
 さて、新型コロナウイルスの感染拡大は、子どもたちの生活に大きな影響をおよぼしています。おとなの社会がそうであるように、学校でも、行事の規模縮小や、オンライン学習が「face to face」のコミュニケーションの形を変えつつあります。タブレット端末は便利なツールではありますが、支援や配慮が必要な子が置きざりになったり、一定レベルの操作技能を身につけることのみが優先されたりしていないか等に配慮しながら、学校現場は子どもの人権を大切にした教育活動をおこなっています。しかし、厚生労働省・文部科学省の調査によると、20年度の児童生徒の自死は479人で、19年度より140人増えました。とりわけ、厳しい状況にある子どもへの影響は大きく、文部科学省も子どもの心のケアや環境の改善にむけてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる支援の促進をはかることを求めており、専門知識をもった人を含む多くの力が必要です。
 2002年の「地域改善対策特別措置法」の期限切れから20年の歳月がすぎようとしていますが、部落差別が解消していないことは、16年に「部落差別解消推進法」が施行されたことからも明らかです。しかし、20年の法務省『部落差別の実態に係る調査結果報告書』によると、2002年以降に学齢期であった18〜29歳において、「部落差別」「同和問題」といった言葉をきいたことすらない人が34%にのぼることが明らかになっています。また、20年に大阪府で実施された『人権問題に関する府民意識調査』によると、小学校で部落問題学習を受けた割合は、もっとも割合の高い40歳代で61%であるのに対し、20歳代では21%と、20年の間に40ポイント低下しています。すべての人が、部落問題学習をとおして部落差別の不当性について学び、部落差別の解消のみならず、あらゆる差別をはじめとする社会問題を解決しようとする意識をもたなければなりません。教育は、豊かな人間性を育みながら、学力を保障するものです。点数学力に特化し、教職員や子どもを競わせるのではなく、人権意識をさらに高めるとりくみが必要です。人権意識は形にみえるものではありませんが、社会全体でこれを高め、問題意識を共有し、変革にむけて行動する人を育成するために、学校教育の担う役割は大きいです。地対財法の期限切れ以降、教職員配置については、同和加配に代わり、国の一般加配を活用することによって、教育に支障をきたさないようとりくんできたところですが、すべての子どもの人権を保障するため、「人権関連3法」(「部落差別解消推進法」「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」)や「大阪府人権関係3条例」(人権尊重の社会づくり・性の多様性の理解の推進・ヘイトスピーチの解消の推進)を最大限に活かし、大阪府教育庁として、安定的な教育予算の確保を国にはたらきかけていただきたいと考えます。
 大阪府では、同和教育をはじめ、反差別人権教育の分野で先進的なとりくみがおこなわれてきました。これまで私たちが大切にしてきた「平和・人権・環境・共生」の解放教育実践や、学校間・地域が連携したとりくみを、すべての学校・校区へと拡げていくことが必要です。さらに、新規採用教職員をはじめ青年層教職員に、大阪の「人権教育」を基盤とする教育実践を継承し、あらたに創造していくことも重要課題です。
 私たちは、これまで以上に人権教育・解放教育を推進する立場から、引き続き、部落解放大阪府民共闘会議教育部会の活動を強めたいと考えています。大阪府教育庁が、これまでの同和教育施策を後退させることなく、いっそうの現場支援をおこなうことを強く要請し、以下の諸要求に対して誠実な回答を求めます。

0.基本要求

1.【基本姿勢】同和教育・人権教育について大阪府教育庁としての基本姿勢を明らかにすること。あわせて、02年度大阪府教育委員会通知「同和問題の早期解決に向けて」の趣旨を改めて周知徹底すること。(同1)
2.【推進計画・意識調査・推進プラン】15年3月「大阪府人権教育推進計画」が改定され、21年3月結果公表の「人権問題に関する府民意識調査」では、深刻な問題と考えるものとして「子どもの人権問題」が54%と最も高かった。この調査結果を人権施策に生かすためのとりくみとして周知すること。また、16年12月「部落差別解消推進法」の施行に伴って改訂された18年3月「人権教育推進プラン」にもとづき、あらゆる差別をなくすための施策、啓発をおこなうこと。(同4)
3.【教育振興基本計画】18年3月に策定された「大阪府教育振興基本計画後期計画」について、人権教育、学力保障、子どもを地域で育てる、進路保障など人権の観点で検証すること。また、23年改訂にむけて、これまでの点検及び評価をうけて、見直しをはかること。
4.【新型コロナウイルス感染拡大に関連する課題解決】大阪府・大阪府教育庁として、課題解決にむけた施策を講じること。(すべての課題別に共通)
 (1)差別や人権侵害の実態を把握し、保護者や府民に対しての啓発を強化するとともに、差別や人権侵害を許さない社会の構築にむけた具体的施策を講じること。
 (2)心理的・経済的に多大な影響を受けている子どもたちへの支援の充実をはかること。
 (3)授業時数の確保や単元の履修のみに特化することなく、「学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切である」という文科省通知にもとづき、子どもたちの実態に応じた「ゆたかな学び」の保障につながるよう、人的措置を講じること。
 (4)支援が必要な子どもにとって、ひとりで学ぶことを前提としたオンライン学習では「教育を受ける権利」が置きざりになることが懸念される。すべての子どもたちの学ぶ機会が公平に確保されるよう、合理的配慮を講じるてだてを構築し、市町村教育委員会には指導・助言すること。
 (5)日本語指導が必要な子どもたちの多様な実態や支援を通じてみえてくる課題を解決するため、NPOとの連携を強化し、サポート体制を充実させること。
 (6)高校入学者選抜等、卒業後の進路保障に関して、子どもたちが不利益を被らないようにてだてを講ずること。
 (7)管理職を含む教職員対象のオンライン研修における課題の検証をふまえて、今後の方策を示すこと。とりわけ人権にかかわる研修において、出会いや見学、ききとり等、学びを深めるために欠かせない体験的な内容が後退しないようにすること。
 (8)ワクチン接種等の医療行為を教育現場にもち込まないこと。また、感染拡大防止のための検査等をおこなう際の人権的配慮について周知徹底すること。
 (9)国に対し、課題解決にむけた施策の充実をはたらきかけること。
5.【人的配置】大阪府教育庁として、同和地区を校区に含む学校(旧同和教育推進校)に対して、さまざまな施策を活用した支援をおこなうとともに、その実態に即した教職員配置や課題に対応した人的措置をおこなうこと。(同5)
6.【国への要望】大阪の未来を担い、人権文化を育む主体となる一人ひとりの子どもたちが大事にされ、さらに大阪の人権教育をすすめていくため、以下のことを国へ要望すること。
 (1)義務教育において、義務教育費国庫負担制度は「憲法の要請」にもとづき、教育の機会均等の保障、教育水準の維持・向上をはかるうえで、不可欠な財源的な裏付けを与えている。その意義をふまえ、この制度を堅持するとともに、当面負担割合を2分の1に戻すこと。
 (2)公教育への財源支出の対GDP(国内総生産)率をOECD水準に引きあげること。
 (3)小学校に続き、中学校・高校での35人学級を実施すること。
 (4)支援学級の学級編制基準を引きさげること。
 (5)食教育の充実をはかるため、栄養教諭を全校に配置すること。当面、定数配置基準を改善すること。
 (6)「安心・安全な学校・教育環境」「通学路の安全」を確保するために、人的措置をはじめとする実効ある対策を講じること。
 (7)教科書無償制度を堅持すること。また、高校教科書無償化制度を創設すること。
 (8)教育費の保護者負担を軽減すること。
 (9)「学齢期」を越えた夜間中学校生徒や帰国・渡日生徒にも「就学援助制度」が適用されるよう学校教育法19条等の関係法令を改正すること。
 (10)在日外国人を教諭として採用でき、管理職任用資格等も有することを国の見解として示すこと。
 (11)不必要に男女を分けている全国学力・学習状況調査の性別欄の廃止を求めること。(ジェ4)
7.【子どもの権利条約】子どもの権利条約について、子ども、教職員、府民等へ広く周知し、条約の各条項が規定する子どもたちの権利を実現するために、具体的施策を講じること。
8.【大阪の子どもの権利条例】子どもの権利条約の理念にもとづく「大阪府子ども条例」を実効あるものとすること。「次世代育成行動計画」の具体化にむけた施策推進についても解放共闘と協議をおこなうこと。また、20年3月策定「子ども総合計画後期計画」にもとづく事業が、地域を基盤とした子どもの最善の利益の追求を求めること。市町村に対して、「子どもの権利」に関する条例の策定を求めること。
9.【人権啓発、人権関連3法・3条例】「改正障害者差別解消法」、「ヘイトスピーチ解消法」、「部落差別解消推進法」の3法及び大阪府人権関係3条例について、教育の役割が重要であることを認識し学校現場を支援するとともに、あらゆる研修でとりあげること。また、保護者・府民への啓発をさらにすすめ、インターネット上における差別等も含むあらゆる人権侵害の現状を把握し、差別解消にむけた具体的施策を講じること。(同2)
10.【インクルーシブ教育基本方針】11年8月「障害者基本法改正」、21年3月「第5次大阪府障がい者計画(後期計画)」、21年5月「改正障害者差別解消法」をふまえ、大阪府として「インクルーシブ教育基本方針」を策定すること。(イン2)
11.【合理的配慮】21年4月「改正バリアフリー法」、21年9月「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」等の、支援を必要とする子どもの合理的配慮が教育現場ですすむよう施策を講じるとともに、市町村教育委員会に指導・助言すること。(イン1)
12.【貧困等】20年3月策定「第2次大阪府子ども貧困対策計画」にもとづき、大阪府・大阪府教育庁として実効ある対策と効果の検証をおこなうこと。また、家庭の経済状況の厳しさ、地域の状況、子どもが家族の世話をする(ヤングケアラー)こと等が、子どもたちの学力に大きな影響を及ぼしている現状をふまえ、その実態や課題の共有をおこなうこと。さらに、「子供・若者育成支援推進大綱」「子どもの貧困対策の推進に関する法律」「子供の貧困に関する大綱」の具体化をはかるため、市町村と連携した施策を講じること。また、SSW・CSWを増員し、福祉行政との連携をはかり、市町村でより効果的に活用できる施策・支援をおこなうこと。(同6)
13.【ヘイトスピーチ】「ヘイトスピーチ解消法」、「大阪府人種又は民族を理由とする不当な差別的言動の解消の推進に関する条例」をふまえヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)やインターネットに書き込まれる人権侵害事象について、大阪府・大阪府教育庁として「差別を許さない姿勢」を明らかにすること。また、意図的でなくとも無理解や偏見による言動は差別であることを含め、子どもたちや保護者、地域、府民に対してよりいっそう周知するとともに、学校現場のとりくみを支援する方策を確立すること。「ヘイトスピーチの問題を考えるために―研修用参考資料―」の内容についても精査し、府立学校や市町村教育委員会・学校現場に周知徹底をはかること。(在16・帰18)
14.【虐待】子どもへの体罰を禁止するとともに、児童相談所の体制強化を盛り込んだ20年4月施行「改正児童虐待防止法」、16年6月「改正児童福祉法」をふまえ、さらに虐待防止に努めるとともに、家庭支援をおこなうこと。また、面前DVなどを含む子どもへの虐待について教職員の認識を深めるとともに、虐待を受けている子どもたちのSOSを見抜く力や迅速かつ適切な対応ができる力を身につけるための研修をおこなうこと。
15.【自死】21年4月、内閣府発行「子供・若者育成支援推進大綱」によれば、20年の全国の児童生徒の自死者数は499人にのぼり、19年より100人増で過去最多となった。また、国立成育医療研究センター「コロナ×こどもアンケート」によれば、小学校4年生以上の15〜30%に中等度以上のうつ症状があることが示されるなど、深刻な状況である。自死にかかわる個人情報がインターネット上にさらされ、差別や排除につながる事案も発生している。大阪府・大阪府教育庁として子どもたちの状況を把握し、生命と人権を守る具体的施策を講じること。(同15)
16.【いじめ】大阪府におけるいじめ・不登校、暴力行為の実態を明確にし、その解決のための施策を明らかにすること。「いじめ防止対策推進法」の目的にも「児童等の尊厳を保持するため」とあるように、いじめは「重大な人権侵害行為で、差別であり、絶対許されない行為」であることをふまえ、大阪府教育庁として、日常から人権学習や学級集団づくりをとおして、管理職をはじめ教職員に差別やいじめを見抜く確かな人権感覚を育てるよう、重ねて市町村教育委員会を指導すること。(同7)
17.【体罰・パワハラ・セクハラ】教職員等による体罰、パワー・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントなどの人権侵害を防止するための方策と、人権侵害が発生した場合の組織的な対応システムについて明らかにすること。その際、相談員の研修の充実をはかること。また20年から府立学校に通う子どもたちに実施している「セクシュアル・ハラスメントに関するアンケート」の結果や効果を検証するとともに、2次被害等がないか配慮すること。また、部活動における体罰、あらゆるハラスメントの実態を把握し、対策を講じること。また、「子どもを守る被害者救済システム」の広報と、さらなる充実に努めること。さらに日常的に、子どもの人権尊重の観点から、「性の教育」をはじめ、子どもをエンパワメントするとりくみを実施するよう市町村教育委員会に指導・助言すること。(同12・ジェ5(3)・6)
18.【ジェンダー平等:「性的指向・性自認」(SOGI)】「大阪府性的指向及び性自認の多様性に関する府民の理解の増進に関する条例」などをふまえ、性の多様性についての理解を深めること。基準服や体操服などの着衣、更衣室、トイレなどの教育環境の整備や、教育実践の推進・教材開発など、教育のあらゆる場面でSOGIに関して子どもたちの人権が守られるようてだてを講ずること。また、部活動等においてもSOGIに関して子どもたちの人権が守られるよう、大阪府教育庁「性の多様性を理解するために」の冊子などの活用を関連団体にはたらきかけること。(ジェ10)
19.【人権教育の継承・管理職の課題】教職員の大量採用や外部人材活用などで学校現場に多様な人が参画する状況において、人権感覚に富んだ教職員を育てることは急務である。世代交代がすすむなかで同和教育・人権教育を継承し、創造していくための大阪府教育庁としての認識・施策を明らかにするとともに、とりわけ管理職が職場の「指摘しあう関係性」や「高めあう教職員集団」をつくるための方策を示すこと。
20.【任用と研修】管理職(民間人校長を含む)、指導主事、首席、指導教諭の任用については、人権感覚の鋭さ、同和教育・人権教育等の実践を重視すること。また、管理職の鋭い人権感覚・適切なリーダーシップの発揮等、管理職研修の充実を大阪府教育庁としてはかり、市町村教育委員会に対しても指導・助言すること。さらに、新規教職員の採用においても、人権感覚の鋭さ・豊かさを重視した採用とすること。(同11)
21.【多部局にわたる人権侵害事象】多部局にわたる課題を有する人権侵害事案が生起した際の大阪府としての対応策・体制を明らかにすること。
22.【リバティおおさか】大阪人権博物館(リバティおおさか)と協力・連携するとともに、人権に関する教職員の研修や府民への啓発等、リバティおおさかの事業や資料の活用を促進すること。(同16)
23.【外国人教育研究会への支援】大阪府の「在日韓国・朝鮮人問題に関する指導の指針」をふまえ、在日朝鮮人教育をすすめること。また、大阪府人権教育研究連合協議会への人的配置の拡充、および「外国人教育研究会」未設置の市町村に対し、組織整備を求めること。(在2・帰3)
24.【子どもの安全・健康・給食課題】子どもたちの安全や人権を守るため、フッ化物洗口・塗布、予防接種等を学校で一斉におこなうことがないようにすること。17年2月「学校における食物アレルギー対応ガイドライン」の活用を促すこと。アレルギー対応については子どもの命に直接関係することから、早急に大阪府教育庁としても人的配置などの環境整備を講じること。なお、食における合理的配慮について現場支援につながる施策を講じること。中学校給食は、安全性についての実態を把握し、安全・安心で教育的意義のある給食が子どもたちに提供されるよう市町村教育委員会に指導・助言すること。
25.【健康診断】健康診断は、人権の観点を重視すること。
 (1)色覚検査については、学校で教職員がおこなうべきではなく、定期健康診断項目外の検査であることの確認・徹底を市町村教育委員会に改めて周知すること。
 (2)教職員が色覚特性を知り、色のバリアフリーをすすめるための研修をおこなうこと。
 (3)月経痛に関する調査等、決められた数値や「あるべき健康な身体」に合わせた治療の強制や、生活規制の強要をおこなわないよう市町村教育委員会を指導すること。
 (4)学校健診記録を「ビッグデータ」として提供・活用することについては、慎重に対応すること。外部団体からのさまざまな調査については、調査内容を大阪府教育庁として精査すること。また、提供したデータは、慎重にとり扱うよう要請すること。
26.【就学時の健康診断】17年改訂「就学時の健康診断マニュアル」は、公益財団法人である日本学校保健会が作成したものであり、マニュアルにそった実施を強制するものではないことを市町村教育委員会に周知すること。就学時健康診断については、93年の確認(ア.受診義務はない。イ.就学時健康診断をもとに振り分けをおこなわない。ウ.保護者の意向を尊重する。エ.精密検査の受診についても強制はしない。オ.前記事項を市町村教育委員会に指導する。)を周知徹底すること。(イン10)
27.【全国学テ】「全国学力・学習状況調査」の結果公表については、自治体や学校の序列化・過度の競争にならないよう、また、学校選択等の資料としないよう市町村教育委員会を指導すること。
28.【すくすくテスト】19年、国連子どもの権利委員会は、「ストレスの多い学校環境(過度に競争的なシステムを含む)から子どもを解放するための措置を強化すること」と、日本に勧告した。とくに、昨今のさまざまな学力調査等が、事前対策や詰め込み型の学習、点数向上策につながり、子どもたちや学校現場に競争原理をおしつけ、子どもたちの生活や学びに多大な問題が生じている。子どもたち一人ひとりの「ゆたかな学び」の保障の観点から、廃止も含め調査内容、結果のとりあつかい等について充分に研究、配慮すること。また、自治体や学校、学級、子どもの負担と序列化につながらないようにすること。
29.【チャレンジテスト】調査書の「評定」にかかわって、公平性を担保するための方策として活用している「チャレンジテスト」により、点数学力が特化され、各教科の評価や授業内容、年間指導計画等に大きな影響を及ぼしている。テストの結果をもとに、目標に準拠した評価(絶対評価)を学校間で相対的に比較する制度には、子どもたちの排除につながる等の問題点がある。チャレンジテストに関わる問題点や課題については、総括的に検証するとともに、実施しないことも含めた制度の見直しをはかること。(進5)
30.【高校入試】入学者選抜におけるこの間の制度改変が、学校現場に大きな影響を与えている。変更等については、拙速に結論を出すのではなく、有識者も含めた幅広い層による議論や現場の意見をふまえ、慎重かつ丁寧になされるべきである。大阪府教育庁としての課題認識と今後の方向性を明らかにし、中学校での進路指導をはじめ中学校・高校現場の教育活動に混乱をきたさないよう、現場に即応した指導・支援をおこなうこと。(進1)
31.【高校教育のあり方】地域とのつながりや中高連携を大切にした学校づくりをすすめること。また、高校進学希望者全入の実現をめざしたすべての子どもの進路保障として、公立高校がセーフティネットとしての役割を果たす長期計画を策定すること。そして、「高校適格者主義」の見直しなど、すべての子どもの学習機会、学習環境の整備を第一義とした、今後の府立高校・高校教育のあり方について、方向性を示すこと。(進2)
32.【私立学校の課題】私立学校における基準服や入試会場等について、不必要に性別で分け、それを強制することや、学校内でおこる人権を蔑ろにした言動や行動が、子どもたちを傷つけている。私立学校においても、すべての場面で人権に配慮した教育がおこなわれるよう指導すること。(ジェ16,進13)
33.【夜間中学】義務教育未修了者の学ぶ権利を保障する、夜間中学校の果たす役割は大きい。16年12月「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)、18年7月「夜間中学の設置・充実に向けて」(文科省手引)の改訂など、公立夜間中学校の必要性の認識と増設にむけた動きが国段階で明らかにされている。大阪府内の、現7市11校は、いわば「府立」夜間中学校としての位置づけでなければならない。(夜1)
 (1)夜間中学生の学習権と学ぶ場を保障するため、国への対応や、「教育機会確保法」「文科省手引」等をふまえた大阪府の役割をどのように認識しているのかを明らかにすること。
 (2)7市ならびに生徒居住市町村へ必要な支援をおこなうこと。
 (3)支援学校高等部既卒者が、夜間中学で学び直した後、定時制高校へ入学できるようにするなど、夜間中学生の進路保障につながる制度改善をおこなうこと。(夜10)
34.【学教審】21年1月、13年ぶりに大阪府学校教育審議会が開催された。支援を必要とする子どもたちの増加や高校教育のあり方についてなど、今後の方向性について明らかにし、今日的な大阪の教育課題解決にむけてとりくむこと。
35.【府立高校の再編整備】「大阪府立学校条例」による「再編整備計画」により、今後の再編整備対象校については、現に通学している子どもたちの学習環境、学習意欲が低下することがないよう配慮すること。また、再編整備については、子どもたちの幅広い進路選択を可能とする観点にたち、「地域に根ざす」という理念の実現にむけ、とりわけ人権教育の拠点となる学校をさらに発展させる施策とすること。また、学校ごとに培ってきた特色ある教育を継承・発展させるなど、子どもたちや教職員、地域に不安や混乱が生じないよう努めること。(進3)
36.【教育支援センター】府立教育センター附属高校に開室している教育支援センターは、子ども・保護者・学校からのニーズは高い。しかし、通学の利便性や、原籍校との連携などの課題も多い。とりくみを十分検証したうえで、不登校の子どもの支援の充実や、教育支援センターの拡充などをおこなうこと。
37.【雇用確保・違反質問等】新規高卒者の雇用の確保について、施策を強化すること。また、内定とり消しや内定者の入社待機が起こった場合の大阪府・大阪府教育庁としての対応について明らかにすること。大学・短大・専門学校等に対して、受験面接時の「違反質問」など人権侵害をおこなわないよう強く指導すること。また、「違反質問」に対しての教職員の認識を高めるとともに、高校生や中学生に対して「働く前に知っておくべき13項目」の活用をはたらきかけること。
38.【労働者教育】大阪府の実態に合わせ、子どもたちが夢や希望をもてるような人権尊重・ジェンダー平等・労働者の権利の視点にたった労働者教育としての「キャリア教育」を推進すること。子どもたちの就労を支援するための外部人材の活用等をおこなうこと。(ジェ9)
39.【アルバイト】高校生のアルバイトについて、賃金や休業補償の不払い、子どもたちの就学に悪影響を与える勤務の強要、上司のハラスメントなどの問題が生起している当事者や教職員の相談窓口の創設、子どもたちへの労働者教育、教職員の研修等をおこなうこと。
40.【求人票】精確な求人情報が就職希望者に明示されるよう、また、求人票整理作業の省力化がはかられるよう、大阪府・大阪府教育庁として対策を講じること。「1人1社制」を含む求人・応募のありかたについては、検証をおこない課題解決をはかること。(進21)
41.【地域教育協議会・土曜授業】これまでの「総合的教育力活性化事業」の理念と実践の経過をふまえ、学校5日制とともに始まった、地域で子どもを育てる「地域教育協議会(すこやかネット)」のいっそうの発展・充実のため、人的措置をはじめ、大阪府教育庁としての予算措置をおこなうこと。また、土曜授業については、教育課程の編成権は学校にあることをふまえ、現場教職員との合意や地域や保護者の理解なく、拙速な導入をおこなわないこと。府立学校で実施する場合は、大阪府教育庁のガイドラインに表記されているように、実施する教育的意義の確認や教職員の服務の対応をおこなうこと。
42.【コミュニティ・スクール】コミュニティ・スクールへの転換は、子ども・保護者や地域への十分な説明と理解に努めなければならないことを、市町村教育委員会に周知徹底すること。
43.【修徳学院】府立修徳学院の子どもたちが在籍する小中学校に対して、子どもたちが不利益を被らないよう、大阪府教育庁として課題解決や支援をおこなうこと。
44.【養護施設】校区に養護施設等のある学校の実態を把握し、大阪府教育庁として支援を講じること。
45.【メディアリテラシー】急速に広まるSNSによる「いじめ」をはじめ個人情報の流出、犯罪などへの対策を講じること。また、人権教育の視点からメディアリテラシー教育の必要性を認識し、研修を充実させること。ICT環境が整備されるなか、学校内でのタブレット、パソコンの情報のとり扱いや活用方法などに留意するよう市町村教育委員会に指導・助言すること。(同8)
46.【道徳教育】道徳教育の教科化について、人権教育を基本として課題を整理するとともに、評価については、一方的な価値観や規範意識のおしつけにならないよう大阪府教育庁としての観点を明らかにすること。子どもたち自身が道徳性を数値で評価することがないよう市町村教育委員会を指導すること。また、大阪府教育庁としても、研修等では、教科書にある教材以外の使用も含め、学校教育活動全体でおこなうよう指導すること。(同13)
47.【政治教育】「特別の教科 道徳」においても、主権者教育や参政権がとりあげられているが、若年層の投票率は極めて低い傾向にある。昨今の若年層における投票率の改善にむけて、大阪府・大阪府教育庁として改善策を講じること。また、政治的教養を育む教育については、外国籍の子どもやしょうがいのある子どもなど配慮が必要な子どもたちを排除しない指導となるように、大阪府教育庁作成のガイドライン等の周知及び有効な活用を促すこと。また、外国籍の子どもたちの参政権については、各国でのとりあつかいについても教職員に周知し、適切に指導できるように研修すること。(在9・帰4)
48.【平和教育】大阪府「平和教育基本方針」を具体化する施策を明らかにすること。また、09年8月の「平和教育に関する事例集」を改訂するとともに、活用を各学校にはたらきかけること。さらに「ピースおおさか」の展示内容については、国際社会で次代を担う子どもたちの平和学習の資料になるよう活用促進をはかるはたらきかけをおこなうこと。また、平和教育を推進するため、大阪空襲の体験者や遺族の方などの当事者をはじめ、研究者等の意見を展示内容に反映するようピースおおさかにはたらきかけること。なお、「平和教育」について別途協議をもつこと。
49.【教科書採択】教科書採択に関しては、公正・公平な採択制度を確立するため、採択にかかわる審議経過・採択結果およびその理由などを積極的に公表するよう市町村教育委員会を指導すること。
50.【日の丸・君が代】「日の丸」・「君が代」問題については、解放共闘教育部会・解放同盟大阪府連・大阪教組とのこれまでの経過を今後も尊重すること。

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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