平成22年度第21回大阪府戦略本部会議 議事概要【議題1】

更新日:2015年8月5日

議題1 (社)滋賀県造林公社に係る特定調停案について

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資料1-1 (社)滋賀県造林公社に係る特定調停条項案について

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資料1-2 調停条項に関する提案書

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資料1-3 調停委員会の意見

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【政策企画部長】
・滋賀県造林公社に係る特定調停案については、裁判所の調停委員会から、各団体の意思表明が出そろったあと、オープンにするという扱いが示されているので、今日は非公開で開催させていただく。議事録については、関係団体の意思表明後、裁判所と団体の調整が済み次第、速やかに公表させていただく。

【木村副知事】
・今回の判断が府民に説明できるものであるということが重要。

【企画室長】
・この背景だが、もともと木材価格の維持高騰を前提にして、分収造林というスキームが国策として進められてきたが、外国木材の輸入自由化などもあり、当初のスキームが崩れて、ビジネスモデルが成立しなくなった。そのあと、補助制度など、国は対処療法的な施策は講じられてきたが、抜本的な対策は講じられなかった。
・大阪府は、社団法人に社員として参画し、理事でもあったので、早い段階で「抜本的な処理」を主張してきた。特定調停の申し立てにあたっても一部の団体が反対されたが、我々は賛成したところ。
・平成19年11月から特定調停の協議においても、一貫して「早期抜本処理」を主張してきた。
・また、調停の場では、もともと府が社員として造林公社に参画した一番の目的は、琵琶湖の水源涵養であり、とにかくどういう形で森林を守れるか、また、できるだけ府民に負担を及ぼさないという観点で、主張してきた。今回、債権放棄にともない、分収造林事業というスキームから抜けるが、あとは滋賀県・公社において水源涵養の取組みについて、責任をもって実施していただき、また、取組状況についても報告いただけると確認しており、これまでの投資が無駄にならないように、確実な事業の執行を求めていきたい。

【知事】
・この何十億というお金は、水源涵養という行政としてお金を負担したということで目的を達したと言えるのではないか。

【企画室長】
・公社により7千ヘクタールほど植林されており、効果もある。

【総務部長】
・大変な債権放棄。これまで府費を投入して府民に対して、水源涵養がされて、どんな形で府民に還元がされたのかを、できれば金額で説明できないか。

【知事】
・赤字でも必要な目的のためにやるのが公。事業を失敗して赤字になったという話と、水源涵養という公的な目的に、ある程度お金がかかってもしかたがないという話は別ではないか。

【綛山副知事】
・2つの目的があって、1つは造林事業。林野庁が主導する金融公庫がお金を出して植林し、将来木を売却してお金を儲け、地主にいくら、公社にいくら分けるといったスキーム。もう一つはこの事業スキームを利用して、下流域である大阪府が、社員として参画をしてきたのは、水源涵養の目的が達成できるから。単なる県産林業の振興ではない。この2つの目的でやってきたが、造林事業そのものは、木材価格の低下によって、採算が合わなくなって破たんし、特定調停の議論になっている。府がお金を出してきた目的は、水源涵養。

【総務部長】
・お金の投下が、府民に還元されているということを、もっと明確にできないか。

【綛山副知事】
・それは、造林事業だけでなく琵琶湖総合開発計画すべてがそう。トータルコストパフォーマンスではなかなか評価することはできない。

【政策企画部長】
・過去に議会でも答弁しているように、この事業は貸付で実施しているが、本来であれば負担金で出してもよかったのかもしれない。ただし、当時はそういうやり方はなかったし、かつ、分収造林事業というスキームでやったので、こうなってしまった。琵琶湖総合開発は、その後にできたスキーム。

【企画室長】
・昭和40年台に全国で展開された分収造林事業は、増大する木材需要にこたえる、雇用創出という目的ももっていた。しかし、下流が負担しているのは、全国で2つしかない。それは滋賀県造林公社と岐阜の木曽三川造林公社。下流が加わるのは水源涵養ということが中心目的だから。

【綛山副知事】
・分収造林事業は、大阪府も生駒などでやっている。ただ分収造林は、将来、木を切ることを前提にしているので、木材価格の低迷や時代が変わって、木を切らずに保全林という形にしているところもある。林業振興で木を育てて儲けるのではなくて、保全し緑を増やすことに行政目的が明確化されている。この滋賀県造林公社の目的そのものも、かつては造林によって収益をあげて下流にも配当するし、下流は一定の水源涵養ができて、お互いウエルカムだとして、負担金で処理できたかもわからなかったが、このスキームの方が、金が儲かっていいだろうということの中で行われた。オールジャパンの施策の中でやってきたもので、そこに水源涵養という機能が入っているということ。

【政策企画部長】
・府とすれば、一つには水源涵養の問題。それは一定達成できた。ただ、この事業のスキームに乗ったということは事実。また、府は早期に債権債務関係を整理せよと主張してきたが、結果的に、多額の損失が生じたという事実はある。

【知事】
・府はいつまで貸付を行っていたのか。

【企画室長】
・平成15年度まで。

【知事】
・これをやることによってどれだけ植林されたのかを示してほしい。
・通常「事業」というのは、収入を固く見積もり、危なくなったらそこから早く撤退するというのが鉄則。ところが公の「事業」では、撤退するのが遅い。

【政策企画部長】
・府は早い時期から破たん処理をやっており、本件についても積極的に破たん処理をすべきと主張してきた。他団体の中には、二の足を踏むところがあったのも事実。

【知事】
・平成15年より前の段階で、危ないというのはわかっていたのでは。

【企画室長】
・平成7年の段階で経営計画を抜本的に変更し、事業手法の見直しなどを行っている。

【知事】
・昭和55年くらいまでは価格はあがっていたのか。平成7年まで木材価格がまだ上がると思っていたのか。

【企画室長】
・昭和55年頃までは上がっていたが、その後木の価値が下がってきた。加えて、昭和50年にオイルショックで人件費が高騰し、ダブルパンチとなって経営を圧迫。ただ平成7年の直前になって木の価格が上がっている。そこのあたりの判断もあったのではないか。

【総務部長】
・公社は返済時期にはこれくらいの収入を見込んでというものを出していたのか。

【企画室】
・資金計画については62年に若干の見直しをしているが、余り抜本的なものではない

【総務部長】
・そのときの収入見込みは高めに設定されていたのか。

【企画室】
・価格が上昇するという前提に立っていた。

【企画室長】
・先ほど、総務部長から効果を金額でという指摘があったが、それについて、日本学術会議の報告で、洪水緩和、水源貯留、水質浄化など多面的機能を貨幣価値に換算したデータがあり、これは全国平均の数値であるが、滋賀県によると7千ヘクタールの造林営林地であれば、年間約82億円の効果があると試算されている。

【知事】
・事業としての利益部分だけが出ているが、民間がやらない公としての目的についても、示すべき。

【木村副知事】
・この間、見直す機会はなかったのか。

【企画室】
・平成2年頃から見直し作業を始め平成7年にまとめたが、その頃はまた木材価格が若干上昇していたため、まだ価格が上がるという前提に立っていた。その後また価格が下がったため、貸付を一度止めて計画を見直すこととなった。平成17年に検討委員会を立ち上げ見直しを始めたが、結局まとまりきらなかった。

【企画室長】
・府としては、平成7年にまとめられた、間伐などの保育基準の見直し、経営期間の延長などの経営改善の取組にコミットし、その後、さらなる改革の必要性について主張し続けてきたが、なかなか合意に至らなかった。

【知事】
・事業における撤退ラインは設定していないのか。

【企画室長】
・将来の伐採収益をベースとした収支計画を策定している。

【総務部長】
・採算ラインはあるはず。そのラインを下まわった時に、何らかの判断を求められたと思うが。
・収支計画を立てていれば、当然そういった話があるべき。

【知事】
・それがないのであれば、事業のやり方としては反省すべき。

【綛山副知事】
・結果としてみたら真摯に反省しなければならない。ただ、これまでの時点時点では、滋賀県も農林公社も一定のことを考えてきた。大阪府は、処理を促してきた。ただそれぞれの主体が構成している社団という特殊性はあるが、今回、やっと整理しようというところでまとまったのは事実。

【知事】
・設立当初は、木材価格がどこまで上がれば採算とれるという話だったのか。

【企画室】
・昭和41年当初の議論では、木材1立米6,975円を前提。

【総務部長】
・物価も安い、賃金も安いときの値段。

【綛山副知事】
・過去は1立米42,000円がピーク。

【知事】
・平成7年で撤退すべきではなかったのか。

【政策企画部長】
・木が育つまで待たないと収入が確保できない。分収林事業の最大の問題は、木が育つのに数十年かかるところ。

【総務部長】
・昭和40年に植えたものを、40〜50年後に売る予定だったのであれば、価格が見通せなくて当然。

【企画室長】
・昭和40年の時は6,975円で採算が取れる想定だったが、平成7年になると、その間で当初の見通しよりも作業員の単価コストや、豪雪対応などでコストが増えた一方、それまでの木材価格上昇もあったため、計画上の価格は15,800円になった。

【知事】
・50年事業などありえない。人件費コストなども上がる。

【小河副知事】
・もともとの土地にすでに育っている木を売るという計画はなかったのか。でないとその間何も収入が入ってこないことになる。

【企画室長】
・7年かけて、毎年、1000ヘクタールほどを植林し、伐採も、4〜50年後に順次行うスキーム。その間に間伐収入程度はあった。

【知事】
・林を作ることが行政として必要だったのなら、造林事業というより、林を作るという公の目的のための事業にすべきだったのでは。

【政策企画部長】
・まさに森林を緑のダムというインフラ、公共事業として考える発想。当初、負担金で支出していたらよかったというのはそういうこと。ただ、当時そういう発想がなかった。

【総務部長】
・今回この事業に公共的な意義があったことはきっちり説明すべき。それとあわせて、分収林事業で収益を想定して負担してきた誤りを明らかにしないといけない。

【政策企画部長】
・それはもちろん必要。結果的に府民に損失を与えたことについてお詫びを申し上げる必要がある。

【木村副知事】
・伐採後、また植えて、という繰り返しはしないのか。

【企画室長】
・当初は針葉樹の保水能力が高いということで、杉やヒノキなどの針葉樹を植えた。しかし今では、広葉樹でも十分保水力があることが判明。そこで、これからは、伐採とセットで、ブナなどの広葉樹に転換して自然林に戻していく予定。

【知事】
・収益の分配を考えず、単純に公共事業としての必要性の有無を考えればよかった。純粋に公共事業として考えたとき、これだけのことが必要だったのか。

【企画室長】
・洪水の防止や、水の安定的な供給という観点から水源涵養が必要だった。

【知事】
・今回の事業についても、公共事業としての効果の部分と、50年事業だったり、撤退ラインを明確にはひけていなかったという、事業として見誤った部分の両方を指摘すべき。

【総務部長】
・2月議会に提案するのか。

【企画室長】
・議会に提案させていただく。

【木村副知事】
・一括弁済の選択はよい判断だと思うが、一方で兵庫県は長期弁済でやる。特定調停がこのように債権者によって処理が違うケースがあることは考えていなかつた。債権者の平等という点もあり、法的な解釈はどうか。また、なぜ兵庫が長期にこだわるのか。

【企画室長】
・公社の債務超過解消まで債権を圧縮するのは、下流団体すべて同じ。ただ、返済方法で、一括と長期という違いがある。長期弁済を選択された兵庫県は、想像するに県の公社もお持ちなので、諸般の事情を考慮し、判断されたのではないか。兵庫県以外は一括で債権処理をするが、これは、今までの分収事業という貸付で公社経営に関与するというスキームを外れて、木材価格の変動などの将来リスクを解消し、府県間の直接的な関係のなかで、滋賀県に水源涵養機能の維持を図っていただくという、琵琶湖総合開発で整理された手法に転換していくもの。裁判所からは、両案で債権者平等は保たれているという判断を示されている。

【知事】
・判決や裁判の効力は当事者効なので、ペーパーとして1枚になっているだけで、法律関係はそれぞれの当事者で生じる。

【木村副知事】
・同じ解決策でなくても、いろいろな解決策で債権者がすべて合意すればよいということか。

【企画室】
・今回は公社の再生が目的なので、公社が再生できないと裁判所が判断すればできないが、今回の対応は、債務圧縮率は同じで返し方が違うだけなので、公社が破綻せずに済むという判断を裁判所がされたものと考える。

【総務部長】
・分収造林に係る公社についての全国の状況はどうか。

【企画室長】
・長期債務は1兆円。

【小河副知事】
・国に対しては何も言わないのか。

【企画室長】
・全国知事会でも、近畿プロツク知事会でも過去から意見を言ってきている。しかし、国は、特別交付税を作ったり、融資制度を作ったりはしているが、対処療法にすぎない。造林公社については基本的には自治体の責任で対応してくれというのがスタンス。

【綛山副知事】
・農林漁業金融公庫が造林公社に金を貸している。それは滋賀県の債務保証を付けて貸しているので絶対倒れない。滋賀県はその金を金融公庫に返している。公庫というスキームを使って造林を進めていこうというのが先の特別法。国は自分のリスクは被っていない。そこに対して債務保証している県もつらい。同時に造林公社に県が貸し付けたお金も今回府と同じように放棄する。

【知事】
・造林公社に全国で1兆の長期債務があるということだが、もし損失処理をやればそれぞれの都道府県で債務保証しているところが全部被るということか。

【政策企画部長】
・今後の大阪府の関与方針については。

【企画室長】
・大阪府としては、債権を処理することで、社員としても公社から抜けて、また、理事という立場も抜ける方向で考えたい。なお、最も重要な目的である水源涵養については、滋賀県から責任をもって対応していただくと聞いているが、我々が投資した金が無駄にならないよう、その事業をどのように滋賀県がフォローアップされているかについて報告をいただくことで滋賀県と協議している。

【総務部長】
・今後負担はないのか。

【企画室長】
・今後一切負担が無いことは調停条項案に明記されている。

【知事】
・早く損失処理をしないと。損失処理を覚悟を決めてやらなければならない。
・この事業には農林公庫が貸し付けているだけで、国の金は入っていないのか。国策としてとなっているが。

【企画室長】
・国の補助金は入っている。当初は国のつくったスキームによる誘導があった。

【政策企画部長】
・この調停案で合意することのために、議会へ議案を提出することを調停委員会にお伝えしないといけないので、代理人を通じて表明するということとする。
・資料と議事録は、全団体が意思表明した後、各団体と調整が済み次第速やかに公表する。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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