平成21年度第9回大阪府戦略本部会議 議事概要

更新日:2015年8月5日

  • と き 平成21年5月13日(水曜日) 10時から12時10分
  • ところ 特別会議室(大)
  • 出席者 知事、副知事、政策企画部長、総務部長、関係部局等

議題1:人事委員会事務局長マニフェスト案について

※ 人事委員会事務局から資料をもとに説明。

【木村副知事】
・総務部の人事部門と人事委員会事務局の役割分担がわからない。制度、特に給与制度の検討ではどうか。参与の協力も得て、思い切ったプランも示されているが、どう仕上げていくのか。

【人事委員会事務局長】
・建前的には行政委員会と任命権者との役割分担。人事委員会は、中立的・専門的立場から人事・給与制度について考える。公務員給与制度については労働基本権制約の代償措置として、第3者的機関として人事委員会が、勧告という形で給与制度を知事・議長に提言する。それを受けて知事・議会において条例制度を改正するかの話。
・実態的には人事室とは十分連携し、色々な場面、レベルで意見交換している。特別顧問とも我々も意見交換しており、場合によっては人事委員と特別顧問との意見交換をセットしてはと思っている。

【木村副知事】
・階層別の金額の幅がラップしている、いわゆる“渡り”の問題について、人事部門がプランを出しても人事委員会との間でうまくいかないという話も聞いたことある。組織間に問題があるのか。

【人事委員会事務局長】
・人事委員会と任命権者はチェック・アンド・バランスであり、任命権者が緩和したいのを、人事委員会が「それは基準に合わない、ダメ」というのはある。
・我々はどうしても組織の中での考え方・進め方になるが、人事委員の議論を聞いていると、非常に客観的に、府民からみてどう評価されるかで議論するので、人事委員会が障害になるというより、チェック・アンド・バランスをうまく機能させなければならないと思う。

【木村副知事】
・帯野委員長はかなり革新的ご意見をお持ちで、事務局が足を引っ張ることはないか。

【人事委員会事務局長】
・少なくともこの1ヶ月間の議論ではない。

【木村副知事】
・先生方も入っていただいたオープンな場での議論が、良いきっかけになる。

【綛山副知事】
・人事委員会制度が本来予定している、中立的・専門的、労働三権の代替保障の機能はちゃんと押さえないといけない。「公務員=悪」というバッシングの延長でものを見るのではなく、きちんと運用していることを広報して、その上で給与制度がどうあるか議論していただきたい。重点課題3「公務員給与制度の調査研究」については、国、他府県との兼ね合いを分かった上、大阪における特性を踏まえていただきたい。全国一律の公務員制度の中で、大阪だけの給与を大阪だけが作る、大阪だけ全然別ということは違うと思う。

【人事委員会事務局長】
・委員会は基本的には制度所管、運用が任命権者。運用において、どこまで委員会が関与できるかという限界はある。
・大阪府の特性を踏まえた給与制度は、これまでは国準拠、民間準拠で、全国一律という原理原則があった。公務員給与制度も、公務員制度改革で議論が進んでおり、人事委員会勧告よりも、労働基本権を付与する方向で、最終的には労使交渉で決める、いわば民間給与決定と同じ流れが大きな方向。ただ重点課題3「給与の調査研究」の問題意識は、人事委員会勧告について、民間準拠と言いながら民間のいいところだけ取っているのでないかという批判・疑問について、府民により理解いただけるような発信、勧告の前提になる給与実態調査について研究検討をしていきたい。

【綛山副知事】
・的確に状況説明し、府民理解を求めていかなければならないが、根本的なあり方論の答えが出ていない中で、人事委員会が知事と同じ感覚であれば逆におかしい。中立・専門性を踏まえた上での議論をしてほしい。

【知事】
・21年度は、人事委員会と監査委員の事務局について、組織強化の面で重きを置いている。
・1点目は行政委員と事務局とのコミュニケーション。コミュニケーションをしっかりとるようお願いしたい。
・公務員の給与制度は、今までの行政の論理のツケが出てきた。人事院は国民を向いてない。制度があるから、制度に従っていればそれでいいと。間違いなくやっているというのは行政の論理であるが、中身が問題で、人事院の出しているものを国民は納得せず、公務員の給与について全く支持していない。僕はここを変えたい。
・今回、事務局が出した3点の課題は本当にヒット中のヒット。まさに私が思い描いた戦略だ。重点課題3の「給与制度の調査研究」について府民の理解が深まれば、公務員が堂々と給与をとることができる。どうやったら理解してもらえるか、主張できるかの観点から考えれば、広報と、調査研究による府民理解。妥当性を伝えるためにも情報を開示して、人事院を引っ張ってほしい。人事委員の全国会議でも意見を必ず言うということをどんどんやってほしい。21年、22年に向けて、大阪府の給与はこういう形だから、こういう給与をもらうという仕組みにしていきたいので頑張っていただきたい。

【政策企画部長】
・数値目標については、重点課題1「広報」については「資料提供回数30回」とするのではなく、30回やってどのくらい報道されたか、どのくらいの問い合わせになったかの目標を書いてほしい。重点課題3「給与の調査研究」の「(3)アウトプットの数値目標」の記載内容は、「(2)施策推進上の目標」で具体化する手法の議論。(3)では、21年度はできないが、22年度以降どうしていくかを書いてほしい。公表する前に事務局と相談してほしい。

議題2:府民文化部長マニフェスト案について

※ 府民文化部から資料をもとに説明。

【木村副知事】
・重点課題2の「大阪の文化振興に関するビジョンの策定」について、センチュリーをはじめ、大阪の文化論は、いま注目されている。ビジョン策定の方法論として、外部の知恵がしっかりと盛り込まなければならないと思うが、どういう形で議論し、策定していくのか。

【府民文化部長】
・新たに民間から来て下さった方々に素直な意見を聞き、正直なところいろいろ気付かされたことがある。それらを踏まえ、内部で素案を固めているところ。また、我々の組織だけではなく、楽団自身がどう考えているか。理事長は非常に熱心にあり方というものを考えているので、ご意見をお聞きし、議論をした上で、一定の形をつくり、戦略本部会議でご議論いただきたい。あわせて議会などでも議論する形になると思っている。

【知事】
・文化行政については昨年1年間いろいろ議論がある中で、「文化振興条例」を含め、きれいな言葉を並べるものを嫌というほど見せられた。条例を作ったから大阪の文化が変わるということではないというのが私の感覚。今までの行政のきれいな言葉を並べるビジョンではなく、具体的にこういうことをやって、その結果、こういったアウトプット・アウトカムを出していくということをきっちり示してほしい。

【木村副知事】
・そういう意味では府の役割論を明確にする必要。維持に特化するのか、環境に特化するのか、この部分を突っ込んで議論しないと、これまでと同様、わけのわからないものになってしまう。

【知事】
・「文化を振興する」とか「文化を発展するのは行政の役割だ」とか口で言うのは簡単だが、どこの行政体も思惑どおりいっているのかと言ったら私はそうは思わない。大阪モデルとして、今までとは違うビジョンの策定を期待している。

【府民文化部長】
・基本的に文化は行政が左右できるものではないと思っている。

【知事】
・そこを役割論で整理してもらい、理解してもらわないとダメ。一部の方は「行政が左右するもの」と思っておられるので、「行政はどういう役割を担うのか」ということも明確にしたい。

【木村副知事】
・その際は、是非、企業の意見も聞いてほしい。

【綛山副知事】
・「行政が左右できるものではない」というのはそうだが、大阪という都市にとって文化というものがどういう位置を持つのか。かつて「都市格」という議論があったが、大阪という都市において、大阪が守ってきた文化がどういう位置付けを持つのかを明らかにし、府民や企業も含め、共通の認識のもとで納得が得られるようなものでないといけない。

【府民文化部長】
・基本的には府民の方々がフリーにやっていくことで生まれてくるのが文化だと思うが、その中で行政としてやらなければならないことは何かを明らかにしないといけない。「とにかく文化はすべて行政がやるべき」と言われてしまうと、それは違う。

【綛山副知事】
・府立大学について、110億円の交付金を出し運営しているが、その110億円の税は何のために投入しているのか。大学生に授業を受けさせるためだけでは絶対にない。そこをきちんと府民に理解してもらうように。大学は都市の一つの装置のような気がしている。府民文化のPR、府民理解にきちんとつなげてもらいたい。
・たとえば、先日、府立大学での亜臨界水を使った廃棄物の再資源化に関する先端研究について報道されていたが、あれがうまくいけば、産業廃棄物問題は一気に片付いてしまう。たまたま新聞に取り上げてもらったが、大阪経済や企業への貢献といったものを府立大学自身がPRする努力をすべき。

【府民文化部長】
・いい取組みをやっていることは、できる限り皆さんに知ってもらうことが大事。また、府民のためにやるという意識を持って取り組んでもらう必要がある。

【小河副知事】
・府立大学と市立大学の合併が話題になっているが、都市格とか大阪における府立大学の位置付けというものがあるはず。府立大学、市立大学、私立大学など、大阪にこれだけたくさんある大学を行政としてどう利用していくのかという観点で語られていない。国公私立を含めた大学政策をどうしていくのか、大きな視点で議論してほしい。でないと、「大学は私立に任せればよい」ということだけに終わってしまう。結果としてそうなるのは仕方ないが、思考する過程では全体像を示す必要。

【府民文化部長】
・府立大学なので、公立大学がどうあるべきかというところに焦点を絞らざるを得ないと思う。

【小河副知事】
・大阪という都市における大学行政をどうするか。大学をうまく使えば都市を変えることもできるし、うまく情報発信もできる。

【府民文化部長】
・いろいろな大学がある中、なぜ大阪府が府立大学に110億円の交付金を出すのかということをきちんと固める必要がある。それ以外の大学をどう活用するのかという点については、その次の話。

【小河副知事】
・話の順序が逆で、大学をどうするのかという大きな話があって、その中で110億円をどうするかを議論しないといけないのでは。

【府民文化部長】
・公立大学は私立大学とは異なり、府民にとって必要であるということを言わなければならない。でないと、国立大学、私立大学との役割も明らかにならない。まずは、府立大学が公立大学として公費を投入するにふさわしいものだという必要性を明確にしたい。
・地域において大学という知的財産をどう活用するのかについては、改めて府立大学も含めて考えなければならないと思うが、ここで検討するのは府立大学のあり方に絞りたい。

【綛山副知事】
・私立大学も国家の存立という観点で国が一定の助成をしている。それを認識した上で、自治体としての大阪府が府立大学を持つ意味、110億円を投入する意味は一体何なのか、そこはきちんと分析すべき。でないと、「私立大学に任せておけばいい」というとおかしな議論になる。そこはお願いしておく。

【府民文化部】
・府として大学という知的財産をどう活用するのかという議論には、大学コンソーシアムを府としてどう活用していくのか、そこにどういう意見を述べていくかという視点が必要。

【知事】
・大学の「知」というものを大阪から無くしてしまうとは思っていないが、実際に私立で「府大を経営してもいい」と言っているところがいくつかある。そういう声が出てきたときに、なぜ府が持っていなければいけないかという点はしっかりと固めないといけない。概算で計算してもらった数字では、私立大学で経営した方が、はるかに効率化が図れる。なぜ府立でなければならないのかしっかりと明示してもらわないと、仮にもっといい案が出てきたら「そっちでやってもらえば良い」という話になってしまう。そこは、私だけではなく、府民の皆さんにわかるようにやってもらいたい。以前、大学と議論した際に「人材養成は国家の役割」といった型どおりの答えが返ってきたが、きっちりと府民の理解が得られるように示してもらいたい。
・本来、大学は都市の魅力を発信するためのかなり中心的な機関になるはず。今までの文化行政のようにちょこちょこお金を配るより、大学をしっかりさせることで、はるかに大阪の文化的なイメージが発信できると思う。
・「(4)アウトカムの数値目標」では、府民や企業からの評価だけではなく、府立大学の全国評価を掲げられないか。全国アンケートは無理だろうから、何かそれに代わるものを示してほしい。
・重点課題3の高校教育については、私はどうしてもこだわりがある。「(4)アウトカムの数値目標」に「企画室や教育委員会と調整」と書いているが、そもそもこの項目自体が、重点課題1や6と同様、「部局横断的課題」という取扱いではないか。

【政策企画部長】
・生活文化部長のマニフェストでは私学、専修学校にしぼった目標を設定していただいている。もちろん連携すべき点は多いと思うが。

【知事】
・たとえば「(3)アウトプットの数値目標」の「保護者負担の公私間格差の是正」などは、また私学助成の増額の話なのかと捉えられないか。

【府民文化部長】
・そこはまさに公私の高校教育のあり方議論の中で課題が出てくる。ここを括弧書きで表記したのは、まだ教育委員会と合意ができていないから。私学だけの問題ではなく、大阪の教育を考えたときに、子どもたちの高校入学という夢を実現するためには、公も私もなく対応する必要。そのための制度が私学助成か、奨学金か、バウチャーか、それはこれから議論。

【知事】
・「(1)戦略課題の目標」では「高校生や専修学校の生徒が経済的理由により夢をあきらめない修学環境づくり」となっているのが、「(2)施策推進上の目標」になると、「私立高校生に対する修学支援策」となってしまっている。行政の感覚では、府民文化部が私学を、教育委員会が公立を担当しているということがわかるが、本来、「夢をあきらめない修学環境づくり」の対象になるのは、公私を問わず全ての生徒。マニフェストとしてこういうものが出てしまうと、私学の生徒だけにしか対応しないように見える。

【府民文化部長】
・「修学環境づくり」の対応としては全ての生徒に行う必要があるが、ここで掲げている「修学支援策」は、国の緊急経済対策の考え方を踏まえたもので、主に私立を対象とすると聞いている。

【小河副知事】
・マニフェストとして「(1)戦略課題の目標」を公私問わず設定するのであれば、知事がおっしゃるとおり「部局横断的課題」として作成すべきでは。

【知事】
・議会でも「教育庁」議論があったように、この問題こそ部局横断的に取り組むべき。

【政策企画部長】
・公私の高校教育のあり方については、部局連携課題として位置づけているが、現在、マーケットリサーチの枠組みなどを検討しており、改めて戦略本部会議の議題として議論させていただきたい。

【綛山副知事】
・私学の議論をするときには、高校だけではなく、小・中も含めてほしい。私学の小・中学校の位置づけを含め、トータルで議論を。

【木村副知事】
・重点課題5について、以前は「広報の一元化」という言葉が前に出ていたが、部内の議論で「一元化」というのは手段であって、狙うべきは「(1)戦略課題の目標」に掲げているようなことだと整理された。
・広報で大切なのは、お金をかけずにパブリシティで取り上げていただくこと。本日は報道長も同席しているので、双方が連携して取り組んでほしい。
・また、単に物事を客観的に整理するだけでなく、国直轄事業負担金など、我々の主張、メッセージを発信するような広報をしっかりと意識して。

【知事】
・「(3)アウトプットの数値目標」に「施策のプロセス公表を試行実施した課の数(0→3課)」とあるが、22年1月に3課で試行するということか。

【府民文化部】
・府政情報室の3課で試行する予定。

【知事】
・同じく(3)の「府民の声を業務改善や事業立案の検討に役立てた数」について、年間30件というのはどういった数字か。

【府民文化部長】
・問合せなどを除き、府に寄せられる提言が年間約1千件。そのうち具体的な内容を含むものが約300件あるので、そのうちの1割を業務改善や事業立案の検討に役立てたい。

【小河副知事】
・「(2)施策推進上の目標」に「府民の声システムを全職場で運用」とあるが、出先機関を含めた全ての職場で運用するのか。たとえば出先機関であれば、クレームも含め、府民からの声が多く寄せられるが、それも含めてシステムにのせるということか。

【府民文化部】
・出先も含めて実施。特に土木事務所であれば、建設CALSシステムの中で苦情対応などを記録しているので、そういったものと重複しないように、無駄なコストをかけず行いたい。

【小河副知事】
・そうなったときに「府民の声を業務改善や事業立案の検討に役立てた数」年間30件という数字をどう捉えるか。現場であれば、日々、府民からの通報で改善しているような部分もある。

【政策企画部長】
・内容的にはレベルに差が生じるかも。

【総務部長】
・施策の意思形成プロセスを22年1月からHP公表するとのことだが、少し時間がかかり過ぎではないか。また、府政情報室の3課だけで実施というのは数も少ない。そんなに難しいことなのか。

【府民文化部】
・記録管理をするという統一基準と、公表・非公表の基準の仕組みづくりに時間をかけたい。職場によって実態にかなりばらつきがあり、全庁で使えるような仕組みにするためには時間がかかる。
・ルールを決め、試行して問題点を整理した上で、本格実施の是非については、来年秋の次年度予算議論で検討したい。

【府民文化部長】
・実施することで膨大な事務量が増える可能性もあるので、そこも検証したい。

【知事】
・義務教育については、現在、教育委員会が頑張ってくれているが、私は、公立学校の役割論について、今までとは違った考えを持っている。「大阪の学校に行けばこういうシステムがあるから大阪に住もう」と思わせるぐらいの小・中・高のシステムを、私学と一緒になって作りたい。部局横断的に統一の方向性を出したいと思うのでよろしく。

議題3:福祉部長マニフェスト案について 

※ 福祉部から資料をもとに説明。

【総務部長】
・「福祉・介護人材の確保」の項目について、大阪府では求人に対して求職者数が約2,150人不足しており3年間で7,500人増を目標とする旨記載されているが、全体の規模感がわかりにくい。

【福祉部長】
・国は3年間で約10万人増を目標としており、それを人口比で考えると府の場合7,500人という数になる。また、不足している求職者数が約2,150人というのは、大阪府の福祉人材センターにおける不足数1,476人と府内のハローワークの福祉介護関係の不足数が668人であり、これらを合わせると約2,150人となる。また、対象にしている従事者数が府内で88,000人なので、7,500人というのは約1割相当。

【政策企画部長】
・そういうことがわかるような記載にしてほしい。

【小河副知事】
・7,500人というのは、どのような人材のイメージか。

【福祉部長】
・例えば、ヘルパー資格3級を取得された主婦の方や、養成校を出たばかりの若い方など、様々な人材を含めて7,500人と考えている。介護人材の数全体が不足している。

【小河副知事】
・若い介護人材がなかなか根付かずに辞めていくという問題がある。それをどうしていくかは大きな課題。

【福祉部長】
・小河副知事のおっしゃるのは人材確保の中でも定着方策であり、重要な課題と認識。われわれが昨年度実施した福祉介護施設に対するアンケートによると、福祉現場のイメージアップのための広報や研修を行ってほしいという要望が強い。また特に、施設に就職してからキャリアアップできるような研修実施の要望も多く、これはなかなか一施設では実施しにくいので、社会福祉協議会を通じて実施するなど、力を入れていこうと思っている。

【綛山副知事】
・先ほどの府民文化部の資料の中にも、卒業時に進路未定の高校生の割合が平成19年で9.7%という記載があったが、ニートやフリーターを防ぐためにもきちんとしたキャリア教育が必要ということで、16歳のハローワークという議論もしている。そういうメニューの中に、福祉・介護ジャンルも盛り込めるよう部局間連携を図ってほしい。
・たまがわ高等支援学校では、知的障害のある子どもたちの就労を促進するために福祉コースを設けるなど、就労に特化した取組みを積極的に進めている。今後、教育委員会とも連携して、将来、介護の道を志す若い人材を育成していってほしい。

【福祉部長】
・その点は、重点課題3「子育て支援戦略の具体化」で掲げた「こども・未来プラン」の中でも議論している。このプランが対象とする出産期、乳幼児期、学齢期、青年期の中で、特に学齢期後半から青年期にかけての時期は、進路選択や意思決定、つまり「将来、自分がどういう職業につきたいか」ということが重要になるが、副知事のおっしゃる趣旨を踏まえ、その点もビルトインしていきたい。

【知事】
・「職業教育・日本一」をめざす中で、介護・福祉分野への人材の輩出という点を意識しながら部局連携をしっかりと進めてほしい。

【政策企画部長】
・人材確保の最終目標として有効求人倍率を1倍以下にする、というような長期的な目標を掲げるべきではないか。

【福祉部長】
・介護需要が大幅に増える一方、労働者数自体が頭打ちであり、目標を掲げることはやぶさかではないが、非常に難しい。

【総務部長】
・福祉・介護人材の確保のための事業メニューが羅列されているが、わかりにくい。むしろ、人材が不足している原因がこうであり、こういう課題に対して、こういう事業展開を図っていく、という書きぶりにしたほうがわかり易いと思う。

【福祉部長】
・了解。書き方を工夫する。

【木村副知事】
・介護施設によってマネジメントというか経営姿勢に大きな差がある。府として全体の量的な面での供給確保も大事だと思うが、府民にとっては個々の施設の質というものが非常に重要だと思う。各施設への指導というかマネジメントの監理というのは、行政として極めて大切な役割だと思う。

【福祉部長】
・今日の議論の主眼は数の確保であるので、こういう説明ぶりになったが、ご指摘の点も重要と認識。その点でいえば、国が評価制度というものを導入している。それには二つあって、一つは介護情報の公表制度であり、全国一律で全施設を対象に調査機関が行うもの。ただし調査項目は多くないので、一定の限界がある。
・もう一つは、福祉サービス第三者評価事業であり、これには利用者のアンケート調査もあり、いわば満足度調査的なものが付加される。しかしこれは任意であるため、東京では6割の施設が参加したのに大阪府内では参加施設数が少ないのが現状。あくまでも施設の運営主体は社会福祉法人であるので、自らが責任をもって評価を受けるべきであるが、府としても働きかけを行っていきたい。

【木村副知事】
・大阪・関西は情報が少なく、特に評価情報というものが少ない。そのため、その施設が良いのか悪いのかが事前に分からず、入所してみて後悔するようなこともある。官としてそういう情報をどう提供するかを考えることが大切ではないか。

【知事】
・国の情報公表制度というのは事業者からは極めて不評だと聞く。行政的な情報開示の仕方で、利用者本位の視点に立っていないと。役所の回答によれば、事業者のケアマネージャーがそれを使っている、というような内容のものであり、到底、利用者がそれを見ようと思うようなものではないとのこと。満足度調査もこれは国の施策か。

【福祉部長】
・確かに、全施設を対象に行われる調査は項目数が少ないため、この程度の情報量ではどのようなサービスがどのように行われているのかがわかりにくい。そのため、項目の改善をしてもらおうとしている。もう一つは、利用者チェックリストを実施しているのは第三者評価制度であり、それは施設の利用者の方にアンケートを実施しているもの。それは、かなり満足度がわかる。

【知事】
・満足度調査について、普通の民間感覚だと、予算をつけなくても満足度を載せないと客が来ないから自らどんどん掲載すると思うのだが…。満足度を載せるために予算をつけるということではなく、載せないと選ばれなくなるという雰囲気に持っていけないか。

【福祉部長】
・おっしゃるとおり。社会福祉の基礎構造改革があって、「措置」という行政処分という形から「契約」に変わった。そこまでは良かったが、残念ながら事業量がものすごく拡大し、それに整備が追いついていない。競争原理が働くというよりは、事業者の方が少ない状況。需要と供給の関係がとれていない。契約制度に入ったところまではよかったが、利用者が施設の選択をできればいいのだが、現状は供給量が限られているという問題がある。

【知事】
・そういう段階では、行政が予算措置してでもやっていかなければならないということか。

【福祉部長】
・そういう状態でも現存のAという施設を選ぶのか、Bという施設を選ぶのかは情報を開示して、利用者が選べるという部分を充実しなければいけないと思う。

【小河副知事】
・今は、選ぶ側にとって「空いている所があればどこでも入りたい。」という状況。人気のある施設は既に一杯で、高齢者の施設はなかなか空かない。現実的には、どこか空いていれば入るという形になっている。行政が質を上げるということが必要だと思う。

【福祉部】
・いま特別養護老人ホームは1万人が入所を申し込んでいる状態。大体1年半ぐらいの待ちであり、入れ替わりで入っていただく形。

【知事】
・施設については予算議論になるのかもしれないが、少子高齢化社会を迎えるのに環境を整えられるのかという点については、子育て支援と両建てでしっかりと、施設が対応できるといった方向性だけでも出してもらえないか。

【木村副知事】
・基本は国民視点というか、府民が何を求めておられるのか、量や質の議論もそうだが、具体的に府民目線で違うアプローチがあるのかと思っていたが。

【知事】
・貸付事業250人は、もう予算に計上されているのか。

【福祉部長】
・府の事業全てが国の2次補正。府の財源は一切使わないが取組みは我々府が行う。

【知事】
・子育ての計画だが、府民文化部の文化行政のところでも言ったが、きれいな言葉だけの計画にならないように。とにかく具体的に、また、検証ができるようにしてほしい。方向性はこれで良いと思う。いろいろな各部局で予算の時期になってくると、「この予算は次世代育成のため」といった言葉ばかりがいっぱい出てくるので、私はいらないと言った。大きく方向を立ててもらって、22年度予算議論にあたっては、「各部局がこういう事業をやります、これは『こども・未来プラン後期計画』に基づいたこういう部分で事業をやります」というような予算根拠になるような、各部局の指針になるようなプランにしてもらいたい。

【福祉部長】
・「こども・未来プラン後期計画」については、戦略本部会議の場で議論させてもらいたい。

【知事】
・子育て支援は基本政策として掲げ、選挙期間中に教育とあわせて強く言ってきた2つのメインのうちの一つ。しっかりとお願い。

【綛山副知事】
・障がい者雇用についてもよろしくお願い。商工労働部は法定雇用率を企業に守らせるといったことになるが、小規模の企業では雇用率の適用がない。施設からの雇用ということになるので、福祉部としてぜひしっかり取り組んでほしい。

【福祉部長】
・障がい者雇用については部局横断課題になっているので、別途意見交換させていただきたい。

 

議題4:監査委員事務局長マニフェスト案について

※ 監査委員事務局から資料をもとに説明。

【木村副知事】
・6名の公認会計士等の外部の方が入って1月経ったが、監査業務のあり方・進め方について、民間との対比でこのようなことを変えたらという意見は出ているか。

【監査委員事務局長】
・これまで1月間は研修期間で、実際の監査業務は5月中旬からになるので、まだ現場を見た上でのコメントは出ていない。監査法人で仕事をしてきた公認会計士からみると知事部局での内部統制が弱いとのこと。今年度監査の重点課題で、内部統制整備、リスクコントロール、リスク予防の観点から規定の整備など、どこまでできているかチェックしたいと考えている。
・また、意思形成過程の見えにくさについて、決裁は文書で残っているが、決裁に至るまでにどのような案、議論で、どこで判断されたのかが記録として残っていない、誰が本当の責任者なのかわからない形で決裁されているケースがあると指摘されている。

【木村副知事】
・個別の業務監査だけでなく、業務プロセスに関わる問題を指摘いただき、全庁に改善が広がるようにもっていってほしい。

【監査委員事務局長】
・総務省の内部統制に関する研究会報告が出ているが、商法上の会社と地方公共団体は異なるが、内部統制が必要であり、意識を変えていかなければならない。

【知事】
・21年度は監査に力を入れたいと言ってきたので、頑張ってお願いしたい。
・内部統制に関しては戦略課題に入れられないか。他の自治体の話を聞いても、内部統制を考えたことがないというところがほとんど。民間の監査法人は監査対象の会社の内部統制をチェックする。監査委員事務局が府の内部統制システムになるべきだと言いたいのではなく、監査対象である知事部局の内部統制をチェックするということ。今日、改革評価委員の永田先生にもお願いしたいと思っている。ぜひ戦略課題の目標に入れてほしい。
・意思形成過程、責任の所在が明らかかをチェックするのも重要。知事になってから、責任の所在がわからないケースが山ほどあった。どういう仕組みにするか。いま私のところへ決裁が上がってくるのは、意思形成プロセスを記録に残しているが、庁内部局、現場でどうなっているかをしっかりと見てほしい。
・私の持つ監査委員のイメージは、民間企業の監査役。監査役は取締役会に意見を言い、それを受けて取締役会が判断を行うという重要な役割がある。同じように、監査委員から戦略本部にどんどん意見を出していただければ、戦略本部で判断していく。
・住民監査については課題を出すことはないか。

【監査委員事務局長】
・あまりにもパターンが千差万別。一人でも請求できるので、想定することは非常に困難。

【知事】
・体制などで問題はないか。

【監査委員事務局】
・住民監査請求については、ここ数年、全国的に件数は多くなっている。事務事業の無駄、お金の使い方について府民が注目している。条例改正によって監査委員が1名増員され、新たに裁判官の経験も豊富な弁護士に監査委員になってもらい、適切に対応できている。

【監査委員事務局長】
・体制的には、今の状態を超えてどんどん請求が出てくると、事務局職員の対応が物理的に難しくなるケースは考えられる。

【知事】
・了解。内部統制については何らかの形で掲げてほしい。

【監査委員事務局長】
・今年度の監査計画の中で委員にお諮りして、内部統制が整備されているかどうか、整備の必要があるのではないかのチェックからスタートする。自治体はほとんど内部統制を意識していなかったため、「内部統制はこうあるべき」と大上段に構えることは難しく、まずは整備の有無を確認する。

【政策企画部長】
・それはこのマニフェストに入れてほしい。

【監査委員事務局長】
・代表監査委員と相談し、内部統制の整備状況について、これからの監査のテーマに上げていくことについて考えていく。

【知事】
・他の自治体が意識していないことを大阪から先行してやっていけばよい。今言われたことで十分だと思うのでよろしく。

【政策企画部長】
・本日の会議コストは、2時間10分で47万6500円。

このページの作成所属
政策企画部 企画室政策課 政策グループ

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