【平成12年度】 環境の状況並びに豊かな環境の保全及び創造に関して講じた施策に関する報告(概要)

更新日:2016年11月29日


2000年度【平成12年度】

目次

  1. 生活環境
  2. 自然環境
  3. 都市環境 
  4. 地球環境 
  5. 豊かな環境の保全及び創造に関して講じた施策 
  6. 課題と今後の方向 

1.生活環境

自動車

  • 自動車保有台数:約377万台(ここ数年横ばい。この10年間で1.13倍)
  • ディーゼル化率:15.0%(4年連続減少)

自動車保有台数及びディーゼル化率の推移

画像です。自動車保有台数及びディーゼル化率の推移

廃棄物

  • 一般廃棄物排出総量(平成11年度):431万トン(3年連続減少。前年比9万トン減少)
  • 1人1日あたりの排出量(平成11年度):1,334g/人・日(4年連続減少)
  • リサイクル率(平成11年度):7.4%(前年と同率)

ごみ排出総量と1人1日あたりの排出量の推移

画像です。ごみ排出総量と1人1日あたりの排出量の推移

大気環境

  • 二酸化窒素
    • 年平均値
一般測定局(以下「一般局」という。)0.024ppm(横ばい)
自動車排出ガス測定局(以下「自排局」という。)0.038ppm(横ばい)
    • 二酸化窒素濃度(年平均値)の推移

二酸化窒素濃度(年平均値)の推移

    • 環境保全目標達成率
一般局92.6%(横ばい、前年度95.1%)
自排局54.1%(平成9年度以降改善、前年度51.4%)
    • 二酸化窒素環境保全目標達成率の推移

二酸化窒素環境保全目標達成率の推移

  • 浮遊粒子状物質
    • 年平均値
一般局0.035mg/m3(減少傾向)
自排局0.044mg/m3(減少傾向)
    • 浮遊粒子状物質濃度(年平均値)の推移

画像です。浮遊粒子状物質濃度(年平均値)の推移

    • 環境保全目標達成率
一般局93.9%(前年度 98.8%)
自排局63.3%(前年度 86.2%)
      • 浮遊粒子状物質環境保全目標達成率の推移

    浮遊粒子状物質環境保全目標達成率の推移

    • 光化学スモッグ発生状況
      • 予報 30回(前年度13回)
      • 注意報 23回(前年度11回)

    水環境

    • 河川

    健康項目(27項目)98河川138地点中延べ15地点で環境保全目標超過(前年度4地点)
    (15地点中新基準のふっ素、ほう素によるものが10地点ありますが、すべて海水の影響と考えられます。)
    生活環境項目(5項目)Bodの環境保全目標達成率 58.9%(ここ3年横ばい)

      • Bodに係る環境保全目標達成率の推移(河川)

    画像です。Bodに係る環境保全目標達成率の推移(河川)

    • 海域
    健康項目(27項目)すべての地点で環境保全目標達成
    生活環境項目(5項目)

    Cod(表層)の環境保全目標達成率:46.7%(横ばい、前年40.0%)

    全窒素・全燐 環境保全目標は、全窒素、全燐とも大阪湾の湾奥部以外は未達成

      • Codに係る環境保全目標達成率の推移(海域)

    Codに係る環境保全目標達成率の推移(海域)

    地盤環境

    • 地下水汚染
      • 87地点中5地点で環境保全目標未達成(前年度は90地点中7地点)

    騒音

    • 環境騒音
      • 一般地域:環境保全目標達成率(昼間・夜間ともに達成) 57.4%(前年度 51.3%)
      • 道路に面する地域:環境保全目標達成率(昼間・夜間ともに達成) 41.4%(前年度 41.5%)
    • 航空機騒音
      • 大阪国際空港:随時測定地点8地点中2地点で環境保全目標達成
      • 関西国際空港:すべての地点(16地点)で環境保全目標達成

    有害化学物質

    • 有害大気汚染物質
    ベンゼン道路沿道11地点中6地点で環境保全目標未達成
    一般環境12地点中1地点で環境保全目標未達成
    固定発生源周辺4地点中1地点で環境保全目標未達成
    トリクロロエチレンすべての地点(21地点)で環境保全目標達成
    テトラクロロエチレンすべての地点(21地点)で環境保全目標達成
    • ダイオキシン類
      • 大気40地点中1地点で環境保全目標未達成
      • 河川73地点中9地点で環境保全目標未達成
      • 海域12地点、地下水41地点、土壌112地点はすべて環境保全目標達成
     
    年平均値等の範囲
    環境保全目標値
    測定地点数
    目標値超過地点数
    大気環境
    0.073から0.64pg-Teq/m3
    0.6pg-Teq/m3
    40

    1

    水質環境 河川・海域
    0.041から 2.9pg-Teq/L
    1pg-Teq/L
    85*
    9
    地下水
    0.00081から0.48pg-Teq/L
    41
    0
    底質
    0.18から510pg-Teq/g-dry
    84*
    0
    土壌
    0.0023から92pg-Teq/g
    1,000pg-Teq/g
    112
    0
    * 近畿地方整備局の速報値分(河川12、底質11)を含みます。

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    2.自然環境

    森林・農地

     森林面積は漸減、耕地面積は毎年減少
     森林面積 56,755ha(前年度56,791ha、前年度比0.06%減少)
     耕地面積 15,300ha(前年度15,600ha、前年度比2%減少)


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    3.都市環境

    公園・緑地 都市公園

     開設面積 4,197ha(前年度4,105ha、前年度比2.2%増加)
     府民1人あたり面積 4.76m2/人(前年度4.66m2/人、前年度比2.1%増加)

    都市公園

    道路緑化

     緑化延長 437km 管理本数 2,632千本(平成13年4月1日現在)(前年度2,566千本)

    史跡・文化財

     国及び府の指定等文化財 1,259件(前年度比1件減少)
     国登録文化財 141件(前年度比43件増加)
     埋蔵文化財包蔵地 8,218件(前年度比37件増加)


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    4.地球環境

    二酸化炭素排出量

     府内 1997年度 約1,468万炭素換算トン(1990年度比4.4%増加)
     全国 1997年度 約3億3,600万炭素換算トン(1990年度比9.4%増加)

    大阪府及び全国の二酸化炭素排出量
    画像です。大阪府及び全国の二酸化炭素排出量


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    5.豊かな環境の保全及び創造に関して講じた施策

    環境総合計画の目標と進捗状況

    ■第2章第1節 自動車公害の防止

    項目環境総合計画に掲載した目標進捗状況(現状)評価
    ◆窒素酸化物2000年度には特定地域において自動車から排出される窒素酸化物を21,420トン以下に削減する。27,670トン(1997年度)達成は厳しい
    (低公害車)約6万台程度を目標として普及促進する。4,900台(2000年度末) 

    ■第2章第2節 廃棄物・リサイクル対策の推進

    項目環境総合計画に掲載した目標進捗状況(現状)評価
    ◆ごみ(一般廃棄物)2001年度には予測排出量(607万トン)から15%(90万トン)を削減する。→排出量517万トン排出量431万トン(1999年度)達成見込み
    ◆産業廃棄物2001年度には予測最終処分量(852万トン)から45%(380万トン)を削減する。→最終処分量472万トン、減量化目標率86%最終処分量342万トン(1995年度)減量化率 83%[中間目標率 82%]達成見込み
    ◆下水汚泥2001年度には概ね50%をリサイクル(2025年には全量)する。約43%(2000年度末)達成は厳しい

    ■第2章第3節 大気環境の保全

    項目環境総合計画に掲載した目標進捗状況(現状)評価
    ◆窒素酸化物2000年度末には、自動車も含めた窒素酸化物の排出総量を50,620トン/年(自動車NOx法特定地域)以下にする。52,690トン/年(1994年度)達成は厳しい

    ■第2章第4節 水環境の保全

    項目環境総合計画に掲載した目標進捗状況(現状)評価
    ◆Cod1999年度にはCod排出量を1994年度より削減する。→目標値:112トン/日114.5トン/日(1996年度)
    2001年度に1999年度排出量算定
    達成見込み
    ◆窒素・燐1999年度には窒素・燐排出量を1994年度 より削減する。→窒素123.5、燐7.8トン/日
    2001年度に1999年度排出量算定
    達成見込み
    客観的データ不足
    環境への負荷の低減をめざし、可能な限り肥料の施肥量を削減する。有機質肥料を主体としたモデル展示の設置等により肥料の適正使用を指導進行中
    ◆下水道2001年には下水道を概ね90%普及し、下 水処理水再利用率を概ね30%とする。普及率82.4%、再利用率約11% (供用区域内人口ベース) (1999年度末)達成は厳しい
    ◆生活排水2001年に向けて生活排水の100%適正処理をめざす。生活排水処理率 79.9%(実処理人口ベース)(1999年10月1日現在) 達成は厳しい


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    6.課題と今後の方向

     府域の環境問題は、自動車による大気汚染や騒音、生活排水を主因とする河川等の水質汚濁や不法投棄などの不適正処理をはじめとする廃棄物問題といった従来から解決が求められている重要な課題があることから、引き続き、その克服に向け取り組みを一層進めるとともに、みどり豊かなより質の高い環境を保持し、創造していく必要があります。また、地球温暖化をはじめとするグローバルな環境問題やダイオキシン類などの有害化学物質問題など人類の生存基盤に大きな影響を与えかねない問題まで、私たちが取り組まなければならない環境問題はより多様化・複雑化してきています。
     これらの問題の解決にあたっては、環境問題の多くが私たちの日常生活や通常の事業活動に起因しているため、私たちは、豊かさや利便性を優先してきたこれまでの価値観をあらため、経済社会システムのあり方や生活様式を変革していかなければなりません。そして、人類社会が持続的に発展し健全に存続することができるよう、21世紀を環境と共に生きる「環境の世紀」とし、私たちの大阪が魅力ある元気な都市でありつづけるために、府民、事業者、民間団体、行政などすべての主体が足下から環境保全のための具体的な行動を着実に進めていかなければなりません。
     このような状況から本府は、新しい環境総合計画を策定するため、昨年8月に計画の基本的考え方について環境審議会に諮問し、本年7月に答申があったところですが、今後、答申の趣旨に基づき具体的な目標や施策を掲げた計画案を公表し、パブリックコメント聴取等の手続きを経て計画を策定することにしています。本府では、新しい環境総合計画を単なる府の行政計画という位置づけにとどまらず、すべての主体の行動指針となり「みんなが参加し、みんなで行動する」という視点を大切にする「環境の世紀」にふさわしい新しい環境総合計画にするとともに、次のような観点からの施策について取り組みを進め「豊かな環境都市・大阪」の実現をめざしていきます。

    資源循環の推進に向けた取り組み

    (1)廃棄物対策

     日々の生活や事業活動に伴って排出される廃棄物については、資源の有効活用や地域環境の保全の観点から、減量化・リサイクル及び適正処理の推進が求められていますが、府域においては、依然として大量の廃棄物が排出されるとともに、不法投棄などの不適正処理が増加するなど、循環型社会づくりに向けた廃棄物対策が大きな課題となっています。
     資源循環の推進に向けては、昨年度国において循環型社会形成推進基本法が制定されるとともに、具体的な廃棄物対策の取組として、各種リサイクル関連法が制定されました。本府では、こうした関係法令の円滑な施行に努める中で、府民、事業者、民間団体、行政の相互の連携と適切な役割分担のもと、廃棄物の減量化・リサイクルを推進するとともに、廃棄物の減量・適正処理に関する「廃棄物処理計画」を今年度末を目途に策定し、環境負荷が低減された循環型社会の構築を目指した取り組みを具体的かつ計画的に展開します。
     廃棄物の減量化・リサイクルについては、平成12年6月に改定した「ごみ減量化・リサイクルアクションプログラム」に基づく実践啓発活動を通じて生活様式の見直しなどを促進するとともに、容器包装リサイクル法に基づく「第2期大阪府分別収集促進計画」の推進、平成13年4月に施行された家電リサイクル法の円滑な実施に努めます。
     また、食品リサイクル法で定める基本方針に基づいた取り組みがなされるように、リサイクル等を促進するための国の補助制度等の情報提供に努め、府民や食品関連事業者による主体的な取り組みの促進を図ります。さらに、産業廃棄物の多量排出予定事業者に対して要綱に基づいてリサイクルの推進を指導するとともに、平成14年までに段階的に施行される建設リサイクル法の円滑な施行に努めます。
     廃棄物の適正処理の推進については、排出事業者に対して産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付の徹底などを指導します。また、府内のPCB廃棄物の処理のあり方を検討するとともに、中小企業のPCB処理を支援するため新たに創設される基金に拠出します。さらに、「大阪府ごみ処理広域化計画」に基づいて、市町村とともに府内6ブロックの広域化計画の検討・策定を進めるとともに、府域の処理実態を踏まえた公共関与による中間処理システムについて引き続き検討を進めます。
     公共関与による最終処分場の確保については、堺第7-3区における埋立処分事業や、近畿の関係府県市と協力して、フェニックス事業(大阪湾圏域広域処理場整備事業)を促進します。
     不法投棄などの不適正処理対策としては、「大阪府産業廃棄物不適正処理対策会議」の設置・運営により警察等関係機関との連携強化を推進するとともに、「大阪府産業廃棄物不適正処理対策等要綱」の運用による未然防止、早期是正に努めます。また、改正廃棄物処理法において、マニフェスト制度の適用範囲の拡大、廃棄物の野外焼却の禁止、不適正処理に関する措置命令の強化等が盛り込まれており、改正法の厳正な運用に一層取り組んでいきます。
     また、大阪都市圏における循環型社会の構築を図るため、廃棄物最終処分場跡地等を活用し、民間事業者を主体としたリサイクル施設の整備等や、自然とふれあう場の整備などを内容とする「大阪エコエリア構想」の具体化に向けた検討を進めます。

    (2)地球温暖化対策

     石油などの化石燃料の燃焼や森林の減少などによって、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の大気中の濃度が産業革命以降大幅に上昇しています。これに伴って地球全体の平均気温が上昇する地球温暖化が問題となっており、府域においても府民、事業者、民間団体、行政などが一体となってエネルギー消費の抑制や環境への負荷の少ないエネルギーの利用を進め、二酸化炭素等の排出削減を図っていく必要があります。
     このため、平成9年の第3回気候変動枠組条約締結国会議において採択された京都議定書等を踏まえ改定した「大阪府地球温暖化対策地域推進計画」(平成12年3月)や省資源・省エネルギー型社会への転換を目指し策定した「エコエネルギー都市・大阪計画」(平成12年3月)に基づき、環境負荷の少ない太陽光発電、風力発電、バイオマス等の新エネルギーの導入促進を行うとともに、ESCO事業等による省エネルギーの推進を行います。
     特に、民間資金活用型ESCO事業については、本年、全国自治体で初めて母子保健総合医療センターで事業実施を始め、さらに広汎な府有施設への導入を図るため、ESCO推進マスタープランの策定を進めています。
     また、二酸化炭素の排出の増加が著しい家庭やオフィスでの省エネルギーを推進するためには、府民一人ひとりが省資源・省エネルギーなどの取り組み、環境に配慮したライフスタイルを確立していく必要があります。このため、具体的な実践行動を示した「地球温暖化防止行動ガイドライン」をパンフレットや府の環境ホームページでの情報提供等により普及啓発を行っています。
     さらに、環境配慮型商品を優先して購入する「グリーン購入」を促進するため、府民へのキャンペーンの実施や、府内のISO14001認証取得企業と自治体のネットワーク化を通じて普及を図るとともに、府自らも「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)」に基づいて策定した調達方針によりグリーン購入の拡充を図ります。
     一方、二酸化炭素の吸収源の確保やヒートアイランド現象の抑制といった観点からも、みどり施策を推進していく必要があります。このため、都市内では「水と緑のネットワーク化の推進」「木材資源の有効利用の推進」「施設緑化の推進、屋上・壁面緑化の推進」等に取り組みます。また、周辺地域においては、「周辺山系の森林の健全化のための育林、住民・NPO・企業などの多様な人々の参加による継続的な森づくり(里山林の整備)の推進」「森林の持続的経営により、木材資源を持続的・安定的に利用する新たな循環型の仕組みづくり」等に取り組みます。

    健康と安心を守る取り組み

    (1)自動車公害対策

     自動車は日常生活や産業活動を支えるうえで必要不可欠な交通手段ですが、自動車排出ガスによる大気汚染や騒音等の交通公害の原因となっています。
     自動車排出ガス対策については、「自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法(自動車NOx法)」に基づき「大阪府自動車排出窒素酸化物総量削減計画」を策定し、低公害車・Lev−6(低NOx車)の普及、人流、物流、交通流対策等を総合的に推進するとともに、事業者に対する窒素酸化物排出抑制指導、生活環境保全条例によるアイドリング停止の徹底などの対策に努めています。しかし、大型ディーゼル貨物車の走行量の増加などにより計画の目標達成は困難な状況です。
     また、道路沿道の環境改善などを求める尼崎訴訟や名古屋南部訴訟の第一審判決において、ディーゼル車から排出される粒子状物質と健康被害との因果関係や、一定濃度を越える浮遊粒子状物質の排出差し止め請求権を認める判断が下されるなど、引き続き、窒素酸化物に対する従来の対策を強化するとともに、ディーゼル車から排出される粒子状物質の削減を図る対策を推進することが喫緊の課題となっています。
     国においては、自動車NOx法が平成13年6月に改正され、削減対象物質に粒子状物質を加えるなど対策が強化されることになりました。
     このため、改正自動車NOx法に基づき、二酸化窒素と浮遊粒子状物質に係る環境保全目標の確保を目途に、自動車排出ガス対策の基本である発生源対策として、事業者に対する低公害車導入の指導、府公用車の計画的な低公害化、荷主の立場から物品納入事業者に対しての環境負荷の少ない車の使用を求めるグリーン配送運動の展開など低公害車の大量普及を進める施策や、京阪神六府県市による広域的な取り組みなど、ディーゼル車に重点を置いた、新たな「窒素酸化物及び粒子状物質総量削減計画」を策定し、関係機関と連携しながら対策を総合的に推進します。あわせて、自動車交通流の円滑化と交通量抑制を図る交通需要マネジメント(TDM)について、関係機関と連携し、その推進を図ります。
     さらに、自動車騒音については、騒音評価地理情報システムや自動車騒音交通流対策実態調査の成果を踏まえ、道路管理者、府・大阪市関係部局で構成する「大阪府道路環境対策連絡会議」において、道路構造や交通状況に応じた効果的な対策手法を検討し、騒音に係る環境保全目標の達成に向けて、総合的・計画的な対策の推進を図ります。

    (2)水環境の保全対策

     府域の河川や大阪湾の水質は改善傾向にあり、魚のすめる河川や赤潮のない海の回復をめざすためには一層の努力が必要です。このため発生源に対する汚濁物質の排出削減対策を一層推進する必要があり、とりわけ府域から排出されるBod汚濁負荷量の約8割を生活排水が占めることから、生活排水対策が重要な課題となっています。また、さらに、環境保全上健全な水循環を再生することにより、水質の改善、水量の確保、生態系の保全、親水空間の創造等を一体的なものとして水環境を保全、創造することが大きな課題となっています。
     生活排水対策については、「大阪府生活排水処理計画」が目標とする平成13年までに100%の適正処理は達成が困難な状況ですが、下水道と合併処理浄化槽、農業集落排水施設等を適切に組み合わせ、引き続き目標達成に向けて生活排水処理施設の整備を進めます。
     上水道水源の水質保全については、新たに水質汚濁防止法の有害物質に指定されたほう素、ふっ素等について上乗せ排水基準を設定して排出規制・指導を実施するとともに、未規制の有害化学物質について情報収集と実態調査を継続します。
     大阪湾の水質改善については、栄養塩である窒素、燐により増殖する植物プランクトンによる有機汚濁(内部生産)を抑制する必要があることから、第5次水質総量規制において新たに窒素、燐を総量規制の対象とします。府ではCod、窒素、燐に係る総量削減計画を策定して総量規制基準に基づく排出規制・指導や生活排水対策等を推進し、あわせて窒素、燐に係る削減指導要綱に基づく指導により、大阪湾における水質の改善と富栄養化対策に取り組みます。
     大阪湾沿岸域においては「瀬戸内海の環境の保全に関する大阪府計画」に基づき、自然海岸、干潟、藻場の保全、再生に努めます。
    また、河川流域ごとの環境基準については、前回の当てはめ・見直しから10年を経過することから、現在の水質、利水目的の変化や生態系、親水空間の保全の観点から見直しを行い、良好な河川環境の確保をめざします。
     さらに府が策定した「水循環再生アクションプログラム」に基づく健全な水循環の再生に向けた総合的な施策の展開により、水環境の保全、創造を図ります。具体的には、森林の保全による水源涵養機能や農耕地やため池の保全による保水・遊水機能の向上を図ります。さらに、都市域における雨水浸透施設や貯留施設の整備を促す、下水の高度処理水を河川維持用水に利用する等の水の再利用を推進します。また、河川の持つ浄化機能に配慮した河川施設の整備を行うとともに、薄層流浄化施設等の整備により水の直接浄化にも取り組みます。

    (3)有害化学物質対策

     近年の科学技術の進展、消費の多様化等に伴い、生産・使用される化学物質及びその発生源は、非常に多種・多様となり、また、ダイオキシン類のように非意図的に生成されるものがあるなど、化学物質による環境問題への対応が課題となっています。さらに、外因性内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)等の化学物質による人や野生生物等への影響について、未解明な部分はあるものの、各種文献等で報告されており、影響が発現してからでは取り返しのつかない問題として懸念されています。
     これらの化学物質は、大気、水、土壌等の環境中での挙動、人の健康や生態系に影響を及ぼすメカニズムが複雑であり、また、極めて低濃度でも影響を及ぼすおそれがある物質もあります。
     このため、府民への健康影響を未然に防止するため、引き続き、国をはじめとする関係機関と連携し、暴露・毒性評価等に関する知見の集積に努めるとともに、次に示すとおり、環境調査の充実や化学物質の管理促進、環境中への排出抑制を図っていきます。
     ダイオキシン類については、平成12年1月にダイオキシン類対策特別措置法が施行され、大気、水質及び土壌に係る環境基準の設定や廃棄物焼却施設等からの排出ガス及び排出水に係る排出基準等が規定されたことから、環境中におけるダイオキシン類の常時監視を行うとともに、発生源に対しての排出基準の遵守徹底を指導していきます。
     また、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の促進に関する法律(Prtr法)」に基づき、平成14年4月から排出量の届出が始まることから、国をはじめとする関係機関と連携を図りつつ、対象事業所の把握及び法制度の周知徹底を行い、有害化学物質の環境中への排出量や移動量の把握に努めます。
     大気環境に係る有害物質対策については、引き続き、有害大気汚染物質モニタリング体制の整備、排出実態の把握、法令に基づく規制基準の遵守徹底等に努めます。
     水環境に係る有害物質対策については、引き続き、法令に基づく規制基準の遵守徹底を図るとともに、要監視項目等に関する公共用水域のモニタリング体制の整備等に努めます。
     地下水及び土壌については、引き続き、地下水質や土壌汚染の状況把握、有害物質を含む汚水等の地下浸透の禁止などにより汚染の未然防止を図るとともに、汚染が判明した地下水については、原因究明調査をし、汚染者の特定とともに地下水の浄化を指導します。また、土壌汚染については、汚染を早期発見し、適切な対策を講じるための制度化にむけ、その課題の整理を本年度行い、効果的な土壌汚染対策の推進を図ります。

    自然と共生し、魅力ある地域づくりの取り組み

     大気、水、土壌及び多様な生物などと人間の営みとの相互作用により形成される環境の特性に応じて、かけがえのない貴重な自然の保全、野生生物の保護、里山林など二次的自然環境の維持管理及び失われた自然環境の回復など、保護あるいは管理などの形で自然環境に適切に働きかけるとともに、様々な自然とのふれあいの場や機会の確保を図るなど、自然と人との間に豊かな交流を保ちながら「自然との共生」に向けた取り組みを進めていくことが必要です。
     このような状況の中で、近年、みどりに関する環境面や防災面からの社会的要請の高まりに加え、趣味やボランティアを通じたみどりに親しむ人々やNPOが行う活動の増加や企業自らの手によるみどりづくりの先進的な実施など、みどりの保全と創造に向けた社会的ニーズが高まっています。
     これらの社会情勢や、市街地における緑化の重要性も踏まえ、「災害やヒートアイランド現象の緩和」(都市内の緑地の保全と創出、ため池、河川等都市内の水面の確保)、「二酸化炭素吸収源の確保」(森林や樹林・樹木の保全と整備)、ビオトープ空間としての「水と緑のネットワーク化の推進」及び府民、NPO、企業等との連携・協力による「自然環境学習の推進・自然体験活動リーダーの養成」などの方策を推進していきます。
     また、府域において貴重な自然環境を維持してきた周辺山系のみどりである森林は、そのほぼ全域が都市計画区域内に位置する「大都市近郊林」であると同時に、人々の生活との関わりの中で保全されてきた、いわゆる「里山林」であるとも言えます。
     しかし、近年、これらの森林の多くで管理放棄による荒廃が進んでおり、森林の有する公益的機能の発揮に支障が生じ、生物の多様性も減少するなど、「身近な森林」が「遠い森林」となりつつありますが、私有林の占める割合が9割以上という状況の中で、森林所有者の努力だけで森林を適正に管理することは、もはや不可能なことであると言えます。
     このような状況に対する今後の取り組みとして、府民にとって貴重な里山空間の保全と利用を早期に図るため、「府立自然公園」の指定の推進や、都市緑地保全法に基づく「市民緑地制度」の活用等による森林の保全・整備を進めるほか、多様な主体の参加による継続的な森づくりを目指して、「里山トラスト制度」(里山保全活動)の推進を引き続き支援します。
     また、森林整備を行いながら、自然環境教育のフィールドとしても活用するなど、森林の多様な公益的機能、国土保全や水循環等を維持する「環境財」として森林生態系の管理を進めていくほか、森林組合の広域合併による「環境事業体」としての基盤強化にも取り組んでいきます。

    環境パートナーシップを推進する取り組み

     前述の「資源循環を推進する取り組み」や「健康・安心を守る取り組み」、「自然と共生し、魅力ある地域づくりの取り組み」を着実に進めていくためには、府民、事業者、民間団体、行政など社会を構成するすべての主体が積極的に環境の保全と創造に関する活動に参加し、公平な役割分担のもと、パートナーシップをもって協働して取り組む必要があります。
     このため、大阪府においては、環境への配慮を自発的、自律的に実践できるよう各主体の果たすべき役割と責務について、具体的な行動指針として示し、府民運動の高揚化を図っていくとともに、今後、環境教育・学習の推進や環境NPO・NGOへの支援、実践活動に役立つ幅広い環境情報の提供、エコビジネスの振興などの拡充に努めます。

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    このページの作成所属
    環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 戦略企画グループ

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