初めてのファシリテーター 学習プログラムの解説/「対立」に向き合う姿勢づくり 4.解説/対立の扱い方

更新日:2010年3月17日

学習プログラムの解説


「対立」に向き合う姿勢づくり(人権学習シリーズvol.5『ぶつかる力 ひきあう力−対立と解決−』所収


解説4/ 対立の扱い方(40分)

●対立の扱い方(40分)

 では、対立の場面でどのようなことができるのか、具体的に考えてみましょう。
→グループに1つの事例カードと、白紙を配る 
 それぞれの対立の事例に対して、どのような対応が考えられますか。できるだけいろんなパターンを考え、手元の紙にメモをしてみてください。「自分だったらどうするか」だけでなく、「こんなやり方もあるかも」と、バラエティにどんだ方法を考え出してみてください。
 どのくらいアイデアが出たでしょうか。では、新しいアイデアを出すのは終わって、出てきたものを少し見てみましょう。
 そのなかで、対立に「肯定的に」向き合っている、と思えるのは、どの対応でしょうか。どういった点が「肯定的」だと思うか、実際にできそうか難しそうか、などについて話し合ってください。
 
(あわせて逆の視点から、暴力的・否定的な向き合い方になっているものも考えてもらうのもよいでしょう)
→話し合いのあと、簡単に発表してもらう

◎対立の扱い方のフロー図。カードの配布と説明、グループの話し合い(12分)→次の話し合いの説明、グループの話し合い(12分)→発表順の声かけ、各グループの発表(13分)→ファシリテーターのコメント(3分)

 では、対立の場面でどのようなことができるのか、実際にどのように扱っているのか、具体的に考えてみましょう。
 「事例カード」をお配りします。

 ◎1グループに1つの事例カード [印刷用(PDF)/224KB]を配る。

 こんな場合

 対象となる参加者に応じて使う事例を選んでください。
 市民対象なら家庭編・地域編、職場研修なら職場編など。
 さらに言うなら、ファシリテーター自身で事例を作ってもらっても結構です。

 皆さんのお手元のカードには、身近にありそうな「対立」の事例が書いてあります。実際にその対立の場面に遭遇したら、どのような対応の可能性があるでしょうか。新しい白紙をお配りしますので、グループで話し合いながら、対応のパターンを書き出してみてください。「自分だったらどうするか」だけでなく、「自分はしないけど、こんなやり方もあるかも」というものなど、できるだけバラエティにとんだアイデアを出し合ってみましょう。10分程度時間をとります。

 ◎グループごとに白紙を配るか、取りに来てもらう。
 ◎話し合いが始まったら、会場を見てまわり、話し合いを促す。

 ワンポイント

 「対応のパターンのアイデアは、10個以上出してください」というように、具体的な数をあげると話し合いが活性化します。ファシリテーターも事前に考えてみましょう。

 いったん話し合いを終わってください。どのくらいアイデアが出たでしょうか。続けて話し合っていただきますが、こんどは新しいアイデアを出すのではなくて、出てきたものを少し検討してみます。
 対応のパターンのアイデアの中で、対立に「肯定的」に向き合っている、と思えるのはどれでしょうか。どういった点で「肯定的」だと判断しますか。また、実際にその対応をとることはできそうでしょうか、難しそうでしょうか、それはなぜでしょうか。話し合ってみていただけますか。

 ◎会場をまわりながら、グループの話し合いを促す。

 こんな場合

 「肯定的」に向き合っていると思えるものがない、というグループがある場合は「肯定的なものが出なかったのはなぜでしょう。」「肯定的な対応を、あらたに考えてみていただけますか。」といった問いかけをしてみましょう。
 発展として、「暴力的・否定的な向き合い方になっているもの」も考えてもらうこともできます。
 どういった点で「暴力的・否定的」なのか、そういった対応をとってしまうのはどんなときか、などを話し合います。

 どのような話が出ていますでしょうか。このあと、発表していただきますが、話し合い全体でなくて、話し合いを通して気づいたこと、発見したことを共有していただきたいと思います。あと3分程度時間をとりますので、少し、発表するポイントを整理していただけますか。

 では、いまの話し合いで気づいたこと、発見したことを各グループから1分程度でお願いします。

 ◎順に発表してもらう。

 いま、考えていただいたのは、「よい解決策」ということではありません。関係性や状況によって、どの対応をとるかはさまざまですから、解決策の正解があるわけではありません。
 大切なことは、対立にはいろいろな向き合い方があり、関わる人みんなができるだけ納得できる方法を選ぶことができる、ということです。対立の場面では、「どちらか一方の言い分しか通らない」「選択肢は二つに一つしかない」などと思ってしまいがちです。そうではなく、「みんなが満足できるには何が大切か」「他にも方法はないだろうか」と考えること、それが対立に肯定的に向き合う、ということではないでしょうか。


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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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