初めてのファシリテーター 学習プログラムの解説/「対立」に向き合う姿勢づくり 2.解説/対立についての連想図

更新日:2010年3月17日

学習プログラムの解説


「対立」に向き合う姿勢づくり(人権学習シリーズvol.5『ぶつかる力 ひきあう力−対立と解決−』所収

解説/2 対立についての連想図(20分)

●対立についての連想図(20分)

 もう少し、対立のイメージを具体的に考えてみます。
→各グループに、白紙とマジックを配る
1.紙の真ん中に「対立」と書いて、そこから連想するものをまわりにどんどん書いていってください。連想図といいます。どんなものでもかまいません。グループで話しながら、イメージを出しあいましょう。
→5から
10分、作業の時間をとる 
2.では、どんなものがでたか、簡単に発表してください。前のグループからは、出ていないような点を中心にお願いします。

[連想図の例]紙の真ん中に対立と書き、それを線で囲む。そこから放射線状に線を出し、対立について連想したことを書いていく。例として、怒、利害、赤‐激しい、ケンカ‐仲直り、自己チュー、避けたいなどが書かれている。

◎「対立についての連想図」のフロー図。机などの設営(3分)→「連想図」グループ作業(説明3分+グループ7分)→グループ発表(5分)→ファシリテーターからのコメント(2分)

  続けて、もう少し対立のイメージを具体的に考えてみます。グループごとに机を出して、白紙とマーカーを用意してください

 

 ◎先ほどと同じグループのままで、各グループから1人、紙とマーカーを取りに来てもらう。あとの人で机を用意してもらう。グループごとに座ってもらう。

 

ワンポイント

グループごとに座るときは、ホワイトボードに向かって机を縦に配置すると、どの参加者からも板書が見やすくなります(横にすると半分の人は背中を向けることになるため)。

[例図 机の配置] ホワイトボードにむかって、机1つにイス2脚がむかい合わせにくっついているかたまりを4つつくる。ホワイトボードにむかってたてよこ2列で並べた図

 紙の真ん中に「対立」と書いて、そこから連想するものをまわりにどんどん書いていってください。「連想図」といいます。出てきたものに関連があるときは、線でつないでいきます。例えば、先ほどの色のイメージで「赤」のグループでしたら、「対立」から「赤」と書いてつなげて、さらに「赤」のイメージで「激しい」、といったように。それ以外にも、いろいろな枝を出して、どんどんイメージを広げていってください。
 皆さん、1本ずつペンを持って、紙のいろいろな方向から書いていきましょう。しゃべりながら、出てきたものはとりあえず書くという感じでお願いします。

 ◎説明しながら、例を板書する。会場をまわり、あまり書いていないグループには、「さっきの色のイメージではどんな話が出ましたか」「しょうもないかな、と思うものでも、とりあえず書いてみてください」と、積極的に書くように促す。


[実際に書かれた連想図] 先ほどの例のように、対立という言葉が真ん中に書かれ、そこから連想された言葉が線でつながってハチの巣状になっている。例えば、対立‐戦争となり、戦争から恐い、死、平和などが連想されている図

 では、どんなものが出たか、簡単に発表してください。前のグループからは出ていないような点を中心にお願いします。

 ◎グループで作業した模造紙を貼り出し、ファシリテーターが紹介してもよい。その際には、複数のグループで共通している点を指摘したり、逆にユニークな点を「これはどういう話で出てきたのでしょうか」と質問したりする。

 こんな場合

 参加者から出てくるものには、以下のようなものがある。それぞれに関して、ファシリテーターが話すポイントとあわせて整理しておく。
●「対立」の場面 例:ケンカ(きょうだい、夫婦)、○○vs△△
→具体的な場面を思い浮かべる方も多いようです。「対立」を経験したことのない人はいない、ということでもあるのではないでしょうか。それぞれの経験によって、対立のイメージも変わってくることと思います。
●気持ち・感情 例:怒り、避けたい、傷つき、悲しみ、涙
→「対立」の場面では、さまざまに、そして激しく感情が動きます。その多くは“否定的”といわれる感情で(本来、感情には“良い悪い”はないのですが)、どう対処していいか慣れていません。中でも、「怒り」の感情はエネルギーがあって、自分でもうまく扱えないことが多いものです。そのことが「対立」に向き合うことを難しくさせているのかもしれません(ファシリテーターのために参照)。
●マイナスイメージ 例:暴力(たたく、ける)、争い、戦争、決裂
→こうしたマイナスイメージが「対立」とイコールでとらえられていることが、残念ながら多いようです。けれど、これらは「対立」の一面である、ということを知っていただきたいと思います。

 こんな場合

●プラスイメージ 例:仲直り、理解が深まる
→「対立」を経たからこそ到達できる関係、というのもあるのではないでしょうか。
→(プラスイメージが出ていないとき)「対立」はマイナスイメージばかりでしょう か。それ以外はないですか?
例:ケンカの終わり方にはどういったものがありますか。ケンカをしてよかった、という経験を持つ方はいらっしゃらないでしょうか。など問いかけると、イメージがふくらみます。

  そもそも、「対立」とはどんなときに起きるのでしょうか。意見や立場の違いがあるときではないでしょうか。ならば、「お互いの違いを大切にする」という人権尊重社会では、対立は避けて通れないものです。皆さんと共有したいのは、「対立は、それ自体は悪いものではない」ということ。「対立」が悪いのではなく、「対立の扱い方」を間違えて、それが争いや暴力になることが問題なのです。

 ワンポイント

 このあたりで一度グループを変えるのもよい。ずっと同じグループだと、グループの中で話す人と話さない人が固定したり、活発なグループとそうでないグループが出たりしてしまう。
 グループを変更するには、参加者に番号を言ってもらうのが、いちばん簡単なやり方である。参加者の人数を4で割った数字を順に言ってもらい、同じ数字の人で集まってもらうと4、5人のグループができる。
例)26人の参加者の場合
26÷4=6あまり2、なので、1から6の数字を順に言ってもらう。「1」「2」のグループは5人、「3」から「6」のグループは4人、の6つのグループができる。


前へ   次へ≫   目次へ

このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

ここまで本文です。


ホーム > 人権・男女共同参画 > 人権 > 教材・啓発冊子の紹介 > 初めてのファシリテーター 学習プログラムの解説/「対立」に向き合う姿勢づくり 2.解説/対立についての連想図