人権問題に関する府民意識調査報告書(分析編) 大阪人権意識 3.過去の人権学習が現在の人権意識に与える影響<視点1> (1)人権学習の効果

更新日:2012年3月28日

人権問題に関する府民意識調査検討会委員
神戸学院大学文学部教授 神原文子

3.過去の人権学習が現在の人権意識に与える影響<視点1>

 さまざまな場における人権問題についての学習を、「人権学習」と捉え、これまでの人権学習の経験の有無によって、人権意識に差がみられるかどうかを検討します。

(1)人権学習の効果

 以下では、人権学習の効果を、これまでに、人権学習を受けた人と受けていない人において、人権意識の平均値の間に統計的に有意な差があるかどうかによって検討します。
 人権意識が高いほど平均値が高くなります。以下では、「あてはまる」人のほうが「あてはまらない」人よりも、統計的に有意に平均値が高い場合は、学習効果があったと判断し、太字にしています。 

表3-1-1 小学校で受けた 

小学校で受けた

 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

 

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない

平均値

3.0

2.4

3.9

2.8

3.4

12.4

3.0

 

度数

495

508

486

484

491

489

474

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

1.0

0.9

1.6

1.1

あてはまる

平均値

3.2

2.2

3.8

3.0

3.4

12.4

3.0

 

度数

250

252

252

253

251

254

241

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

0.9

0.9

1.7

1.1

有意差検定

 

**

**

-

**

-

-

-

 小学校での人権学習の経験では、「排除問題意識」、「被差別責任否定意識」に効果がみられます。「体罰問題意識」は、人権学習を受けていない人のほうが高いことから、効果があったとはいえません。

表3-1-2 中学校で受けた

中学校で受けた

 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

 

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない

平均値

3.0

2.4

3.8

2.8

3.4

12.3

3.0

 

度数

508

520

506

503

511

508

489

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

1.0

0.9

1.7

1.1

あてはまる

平均値

3.2

2.2

3.9

2.9

3.4

12.5

3.0

 

度数

237

240

232

234

231

235

226

 

標準偏差

0.6

0.9

0.7

0.9

0.9

1.5

1.1

有意差検定

 

**

*

-

-

-

-

-

 

 中学校での人権学習では、受けた人と受けていない人の間で、「排除問題意識」、「体罰問題意識」に有意な差がみられ、「排除問題意識」に効果があったと解釈できます。ただし、「体罰問題意識」は人権学習を受けていない人のほうが高くなっています。

表3-1-3 高校で受けた 

高校で受けた

 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

 

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない

平均値

3.1

2.4

3.9

2.8

3.4

12.4

3.0

 

度数

624

636

616

615

620

620

598

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

1.0

0.9

1.7

1.1

あてはまる

平均値

3.2

2.2

3.8

2.9

3.5

12.4

3.0

 

度数

121

124

122

122

122

123

117

 

標準偏差

0.5

0.9

0.7

1.0

0.9

1.6

1.1

有意差検定

 

**

-

-

-

-

-

-

 高校での人権学習の経験では、「排除問題意識」に効果があったと解釈できます。

 表3-1-4 大学で受けた 

大学で受けた

 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

 

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない

平均値

3.1

2.3

3.9

2.8

3.4

12.4

3.0

 

度数

713

728

708

707

712

713

683

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

1.0

0.9

1.7

1.1

あてはまる

平均値

3.1

2.5

3.8

3.1

3.3

12.3

3.2

 

度数

32

32

30

30

30

30

32

 

標準偏差

0.8

1.0

0.8

0.8

0.9

1.4

1.1

有意差検定

 

-

-

-

-

-

-

-

 大学で学習を受けた人の割合が非常に少ないこともありますが、受けた人と受けていない人との間で、いずれの意識も有意差がみられません。

表3-1-5 市民対象の講座などで受けた

 

市民対象の

 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

講座で受けた

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない

平均値

3.1

2.3

3.8

2.8

3.4

12.4

2.9

 

度数

697

710

686

685

690

691

667

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

1.0

0.9

1.6

1.1

あてはまる

平均値

3.2

2.3

4.2

3.1

3.6

12.2

3.2

 

度数

48

50

52

52

52

52

48

 

標準偏差

0.6

0.9

0.7

1.0

0.9

1.8

1.2

有意差検定

 

-

-

**

-

*

-

-

 市民対象の講座などでの人権学習の経験では、「人権推進支持意識」、「差別容認否定意識」に効果があったと解釈できます。

表3-1-6 職場の研修で受けた

 

職場の研修で 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

受けた

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない平均値3.1 2.3 3.8 2.8 3.4 12.4 2.9
 度数625637619619622624602
 標準偏差0.6 0.9 0.8 1.0 0.9 1.7 1.1
あてはまる平均値3.2 2.4 3.9 3.0 3.5 12.5 3.1
 度数120123119118120119113
 標準偏差0.6 1.0 0.7 1.0 0.7 1.6 1.1
有意差検定 **--**--

 職場の研修での人権学習の経験では、「排除問題意識」、「被差別責任否定意識」、「差別容認否定意識」に効果があったと解釈できます。

表3-1-7 PTAや民間団体が主催する研修で受けた

PTAや民間団体の 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

研修で受けた

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない平均値3.1 2.3 3.9 2.8 3.4 12.4 2.9
 度数690703683680686687662
 標準偏差0.6 0.9 0.8 1.0 0.9 1.6 1.1
あてはまる平均値3.2 2.5 3.9 3.1 3.6 12.3 3.3
 度数55575557565653
 標準偏差0.6 0.8 0.8 0.9 0.8 1.8 1.1
有意差検定 ***

 PTAや民間団体が主催する研修での人権学習の経験では、「体罰問題意識」、「反忌避意識」に効果があったと解釈できます。

表3-1-8 はっきりと覚えていない

はっきりと

 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

覚えていない

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない

平均値

3.1

2.3

3.9

2.9

3.4

12.4

3.0

 

度数

589

598

583

582

587

586

565

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

1.0

0.9

1.6

1.1

あてはまる

平均値

3.1

2.4

3.9

2.6

3.3

12.3

2.8

 

度数

156

162

155

155

155

157

150

 

標準偏差

0.6

0.9

0.8

0.9

0.8

1.6

1.0

有意差検定

 

**

 はっきりと覚えていない(裏返せば、何らかの人権問題についての学習を受けた記憶のある)人では、「被差別責任否定意識」に効果があったと解釈できます。

表3-1-9 受けたことがない

受けたこと 

排除問題

体罰問題

人権推進

被差別責任

差別容認

結婚排除

反忌避

がない

 

意識

意識

支持意識

否定意識

否定意識

否定意識

意識

あてはまらない平均値3.1 2.3 3.9 2.9 3.4 12.4 3.0
 度数600613594594595599579
 標準偏差0.6 0.9 0.8 1.0 0.9 1.6 1.1
あてはまる平均値2.9 2.3 3.8 2.7 3.3 12.3 2.9
 度数145147144143147144136
 標準偏差0.7 0.9 1.0 1.0 1.0 1.7 1.1
有意差検定 ****

 「受けたことがない」が「あてはまらない」(裏返せば、人権問題についての学習を受けたことがある)人では、「排除問題意識」、「被差別責任否定意識」に効果があったと解釈できます。

 以上の分析結果からいえることは、人権学習を経験した人は、経験していない人よりも、入居拒否や身元調査は人権侵害に当たるという「排除問題意識」が高い傾向にあり、人権学習の効果があったということです。また、差別の責任は差別される側にはないという「被差別責任否定意識」も高い傾向にあり、学習効果があったことがわかります。
 とりわけ、小学校、中学校等の学校教育における学習は、受けた人の割合が高く、「排除問題意識」と「被差別責任否定意識」を高める効果を上げてきたことが窺えます。市民対象の講座等における学習では、「人権推進支持意識」を高める効果がみて取れます。
 ただ、一部(職場の研修やPTAや民間団体が主催する研修における学習)を除いては、結婚排除意識や忌避意識(土地差別)を弱めたりするような効果がみられません。また、大学、PTAや民間団体が主催する研修における学習を除いて、子どもへの体罰は問題であるという「体罰問題意識」を高める効果が認められません。

【知見】
○何らかの人権問題についての学習を経験した人は、経験していない人よりも「排除問題意識」、「被差別責任否定意識」が高い傾向にあり、人権学習の効果がみられる。
○様々な人権問題についての学習の中で、「結婚排除否定意識」や「反忌避意識」を高めたりする上で効果がみられる内容は多くない。
○子どもへの体罰は問題であるという「体罰問題意識」を強める効果が認められる人権問題についての学習は多くない。

 

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このページの作成所属
府民文化部 人権局人権企画課 教育・啓発グループ

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