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重要無形文化財の指定及び保持者の認定、選定保存技術の保持者の認定について

報道提供日時

2024年07月19日

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内容

 7月19日(金曜日)に開催された国の文化審議会において、重要無形文化財の指定及び保持者の認定等、選定保存技術の選定及び保持者の認定等について答申されました。このうち大阪府内在住者にかかるものとしては、重要無形文化財「浪曲語り」の指定及び保持者の認定(各個認定)、選定保存技術「美術工芸品保存桐箱製作」の保持者の追加認定で、次のとおりです。 

重要無形文化財の指定及び保持者の認定

(1)重要無形文化財の指定について

1. 名称

 浪曲語り

2. 重要無形文化財の概要

 浪曲は浪花節とも呼ばれ、三味線とともに、物語を「節(ふし)」と「啖呵(たんか)」で語る、語り物である。中世以降芸能化した祭文や説経の伝統の中から「ちょんがれ節」などを経て、近世の語り物や民謡、はやり歌なども吸収し、江戸末期に成立したといわれ、明治時代に入り寄席の芸能として定着した。東京、名古屋、大阪を拠点に盛況を呈し、豪放雄健な節を確立した桃中軒雲右衛門(とうちゅうけんくもえもん)、優美な節と美文調の詞章で人気を博した吉田奈良丸(よしだならまる)、義太夫調の重厚な節を聴かせた京山小円(きょうやまこえん)等の台頭と、明治末頃より盛んになったレコードの存在によって浪曲は全国に普及し、昭和期には広沢虎造(ひろさわとらぞう)など多くの浪曲師が現れ、ラジオの普及とともに流行をみた。

 浪曲語りは、曲節にのせて、感情を歌い上げ、また物語を説明する「節」と、歌わずに物語を運ぶ「啖呵」によって語る技法である。浪曲三味線の演奏とともに、多様な登場人物の喜怒哀楽や情を、磨かれた「節」と「啖呵」で、情感豊かに語り上げるもので、高度な芸術的表現力を要するものである。

 以上のように、浪曲語りは、芸術上特に価値が高く、我が国の芸能史上特に重要な地位を占める技法である。

 

(2)保持者の認定について

1. 保持者

 氏名:福本 一光(ふくもと かずみつ)

 芸名:京山 幸枝若(きょうやま こうしわか)

2. 保持者の特徴

 同人は、伝統的な浪曲語りの技法を高度に体現する浪曲師として活躍し、卓越した技量を示している。また、斯界の発展及び後進の指導・育成にも尽力している。

3. 保持者の概要

 同人は、昭和29年に浪曲師の初代京山幸枝若(きょうやまこうしわか)を父に、曲師(きょくし)(浪曲三味線)の京山みつゑを母に兵庫県姫路市に生まれた。興行会社を営む義父と母に育てられた同人は、高校生の時に初代幸枝若の浪曲レコードを聴いて以来、その芸にのめり込み、昭和46年、初代が得意とした「雷電と八角(らいでんとはっかく)」で浪曲の初舞台を務めた。その後、初代幸枝若に弟子入りし、昭和47年に京山福太郎(ふくたろう)を名乗り、披露公演では「孝子万兵衛(こうしまんべえ)」を口演した。昭和51年には拠点を大阪に移し、多くの舞台で活躍しつつ研鑽を積み、師匠亡き後、平成16年には二代目京山幸枝若を襲名した。幸枝若一門の数多くの演題と幸枝若節を継承し、関西の浪曲界を牽引する浪曲師として現在に至っている。

 声、節、啖呵(たんか)の三拍子が揃い、力強く伸びやかに響かせる高音、緩急自在の節と啖呵によって作品世界を情感豊かに語る同人の芸は高い評価を受けている。なかでも「侠客伝」や滑稽味のある「名人物語」などの語りに磨きをかけ、軽快、華やかな独自の芸を創り上げている。このような同人の舞台成果に対しては、令和2年度(第75回)文化庁芸術祭大賞、同4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞が贈られている。令和3年には芸歴50年を記念した独演会「京山幸枝若フェスティバル」を木馬亭において5日連続で催すなど、関東にも活躍の場を広げている。

 また、自身の高座活動とともに後進の指導・育成にも尽力し、さらに公益社団法人浪曲親友協会の会長職を長く務めて、浪曲語りの継承、関西浪曲界の発展にも寄与している。

 以上のように、同人は、浪曲語りを正しく体得し、かつ、これに精通しているとともに、その技法を高度に体現している。

(重要無形文化財の指定及び保持者等の認定制度)
 我が国の伝統的な芸能や工芸技術のうち、芸術上又は歴史上価値の高いものを重要無形文化財として指定し、これらのわざの高度な体現者・体得者をその保持者又は保持団体として認定する制度です。

 

【問い合わせ先】
・教育庁文化財保護課文化財企画グループ
 電話番号:06-6210-9900
 ファクシミリ番号:06-6210-9903

・文化庁文化財第一課 芸能部門

 電話番号:075-451-4111(代表)

 

選定保存技術の保持者の認定

(1)選定保存技術「美術工芸品保存桐箱製作」について

 我が国では書画や工芸品の保存のため多くの場合、伝統的に桐製の保存箱が用いられてきている。これは桐箱が箱外の温湿度の変化に緩かに適応していく性質があり、美術工芸品を安定した環境の中で保存管理する上で極めて有効であることによる。このため国宝・重要文化財等の美術工芸品は修理の際に桐の保存箱や箪笥を製作し、これに収納することによる保存・管理が原則となっている。保存箱や簟笥の製作にあたっては十分に吟味された材料と正確かつ熟練した指物技術が要求されるが、現在、美術工芸品の修理技術者に協力し得る優れた指物師は、きわめて少なくなって来ており、当該技術を保護する必要がある。

 

(2)保持者の認定について

1. 保持者

 氏名:鈴鹿 五郎(すずか ごろう)

2. 保持者の特徴

 同人の美術工芸品保存桐箱製作は、桐材から発生する有機酸を抑える独自の工夫と、複雑な形状を持つ個々の工芸品に合わせた箱の仕様、正確かつ繊細な仕上がりが高く評価されている。

3. 保持者の概要

 同人は、昭和23年、大阪府大阪市にて指物製作を営む家に生まれた。大学中退後から父に師事し、指物製作技術を体得した。茶道具や陶磁器用の木箱製作を手始めに、漆工品など工芸品全般の桐箱製作に意欲的に取り組む中で技術を錬磨した。平成22年から正倉院宝物の保存桐箱の製作に携わり、平成30年からは国宝・重要文化財(美術工芸品)のうち工芸品分野の保存桐箱の製作に従事するなど、美術工芸品保存桐箱製作の実績を重ねてきた。
 同人製作の保存桐箱類は、吟味した国産材を水に晒すことにより有機酸の放散を抑えた材を用いる点に特長がある。また、極めて正確かつ繊細な加工技術により個々に複雑な形状をもつ工芸品の保存・活用に適した多様な形状の箱の製作に優れる。このように同人製作の保存桐箱は斯界の高い評価を得ており、文化財保存の上で欠かすことができない存在となっている。
 以上のように、同人は、美術工芸品保存桐箱の技術を正しく体得し、かつ、これに精通している。

 

(選定保存技術の選定及び保持者等の認定制度)

 文化財保存のために欠くことのできない伝統的な技術又は技能で保存の措置を講ずる必要があるものを選定保存技術として選定し、その技を保持している個人又は技の保存事業を行う団体を保持者又は保存団体として認定する制度です。

 

【問い合わせ先】
・教育庁文化財保護課文化財企画グループ
 電話番号:06-6210-9900
 ファクシミリ番号:06-6210-9903

・文化庁文化財第一課 工芸品部門
 電話番号:075-451-4111(代表)

 

部局

教育庁

文化財保護課

文化財企画グループ

ダイヤルイン番号

06-6210-9900

メールアドレス

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