7月21日(金曜日)に開催された国の文化審議会において、重要無形文化財の指定及び保持者の認定等について答申されました。このうち大阪府内在住者にかかるものとしては、重要無形文化財「人形浄瑠璃文楽人形」の保持者の追加認定(各個認定)、重要無形文化財「日本舞踊」の指定及び保持者の認定(総合認定)、重要無形文化財「能楽」及び「長唄」の保持者の追加認定(総合認定)で、次のとおりです。
【人形浄瑠璃文楽人形】(各個認定) 保持者の追加認定
「人形浄瑠璃文楽人形(にんぎょうじょうるりぶんらくにんぎょう)」は、昭和52年4月25日に重要無形文化財に指定され、現在、保持者として平尾勝義(ひらお かつよし)(芸名 吉田簑助(よしだ みのすけ))氏、荻野恒利(おぎの つねとし)(芸名 吉田和生(よしだ かずお))氏、宮永豊美(みやなが とよみ)(芸名 桐竹勘十郎(きりたけ かんじゅうろう))氏が認定されています。現保持者に加えて、大西 彰(おおにし あきら)氏を保持者として「追加認定」するものです。
これにより、府内の重要無形文化財保持者(各個認定)は、9名となります。
○氏名:大西 彰(おおにし あきら)
芸名:吉田 玉男(よしだ たまお)
【日本舞踊】(総合認定) 新規指定及び保持者の認定
「日本舞踊(にほんぶよう)」は、主に江戸・東京の歌舞伎において初演された歌舞伎舞踊や、京阪において主に座敷舞として発展した京舞及び上方舞から構成された、我が国の伝統的な舞踊です。演目としては18世紀以降につくられた歌舞伎舞踊が多くの割合を占めますが、劇場振付師や舞踊師匠たちを中心に伝承されてきた点、また衣裳付の上演のみならず、本衣装を排し、より踊り手の技芸に表現の重点をおいた、素踊りも重要な上演形態となっている点など、歌舞伎を離れた独自の歴史や芸術上の表現を有しています。
上演にあたっては、立方とともに長唄、常磐津節、清元節、義太夫節、地歌など演奏を受け持つ地方も不可欠な構成要素となっており、御祝儀物と呼ばれる素踊りの演目群に代表されるように、演奏用に開曲された曲に振付を加えた演目も、主要な伝承曲となっています。
歴史的には、例えば江戸時代初期の女歌舞伎のように、我が国には女性芸能者による舞踊の系譜があったが、日本舞踊においても、歌舞伎の舞踊(所作事)、あるいは京阪の舞を歌舞伎役者や劇場振付師等から習得し、一般の子女に伝承する役割を果たした舞踊師匠には、女性が多く活躍しました。そして劇場振付師、所作事に秀でた歌舞伎役者、大名家等へ出入りして歌舞伎や舞踊を見せた女性たちである御狂言師を母胎とし、西川流、藤間流、坂東流、花柳流、若柳流等の流派も誕生するようになりました。京阪では井上流、山村流、吉村流等が生まれています。明治以降になると、家元・宗家や舞踊師匠のなかからは、教授活動のみならず舞踏家として劇場の舞台に立つ人々も現れ、日本舞踊はより芸術的に洗練されて現在に至ります。
以上のように、日本舞踊は、芸術上特に価値が高く、芸能史上特に重要な地位を占めるものです。
今回認定する56名は、日本舞踊の技法を高度に体得し、重要無形文化財「日本舞踊」の保持者としてふさわしい者ですので、重要無形文化財「日本舞踊」の保持者の団体の構成員(日本舞踊保存会会員)として認定するもので、このうち府内在住者は下記の通り4名です。
■立方(たちかた)
〇氏名:吉田 保雄(よしだ やすお)
芸名:花柳 與(はなやぎ あとう)
〇氏名:太田 信子(おおた のぶこ)
芸名:楳茂都 梅咲弥(うめもと うめさくや)
〇山村 武(やまむら たけし)
芸名:山村 友五郎(やまむら ともごろう)
■地歌(じうた)
〇氏名:奥寺 光治(おくでら みつはる)
芸名:菊原 光治(きくはら こうじ)
【能楽】(総合認定) 保持者の追加認定
「能楽(のうがく)」は、昭和32年12月4日に重要無形文化財に指定され、その保持者として一般社団法人日本能楽会会員が総合的に認定されました。今回の答申により、現在の523名に加え、42名を団体の構成員として追加認定するもので、うち府内在住者は下記の1名です。
■シテ方(観世流)
〇氏名:林本 大(はやしもと だい)
芸名:なし
【長唄】(総合認定) 保持者の追加認定
「長唄(ながうた)」は、平成29年10月2日に重要無形文化財に指定され、その保持者として伝統長唄保存会会員が総合的に認定されました。今回の答申により、現在の89名に加え、36名を団体の構成員として追加認定するもので、うち府内在住者は下記の1名です。
■唄
〇氏名:岡村 信夫(おかむら のぶお)
芸名:杵屋 勝之弥(きねや かつのぶや)
※重要無形文化財の指定制度及び保持者等の認定制度
我が国の伝統的な芸能や工芸技術のうち、芸術上又は歴史上価値の高いものを重要無形文化財として指定し、これらのわざの高度な体現者・体得者をその保持者又は保持団体として認定する制度です。
【問い合わせ先】
・教育庁文化財保護課文化財企画グループ
電話番号:06-6210-9900
ファクシミリ番号:06-6210-9903
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