オオタカ保全方策について

更新日:2009年8月5日

安威川ダムオオタカ保全方策について 提言

平成14 年9月19日

安威川ダムオオタカ調査委員会

 「安威川ダムオオタカ調査委員会」では、平成12 年8月28 日に第1回委員会を開催して以来、7回にわたり、安威川ダム計画区域周辺に生息するオオタカなどについて、行動等に係る調査方法及び調査結果の解析・評価並びにその方法について検討してきた。また、生息環境の保全方策については、調査中といえども、繁殖期の工事の中止や、工法を変更し改変面積を大幅に縮小して谷筋の保全を図るなど、有効な対策を検討・実施してきたところである。
 オオタカの調査結果については、計画区域内での営巣は確認できなかったが、周辺区域で生息するオオタカについて、その行動圏や飛行ルート等について多くの情報が得られ、繁殖期に示す行動パターンなどを明らかにした。
 これらの調査結果と「安威川ダム計画」の自然環境に対する基本コンセプトを踏まえ、本委員会ではダム計画の周辺区域に生息するオオタカの保全を図るため以下のとおり提言する。

1.「安威川ダム計画」では、周辺区域との調和及び計画区域における生態系の保全を図っていくことを基本コンセプトとしており、今後もこのコンセプトに沿って事業を実施すること。

2.計画区域及びその周辺地域におけるオオタカの生息状況と保全対策

1) 生息状況
 オオタカの営巣地はダム計画区域内では確認されていない。
 しかしながら、周辺区域においてはオオタカやサシバが営巣に利用している地域がある。このため、近傍での工事施工時の保全対策を検討する必要があり、毎年営巣場所を確認することが重要と考えられる。

2) 保全対策
 オオタカの営巣地は計画区域内では確認されていないが、事業の実施に当たっては、生物の生息環境(生態系)に配慮し、オオタカなどの猛禽類も利用しやすい空間を創出するなど、適切な保全対策等を講じるものとする。
 例えば、営巣地周辺の遮蔽のための植樹の実施、水鳥などが生息でき葦等の植生が可能な水辺空間の創出、ダム貯水池の洪水時の水位から平常時の水位までの斜面や付替道路の法面等で森林表土を利用し速やかに適切な緑化回復を図るようにする。

3) 造成・建設工事等に係る配慮
 これまでの調査結果を解析したところ、工事によるオオタカの営巣や繁殖活動への影響は認められなかったものの、ダム計画は広大な土地の改変を伴うことから、工事の実施にあたっては、オオタカの行動や営巣時期を配慮するなど生息環境の保全を図るものとする。

3.オオタカ以外の猛禽類の生息状況と保全対策について

 オオタカ以外の猛禽類については、今回の3営巣期にわたる調査においてハチクマ、サシバ等の猛禽類が確認されている。このうち、ダム計画の周辺区域で営巣が確認されたサシバについてはオオタカと同様に工事中の配慮を行うものとする。

4.今後の調査方針について

1) 営巣の確認
 ダム計画周辺区域にオオタカが営巣するということを前提とし、引き続き営巣地を確認するための調査を行っていくこと。
 また、新たな営巣地が特定された場合には、繁殖活動の状況について調査を行い、本委員会を開催し新たな保全策を検討するなど繁殖活動への影響を最小限にとどめるよう努めること。

2) 工事監視調査
 営巣地の近傍において工事を行う場合には、工事監視調査を行い、工事の進め方や施工を工夫するなど検討を行い、必要に応じて工事にフィードバックすること。

5.営巣地の保護

 今回の調査結果により周辺地域で確認されたオオタカなどの営巣地についての場所を特定するような情報は、密猟や写真撮影等により多数の人々が営巣地周辺に出入りし、繁殖活動に影響を及ぼす可能性があるため、公表は行わない。

このページの作成所属
都市整備部 茨木土木事務所 安威川ダムグループ

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