社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 文書回答(1)

更新日:2023年9月29日

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文書回答日令和5年9月4日(月曜日)
団体名社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会
表題知的障がい児者とその家族に対する支援策の充実について(要望)

文書回答

【権利擁護】
(要望項目)
〇知的障がい児者への虐待について
 昨年発生した北海道不妊手術強要、福岡市発達障がい児監禁事件などに見られるとおり、障がい児者への虐待事案は変わらず続いています。とりわけ大阪府はその虐待認定件数の多さが顕著であると認識しています。

(1)私たち育成会は、津久井やまゆり園の事件を忘れることはできません。社会の一部に根強くある優生思想を払拭するべく、大阪府として、知的障がい児者を支援する人たちへの強力な虐待防止の取組みをお願いします。

(2)施設等での虐待を予防するには「風通しのよさ」が必要で、支援現場に「外部の目」が入ることが有効です。その外部の目として重要な役割を果たす行政の実地指導が、コロナ禍では回数も規模も縮小されてしまっています。虐待防止の観点でも実地指導がしっかりと行われますことと、コロナ禍以前よりさらに丁寧な指導がされますようお願いします。これについては、実地指導等を所管する市町村に指導をしてください。

(3)障害者虐待防止法に則り虐待防止センターが各市町村に設置されていますが、その取組みや対応に違いが見られます(虐待の認定基準や具体的対応方法など)。当団体としては障がい児者の命や尊厳に関わる、虐待防止の取組みや、虐待への対応に、市町村格差が絶対にあってはならないと考えます。現在、虐待防止センターの運用は市町村任せになってはいませんか。各市町村においてその取組みが標準化されるよう、大阪府の取組みを望みます。

(回答)
(1)について回答
 障がい者虐待は、障がい者の尊厳を害するものであり、障がい者の自立と社会参加にとって障がい者虐待の防止を図ることが極めて重要であると認識しています。
 大阪府では、障がい福祉サービス事業所職員向け虐待防止研修を実施し、事業所における障がい者虐待の防止と未然防止の取組みの促進を図っております。なお、今年度の演習事例を放課後等デイサービス事業所での事例に設定する等、受講者が所属する事業所で活用しやすいように内容を工夫しているところです。その他、相談支援従事者初任者研修や強度行動障がい支援者養成研修等でも虐待防止に関する講義を行なっております。今後も引き続き虐待防止に取組んでまいります。

(2)について回答
 実地指導については、定期的に行うもののほか、虐待・苦情等の通報があり実地指導が必要と判断した事業所への指導等を行っているところです。今後も引き続き、支援の質の確保並びに自立支援給付等の適正化を図るため、計画的に実地指導を行ってまいります。また、指定・指導業務を担当する市町村との会議において、適切に指導が行われるよう情報交換や助言等を行っているところであり、引き続き指定・指導業務の均質化のための場を設けてまいります。

(3)について回答
 虐待防止センターの運用につきましては、障害者虐待防止法第32条に則り、市町村に責務があります。しかし大阪府としましては、市町村間での取組みや対応に格差があることは課題であると認識しています。そのため、障がい者自立支援給付支援事務等市町村指導を実施し、必要な事務等手続きの周知徹底とともに助言を行っています。また今年度の市町村職員向け研修では圏域を3つに分けて演習を行うなど、市町村の対応力向上に取組んでまいります。

(回答部局課名)
福祉部 障がい福祉室 障がい福祉企画課 
福祉部 障がい福祉室 生活基盤推進課(太字部について回答)

(要望項目)
〇知的障がい児者への差別解消について
 障害者差別解消法および大阪府条例において、事業者の合理的配慮義務がうたわれています。しかし、社会におけるその理解が進展していることについて私たち当事者には実感がありません。

(1)差別解消法の相談窓口対応の相談数が少ないと聞いています。各市町村の取扱い件数を教えてください。また、特に知的障がいの件数が少ないようですが、これは私たち本人や家族の現実の生活からかけ離れています。なぜ知的障がいの相談は少ないのか、大阪府の見解とその対策についてお聞かせください。
  また、知的障がい児者への差別について、具体的な差別事案を可能な限り私たち当事者にお知らせください。

(2)知的障がいのある本人やその家族は、自らの平常を守るため、差別など受けてもその行為者へ申し出るということがしづらいです。その前提に立って、当団体は、私たちを支援してくれている支援者からの相談が増えることを願っています。前年度にお伝えしましたヘルパーへの調査は、その障害者差別の実際を抽出するにふさわしい対象であると考えていますので、取り組んでください。

(3)知的障がい児者への合理的配慮について、その特性に配慮した「わかりやすい文書」への配慮がなされていないのが現実です。大阪府下において、行政が発行する書類には、知的障がいへの合理的配慮が必ずなされるよう工夫をしてください。また、その配慮の内容は、難しい文章にルビをふるだけではなく、やさしい日本語を取り入れ、意味のある配慮になるようにお願いします。

(回答)
(1)について回答
 障がい者差別に係る各市町村における相談の受付件数については、大阪府のホームページにおいて公開しておりますので、そちらを参照ください。
 各市町村における相談受付件数は障がい種別ごとに聞き取っていないため把握しておりませんが、大阪府で受け付けた相談については、令和4年度が全体で166件あり、そのうち知的障がいがある方に関する相談は20件でした。
 相談件数が実感に比べて少ない点については、本人やご家族が相談を言い出しづらかったり、支援者が気づいていなかったりなど様々な要因があると考えられます。
 大阪府としては市町村並びに大阪府の相談窓口について周知に努め、より相談を行いやすいようにしてまいります。
 なお、知的障がいのある方に関する相談のうち、不当な差別的取扱いに関する事例や合理的配慮の不提供に関する事例などについては大阪府が毎年度作成している報告書の中で、その概要を掲載しております。

(2)について回答
 障がい者差別の解消を図るためには実際にあった事例を多くの方に知っていただき、そのような場面に遭遇した際、どのように対応すべきかを考え、認識していただくことが大切です。
 そのために様々な事例を収集することは有効であると考えます。どのような方に対して、聴き取りをするのがふさわしいのかなどを含め、その収集について検討してまいります。

(3)について回答
 大阪府内において行政が発行する書類はイベントのチラシから契約書に至るまで非常に多岐にわたります。
 その中で、知的障がいのある方に直接お渡しすることが想定される文書については、わかりやすい日本語による記載をするように庁内での研修や府内市町村に向けた研修等で周知を進めて参ります。
 なお、大阪府の障がい者施策を総合的、計画的に推進することを目的として策定した「第5次大阪府障がい者計画」については、簡易な表現を用いる、文の構造を簡単にする、漢字にふりがなを振るなどを基本的なルールとする「やさしい日本語」で記載した「わかりやすい版」をホームページに掲載しております。
 今後も引き続き、障がいのある方にもわかりやすく、伝わりやすい情報提供を行うなど、知的障がいがある方への合理的配慮に努めてまいります。

(回答部局課名)
福祉部 障がい福祉室 障がい福祉企画課

(要望項目)
〇知的障がいの啓発について
 大阪府においては、ふれあいキャンペーンを中心に啓発に取組んでいただいているところですが、そのキャンペーンが市町村に平たく活用され定着しているとは言えない状況です。現況を分析し、より効果的な取組みが必要です。
 
(1)障がいのある人を理解するためには、出会って交流していただく必要があると私たちは思っています。このような取組みが市町村に広がるよう、好事例を収集し公表するなど、私たちと一緒に考えてください。

(2)障害者差別解消法では、令和6年4月より合理的配慮の提供が事業者へも全面義務化となります。障がいのある人を雇用する企業も含めて、事業者への啓発について、私たちと一緒に考えてください。

(回答)
(1)について回答
 大阪府では障がいを理由とする差別をなくすために、様々な障がいや障がい者理解啓発に努めております。
 また、障がい理解に関する啓発活動は、府内の各市町村におかれましても地域の特性なども踏まえながら取組みを進めていただいているところです。そのなかでも効果的な取組みをされている市町村があれば、大阪ふれあいキャンペーン実行委員会の場も活用し、紹介いただくなど広く市町村へお知らせしています。引き続き効果的な取組みについて、研修会や会議の機会を活用し、周知する機会を設けるなど、横展開を図ってまいります。

(2)について回答
 改正障害者差別解消法の施行により、令和6年4月1日からは事業者による合理的配慮の提供が義務化されます。
 大阪府では法に先んじて条例により令和3年4月から事業者による合理的配慮の提供を義務化し、その周知啓発に努めてまいりました。
 内閣府において改正法の周知リーフレットを作成されており、これも活用しながら、今後とも市町村と連携し周知啓発を行うとともに、事業者向けの研修等におきましても周知を図ってまいります。
 また、平成25(2013)年の障害者雇用促進法の改正により、労働者の募集・採用時や採用後について、差別禁止と合理的配慮提供義務が明文化されたところです。障がい者を採用した企業が、障がい者当事者の意思を尊重した合理的配慮を提供できるよう、本人の体調管理や他の従業員との日常のコミュニケーション等をサポートすることができる「雇用管理のための対話シート」及び「合理的配慮のための対話シート」からなる、独自の「雇用管理ツール」を作成し、その普及を図るとともに、各種セミナーによる啓発や職場定着等に関する相談・助言を行っているところです。
 今後とも、大阪労働局等と連携を図りながら合理的配慮提供の啓発に努めてまいります。

(回答部局課名)
福祉部 障がい福祉室 障がい福祉企画課((1)、(2)について回答)
商工労働部 雇用推進室 就業促進課((2)太字部について回答)

(要望項目)
〇知的障がい児者の家族支援について
 養護者虐待が起こる世帯は、家庭内もしくは生活に困難を抱えた世帯が多いです。また知的障がいは長年家族が介護するものとされてきたことで、現在老障介護といった問題が大きくなっています。さらに近年、支援の対象となったヤングケアラーには、障がいのある人のきょうだいが対象となっているはずです。
 当団体は、知的障がいの分野こそ家族支援が必須であると考え、特に地域や生活に密着した支援が必要であると思っています。

(1)児童期の保護者支援やきょうだい児(ヤングケアラー)支援には、相談支援の強化等が必要です。国では、数年前から厚生労働省でも文部科学省でも家庭と教育と福祉の連携をうたい、プロジェクト等を行ってきました。それらは大阪府でどのように広がっているのでしょうか?特に「保護者支援を推進する方策」が私たち当事者に伝わってきません。福祉部局として具体的な例をあげて、大阪府の状況を教えてください。

(2)児童期の保護者、成人障がい者の養護者、いずれに対しても、ピアサポートが有効であります。同じ家族による支えあいや繋がりは私たち育成会の今ある姿です。私たちの活動をどうぞ活用してください。
  また、この提案以外に大阪府として、家族支援強化への取組みがおありならば教えてください。

(回答)
(1) について回答
 大阪府では、ヤングケアラー支援を進める必要があるとの認識のもと、対策を総合的に推進するため、庁内に「ヤングケアラー支援関係課長会議」を設置するとともに、市町村、事業者や学校とも連携した取組みが進められるよう、府の施策の方向性と具体的取組みを示すため、「大阪府ヤングケアラー支援推進指針」を令和4年3月に策定しました。
 本指針に基づき、(1)社会的認知度の向上、早期発見・把握、(2)プラットフォームの構築、(3)支援策の充実に取組むとともに、福祉基金を活用して、ヤングケアラー支援に取組む団体に助成しています。

 これらの取組みを通じて、子どもや若者が家族の世話のために自身の可能性を諦めることなく、自分の将来を自分で切り拓いていくことが叶う社会の実現をめざしてまいります。
 また、国に対して、ヤングケアラーへの支援強化に向けた法整備及び法に盛り込むべき内容について要望しています。

 ヤングケアラーがいる家庭に対する計画相談支援の実施にあたり、相談支援専門員が関係機関と連携した適切な支援に繋げるため、相談支援従事者研修等において、発見のための着眼点や対応するうえでの配慮をする事項等に関する研修に努めているところです。
 また、障がい児通所支援事業所の支援力の向上を目的とした障がい児通所支援事業者等育成事業の中で、小中学校等の教育機関を対象とした機関支援を実施しており、府が事業を委託している大阪府発達支援拠点が圏域内の小中学校等のニーズに応じて訪問支援等を実施し、発達障がいの特性や環境調整、児童や保護者の支援の仕方等について専門的な助言を行っています。

(2) について回答
 大阪府では、発達障がい児の家族支援を充実させるため、発達障がい児の子育て経験者を「ペアレント・メンター」として、市町村が実施する発達障がいの啓発や家族支援を目的とした研修・講演会等に派遣しています。
 平成26年度からペアレント・メンターの養成研修を行い、令和4年度末でメンター登録者数は70名になるなど普及を進めてきました。また平成27年度から令和4年度までで134件の派遣を行い、学校や事業所とのかかわり方や保護者目線による子どもとの接し方、将来の展望などの様々な経験談やノウハウを保護者と共有するなど、家族への支援も行っています。
 また、令和4年度からピアサポーターとして働こうとしている人や働いている人を対象とした「障がい者ピアサポート研修」を実施しております。令和4年度には基礎研修及び専門研修を実施し、令和5年度からはさらにフォローアップ研修も実施する予定です。引き続き、ピアサポーターの専門性を高めるための研修を実施してまいります。

(回答部局課名)
福祉部 障がい福祉室 地域生活支援課((1)、(2)について回答)
福祉部 地域福祉推進室 地域福祉課((1)太字部について回答)
福祉部 子ども家庭局 子ども青少年課((1)太字部について回答)

(要望項目)
〇知的障がい児者の家族支援について
 養護者虐待が起こる世帯は、家庭内もしくは生活に困難を抱えた世帯が多いです。また知的障がいは長年家族が介護するものとされてきたことで、現在老障介護といった問題が大きくなっています。さらに近年、支援の対象となったヤングケアラーには、障がいのある人のきょうだいが対象となっているはずです。
 当団体は、知的障がいの分野こそ家族支援が必須であると考え、特に地域や生活に密着した支援が必要であると思っています。

(1)児童期の保護者支援やきょうだい児(ヤングケアラー)支援には、相談支援の強化等が必要です。国では、数年前から厚生労働省でも文部科学省でも家庭と教育と福祉の連携をうたい、プロジェクト等を行ってきました。それらは大阪府でどのように広がっているのでしょうか?特に「保護者支援を推進する方策」が私たち当事者に伝わってきません。福祉部局として具体的な例をあげて、大阪府の状況を教えてください。

(回答)
(1) について回答
 障がいのある子どもの支援を進めていくうえでは、家庭・教育・福祉等との連携は重要であると認識しています。
 大阪府では、障がい者の方から相談を受ける相談員・窓口職員を対象として「福祉のてびき」を作成しています。
 府立支援学校においても本てびきを活用し、適切な助言等ができるよう保護者支援の充実を図ってまいります。

(回答部局課名)
教育庁 教育振興室 支援教育課(太字部について回答)

【知的障がい児者の防災】
(要望項目)
〇災害等における防災について
 近年の大雨災害や台風被害、頻発する大規模地震など、防災への備えは今そこにある危機として私たちは捉えています。災害時障がいのある人の命と生活が守られるために、備えとしての様々な配慮がなされることを願います。

(1)各市町村にて把握されている「要支援者名簿」の内容について大阪府として把握し、以下の内容について市町村ごとに公表してください。
 ・対象とする人
 ・登録されるまでの手続き
 ・情報更新がされているかどうか
 ・名簿活用の実際(平常時、災害時)
 ・広報の仕方

(2)各市町村における個別避難計画の作成状況についてお聞かせください。その中で、知的障がいのある人の作成件数についても教えてください。

(3)災害有事の際に障がいのある人が利用する「福祉避難所」の府下の設置状況を公表してください。そして大阪府が把握されている、福祉避難所にまつわる課題をお聞かせください。

(回答)
(1)について回答
 各市町村の避難行動要支援者名簿の内容については、内閣府及び消防庁が毎年1回実施する「避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査」を以て名簿の更新状況、名簿に記載されている人数、名簿に記載する者の範囲、事前に名簿を提供する先などを把握しています。なお、当該調査の結果は、市町村ごとのデータが公表されています。
 参考:避難行動要支援者の避難支援対策の調査結果(総務省消防庁HP)
 https://www.fdma.go.jp/mission/prepare/assistant/assistant002.html

(2)について回答
 各市町村における個別避難計画の作成状況については、内閣府及び消防庁が毎年1回実施する「避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成等に係る取組状況の調査」の結果によれば、令和5年1月1日時点で、府内43市町村のうち、個別避難計画を1件以上作成している市町村が27、未作成が16です。また、府内の個別避難計画の策定済数は、16,317件です。なお、知的障がい等の内訳は、調査項目にありません。

(3)について回答
 福祉避難所は、府域全体で666施設あります(令和5年7月1日時点)。なお、福祉避難所の指定は、災害対策基本法上、各市町村が行っているため、詳細は、各市町村に問い合わせください。
 福祉避難所の課題については、受入れを想定していない被災者が避難される可能性があるなどの懸念があることから施設管理者等が指定を望まないということがあります。令和3年5月に国の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」が改正され、福祉避難所の受入対象者の公示及び避難所の感染症対策・熱中症対策・衛生環境対策について明記されました。これを踏まえ、大阪府としては「大阪府避難所運営マニュアル作成指針」を一部改正し、指定福祉避難所の受入対象者の特定や公示方法の内容について追記し、避難所を開設する市町村に周知したところです。
 また、施設管理者等の協力も必要なことから、大阪府としては、これまで福祉部や社会福祉法人大阪府社会福祉協議会と連携し、福祉施設・事業者等へ協力を要請するとともに、市町村の地域福祉担当部局が集まる会議の場で指定福祉避難所の必要性や指定の促進について働きかけを行っています。
 さらに、教育庁と連携し、府立支援学校を福祉避難所として指定できるよう取り組みを進めています。
 引き続き福祉避難所の一層の確保と質の向上をめざし、市町村と連携して取り組んでまいります。

(回答部局課名)
危機管理室 防災企画課
危機管理室 災害対策課
福祉部 福祉総務課
福祉部 障がい福祉室 障がい福祉企画課

(要望項目)
〇新型コロナウィルス感染症について
 コロナの脅威にさらされた3年間。感染者が発生した事業所は容易に休業をする、ガイドヘルパーやホームヘルパーの派遣を断られるという状況が繰り返されました。自分たちは感染や接触をしていないにも関わらず、平常の生活ができませんでした。
 特に、知的障がいのある人たちは、何が起きているのか理解しづらく、とてもしんどい思いをしました。それでも社会に合わせ懸命に自粛やマスク着用など感染予防を行い、耐え忍びました。その結果、二次的な障がい等が起きている人たちもいます。
 また「感染者になっても入院ができない。」「家族が感染しても、誰も助けにきてくれない。」という苦しい叫びが聞こえると同時に、「健常者はたやすく入院や療養施設に入れる」ということも繰り返されました。
 私たちは「障がいがあるから、あきらめるしかない」のでしょうか。今後もこのような災害が起きるたび、見捨てられ・後回しにされ、家族だけが「できない辛抱」を続けなければならないのでしょうか?
 私たちが向き合った「障がいのある人の生活が簡単に崩壊してしまう現実」を振返り、以下のことをお願いします。

(1)コロナ禍において浮彫りになった、障がい児者やその家族をとりまく課題は、そもそも障がい児者福祉が抱えていた課題であると認識しています。大阪府においては、府下各地における障がい児者をとりまくこの間の課題について集約検証し、今後の障がい児者福祉施策に反映させてください。

(2)コロナに感染しても入院できないという状況が府下各地で見られました。とりわけ障がい程度が重いことを理由に拒否されたり、付き添いが必要ということで断られたりといった事案もありました。これらは平時にも見られることかと思います。どんなに重い障がいがあってもあたりまえに医療が受けられるようにしてください。

(3)コロナ感染症にまつわるさまざまな社会的動きが見られました。日々変化した感染症への対応、支援金やワクチンなどのこと、各市や府の関連施策など、そもそも情報を得ること、見通しを立てることが苦手な障がいのある人は非常に戸惑いました。これを機に、障がいのある人への配慮として、「わかりやすい」に留意した情報の保障をしてください。

(4)コロナ感染症まん延時には、多くの感染者の入院がかなわず、グループホームなど居住系サービスにおいては、施設内で利用者の隔離療養を行わざるを得ませんでした。大阪府においては、施設内で陽性者支援を行った場合、介護事業所には国補助金および大阪府からの補助金を支給していましたが、これを今後は、障害福祉サービス事業所も同様の扱いとしてください。

(回答)
(1)について回答
 令和3年3月に策定いたしました「大阪府第5次障がい者計画」において、新型コロナ感染症などの新興感染症への対応など、パンデミックについても視野に入れた取組みが必要であることを記載しており、障がい者やその家族を取り巻く課題として認識しております。
 障がい福祉サービス等は利用者やその家族の生活にとって欠かせないものであり、施設・事業所内における感染予防対策の徹底やそのために必要な研修の実施、啓発動画等の研修材料の提供等など必要な対策を講じるとともに、クラスターが発生した場合には、施設・事業所等の事業継続が困難となり、障がい者の生活等にも悪影響が及ぶ可能性があることから、衛生資材の調達、事業所間連携を含む応援職員の派遣やゾーニング等の技術指導などの感染予防・拡大防止・早期収束に向けた対策に取り組んでまいりました。
 地域自立支援協議会は、地域の関係者が集まり、コロナ禍で生じた新たな支援上の課題を含め、個別の相談支援の事例を通じて明らかになった地域の課題を共有し、その課題を踏まえて、地域のサービス基盤の整備を着実に進めていく役割を担っているところです。
 大阪府障がい者自立支援協議会の役割として、地域における障がい者支援のバックアップを位置づけ、地域のばらつき対する取り組みを進めているところです。
 今後につきましても、コロナ禍におけるこれまでの経験や健康医療部が作成しました「保健・医療分野における新型コロナウイルス感染症への対応についての検証報告書」の内容等も踏まえまして、障がい者福祉施策を検討してまいります。

(2)について回答
 合理的配慮の基本的な考え方を含む厚生労働省発出の「障害者差別解消法 医療関係事業者向けガイドライン」を医療機関に対して周知し、適正な医療の提供に努めるよう働きかけています。
 また、「大阪府障がい者差別解消ガイドライン」や障がい児者への医療提供に関する厚生労働省通知を保健所が実施する立ち入り検査等の機会を活用して情報提供・周知を行うなど、障がい児者への適切な医療提供が行われるよう引き続き周知を図ってまいります。

(3)について回答
 大阪府広報紙「府政だより」では、紙版以外に音声版(テープ・デイジー版)やウェブ版を発行しています。
 また、ウェブ版では「府政トピックス」などのページにおいて、ふりがな付き記事を掲載するなど、わかりやすい広報に努めています。

(4)について回答
 新型コロナウィルス感染症の位置づけが2類から5類に引き下げられたとしても、障害福祉サービス事業所等における感染対策は引き続き必要であると認識しています。
 従いまして、施設内での療養を余儀なくされた場合に感染対策の徹底、療養の質及び体制の確保等を行うため、介護施設等への支援と同様、障がい者支援施設等に対しても施設内療養が行えるよう、支援の拡充を早急に実施するよう国に要望してるところです。

(回答部局課名)
福祉部 障がい福祉室 障がい福祉企画課((1)について回答)
福祉部 障がい福祉室 生活基盤推進課((4)について回答)
健康医療部 保健医療室 保健医療企画課((2)について回答)
府民文化部 府政情報室 広報広聴課((3)について回答)

このページの作成所属
府民文化部 府政情報室広報広聴課 広聴グループ

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