日佐: 製造側でいえば、先入れ先出し(保管物品の品質が長期滞留によって劣化することを防止するため、物品を取り出す場合、保管期間の長いものから順に行うこと) が企業の中では原則です。家庭の中でも先入れ先出しをきちっとやることが重要ではないかと思います。 チャイナフリー(中国産不使用)の問題についても、基本的には中国だから全部だめだということではないわけです。 これは、中国の山東省の農地の給水状況ですが、これでかなり水を使っています。日本と中国の生産量の違いは、この水がなくなるかどうかという部分です。中国は水がかなり枯渇しています。 | |
これが畑の状況です。 | |
契約農家の農地には、この畑には何を植えてだれが育てているかを全部書いてあります。 | |
これは防虫ネットです。畑を目の細かいネットで囲んでできるだけ農薬を少なくしようとしています。 | |
これは日本でも問題になっているドリフト(農薬散布時に発生する目的外の作物への飛散)です。左右の農地の真ん中に結構広い道路があり、2メートルから3メートルぐらいあるトウモロコシで農地を区画し、ドリフトを防いでいるわけです。日本の農地にもあぜ道がありますが、どちらが安全かというと、こちらの方がいくらか安全なんです。 日本では無農薬といっても、周りが農薬を使っているから無農薬が確保できているという場合もあります。この辺をきちっと見きわめないとだめです。 | |
日佐: 危険と安全の区別をするのは日本のメーカーあるいは商社の責任です。チャイナフリーをしたということは、商社もメーカーも自信がないということです。それと、消費者のパワーに負けている。 危険と安全の区別をきちっとしていれば、天洋食品だけの輸入をストップして、それ以外は輸入すべきです。 これは、毒ギョーザのISO22000不適合の推測ということで、ハセップ対応していくのが可能かを具体的に示しています。 |
左側の「事故管理、トップが知らない」というのは、ISOの5.7という項目で「緊急事態に対する備え及び対応ができていない」ということです。行政の方には申しわけないんですが、千葉の保健所が苦情検査未実施ということは、生協の、民間の検査を待ってたわけです。それは責任と権限の放棄なんです。
そういう形で、ISO22000で全部説明できます。
右側の「トルエン検出」は「ハザードの明確化及び許容水準」です。トルエンが出たということに対して、袋の外だから大丈夫だという形で、危険度をレベル1にしました。この判断について、「是正処理」ができていないわけです。農薬はほとんど無色透明で、においがするのは溶媒とか乳剤です。それがわかっていないということは、「認識及び教育訓練がちゃんとできていない」という形になります。だから、ここは生協やJTがもう一遍再教育をしなければならないという形で、ISO22000では説明がつきます。
そういった管理システムがあるということを皆さんに認識していただければありがたいと思います。
梅田:
この先、チャイナフリーという問題に関しては、改善されていく方向なんでしょうか。
日佐:
私は、マスコミと消費者の問題だと思います。
梅田:
なるほど、わかりました。マスコミと消費者の問題、これは一つキーワードですね。今度は早乙女さん、いかがでしょうか。
早乙女:
もったいないということに関して言いますと、今回のギョーザの件では、国内の製造工場で販売しているという記載があるにもかかわらず、33万件もお問合せをいただきました。
早乙女:
その声の中では、「もう冷凍のギョーザは気持ち悪いから食べたくない」というものが多く、「大丈夫です、自信を持って作っております、国内で作っております」とお話をしても、一つ事件が起きてしまうと安心というところが崩れてしまう。店頭で冷凍ギョーザや冷凍食品が一斉に撤去されてしまう様子がマスコミで報道されたことの影響も受けて、当社としては非常に残念な気持ちでいっぱいでした。
今の日佐先生のお話などから、きちんとした情報の取捨選択をどのようにして共有化していけばいいのか、当社としても一企業としてどのように発信していけばいいのか、非常に苦慮したところです。
梅田:
テレビも悪い、ラジオも悪い。戦後60数年、日本というのは旬を常に追いかけてブームに乗っかるのが実にうまい国民なんです。だからブームをつくることもうまい。その一方で、のど元過ぎれば熱さ忘れるという言葉がある。国民性も非常に大きな課題になりそうですね。
さて、淡野さん、例えば間違った情報が流れている時、行政はそれを正すメッセージを出しますか。
淡野:
今回のギョーザにつきましては、まだ結論は出ておりませんが、通常の残留農薬の問題では考えられない。
それがテロになるのか故意の事件になるのかはわかりませんが、分けて考える必要があるのではないかと思います。
こういった風評被害で思い出すのが、ちょうど5年前に京都で高病原性鳥インフルエンザが発生したことです。日本国内で初めてということで、行政としては、あくまでも他の鶏に病気を拡げないために鳥を処分しました。ただ、大勢で白衣を着て鶏小屋へ入っていって鶏をすべて殺してしまうという新聞記事の写真やテレビの映像を見て、一般の国民の方は、鶏の肉や卵を買わなくなってしまいました。我々行政は一生懸命、鶏から鶏に伝染しないためにやっているんですよ、鶏の肉や卵で鳥インフルエンザになった人は一人もいませんよと厚生労働省も言っています。世界的にもそういうことですよと説明しても、どんどん捨ててしまう。生産の方も一生懸命つくっているにもかかわらず、だれも買ってくれない。そういうことがありました。
去年、宮崎県で同じような事件がまた起こりました。先ほど梅田さんがおっしゃったように、のど元過ぎればというように、過去に経験しているにも関わらず、また鶏肉や卵が売れなくなるという動きがありました。我々行政としても、皆さん方に情報をいかにわかりやすく的確に説明するか、これが問題としてあると思います。先ほども言いましたように、みんながレベルアップしていかないといけない。行政もこれをひとつの問題として、今後よりわかりやすく広報していきたいと考えております。
梅田:
宮崎県では、東国原知事のフットワークがすばらしかったと、評価できると思います。大阪にも橋下知事という顔ができましたので、大いに動いていただきたいとお願いしたいですね。
このページの作成所属
健康医療部 生活衛生室食の安全推進課 食品安全グループ
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