ヒートアイランドに配慮したまちづくりを目指して(大阪府ヒートアイランド対策推進計画(前計画))

更新日:2016年3月15日

大阪府ヒートアイランド対策推進計画(前計画) (ヒートアイランドに配慮したまちづくり) 概要版

※大阪府では大阪市とともに、「大阪府市ヒートアイランド対策基本方針」、大阪府環境審議会の答申などを踏まえ、ヒートアイランド対策の基本的な考え方や目標、取組内容を定めた「おおさかヒートアイランド対策推進計画」を平成27年3月に新たに策定しました(「おおさかヒートアイランド対策推進計画」の詳細はこちら)。

計画の策定にあたって

 大阪府域では地球温暖化による影響とヒートアイランド現象が相まって、その高温域が大阪市内に留まらず、郊外の住宅地域へと広がりつつあり、その影響は生態系の変化だけでなく、熱中症や寝不足、ストレスの増加など、健康への影響が懸念されています。
 さらに、ヒートアイランド現象は、「住みやすさ」や「働きやすさ」、「訪れやすさ」など、都市環境としての質、「大阪の都市格」の悪化を招いており、この現象を緩和するための対策を早急に講じていくことが、喫緊の課題となっています。
 しかし、ヒートアイランド現象は、何十年にもわたる都市化とエネルギーの大量消費の結果として現れてきた環境問題であるだけに、その解決のためには、都市構造の見直し、エネルギー大量消費型社会からの転換も見据えた総合的な対策を計画的に実施していく必要があります。また、地球温暖化問題と同様、都市に生活するすべての主体がかかわる問題であるため、行政、事業者、府民ひとり一人がその役割を十分認識し、連携・協力してその対策に取り組んでいく必要があります。
 このため、大阪府では、学識経験者などからの意見を聞きながら、中・長期的な視点に立った対策の基本的な方向や当面取り組むべき対策について検討を重ねてきました。本計画はその結果をとりまとめたものです。

ヒートアイランドの現状

  • 大阪では100年間に2.1℃気温が上昇し、全国平均の1.0℃を上回る速さで温暖化が進行しています。この差の1.1℃はヒートアイランドの影響と考えられます。

    大阪と日本における年平均気温の推移のグラフ(出典:大阪管区気象台、気象庁データより作成)
    大阪と日本における年平均気温の推移のグラフ
  • 全国主要都市(大阪、東京、名古屋、横浜)の真夏日数(日最高気温が30℃以上を記録した日)を比べると、大阪は過去から他の都市よりも真夏日が多く、この30年間で約1.4倍に増加しています。

    主要都市における真夏日数の推移のグラフ(出典:各管区気象台データより作成)
    主要都市における真夏日数の推移のグラフ
  • 大阪、豊中、枚方、堺、能勢における7月から9月の熱帯夜数は、能勢を除く4地点において、1990年頃以降、増加傾向にあり、気温の高い地域が拡大しています。

    府域における熱帯夜数の推移のグラフ(出典:アメダス、大気汚染常時監視局データより作成)
    府域における熱帯夜数の推移のグラフ

ヒートアイランドの原因

  • 府域の土地利用状況の推移をみると、約30年間で山林・原野等は11%、農地は42%減少していますが、住宅地は34%、道路は50%増加しています。

    土地利用の推移の図
    画像です。土地利用の推移の図
  • 府域の全エネルギー消費量は、1982年度と比べ25%増加しており、中でも電灯や都市ガスの伸びが大きく、各々106%、124%の増加となっています。また、電力も47%、ガソリン・軽油も49%増加しています。

    エネルギー使用量の推移のグラフ(出典:大阪府統計年鑑より作成)
    エネルギー使用量の推移のグラフ

ヒートアイランドの影響

  • 大阪市内では高温を記録した時間数が増加した年に搬送者数が多くなっており、気温と熱中症搬送者数との間には関係があることがわかります。

    熱中症と33℃以上の時間数のグラフ(出典:大阪市消防局,大阪アメダスデータより作成)
    熱中症と33℃以上の時間数のグラフ
  • 地球温暖化の影響もありますが、大阪、神戸、京都のソメイヨシノの開花日は年々早まり、特に大阪では開花日が早くなってきています。

    ソメイヨシノの開花日の推移のグラフ(出典:大阪管区気象台資料より作成)
    ソメイヨシノの開花日の推移のグラフ

計画の基本的な考え方

本計画では次のような「ヒートアイランドに配慮したまちづくり」を目指します。

基本概念

 気持ちよく住め、歩けるまち

  1. 緑や水による潤いにあふれ、自然な風がとおるまち
  2. 涼しさ、清々しさが感じられるまち
  3. クーラーに頼らなくても寝られるまち
  4. エネルギーを無駄にしないまち
  5. 建物や道に熱がたまりにくいまち

計画の期間

 2025(平成37)年度まで

計画の対象地域

 大阪府全域

対策の目標

 目標1:住宅地域における夏の夜間の気温を下げ、2025年までに夏の熱帯夜数を現状より3割減らす

 目標2: 屋外空間にクールスポットを創出し、夏の日中の熱環境の改善を図り、体感的な温度を下げる

対策の基本方向

  1. 省エネ機器の導入、ライフスタイルの改善等による人工排熱の低減
  2. 土地や建築物の表面被覆の改善による表面温度の高温化抑制
  3. 風や緑、水による冷却作用の利活用

開発状況に応じた対策

【既存開発地区】

  1. 人工排熱の低減
  2. 土地・建物表面被覆の改善
  3. 緑化の推進等の対策

【開発・再開発地区】

 上の対策に加え、

  1. 風や緑、水の冷却作用を活用した対策
  2. エネルギー供給・排熱処理 方法の工夫等

【開発されていない地区】

  1. 緑や農地、水域の保全

ヒートアイランド対策の流れの図
画像です。ヒートアイランド対策の流れの図

ヒートアイランド対策手法

地域特性に応じた対策の効果比較

 個々の対策による熱負荷の緩和効果について比較するため、地区別(住宅地、業務地)に予測・評価を行いました。その結果を地区別・昼夜別に整理すると、効果的な対策は次のようになりました。

対策毎の熱負荷量の削減割合のグラフ(棒グラフ:割合%、折れ線グラフ:顕熱の削減量:w/m2)
対策毎の熱負荷量の削減割合のグラフ

【住宅地区】
 昼間に効果的な対策⇒・住宅の屋上や壁面の蓄熱防止 ・水面の確保、保全
 夜間に効果的な対策⇒・屋上緑化、住宅地内緑化等の緑化対策 ・住宅内での省エネ対策

【業務地区】
 昼間に効果的な対策⇒・建物の屋上や壁面の蓄熱防止 ・顕熱の潜熱化(水冷式や水噴霧の導入等)
 夜間に効果的な対策⇒・交通排熱対策 ・屋上緑化、業務地内緑化等の緑化対策

気温低減効果の予測

 下記に示したような対策を府域で行った場合、昼間は広範囲に渡り、0.3〜0.9℃、夜間は大阪市域を中心に0.1〜0.3℃、気温が低下すると予測されました。

対策内容と対策量の表
対策内容対策量
建物内のエネルギー消費量の削減現状より15%削減
自動車及び製造業からの排熱量の削減現状より10%削減
市街地の地上部分の緑化現状より15%増加
建物の屋上緑化現状より20%増加
建物の屋上、壁面の高反射化20%→60%(反射率)
保水性(透水性)舗装の普及現状より20%増加
高反射性舗装の普及20%→40%(反射率)
顕熱の潜熱化、蒸発潜熱の増加現状より20%増加

ヒートアイランド対策手法と特性

ヒートアイランド対策手法と特性の表
対策の方向対策分野対策メニュー対策範囲対策実施期間
建物街区都市短期中期長期
人工排熱の低減省エネ設備の導入等(1)高効率・省エネルギー型機器の導入   
(2)機器の高効率運転    
(3)生産設備の省エネルギー化   
省エネ建築物の普及(4)建物の断熱性・遮熱性の向上  
(5)自然通風・換気・日射遮蔽    
空調機器の排熱対策(6)高効率空調機器の導入   
(7)水冷による排熱、顕熱の潜熱化   
(8)都市排熱処理システムの構築  
エネルギー供給システムの選択(9)ヒートポンプ式給湯器の普及促進   
(10)地域冷暖房システムの導入   
(11)未利用エネルギーの活用 
(12)太陽光発電の導入、太陽熱利用   
自動車・交通流対策(13)低燃費車の普及   
(14)交通流対策・物流の効率化   
(15)公共交通機関の利用促進  
省エネ行動の実施(16)家庭での省エネライフの推進    
(17)事業所での環境マネジメント    
(18)自動車利用の抑制   
(19)エコドライブの推進    
建物・地表面の高温化抑制建物緑化(20)屋上・壁面緑化   
(21)敷地内緑化(校庭や駐車場を含む)  
屋根面・壁面の高温化抑制(22)高反射性仕上げ、光触媒の活用   
地表面の高温化抑制(23)保水性・透水性舗装 
(24)反射率の向上 
冷却作用の利活用風の活用(25)建物配置の改善   
水の活用(26)下水処理水の利用   
(27)雨水の利用  
(28)打ち水の励行   
(29)ため池・農業用水路の保全  
(30)水面の拡大   
緑の活用(31)街路空間の緑化  
(32)公園・緑地の整備 
(33)農地の保全  
(34)都市河川護岸の緑化  
(35)緑の拠点づくり・ネットワーク化    

備考)1.対策範囲の区分(街区:概ね数百m2〜数km2、都市:概ね市町村域から府域)
2.対策実施期間(短期:概ね5年以内、中期:概ね5〜15年間、長期:概ね15〜20年間)

先行して推進するヒートアイランド対策

熱環境のさらなる悪化を防ぎ、少しでも緩和するため、各主体の役割に応じて、当面、以下の対策を推進します。

人工排熱の低減

「建物からの排熱を減らす」ための対策

【府の率先対策】

  1. ESCO事業による府有施設の省エネ化
  2. 「建築・まちづくり指針」による府有施設の省エネ化

【民間事業者・府民との協働】

  1. 「建築・まちづくり指針」等による省エネ対策の誘導
  2. 「エネルギーの使用の合理化に関する法律」による建築物の省エネ化
  3. 環境ISO等による事業所における環境マネジメントの普及促進
  4. 工場における生産工程等の省エネ化
  5. ESCO事業の普及啓発
  6. 未利用エネルギーの利用促進
  7. 地域冷暖房システムの普及促進
「自動車からの熱を減らす」ための対策
  1. 交通渋滞の緩和・解消
  2. 公共交通の利便性向上
  3. TDM施策の推進
  4. 低燃費・低公害車の普及促進
  5. 「自動車NOx・PM法」に定める特定事業者等に対する走行量の抑制等の指導
  6. 「自動車公害をなくすための事業者行動指針」の充実・普及
省エネ意識を高めるための対策

【府の率先対策】

  1. 府庁エコアクションプランによる率先行動の推進
  2. 府立高校のエコハイスクール化の推進

【民間事業者・府民との協働】

  1. 「大阪エコアクション宣言」等の拡大による省エネの推進
  2. 市町村、NPO、住民団体等と連携した省エネライフの推進
  3. イベントを通じた省エネ意識の向上
  4. 環境教育・学習の促進

建物・地表面の高温化抑制

「建物に熱をためない」ための対策
  1. 「建築・まちづくり指針」等による施設の遮熱性の向上
「道路や駐車場などの高温化を防ぐ」ための対策
  1. 透水性舗装等の推進
  2. 「建築・まちづくり指針」等による施設外構部の表面温度の高温化防止

冷却作用の利活用

「緑を増やす」ための対策

【府の率先対策】

  1. 「建築・まちづくり指針」等による府有施設の緑化の推進
  2. 街路樹による緑陰の創出などによる緑の道づくり
  3. 道路緑化による「緑の環境軸」の形成

【民間事業者・府民との協働】

  1. 民間施設の緑化支援・誘導
  2. 地域緑化の促進
  3. 屋上緑化の普及啓発
「緑地や水辺などのクールアイランドを増やす」ための対策
  1. 計画的な公園緑地整備
  2. 学校の校庭等における芝生化の促進
  3. 防潮堤の垂直緑化・緑陰の創出
  4. 下水処理場の屋上緑化と修景の推進等
  5. 農地やため池・農業用水路の保全
  6. 大規模緑地の創造
  7. 水と緑のネットワーク化の推進

■ 優先対策地域と主なヒートアイランド対策関連事業

 都市化が進行し、人工排熱の多い地域を優先対策地域とし、ヒートアイランド対策に資する関連事業を優先して行うこととします。
 優先対策地域の範囲の図  エリア毎のヒートアイランド対策の例の図

計画の推進

推進制度の整備

(1)対策推進のための制度導入
 ヒートアイランド対策を始めとして、地球温暖化対策、エネルギー対策、緑化対策等、都市環境の改善を誘導していくための効果的な制度について早急に検討します。

(2)府の率先対策に関する指針の作成
 (1)「建築・まちづくりにおけるヒートアイランド対策に関する指針」を作成します。
 (2)公共事業における環境配慮指針を作成します。

(3)経済的誘導策による推進

計画の推進体制

 庁内の「ヒートアイランド対策推進会議」を中心に、計画の進捗状況を点検し、時宜に応じた対策を推進していきます。
 また、計画は効果等の検証を踏まえ、2010(平成22)年度を目途に見直します。

モニタリング

(1)府及び市町村の大気汚染常時監視局、気象庁観測局を活用して、気温の広域モニタリング網を構築します。

(2)府政モニター制度の活用やアンケート調査を実施し、府民意識の把握に努めます。

調査研究の推進

(1)ヒートアイランド現象の実態や影響の把握のため、調査研究を進めます。

(2)対策技術の開発と検証を進めます。

下記のPDFファイルでは、大阪府ヒートアイランド対策推進計画の全文を項目毎にご覧いただけます。

大阪府ヒートアイランド対策推進計画の全文

各項目ごとの内容のダウンロードはこちらから

「計画本編」表紙・目次 [PDFファイル/24KB]
1 計画の主旨 [PDFファイル/16KB]
2 大阪府におけるヒートアイランドの現状 [PDFファイル/311KB]
3 計画の基本的な考え方 [PDFファイル/25KB]
4 ヒートアイランド対策手法とその評価 [PDFファイル/96KB]
5 大阪府におけるヒートアイランド対策 [PDFファイル/663KB]
6 計画の推進 [PDFファイル/20KB]
「計画資料編」表紙・目次 [PDFファイル/10KB]
1 大阪府ヒートアイランド現象実態調査結果 [PDFファイル/338KB]
2 大阪市都心部の夏季地表面温度の特徴 [PDFファイル/121KB]
3 ヒートアイランド対策効果把握調査結果
(1)芝生地と裸地における熱環境比較結果 [PDFファイル/481KB]
(2)屋上緑化モデルビル等における温度調査結果 [PDFファイル/17KB]
(3)透水性舗装の高温化抑制効果に関する調査結果 [PDFファイル/41KB]
(4)高反射性塗料の高温化抑制効果に関する調査結果 [PDFファイル/93KB]
(5)ESCO事業における省エネルギー効果 [PDFファイル/19KB]
(6)省エネライフ実践による省エネルギー効果 [PDFファイル/16KB]
4 ヒートアイランド対策事例 [PDFファイル/289KB]
5 調査研究の方向 [PDFファイル/14KB]
「計画付録」大阪府ヒートアイランド対策推進会議設置要綱 [PDFファイル/11KB]
大阪府ヒートアイランド対策検討委員会設置要綱 [PDFファイル/28KB]
「概要版」 [PDFファイル/259KB]
「まとめ」 [PDFファイル/87KB]

 

このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 気候変動緩和・適応策推進グループ

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