※大阪府では大阪市とともに、「大阪府市ヒートアイランド対策基本方針」、大阪府環境審議会の答申などを踏まえ、ヒートアイランド対策の基本的な考え方や目標、取組内容を定めた「おおさかヒートアイランド対策推進計画」を平成27年3月に新たに策定しました(「おおさかヒートアイランド対策推進計画」の詳細はこちら)。
大阪府域では地球温暖化による影響とヒートアイランド現象が相まって、その高温域が大阪市内に留まらず、郊外の住宅地域へと広がりつつあり、その影響は生態系の変化だけでなく、熱中症や寝不足、ストレスの増加など、健康への影響が懸念されています。
さらに、ヒートアイランド現象は、「住みやすさ」や「働きやすさ」、「訪れやすさ」など、都市環境としての質、「大阪の都市格」の悪化を招いており、この現象を緩和するための対策を早急に講じていくことが、喫緊の課題となっています。
しかし、ヒートアイランド現象は、何十年にもわたる都市化とエネルギーの大量消費の結果として現れてきた環境問題であるだけに、その解決のためには、都市構造の見直し、エネルギー大量消費型社会からの転換も見据えた総合的な対策を計画的に実施していく必要があります。また、地球温暖化問題と同様、都市に生活するすべての主体がかかわる問題であるため、行政、事業者、府民ひとり一人がその役割を十分認識し、連携・協力してその対策に取り組んでいく必要があります。
このため、大阪府では、学識経験者などからの意見を聞きながら、中・長期的な視点に立った対策の基本的な方向や当面取り組むべき対策について検討を重ねてきました。本計画はその結果をとりまとめたものです。
本計画では次のような「ヒートアイランドに配慮したまちづくり」を目指します。
気持ちよく住め、歩けるまち
2025(平成37)年度まで
大阪府全域
目標1:住宅地域における夏の夜間の気温を下げ、2025年までに夏の熱帯夜数を現状より3割減らす
目標2: 屋外空間にクールスポットを創出し、夏の日中の熱環境の改善を図り、体感的な温度を下げる
【既存開発地区】
【開発・再開発地区】
上の対策に加え、
【開発されていない地区】
ヒートアイランド対策の流れの図
個々の対策による熱負荷の緩和効果について比較するため、地区別(住宅地、業務地)に予測・評価を行いました。その結果を地区別・昼夜別に整理すると、効果的な対策は次のようになりました。
対策毎の熱負荷量の削減割合のグラフ(棒グラフ:割合%、折れ線グラフ:顕熱の削減量:w/m2)
【住宅地区】
昼間に効果的な対策⇒・住宅の屋上や壁面の蓄熱防止 ・水面の確保、保全
夜間に効果的な対策⇒・屋上緑化、住宅地内緑化等の緑化対策 ・住宅内での省エネ対策
【業務地区】
昼間に効果的な対策⇒・建物の屋上や壁面の蓄熱防止 ・顕熱の潜熱化(水冷式や水噴霧の導入等)
夜間に効果的な対策⇒・交通排熱対策 ・屋上緑化、業務地内緑化等の緑化対策
下記に示したような対策を府域で行った場合、昼間は広範囲に渡り、0.3〜0.9℃、夜間は大阪市域を中心に0.1〜0.3℃、気温が低下すると予測されました。
対策内容 | 対策量 |
---|---|
建物内のエネルギー消費量の削減 | 現状より15%削減 |
自動車及び製造業からの排熱量の削減 | 現状より10%削減 |
市街地の地上部分の緑化 | 現状より15%増加 |
建物の屋上緑化 | 現状より20%増加 |
建物の屋上、壁面の高反射化 | 20%→60%(反射率) |
保水性(透水性)舗装の普及 | 現状より20%増加 |
高反射性舗装の普及 | 20%→40%(反射率) |
顕熱の潜熱化、蒸発潜熱の増加 | 現状より20%増加 |
対策の方向 | 対策分野 | 対策メニュー | 対策範囲 | 対策実施期間 | ||||
建物 | 街区 | 都市 | 短期 | 中期 | 長期 | |||
人工排熱の低減 | 省エネ設備の導入等 | (1)高効率・省エネルギー型機器の導入 | ○ | ○ | ○ | |||
(2)機器の高効率運転 | ○ | ○ | ||||||
(3)生産設備の省エネルギー化 | ○ | ○ | ○ | |||||
省エネ建築物の普及 | (4)建物の断熱性・遮熱性の向上 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
(5)自然通風・換気・日射遮蔽 | ○ | ○ | ||||||
空調機器の排熱対策 | (6)高効率空調機器の導入 | ○ | ○ | ○ | ||||
(7)水冷による排熱、顕熱の潜熱化 | ○ | ○ | ○ | |||||
(8)都市排熱処理システムの構築 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
エネルギー供給システムの選択 | (9)ヒートポンプ式給湯器の普及促進 | ○ | ○ | ○ | ||||
(10)地域冷暖房システムの導入 | ○ | ○ | ○ | |||||
(11)未利用エネルギーの活用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
(12)太陽光発電の導入、太陽熱利用 | ○ | ○ | ○ | |||||
自動車・交通流対策 | (13)低燃費車の普及 | ○ | ○ | ○ | ||||
(14)交通流対策・物流の効率化 | ○ | ○ | ○ | |||||
(15)公共交通機関の利用促進 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
省エネ行動の実施 | (16)家庭での省エネライフの推進 | ○ | ○ | |||||
(17)事業所での環境マネジメント | ○ | ○ | ||||||
(18)自動車利用の抑制 | ○ | ○ | ○ | |||||
(19)エコドライブの推進 | ○ | ○ | ||||||
建物・地表面の高温化抑制 | 建物緑化 | (20)屋上・壁面緑化 | ○ | ○ | ○ | |||
(21)敷地内緑化(校庭や駐車場を含む) | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
屋根面・壁面の高温化抑制 | (22)高反射性仕上げ、光触媒の活用 | ○ | ○ | ○ | ||||
地表面の高温化抑制 | (23)保水性・透水性舗装 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
(24)反射率の向上 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
冷却作用の利活用 | 風の活用 | (25)建物配置の改善 | ○ | ○ | ○ | |||
水の活用 | (26)下水処理水の利用 | ○ | ○ | ○ | ||||
(27)雨水の利用 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
(28)打ち水の励行 | ○ | ○ | ○ | |||||
(29)ため池・農業用水路の保全 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
(30)水面の拡大 | ○ | ○ | ○ | |||||
緑の活用 | (31)街路空間の緑化 | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
(32)公園・緑地の整備 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
(33)農地の保全 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
(34)都市河川護岸の緑化 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
(35)緑の拠点づくり・ネットワーク化 | ○ | ○ |
備考)1.対策範囲の区分(街区:概ね数百m2〜数km2、都市:概ね市町村域から府域)
2.対策実施期間(短期:概ね5年以内、中期:概ね5〜15年間、長期:概ね15〜20年間)
熱環境のさらなる悪化を防ぎ、少しでも緩和するため、各主体の役割に応じて、当面、以下の対策を推進します。
【府の率先対策】
【民間事業者・府民との協働】
【府の率先対策】
【民間事業者・府民との協働】
【府の率先対策】
【民間事業者・府民との協働】
■ 優先対策地域と主なヒートアイランド対策関連事業
都市化が進行し、人工排熱の多い地域を優先対策地域とし、ヒートアイランド対策に資する関連事業を優先して行うこととします。
(1)対策推進のための制度導入
ヒートアイランド対策を始めとして、地球温暖化対策、エネルギー対策、緑化対策等、都市環境の改善を誘導していくための効果的な制度について早急に検討します。
(2)府の率先対策に関する指針の作成
(1)「建築・まちづくりにおけるヒートアイランド対策に関する指針」を作成します。
(2)公共事業における環境配慮指針を作成します。
(3)経済的誘導策による推進
庁内の「ヒートアイランド対策推進会議」を中心に、計画の進捗状況を点検し、時宜に応じた対策を推進していきます。
また、計画は効果等の検証を踏まえ、2010(平成22)年度を目途に見直します。
(1)府及び市町村の大気汚染常時監視局、気象庁観測局を活用して、気温の広域モニタリング網を構築します。
(2)府政モニター制度の活用やアンケート調査を実施し、府民意識の把握に努めます。
(1)ヒートアイランド現象の実態や影響の把握のため、調査研究を進めます。
(2)対策技術の開発と検証を進めます。
下記のPDFファイルでは、大阪府ヒートアイランド対策推進計画の全文を項目毎にご覧いただけます。
このページの作成所属
環境農林水産部 脱炭素・エネルギー政策課 気候変動緩和・適応策推進グループ
ここまで本文です。