最近の消費動向

更新日:2009年8月5日

最近の消費動向(16年12月から17年2月期、個別ヒアリング)

 個人消費は、全体では引き続き持ち直しの動きが続いているものの、暖冬による影響などから、一進一退で推移している。
 当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、ホテルを対象にヒアリング調査を行った。
 今回ヒアリングを行った百貨店A社、スーパーB社の平成16(2004)年12月の売上げは前年同月を下回った。一方、ホテルC社の12月の売上げは前年同月を上回った。

 百貨店

A社  
16年12月の売上げは前年同月比1.9%減少

 これは、暖冬の影響による冬物商品、特に防寒衣料の売上げの不調や、クリアランスセール前の買い控えなどによるものである。
 品目別にみると、衣料品は8.6%減少した。紳士服・洋品、婦人服・洋品が前年を下回ったが、子供服・洋品は前年を上回った。
 紳士服・洋品は、薄手のジャケットが好調であったものの、コート、セーター、防寒肌着など冬物商品全般に不調であった。婦人服・洋品は、ジャケットや非ウールのショートコート、カシミヤ製品、パンツなど好調な商品があったものの、それ以外の冬物商品は全般に不調で、特にウールコートは前年を大きく下回った。子供服・洋品は、昨年の売場改装効果の影響で前年を上回った。
 身の回り品は9.7%減少した。紳士装飾品ではマフラー、手袋が不調で、紳士靴は、輸入ブランド品、ビジネスシューズなど好調であった。婦人アクセサリーは、売場面積縮小の影響により不調で、婦人靴は、パンプス、ウォーキングシューズが好調であったがブーツが不調であった。紳士かばんは、売場改装により商品が充実したことから、ビジネス、カジュアルともに好調であった。
 食料品は3.2%増加した。菓子は洋菓子、和菓子ともに前年を上回り、和洋酒は焼酎が引き続き好調であったがその他は不調で、生鮮食料品はほぼ前年並みであった。食料品全般に歳暮ギフトが好調であった。おせち料理はほぼ前年並であった。
 化粧品は、国内メーカー品は好調であったが、外資系は不調であった。
 クリスマス関連商品は、家具装飾品や貴金属など全般的に好調で、前年を上回った。
 歳暮ギフトは、昨年同様早期割引を実施し、割引期間を延長するなどの効果により、ほぼ前年並みであった。
  

 スーパー

B社  
16年12月の売上げは前年同月比4.0%減少

 これは、暖冬の影響により、衣料品、食料品、住居関連商品全てにおいて、冬物商品の売上げが不調であったことによるものである。
 品目別にみると、衣料品は、暖冬のため冬物商品は全般に不調で前年を下回った。紳士服・洋品は、コート、スーツをはじめ全般に不調であった。婦人服・洋品は、カシミヤ製品は好調であったが、コート、ジャケット、ジャンパーなど防寒衣料をはじめ全般に不調であった。子供服・洋品は、男児、女児、ベビーのいずれも防寒衣料が不調であった。防寒肌着は、紳士、婦人、子供の全てで不調であった。
 身の回り品は、紳士靴は好調で、婦人靴もブーツをはじめ好調であったが、子供靴は不調であった。旅行用品はスーツケースが引き続き好調であった。寝具では、暖冬の影響で羽毛布団や毛布が不調であった。
 クリスマス関連商品は、飾付け商品が好調で、プレゼント用品ではブランドネクタイが好調であったが、マフラーや手袋は不調であった。
 食料品は2.7%減少した。鍋物食材が暖冬の影響で不調であった。牛肉はBSE(牛海綿状脳症)検査未解決による輸入停止長期化による相場高で引き続き減少しており、その一方で、豚肉は増加した。水産物では、造りやカニが好調であったが鍋物用の魚が不調であった。野菜は、相場高は落ち着いてきたが、鍋物用野菜などは需要が減少し不調であった。加工食品では野菜飲料が好調で、和洋酒は焼酎が引き続き好調であった。クリスマスケーキは、予約が前年を上回り、特にホテル製商品が好調であった。おせち料理も前年を上回り、高額商品や宅配商品が好調であったが、正月用食料品は不調であった。
 歳暮ギフトは、和洋酒や生鮮食品が好調でほぼ前年並みであった。
 家電製品は、液晶テレビやDVDなどのデジタル家電は好調が続いており、冷蔵庫や洗濯機も好調であったが、暖冬の影響で暖房機は不調であった。
 医薬品は薬品、化粧品ともに前年を上回った。化粧品は、量販店で取扱のない商品が好調で、健康食品も引き続き好調であった。
 住居関連では、迎春関連の重箱や飾り物などが不調であった。また、灯油関連商品も暖冬の影響で不調であった。
 1月の売上げは、気温が低くなったことにより、防寒衣料や暖房器具など冬物商品の動きが良くなったことから全体的に順調に推移している。


 ホテル

C社  
16年12月の売上げは前年同月を上回る

 宿泊部門とグルメブティック(ホテル製のパン、ケーキ、総菜等を販売するテイクアウトショップ)の売上げが好調で、前年同月を上回った。
 宿泊部門は、客室稼働率が昨年度73%から今年度は80%弱へと増加し、好調となっている。ホテルでは、サービスの改善・向上に努め、女性限定やファミリー向けの宿泊プランなど様々なプランを設定するとともに、インターネットによる特別予約料金システムを設置するなどの工夫を行い、顧客の獲得を図ったことが、客室稼働率の向上につながったとみている。また、客室では、専用フロントやライブラリー、ラウンジを設置し、パーソナルコンシェルジュによる24時間体制のサポートなど、癒しを提供する高付加価値客室と位置づけたエクゼクティブフロアーが好調である。高価格にもかかわらず客室稼働率が高く、熟年世代だけでなく若い世代や女性客などにも人気があり、リピート客の割合も高い。
 昨年には、ホテルの敷地内にドッグホテルをオープンさせた。これは最近のペットブームに対するホテルとしての対応で、大きな話題となった。独立した専用ドッグホテルをホテル敷地内の駐車場に設け、 24時間スタッフが常駐し、独立した個室で、飼い主がいつでも犬の様子と声を動画で確認できるサービスを備えており、好評である。
 グルメブティックの売上げは、昨年度を大きく上回り好調を続けている。特に12月は、クリスマスケーキやクリスマス用総菜、おせち料理などの売上げが伸び、非常に好調であった。オープン当時に比べ商品の種類は大幅に増加し、手の込んだ料理の充実ぶりや、シェフが店内で購入の相談に応じるなど、高級感と質の高さが受け、人気を呼んでいる。また、百貨店にも次々とショップをオープンさせ、いずれも好調に推移しており、最近ではショッピングモールへの出店やパーティ向け料理の販売を行うなど積極的な展開を図っている。また、パン、ケーキ、総菜の宅配サービスやインターネット販売も行っており、順調に売上げを伸ばしている。今後も、店舗販売に加え、宅配、インターネット販売を拡大し、一層の売上増を図りたいとしている。グルメブティックは、ホテル製食品テイクアウト店のブームの先駆けであり、話題性が高かったことから、大きな集客効果と知名度アップになり、新しい顧客の獲得にもつながっている。
 食堂部門は、改装したフレンチレストランと、スカイラウンジを改装し新しく生まれ変わった日本料理&バーが好調である。フレンチレストランでは、最高級の追求を目標にし、内装・料理・サービス共に従来のレベルをアップさせた雰囲気を提供している。高くても良いものを求めている顧客は存在するという考えから、これに見合った高価格を設定したが、売上げは前年を大きく上回っている。また、日本料理&バーも、宇宙をイメージした店内空間と和洋中を融合した日本料理というコンセプトが評判となり、予想を超える人気で、売上げを大幅に伸ばしている。どちらも、リピート客が多く、利用客の満足度が高いことを表している。
 宴会部門については、法人需要の落ち込みが続いている。時代の流れからも、今後も法人の大規模宴会は縮小傾向にあると予想している。これに代わって、忘年会、歓送迎会、懇親会などのパーティやお別れ会などの小規模宴会が増加しており、今後はこのような宴会需要の拡大に努めていくとしている。
 婚礼については、少子化の影響や、結婚式の多様化により厳しい環境にあり、大幅な増加が見込めないなか、現状維持に努めている。
 このように、ホテルでは、宿泊、グルメブティック、レストランなど様々なプロジェクトに取り組み、それぞれが注目を集め、実績も挙げている。これは、顧客のニーズを的確に把握し、それに応えたサービスを提供したことや、顧客の新しい需要を掘り起こしたことと、それに加えて、ホテル側からの顧客に対する独自の企画が、顧客のニーズにマッチした結果である。
 17年度はホテル開業70周年記念であり、様々なイベントを開催し、集客と売上増を図りたいとしている。
 今後も、ホテル間の競争は激しく、厳しい状況が続くと予想される。同社では、質の高いホスピタリティーと、オリジナリティーに溢れた企画や、顧客ニーズの把握により、顧客の求めているサービスの提供に努め、さらに、ホテルが独自に考えた新しい企画を顧客に提案するなど、積極的な取り組みを続け、売上げの増加を図りたいとしている。


大阪府の消費に関する経済指標




このページの作成所属
商工労働部 商工労働総務課 企画グループ

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