最近の消費動向

最近の消費動向（15年３月から５月期、個別ヒアリング）

　個人消費は一部で動きがあるものの一進一退で推移している。
　当研究所では、消費動向を把握するため、百貨店、スーパー、遊園地、旅行代理店を対象にヒアリング調査を行った。ヒアリングをした百貨店Ａ社の平成15年３月の売上げは前年を下回った。スーパーＢ社も前年を下回った。遊園地Ｃ社の入園者数も前年度を下回った。旅行代理店Ｄ社はイラク戦争や重症呼吸器症候群（ＳＡＲＳ）の影響で、海外旅行が落ち込んでいる。
　統計からみると、大阪府の大型小売店販売額は、２月の前年同月比は横ばいとなったが、３月には再びマイナスに転じた。このうち、百貨店は春物衣料の不振で再びマイナスとなり、スーパーも４か月連続のマイナスとなった。コンビニエンス・ストア販売額（近畿）は、既存店が２月には11か月ぶりに前年同月比でプラスとなったが、３月には再びマイナスに転じた。乗用車新規登録・販売台数は３か月連続のプラスとなった。家電販売額（近畿）は24か月ぶりにプラスとなった。
　個人消費の動向を左右する家計収入の動きをみると、現金給与総額（大阪府統計課調べ）は１月、２月とも前年を上回った。

百貨店

Ａ社　15年３月の売上は、前年同月比5.1％減少した。これは、週末の天候不順や低温の影響による春物衣料の不振等によるものである。
　品目別にみると、衣料品は16.4％減で、紳士服・洋品、婦人服・洋品及び子供服・洋品のいずれもが前年を下回った。紳士服・洋品は、スーツが不調であったものの、カジュアルが好調であった。婦人服・洋品は、春物衣料が不調であったが、セレモニー関係のスーツは好調であった。子供服・洋品は不調であるが女児服は好調で、ベビー洋品やマタニティが不調であった。
　身の回り品は、3.2％減であった。ハンドバッグは好調で、特にブランド品が大きく伸びている。婦人アクセサリー、雨傘が好調だが、靴は昨年から不調が続いており、特にサンダルが不調である。
　食料品は、4.2％減少した。ホワイトデーギフトで洋菓子が好調である。狂牛病の影響が解消してきており、牛肉が好調であるが、生魚や惣菜が不調であった。
　化粧品は国産化粧品が好調で、美白商品が伸びている。
　15年４月の売上は、衣料品を中心に低調に推移しており、前年を下回る見込みで厳しい状況が続くとみられる。

スーパー

　Ｂ社　15年３月の売上は、前年同月比3.4％減少した。これは、春物衣料の不振や野菜の相場高騰によるものである。
　品目別にみると、衣料品は天候の影響による春物衣料の不振により前年を下回った。紳士服・用品はスーツやジャケットが不調で、婦人服・用品も総じて不調であったが、子供服・用品はフォーマルなどで動きがみられた。
　食料品は1.0％減少した。精肉は狂牛病の影響が解消して、牛肉の需要が回復し、大幅に増加となった。野菜は相場高の影響で増加したが、果物は減少した。惣菜は、店内加工を行っているお好み焼きなどのスナック類や行楽弁当が好調であった。
　家電品は、液晶テレビやワイドテレビ、エアコン等好調な商品が一部でみられたが、冷蔵庫や洗濯機等の大型家電が不調であった。
　医療品は、花粉症対策で目薬、鼻炎薬等が好調で、健康食品も堅調である。
　15年４月の売上は、衣料品が大きく落ち込み、客単価の下落や購入商品数の減少などにより低調な状況が続いている。

遊園地

Ｃ社　14年度の入園者数は前年度を下回った。同園は学校団体などの団体客の占める割合が高く、団体客の多くがユニバーサル・スタジオ・ジャパンに流れたことが大きく影響している
　客層は学生を中心とした若者層が多いが、ファミリー層拡大のため、子供や家族向け施設の充実やイベントを開催したり、これまでは期間限定で販売していたフリーパスを通年で販売するなど、集客を図っている。また、ホームページの充実による情報発信や入園料の割引、メールマガジンの配信などにより、入園者の増加を図っているを中心に幅広い層からの支持を得ている。

旅行社

Ｄ社　同社の近畿・中国・四国地区の売上げは、国内旅行は回復基調にあるが、海外旅行は15年１、２月は前年同月を上回ったが、３月はイラク戦争や重症急性呼吸器症候群（ＳＡＲＳ）の影響でマイナスに転じた。ゴールデンウィークの海外旅行の予約は、イラク戦争やＳＡＲＳの影響でキャンセルが続出し、昨年の半分にまで落ち込んでいる。14年度のユニバーサル・スタジオ・ジャパン関連商品も開業効果の反動や昨年夏の不祥事で落ち込みが激しく、前年を３割以上下回っている
　同社の国内旅行と海外旅行の売上げ比率は2対1である。国内では、東京ディズニーリゾートの人気が高い。国内企画商品では、伊勢方面へのセットプランに人気がある。海外では、ハワイの人気が高く、アメリカ本土も好調だったが、イラク戦争の影響で減少した。
　国内旅行は回復基調にあるが、海外旅行はイラク戦争やＳＡＲＳの影響で大きく落ち込んでおり、回復するには終結から１年以上かかると見込んでおり、厳しい状況である。